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質問主意書

九州における太陽光発電などの再生可能エネルギー出力抑制状況に関する質問主意書(2024年11月11日)

質問

回答

九州ではメガソーラー等の建設が進み、全国の太陽光発電の約二割を占めるに至っている。そのような中、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電を一時的に止める「出力抑制」が急増している。

二〇二三年度の制御電力量は前年度比二・九倍の十二億九千万キロワットアワーに達した。

二〇二四年度には十億キロワットアワーの出力制御が見込まれている。

九州エリアでは、夜間も八百万~九百万キロワットの電力需要があるが、日没から日の出まで、太陽光発電は全く意味をなさず、悪天候の場合は昼間も同様である。一日二十四時間、どのような気象条件でも安定した電力を供給するためには、火力や原子力発電に頼る必要がある。

そのため、太陽光発電については、晴天日は四十~五十%、晴天の週末は八十~九十%の抑制(発電していない状態)が掛かるような状況となっている。

このような状況を鑑みると、九州はすでに太陽光発電が過剰な状況にあり、これ以上の設置の必要はないと言えるのではないか。

そのような中、長崎県の宇久島では、令和七年末の運転開始を目指し、国内最大級の大規模太陽光発電所が計画され、建設が進んでいる。

宇久島の面積約二千四百九十三ヘクタールのうち、太陽光発電プロジェクトが事業用地として借りている土地は約七百二十ヘクタールと、島の四分の一を占める。

計画は「宇久島メガソーラーパーク」事業で、京セラ株式会社や株式会社九電工などが計約五百億円を出資する「宇久島みらいエネルギー合同会社」のもと、約千五百億円を資金調達して宇久島と寺島にメガソーラーの建設が進められている。

ただし、出力四万キロワット以上のメガソーラーには令和二年から国の環境影響評価(アセスメント)が義務づけられたが、両島の事業は既に工事計画の届出が済んでいたため対象外となっている。また県のアセスメントは太陽光発電所を対象事業としていない。このため、地元市長や知事、環境相の意見を踏まえた経済産業相による勧告の機会がないまま、事業が進められている状況にある。

吉川里奈(参政党)
九州においては、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電の顕著な出力抑制が続いているが、政府としてはどのような対策を講じているか。

政府
御指摘の「顕著な出力抑制が続いている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、九州を含む我が国におけるお尋ねの「出力抑制」の「対策」については、政府として、令和五年十二月に経済産業省において「出力制御対策パッケージ」を取りまとめ、これを踏まえつつ、蓄電池の導入支援等に係る予算措置等を講じているところである。

吉川里奈(参政党)
九州の出力抑制が続く状況の中、宇久島で建設を進めている大規模太陽光発電所は、稼働した際には、どれくらいの出力抑制が発生すると試算しているのか。

政府
再生可能エネルギー発電設備の御指摘の「出力抑制」については、電力の需要の状況や発電量等の様々な要因の影響を受けて実施されるため、お尋ねの「宇久島で建設を進めている大規模太陽光発電所」が「稼働した際」に「どのくらいの出力抑制が発生する」かを一概に試算することは困難である。

吉川里奈(参政党)
宇久島の大規模太陽光発電所事業用地七百二十ヘクタールを森林化すると、森林一ヘクタールの年間ⅭO2吸収量を約百七十トンとした場合、年間十二万二千四百トンのⅭO2吸収量が期待できる。それと比較した場合、出力抑制も加味した上で、宇久島の大規模太陽光発電所のⅭO2吸収量は、どれくらい期待できるのか。

政府
お尋ねの「大規模太陽光発電所のCO2吸収量」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

吉川里奈(参政党)
九州において、夜間の需要に対応するためには、現状の火力や原子力発電に頼らざるを得ない状況となっているが、宇久島の大規模太陽光発電所を含め、これ以上の太陽光発電等の再生エネルギー発電施設設置計画の見直しは行わないのか。

政府
お尋ねの「太陽光発電等の再生エネルギー発電施設設置計画」の具体的に意味するところが明らかではないため、「見直しは行わないのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「太陽光発電等の再生エネルギー発電施設」の「設置」については、当該施設の設置を行う事業者において計画等されるものであるところ、政府としては、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら再生可能エネルギーの最大限の導入を促すといった考え方に基づき、引き続き必要な取組を進めてまいりたい。

エネルギー供給基盤事業への外国企業参入及び自然エネルギー財団の関与に関する質問主意書(2024年5月9日)

質問

回答

二〇二四年三月、内閣府主催のタスクフォースの会合で議論された再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しに関して、構成員から提出された資料に、中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークの透かしが入っていたことが発覚した。この透かしの入った資料は、経済産業省や金融庁での会合でも使用されており(以下「本件問題」という。)、政府内での中国企業の影響力が問題視されている。

この問題は、中国系企業とつながりを持つ有識者会議の構成員が、中国系企業の意向に沿った政策提言を行っている可能性があるという疑惑に火をつけた。該当する構成員は、自然エネルギー財団の事業局長であり、再生可能エネルギー推進と反原子力発電について積極的であった。また、この財団は、二〇一五年に習近平国家主席が国連開発サミットで提唱した国際送電網構想を強力に推進してきたという背景もある。

この疑惑は、中国系企業が日本のエネルギー供給基盤事業に次々と参入し、莫大な利益を上げる一方で、中国系資本が自衛隊基地周辺など国防上重要な地域を含む国土を買収している事実と関連し、国の経済安全保障への懸念をより一層強めている。

