質問主意書

ウクライナへの我が国の防衛装備品の供与(移転)及び穀物輸出等にかかわる支援に関する質問主意書(2022年8月5日)

質問

回答

本年八月一日、レバノンに向けてウクライナ南部のオデーサ港から穀物輸出が始まり、それまで懸念されていた世界的食料危機を防ぐ最初の一歩となるとされている。しかし今後、情勢が二転三転する可能性が考えられる中で、ロシア・ウクライナ問題の早期解決が日本を含む世界全体の食料確保などの安全保障に大きく影響するため、正確かつ迅速な対応が必要である。

そこで、この紛争の早期解決のために我が国がどう対応するか、及び穀物等輸出を再開したウクライナへの輸送や穀物貯蔵などに関してどのように支援しようとしているのかについて、以下質問する。

神谷宗幣(参政党) 
「防衛装備移転三原則の運用指針」が令和四年三月八日に改正され、「1 防衛装備の海外移転を認め得る案件」の「(2)我が国の安全保障に資する海外移転として次に掲げるもの」の内容の中に「(オ)国際法違反の侵略を受けているウクライナに対して自衛隊法第百十六条の三の規定に基づき防衛大臣が譲渡する装備品等に含まれる防衛装備の海外移転」という項目が追加されたが、具体的にウクライナへの防衛装備品の海外移転がどのように我が国の安全保障に資することになるのか示されたい。

政府 
お尋ねについては、令和四年三月八日の記者会見において、松野内閣官房長官が「今回の支援は、国際法違反の侵略を受けているウクライナへの支援であり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為に対し、国際社会と結束して、毅然と行動することは、我が国の今後の安全保障の観点からも極めて重要であります」と述べたとおりである。

神谷宗幣(参政党) 
欧州各国は原油価格の上昇などを背景にロシア産原油の禁輸措置を緩和し始めたことから、日本もロシアとの関係について国内への影響についての考慮を含めて慎重に検討する必要があると考えられる。しかし、日本のウクライナ支援を機にロシアとの関係は悪化し、日露平和条約締結に向けた交渉の中断をロシア側から表明されてしまい、安全保障対話の継続も懸念されるなどの事態となっている。ウクライナに対する防衛装備品移転による支援とともに、米英やEU主要国と足並みを揃えての対ロシア経済制裁強化を図ることが、この間築き上げた日ロ関係を具体的にどう阻害するかについて、具体的な検討はされたのか。今後、日ロ関係をどのようにしていくのか、戦略的な見通しを示されたい。

政府 
お尋ねについては、現下のウクライナ情勢を踏まえれば、我が国とロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはできないと考えており、令和四年五月二十五日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「ロシアが一刻も早く侵略をやめるよう、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、強力な対ロ制裁措置を講じつつ、ウクライナ支援を行ってまいります」と述べ、また、同年四月一日の参議院本会議において、同内閣総理大臣が「今後の日ロ関係については、今この現在、この現下の状況において申し上げる状況にはないと認識をしております」と述べたとおりである。

 

神谷宗幣(参政党) 
もしロシア・ウクライナ紛争が長期化すれば二国の生産や輸出などの経済活動に影響が出て、国際的な穀物市場において市場供給の合計四割という大きなシェアを持つ二国から食料を輸入している国々が著しい困難に直面することとなり、併せて市場価格の動向によっては食料自給率の低い日本にも大きな影響が及ぶことが懸念される。この世界的食料危機につながる事態をどのように認識し、解決方向をどのように考えているのか、政府の見解を示されたい。

政府 
御指摘の「世界的食料危機につながる事態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、穀物の供給不足の懸念から国際的に穀物の取引価格が上昇し、食料品の価格が高騰するとともに、開発途上国を中心とした各国への穀物の安定供給に深刻な影響を及ぼしていると認識しており、我が国としては、G7を始めとする国際社会と連携し、適切に対応してまいりたい。

神谷宗幣(参政党) 
もうすぐ秋の収穫期を迎えるウクライナにはまだ約二千万トンの穀物が倉庫などに残ったままの状態であり、今期の収穫分である一千万から一千五百万トンほどの穀物を保管する新たな場所が必要になると予測されている。日本としてもこうした現状に対処するため穀物貯蔵や輸送などに関して支援すべきと考えるが、具体的にどのような支援が可能か。また、海上への積み出し輸送時、黒海の港湾周辺、沿岸部に敷設された機雷が安全上問題とされ、技術面、費用面での解決が待たれていると聞くが、機雷掃海に関する支援について我が国には実績がある。この面での支援について、穀物輸出再開で合意した国連、トルコ、ウクライナ、ロシアに対して申し出て実施することは考えられないのか、現状での政府の見解を示されたい。

政府
前段のお尋ねについては、例えば、国連食糧農業機関(FAO)を通じ、ウクライナに対し、穀物の貯蔵庫や積込み・搬出用の機材を提供するなどの支援を行ってきているところであり、また、後段のお尋ねについては、ロシアによるウクライナ侵略が継続しており、現時点において、ウクライナ側から機雷の除去に関する支援の要請はないと承知している。

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