中国には、中国政府が有事発生の際に人や資源や施設などを政府の管理下に置くとともに在外の中国国民及び企業についても国の命令に従わなければならないとする「国防動員法」がある。同法の存在は、中国企業が日本のエネルギー供給基盤事業に関与することで経済安全保障上のリスクを高めている。これについては、一昨年「咲洲メガソーラーなどエネルギー供給基盤事業への中国企業参入に関する質問主意書」(第二百九回国会質問第一九号)で取り上げた。

日本のエネルギー供給基盤が他国政府による介入の間隙を持つ事態は避けなければならない。本件問題をきっかけとして、エネルギー供給基盤事業の外資系企業参入に関しては、経済安全保障を確保するための具体策として、改めて参入規制を明確にし、実行ある方策について検討を行うべきである。

神谷宗幣(参政党)
本件問題について、河野太郎大臣は、SNS上で「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」と述べた。しかし、本件問題の本質は、透かしロゴの消し忘れではなく、有識者会議の構成員が中国系企業の意向に沿って政策提言を行っていたのではないかという疑いである。政府としては、今回の事態についてどのように考えるか。自然エネルギー財団は、中国国家電網とグローバルグリッド促進のため団体(GEIDCO、自然エネルギー財団によれば「自然エネルギーの活用のために世界的な送電ネットワークの構築をめざす国際的非営利団体」)を共同して立ち上げ、その団体の理事会メンバーとなり正副会長にそれぞれ中日のトップが就任している。これについて、政府はどう評価しているのか。

政府
お尋ねについては、御指摘の点を含め、令和六年四月十七日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「現在は、まずは内閣府において、元構成員等が外国の政府、企業から不当な影響力を行使され得る関係性を有していたか等について、人選の経緯等と併せて詳細な事実関係の確認などの調査を行っているところ」であると答弁しているとおりであり、現時点においてお答えすることは困難である。

神谷宗幣(参政党)
政府は有識者会議のメンバー選定にあたり、資料を提供した構成員とその関係先の利害関係についてどのような調査を行い、構成員の中立性を担保してきたのか。例えば、内閣府タスクフォース委員だった自然エネルギー財団事業局長の大林ミカ氏は、過去、中国側が主催する再生可能エネルギー推進に関わるイベントに参加し、パネラーとして同国政策に賛意を示すような言動をしているなどの事実について、把握はしていないのか。

政府
現時点においてお答えすることは困難である。

神谷宗幣(参政党)
二〇二四年三月二十四日付けの産経新聞の記事によれば、青森県内で認定された再生可能エネルギー事業計画のうち、二百九十件以上で中国人や中国系資本が関与しており、これらは自衛隊施設周辺にも及んでいると報じられている。この点、二〇二二年九月に全面施行された重要土地等調査法に基づき、青森駐屯地や三沢基地などが注視区域に指定された(二〇二四年四月十二日内閣府告示)。注視区域では、土地等利用状況調査とともに、不適切な利用の規制等の措置を講じることとされているが、すでに告示された注視区域について、いつ頃までを目途にこれらの調査や措置を行う予定で、調査や措置の結果についてどのような項目が公表される予定か。

政府
御指摘の「土地等利用状況調査」及び「不適切な利用の規制等の措置」については、御指摘の「注視区域」における土地等の利用状況が継続的に変化し得るものであることから、ある時点までに完了するという性質のものではなく、特定の期限を設けずに継続的に行うこととしている。お尋ねの「どのような項目が公表される予定か」については、現時点においては具体的に決定していないが、いずれにせよ、御指摘の「土地等利用状況調査」については、その概要を何らかの形で公表する方向で検討しており、また、御指摘の「不適切な利用の規制等の措置」については、その概要を公表することとしている。

神谷宗幣(参政党)
航空自衛隊防府北基地(山口県防府市)などが施設で使用する再生可能エネルギーをタイの電力大手バンプーグループの子会社から調達していたことが報じられている(二〇二四年四月一日産経新聞)。自衛隊施設においては、昨年度時点で全九百六十九施設のうち五十施設で再エネ調達が可能となっており、再エネ比率百%の電力調達を達成した施設は三十六施設あるという。このうち、再エネ調達が可能となった五十施設が電気供給等の契約を行った電気供給事業者を全て回答されたい。また、このうち、共同出資会社を含め、外国企業が関与している電気供給事業者はいくつあるかについて、併せて回答されたい。

政府
前段のお尋ねについては、令和五年度において、ゼロワットパワー株式会社、株式会社エネット、コスモエネルギーソリューションズ株式会社、五島市民電力株式会社、バンプーパワートレーディング合同会社、WSエナジー株式会社及び東北電力株式会社である。また、お尋ねの「外国企業が関与している」の具体的に意味するところが明らかではないため、後段のお尋ねに網羅的にお答えすることは困難であるが、その上で、例えば、各府省庁における物品の製造、販売等に係る一般競争入札への参加資格である全省庁統一資格(以下「全省庁統一資格」という。)について、政府電子調達ポータルサイトにおいて、「個別情報」の中の「外資状況」を確認したところ、外国資本が出資していることが確認できた契約事業者は、バンプーパワートレーディング合同会社である。

神谷宗幣(参政党)
経済安全保障の観点から、国防の要を担う防衛施設のエネルギー供給基盤は国内企業に限るべきとの要請が特に強いと考えられるが、政府は、防衛施設の電気供給事業者を選定するにあたり、どのような基準を設定しているのか。

政府
御指摘の「経済安全保障の観点」、「エネルギー供給基盤事業」及び「参入」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「防衛施設」における電力の調達については、国による調達では一般競争入札が原則であることから一般競争入札により実施しており、その際の参加資格として、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条の二に規定する小売電気事業の登録を受けていること、全省庁統一資格を有すること等の要件を定めているところであるが、いずれにせよ、御指摘の「規制」としては、外国投資家による電気事業等を営む我が国企業への投資については、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づき、電気事業、ガス事業、石油精製業、石油ガス輸入業といった事業のうち、国民生活及び経済活動の基盤となる役務であって、その安定的な提供に支障が生じた場合に国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供を行うものについては、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)に基づき、それぞれ規制を行うなど適切な対応を行うとともに、電気事業法等の関係法令に基づき、外国資本であるか否かにかかわらず、御指摘の「エネルギー供給」に携わる事業者に対し、各事業の適切な運営を義務付けているところである。引き続き必要な取組を進めてまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
再生可能エネルギー設備とそれに関連する技術を外国に依存した場合、技術的なバックドアを通じてサイバー攻撃が行われるリスクや、エネルギーインフラが戦時に攻撃の対象になるリスクが懸念されるが、これらに対して安全上の対応はどのように措置されているのか。

政府
御指摘の「技術的なバックドアを通じてサイバー攻撃が行われるリスク」及び「エネルギーインフラが戦時に攻撃の対象になるリスク」の具体的に意味するところが明らかではなく、こうした「リスク」に伴い想定される事象の態様も明らかではないため、お尋ねの「対応」について一概にお答えすることは困難である。

神谷宗幣(参政党)
外資系企業による日本のエネルギー供給基盤事業への参入について、経済安全保障確保の見地から政府は規制強化に向かうべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

政府
御指摘の「経済安全保障の観点」、「エネルギー供給基盤事業」及び「参入」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「防衛施設」における電力の調達については、国による調達では一般競争入札が原則であることから一般競争入札により実施しており、その際の参加資格として、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条の二に規定する小売電気事業の登録を受けていること、全省庁統一資格を有すること等の要件を定めているところであるが、いずれにせよ、御指摘の「規制」としては、外国投資家による電気事業等を営む我が国企業への投資については、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づき、電気事業、ガス事業、石油精製業、石油ガス輸入業といった事業のうち、国民生活及び経済活動の基盤となる役務であって、その安定的な提供に支障が生じた場合に国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供を行うものについては、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)に基づき、それぞれ規制を行うなど適切な対応を行うとともに、電気事業法等の関係法令に基づき、外国資本であるか否かにかかわらず、御指摘の「エネルギー供給」に携わる事業者に対し、各事業の適切な運営を義務付けているところである。引き続き必要な取組を進めてまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
自然エネルギー財団が二〇一一年八月の設立以来、提唱する日本を含むアジア各国との間で送電網を連結するというアジアスーパーグリッド(ASG)構想について、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねについては、御指摘の「自然エネルギー財団」の個別の活動に関するものであることから、政府としてお答えすることは差し控えたい。

自動車EV化を巡る我が国の政策に関する質問主意書(2024年5月9日)

質問

回答

政府は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現の目標に向かって、自動車の電動化を図るとし、「二〇三五年に乗用車新車販売で電動車百%」という目標を設定している。

しかし、一方で電気自動車(以下「EV」という。)は、未だ多くの解決すべき課題を抱えている。車両価格(コスト)の高さ、航続距離の短さ、充電時間の長さ、低高温下でのバッテリー機能の低下、発火した場合の危険性等があり、既存自動車よりも実用性が匹敵しない面がまだまだある。そのためもあって、二〇二三年のEV(普通乗用車のみ)の新車販売台数は約四万四千台(約一・六六%)にとどまっている。

世界の趨勢を見ても、EVの需要、販売、生産のいずれも頭打ちまたは減少傾向にある。EVの需要が一巡し、更なる需要の掘り起こしができず、各自動車メーカーによる生産台数目標の引き下げ、生産の縮小、販売価格の値下げ、利益予想の下方修正、関連投資の縮小や中止が各国で生じている。

ドイツでは、EVの新車販売数が十三・二%減少し、ガソリン車の販売数は三・五%増加しており、VW社が四つのEV生産工場のうち二つを操業停止し、メルセデス社は「二〇三〇年完全EV化」目標を撤回し、新規エンジンの開発を進めている。

アメリカでは、テスラ社がメキシコEV工場計画を先送りにし、アップル社は、十年かけて数十億ドルを投資してきたEV開発を断念した。また、フォード社では、百二十億ドルのEV関連投資を中断・延期し、代わりにハイブリッド車両(以下「HEV」という。)の増産を決めている。これに伴い、中国で千三百人、米国とインドで三千人の人員整理に入る。ゼネラル・モーターズ社でも、EVシフトの方針を撤回し、内燃エンジン生産に三十二億ドル強の投資を発表。米レンタカー大手のハーツ社においては、テスラを含むEV二万台を売却し、代わりにガソリン車を追加購入している。

中国でも、大手BYD社が、EVからプラグインハイブリッド(以下「PHEV」という。)、HEVに事業をシフトしており、その他、新興EVメーカー各社も破綻や上場廃止、財政的な苦境に立たされている。

このような状況にもかかわらず、現在日本政府はCEV補助金を実施しているが、補助対象は、EV、PHEV、燃料電池自動車(以下「FCV」という。)のみに限定している。一方で、これまで補助対象であったクリーンディーゼル自動車については、二〇二三年以降の登録は対象外となっている。さらに、地方自治体でも同様の補助金を付与しているほか、政府の二〇二三年度補正予算には千二百九十一億円が充てられており、年々その額が増加している。

海外諸国の趨勢は、EVへの補助金が縮小傾向にある。欧州議会では、「二〇三五年EV化法案」が、二〇二三年三月にドイツ、イタリア、ポーランド他の反対により否決されている。またドイツ政府は、四万ユーロ未満のEVへの補助金を四千五百ユーロから削減し、さらに今後も支給対象を絞り込む予定となっている。

アメリカでは、バイデン政権下で最大七千五百ドルの税額控除を得られる販売支援策を採っているが、対象となるのは米三社十一車種のみ、日欧韓のEVは全て対象外となっている。

カーボンニュートラルを目指すことが目的であれば、自動車分野においては、電動化一辺倒である必要はない。効率の良い内燃機関車(以下「ICE」という。)、HEV、PHEV、FCV、EV、更にはバイオ燃料等の新燃料を含む幅広い選択肢(多様性)を持ち、それぞれの強みを生かしながら進めていくべきである。

日本は、これまで培った内燃機関技術において非常に高い国際競争力を持っている。自動車製造は我が国の基幹産業であり、貿易黒字額の約二十%を自動車輸出が担い、五百四十二万人の就労人口を抱えている。

EV優遇政策を進めることによる、バッテリーをはじめ、多くの基幹部品を中国に頼るEV車シフトは、中国依存の度合いを高めることとなり経済安全保障の観点から望ましくなく、併せて日本の自動車産業自体の競争優位性を失うものとなりかねない。

このように、現状で大規模なEV優遇の補助金政策を継続することは、情勢の推移からも内燃機関を中心とする日本の自動車産業の支援・育成の観点からも、極めて不適切な政策といえる。特に、日本製のみならず外国製のEV等に対しても補助金を付与することは、世界の趨勢に逆行するものである。

神谷宗幣(参政党)
EVの需要、販売、生産、投資などが多くの国で減少している世界の趨勢について、政府はどう受け止め評価しているか。この趨勢を踏まえ、我が国のEVに関する施策に関して、修正または抜本的に見直す検討を行っているか。

政府
電気自動車(以下「EV」という。)については、一部の欧米の自動車メーカーにおいて販売目標や投資計画の見直しなどの動きがあることは承知しているが、欧州、米国及び中国の政府においてEVの普及を推進する政策の方向性に大きな変化はなく、世界におけるEVの市場は今後も拡大する一方、ハイブリッド自動車(以下「HEV」という。)を含む内燃機関を搭載する車両については、開発途上国を中心にこれが大きな割合を占める市場も当面存在すると見込んでいる。こうした中で、我が国政府としては、自動車分野におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、EVだけではなく、内燃機関を搭載するHEV及びプラグインハイブリッド自動車(以下「PHEV」という。)並びに燃料電池自動車(以下「FCV」という。)を含めた電動車の普及や合成燃料等の脱炭素燃料の活用といった多様な選択肢を追求することとしており、国内外の情勢を踏まえつつ、引き続き、こうした方針に基づき様々な施策を実施していく考えである。

神谷宗幣(参政党)
カーボンニュートラル実現の大きな柱として、自動車の電動化を据えていることについて、各国の趨勢を見るならば見直すべき時ではないのか。実際に自動車EV化を長期的コストパフォーマンスで見るなら、価格の高さ、航続距離の短さ、充電時間の長さ、低高温下でのバッテリー機能の低下、発火した場合の危険性等、対中依存度の高さ、製造から廃車に至るまでのライフサイクルCO2排出量で、決して環境に優しいと言えない。これらについて、政府の見解を示されたい。

政府
御指摘の「カーボンニュートラル実現の大きな柱として、自動車の電動化を据えていること」については、政府として、「二千五十年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(令和三年六月十八日内閣官房、経済産業省、内閣府、金融庁、総務省、外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省及び環境省策定。以下「グリーン成長戦略」という。)において、EVだけではなく、HEV、PHEV及びFCVを含めた電動車について、令和十七年までに乗用車の新車販売における割合を百パーセントとする目標を設定しているところであるが、御指摘の「価格の高さ、航続距離の短さ、充電時間の長さ、低高温下でのバッテリー機能の低下、発火した場合の危険性等、対中依存度の高さ、製造から廃車に至るまでのライフサイクルCO2排出量」については、動力源の異なる車両それぞれに優位性及び課題があると認識し、グリーン成長戦略において、EVだけではなく、HEV等を含めた多様な選択肢を追求することとしており、この目標の見直しについては考えていない。

神谷宗幣(参政党)
政府が設定している「二〇三五年までに、乗用車新車販売で電動車百%」とする目標は、新車販売を電動車のみとして、ICEの新車販売を認めないことを前提にしている。ところが世界では、未だ八割程度がICEであり、中国政府においても自動車産業のグリーン・低炭素発展のためのロードマップ一・〇で「内燃機関は今後も相当な期間、自動車産業において重要な役割を果たす」という認識を持っている。ICE市場を軽視することが、我が国の自動車産業が生み出している雇用、GDP、貿易黒字等の経済効果を減ずる結果になるのではないか。

政府
御指摘の「ICE市場を軽視すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、一についてでお答えした多様な選択肢を追求することとしており、二についてでお答えした目標を掲げてはいるが、現時点において、特定の動力源の車両の「新車販売を認めない」ような施策は講じておらず、御指摘のように「ICEの新車販売を認めない」との事実はない。その上で、我が国の自動車産業においては、引き続き高い競争力を維持し、国内経済をけん引していくためにも、今後、世界で導入の拡大が予想されるEV、HEV、PHEVなどの電動車の市場を確保していくことが重要であると考えている。

神谷宗幣(参政党)
我が国のCEV補助金は、EV、PHEV、FCVのみを対象としている。HEVは、EVの欠点である航続距離、充電時間などの問題がなく、かつCO2の排出も少なく、経済効率性も高い等の利点がある。また、日本のHEV製造における国際競争力は高く、二〇三五年の目標としている電動車の範疇には含まれている。他国の大手自動車製造会社では、CO2削減における重点商品をEVから改めてHEVに転換する動きもある。こうした趨勢を踏まえて、CEV補助からHEVを除外するのは見直すべきではないか。

政府
令和五年度補正予算において措置された「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(以下「CEV補助金」という。)については、環境性能に優れた自動車の車両の購入費用の一部補助を通じて、こうした自動車の導入の初期における需要の創出や量産による価格低減の促進等を目的としているものであるところ、HEVについては、これまでに販売台数の増加に伴い車両価格が低減して従来の内燃機関自動車との価格差が縮小してきていること及び令和五年の我が国の乗用車の新車販売台数において約五割を占めていることを踏まえ、CEV補助金の対象とはしておらず、今後、同様の補助金が措置される場合においても、対象とする車両にHEVを加えることを検討することとはしていない。

神谷宗幣(参政党)
我が国において、日本車のみならず外国車にCEV補助金を供与することは、日本の産業振興の観点から不適切ではないか。特に、中国製EV等については政府が多額の補助金を供与しており、日本の自動車メーカーにとって不公平な価格競争環境におかれている。またアメリカでは、すでに日中韓のEVについては、税優遇の対象から外されている。欧州では、EUの政策執行機関である欧州委員会が二〇二三年十月四日から、EUに輸入された中国製EVに対する反補助金調査を進めている。これらを鑑みるなら、相互主義の観点からも我が国が外国車にCEV補助金を供与することはおかしい。外国製EVに対する補助金供与をとりやめ、むしろ国内でのHEV開発にこそ手厚い助成措置を行うべきではないのか。

政府
各国においては、それぞれの状況等を踏まえた政策を実施しているものと承知しているが、我が国としては、御指摘の「外国製EV」に対して差別的な取扱いを行うことは、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書―Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第三条に定める内国民待遇の原則に違反するおそれがあり、外国で生産された車両をCEV補助金の対象から除外することは適切ではないと考えている。その上で、HEVについては、国内の販売台数のうち、その九割以上を国内で生産された台数が占めているところ、その購入促進に関する財政措置としては、例えば、自動車重量税において、EV、HEVなどを含め環境性能に優れた自動車を優遇する措置を講じているところであり、御指摘の「開発」についても、こうした措置等を通じて促進されるものと考えている。

日本における脱炭素エネルギー戦略に関する質問主意書(2023年12月13日)

質問

回答

令和五年十一月三十日よりドバイで国連気候変動枠組条約第二十八回締約国会議(COP28)が開催された。この会議に参加した岸田内閣総理大臣のスピーチでは、次の三点が示された。

○グリーン・トランスフォーメーション推進法に基づき、成長志向型カーボンプライシング構想を実行していきます。来年には、世界初の国によるトランジション・ボンドを国際認証を受けて発行いたします。排出削減、エネルギーの安定供給、経済成長の三つを同時に実現するGXを加速させ、世界の脱炭素化に貢献します。

○日本は、徹底した省エネと、再エネの主力電源化、原子力の活用等を通じたクリーンエネルギーの最大限の導入を図ります。日本は、世界で再エネ容量を三倍とし、エネルギー効率改善率を二倍とするとの議長国の目標に賛同いたします。

○日本は、自身のネット・ゼロへの道筋に沿って、エネルギーの安定供給を確保しつつ、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していきます。

一方、COP28合意文書草案については、サウジアラビア、ロシア、インド、中国が賛同しておらず、合計で総排出量の約三十七パーセントを越えるCO2を排出している国が賛同していない(二〇二〇年時点、排出量は同年の実績換算)。加えて二〇五〇年までに世界全体の原子力発電の設備容量を二〇二〇年の三倍にする宣言には、日米など二十か国以上が参加している。

十二月三日、NHKの番組内で、伊藤信太郎環境大臣は「再エネ三倍増」公約に関連して、実際に三倍増を目指すのかと問われた際、「太陽光発電の導入に伴う森林などの環境破壊の問題もあり、必ずしも三倍にできる容量があるとは考えていない。再生可能エネルギーは、なるべく伸ばそうと思っているが、明日や来年に三倍に増やすことはできない」と慎重な発言をしている。

同番組内で、西村康稔経済産業大臣は石炭火力発電の段階的な削減について、「国民生活や経済への影響なども考えながら、CO2の排出を減らしていかないといけない。最終的には燃料をアンモニアへと転換させることを目指したい」とも発言している。

神谷宗幣(参政党)
現実に目を向けると、今年の石炭や石油などの化石燃料を燃やして排出される世界のCO2の量は三百六十八億トンとなり、去年に比べ、一・一パーセント増え、過去最大の排出量になる見通しとなっている。このうち、燃料別の排出量では石炭が全体の四十一パーセントを占め、最も多い。またCOP会議での誓約に中国、ロシアなど、CO2を多く排出している国々が署名していない状況から、CO2削減目標達成を疑問視する声も多い。こうして、国連気候変動枠組条約の目指す目標が現実的な裏打ちを持てない中、日本政府は自国の経済、産業、国民の生活に負荷をかけながら二〇三〇年度に四十六パーセント減、更に五十パーセント減の高みに向け挑戦を続けていく考えなのか。世界的な情勢を踏まえて、条約締約国全体での取組を実現性のあるものに見直していくことは検討しないのか。

政府
前段のお尋ねについては、「地球温暖化対策計画」(令和三年十月二十二日閣議決定)における「地球温暖化対策は経済成長の制約ではなく、積極的に地球温暖化対策を行うことで、産業構造や経済社会の変革をもたらし大きな成長につなげるという考えの下」、「二千三十年度において、温室効果ガスを二千十三年度から四十六パーセント削減することを目指す。さらに、五十パーセントの高みに向け、挑戦を続けていく」という我が国の温室効果ガスの削減目標の達成に向けて、引き続き、取組を進めていく考えである。後段のお尋ねについては、お尋ねの「実現性のあるものに見直していくこと」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、パリ協定(平成二十八年条約第十六号)の目的の達成に向けた国際交渉に臨むに当たっては、政府として、引き続き、気候変動に関する国際連合枠組条約(平成六年条約第六号)の締約国とともに、同協定の効果的な実施を促進するために必要な決定が行われるよう最大限努力してまいりたい。

    日本は二〇五〇年までに世界全体の原子力発電の設備容量を二〇二〇年の三倍にする宣言に賛同しているが、この数値は、どれくらいの数の原子力発電所を再稼働させれば達成されるのか。あるいは、新規の原子力発電所建設と発電開始も踏まえての目標なのか。
    御指摘の「宣言」については、御指摘の「数値」の「達成」のために必要となる世界全体での原子力発電所の数を想定したものではないため、お尋ねにお答えすることは困難である。
    岸田内閣総理大臣による「日本は、自身のネット・ゼロへの道筋に沿って、エネルギーの安定供給を確保しつつ、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していきます」とのスピーチを踏まえるなら、日本においては、高効率・低炭素化対策を行っている石炭ガス化複合発電について今後も継続的に技術開発及び稼働を進めていくということなのか。石炭ガス化複合発電についての今後の展開について、見通しを示されたい。
    お尋ねの「技術開発」については、「エネルギー基本計画」(令和三年十月二十二日閣議決定)において、「脱炭素化を見据えつつ、次世代の高効率石炭火力発電技術である石炭ガス化複合発電(IGCC)や石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)などの技術開発等を推進する」としているとおりである。お尋ねの「稼働」については、政府として、現時点では、御指摘の「石炭ガス化複合発電」を用いた発電所の新たな建設に係る具体的な計画は承知していないが、今後については、これまでに営業運転が開始された発電所の稼働を含め、まずは、発電事業者において検討されていくものであると考えている。
    高効率・低炭素化対策を行っている石炭ガス化複合発電等を用い、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の下で東南アジア諸国への優れた脱炭素型技術の普及や対策を通じ、二国間クレジット制度(JCM)を活用し、我が国のNDC(国が決定する貢献)達成のために適切にカウントする方針を持っているのか。具体的なJCM貢献額を目標達成の前提としているかどうかを示されたい。
    御指摘の「二国間クレジット制度」に基づくプロジェクトについては、パリ協定第六条の規定に基づくものであり、当該プロジェクトによって得られる温室効果ガスの排出削減量のうち我が国に配分される量については、政府として、御指摘の「我が国のNDC」の達成に向けた温室効果ガスの排出削減量の算定に適切に反映することとしている。また、アジア・ゼロエミッション共同体の枠組みを通じたものであるか否かにかかわらず、当該プロジェクトにおいてどのような御指摘の「脱炭素型技術」が導入されるのかについては、当該プロジェクトに関与する相手国との協議によって個別に決定されるものであり、また、当該プロジェクトによって得られる温室効果ガスの排出削減量の取扱いについては、当該相手国とプロジェクトごとに協議の上で、国際的に検証可能な形で当該排出削減量が我が国と当該相手国に適正に配分されることとされている。このため、当該算定に当たっては、政府として、御指摘の「石炭ガス化複合発電」の技術に由来するものであるか否かにかかわらず、技術ごとの温室効果ガスの排出削減量の計算を当該算定の前提とはしていない。
    十二月三日、NHKの番組内での、伊藤信太郎環境大臣や、西村康稔経済産業大臣の発言を鑑みると、日本政府は、「原発三倍増」とする目標は現行の再稼働政策の延長で確保可能とし、火力発電についてはアンモニア転換などによる排出削減対策を講じた火力発電に力を入れる方針であるというように受け取れる。そうなると、日本のエネルギーミックスにおいて、再生可能エネルギーについては三倍にする余地が残されていない。それに対し今後GXに必要となる十年で百五十兆円の投資のうち、再生可能エネルギーの大量導入に約三十一兆円以上の投資をイメージしているが、現在政府が進めているGX経済移行債の投資計画と将来のエネルギーミックスの計画とは整合性がとれるのか。同時に欧米諸国からグリーン投資のパフォーマンス低下が報道される中、GX移行債が当初想定していたようなパフォーマンスを実現し続けられる見通しを持っていると考えているのか、示されたい。
    脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和五年法律第三十二号)第三条において、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、エネルギーの需給等に関する施策等との整合性等を踏まえつつ行われなければならないと規定されているところ、御指摘の「投資計画」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「GX経済移行債」を活用した支援策(以下「支援策」という。)についても、政府として、御指摘の「将来のエネルギーミックス」を含め、エネルギーの需給等に関する施策等との整合性を踏まえたものとしていく考えである。お尋ねの「当初想定していたようなパフォーマンスを実現し続けられる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、支援策が我が国における当該移行に継続的に資するものとなるよう、支援策の対象となる個々の事業の段階、当該事業に伴うリスク、当該事業に関連する市場や製品の性質、支援策の対象となる企業における資金調達の手法等に応じ、補助、出資、債務保証などを適切に組み合わせて支援策を講ずるとともに、支援策の効果の測定や評価を踏まえ、その使途の見直しを柔軟に実施していく考えである。

洋上風力発電に関する質問主意書(2023年11月24日)

質問

回答

政府は、洋上風力発電を「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札」と位置づけ、第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度までに約五百七十万キロワットの導入を目指すとされている。

「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(以下「再エネ海域利用法」という。)に基づく海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域に指定された秋田県沖では、国内初となる大規模な洋上風力発電所が整備され、すでに三十三基の大型風車が稼働している。二〇三〇年までに、さらに百基以上の設置が予定されているという。

今後、東北の日本海沿岸をはじめとして、日本各地で洋上風力発電事業が展開されていく見込みであるが、沿岸部に風車群が立ち並ぶこのような計画について、漁業関係者からは、海洋生物への影響を危惧する声が上がっている。さらに地域住民からも景観への影響、騒音や低周波音による健康被害に対して懸念が示されている。

Global Wind Energy Councilが発表した令和四年の風力発電設備の市場シェアは、そのほとんどを外国企業が占めている。特に、世界市場の半分以上を中国企業が占有しており、そのシェアは急速に拡大している。これに対し、平成三十一年以降、日立製作所や三菱重工などの日本企業は、非採算部門となった風車製造事業から撤退している。このような状況は、日本の重要なエネルギー・インフラが海外依存となることを意味し、これにより、国内資本の流出が起こるだけではなく、海洋資源に関連する海域情報が海外に流出するリスクも伴っている。

また、洋上風力発電の事業者選定を巡っては、令和四年二月十七日の第二百八回国会衆議院予算委員会で、収賄容疑で逮捕された秋本真利衆議院議員が国会質問を通じて評価基準の見直しを主張し、これを受けて、公募入札手続の延期及び評価基準の見直しが行われた。公募が開始され、事業者側が準備を進めている中での基準変更は、恣意的に行われた可能性があり、特定の企業に有利に働きかけるような変更であったのではないかという疑念が提起されているところである。

神谷宗幣(参政党)
大型風車の設置が、レーダー電波の遮蔽や多重散乱による偽のエコーの発生、強い反射波の受信等を引き起こし、我が国の船舶の安全航行や安全保障システムに影響を及ぼす可能性がある。令和四年五月二十六日の第二百八回国会衆議院予算委員会において、萩生田経済産業大臣は「レーダーに干渉するからやめてくれと言われると、その情報を相手に与えてしまうことにもなると思いますので、ここは、今回、自民党の提言も踏まえまして、より実効性のある仕組みの構築に向けて、防衛省など関係省庁と緊密に連携しながら、政府全体での議論にしっかりと貢献してまいりたいと思います」と答弁している。その後、具体的にどのような仕組みを構築したのか、具体的に示されたい。

政府
お尋ねについては、従来から、例えば、防衛省のウェブサイト等を通じて、風力発電事業がレーダーに与える影響等について積極的な情報発信を行うとともに、当該事業を行おうとする事業者に対して当該事業に係る計画策定の初期段階において同省に相談をするよう依頼し、当該影響等についての確認を行っているところであるが、「国家安全保障戦略」(令和四年十二月十六日閣議決定)において「民間施設等によって自衛隊の施設や活動に否定的な影響が及ばないようにするための措置をとる」とし、また、「国家防衛戦略」(令和四年十二月十六日閣議決定)において「防衛関連施設の機能を十全に発揮できるよう、風力発電施設の設置等の社会経済活動との調和を図る効果的な仕組みを確立する」としたことを踏まえ、引き続き必要な検討を進めていく考えである

神谷宗幣(参政党)
平成三十一年以降、日立製作所や三菱重工などの日本企業は非採算部門となった風車製造事業から撤退している。日本国内において風力発電事業を推進する場合、経済安全保障や国内産業振興の観点から、日本企業に必要な助成を行うなど、国産の風力発電機の採用を積極的に推奨する等対策を講じるべきであると考える。政府として、そのような認識を持っているのか示されたい。

政府
我が国における洋上風力発電の促進については、「洋上風力産業ビジョン(第一次)」(令和二年十二月十五日洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会策定)において「国内にサプライチェーンを新たに形成するためには、まずは国内外からの投資の呼び込みが必要である。産業界からは、投資判断のためには、市場規模の見通しが必要との意見があった。そのため、政府として導入目標を明示するとともに、「絵に描いた餅」とならないよう、その実現に向けた取組を進める」とし、また、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(令和五年七月二十八日閣議決定)において「風車や関連部品、浮体基礎など洋上風力関連産業における大規模かつ強靱なサプライチェーン形成を進める」としており、こうした考え方を踏まえ、必要な取組を進めてきており、経済産業省の令和六年度概算要求において、浮体式洋上風力発電に係る設備投資の支援を含むGXサプライチェーン構築支援事業に要する経費を計上したところである。

神谷宗幣(参政党)
再エネ海域利用法には、事業者側に対する被害補償が定められているが、住民の被害補償に関する法的根拠は同法に含まれていないのはなぜか。施設周辺住民の具体的な被害について、想定していないのか。住民を含む被害補償については、どのような法的担保がなされているのか、示されたい。

政府
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成三十年法律第八十九号。以下「再エネ海域利用法」という。)第二十三条第二項においては、非常災害が発生し、船舶の交通に支障が生じている場合において、緊急輸送の用に供する船舶の交通を確保するためやむを得ない必要があるときに、国土交通大臣が、促進区域内海域(再エネ海域利用法第十条第一項に規定する促進区域内海域をいう。以下同じ。)において海洋再生可能エネルギー発電設備又は船舶、船舶用品その他の物件を使用し、収用し、又は処分した場合に生じた損失について、損失を受けた者に対する補償を行うこととされているものの、再エネ海域利用法において、御指摘の「被害補償」についての規定は存在しないところ、海洋再生可能エネルギー発電事業により、御指摘の「施設周辺住民」に具体的な損害が発生した場合には、個別の状況に応じて民法(明治二十九年法律第八十九号)等に基づき適切な対応がなされるものと認識している。なお、海洋再生可能エネルギー発電事業に係る公共の安全又は環境の保全の確保の観点から、例えば、再エネ海域利用法第十五条第三項の規定に基づき選定された選定事業者(以下「選定事業者」という。)については、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)において、選定事業者が設置する洋上風力発電設備などの事業用電気工作物(同法第三十八条第二項に規定する事業用電気工作物をいう。以下同じ。)が、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること等の観点から、経済産業大臣が定めた技術基準に適合するように当該事業用電気工作物を維持することが求められており、また、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)及び電気事業法において、当該事業の実施が環境に及ぼす影響について調査、予測及び評価を行うとともに、当該事業に係る環境保全措置を検討し、その過程において、環境への負荷をできる限り回避し、又は低減すること等に努めなければならないとされている。

神谷宗幣(参政党)
洋上風力発電事業において、強風や落雷など自然災害を原因とする事故リスクに対する危機管理方法について明らかにされたい。また、洋上風力発電事業の終了もしくは中断に伴う発電設備の撤去につき、新たな産業廃棄物の発生を防ぎつつ適切な処分を行う方策について、事業者は明示すべきであると考えるが、政府の認識を示されたい。

政府
お尋ねの「強風や落雷など自然災害を原因とする事故リスクに対する危機管理方法」については、海洋再生可能エネルギー発電事業を行う事業者に対しては、洋上風力発電設備などの事業用電気工作物について、電気事業法第三十九条の規定に基づき、強風や落雷など自然災害によるものを含め、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること等の観点から経済産業大臣が定めた技術基準に適合するように維持すること、同法第四十二条の規定に基づき、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、災害その他非常の場合に採るべき措置に関する事項を含む保安規程を定め、国に対して届け出た上でこれを守ること等が義務付けられている。また、御指摘の「事業者は明示すべきである」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「新たな産業廃棄物の発生を防ぎつつ適切な処分を行う」ことを含め、御指摘の「洋上風力発電事業の終了もしくは中断に伴う発電設備の撤去」については、再エネ海域利用法第十三条第一項の規定に基づき経済産業大臣及び国土交通大臣が定めることとされている公募の実施及び海洋再生可能エネルギー発電設備の整備のための促進区域内海域の占用に関する指針において、促進区域内海域の占用の期間が満了した場合その他の事由により促進区域内海域の占用をしないこととなった場合における当該海洋再生可能エネルギー発電設備の撤去に関する事項を定めることとされており、例えば、「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域公募占用指針」(令和二年十一月二十七日経済産業大臣及び国土交通大臣公示)において、「選定事業者は促進区域内海域の占用をしないこととなった場合、海洋再生可能エネルギー発電設備の撤去を行う義務を負う」ものとして、「撤去に当たっては、占用許可期間の終了後又は公募占用計画の提出者が経営破綻した場合に備え・・・撤去費用の確保等に関する方法を公募占用計画に示すこと」と規定しているところである。

神谷宗幣(参政党)
山形県遊佐町沖の洋上風力発電事業の想定海域は、遊佐沖想定海域で西浜海水浴場以南から酒田市境までの沖合五キロメートル、酒田沖想定海域で遊佐町境から鶴岡市境までの沖合四から五キロメートル(港湾区域、空港制限区域を除く)である。当該海域には、最大高さ二百七十メートル、ローター直径約二百四十メートルという世界最大規模の風車が数十機、建設される予定である。これらについては、洋上風力発電が先行する英国等欧州各国が認めている離岸距離である十二海里(約二十二・二キロメートル)以上と比較して極端に短い離岸距離である。こうした計画設定で、予想され得る周辺地域への健康被害や景観への影響、落雷事故による二次被害などのリスクを、欧州等で確保される離岸距離相当に回避できる根拠を示されたい。

政府
御指摘の「予想され得る周辺地域への健康被害や景観への影響、落雷事故による二次被害などのリスクを、欧州等で確保される離岸距離相当に回避できる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、経済産業大臣及び国土交通大臣が、再エネ海域利用法第八条第一項に規定する海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域(以下「促進区域」という。)を指定する際には、促進区域の範囲が御指摘の「離岸距離」によって必ずしも制限されるものではないが、御指摘の「山形県遊佐町沖の洋上風力発電事業の想定海域」を含め、促進区域において実施される海洋再生可能エネルギー発電事業による周辺住民及び環境への影響については、御指摘の「離岸距離」のみではなく、当該事業を行う選定事業者の具体的な事業計画の内容を踏まえて、当該選定事業者において、その評価及び対策が検討されるべきものと考えている。なお、当該選定事業者に対しては、例えば、電気事業法に基づき、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること等の観点から経済産業大臣が定めた技術基準に適合するように設備を維持すること、環境影響評価法及び電気事業法に基づき、当該事業の実施が環境に及ぼす影響について調査、予測及び評価を行うとともに、当該事業に係る環境保全措置を検討し、その過程において、環境への負荷をできる限り回避し、又は低減すること等に努めることが求められている。

神谷宗幣(参政党)
洋上風力発電のような大規模な工作物の新設に際しては、環境影響評価法に基づき当該事業の環境に対する影響を適切に評価することが定められている。同法の第二章には方法書の作成前の手続として計画段階配慮が定められており、第三条の三には計画段階環境配慮書を作成することが義務付けられている。しかしながら、前項の山形県遊佐町沖の洋上風力発電事業の計画では、具体的計画の複数案どころか単一案も提示されず、またフォトモンタージュ写真も開示されなかった。これでは十分に説明を尽くしたといえるものではなく、住民説明会、法定協議会、研究検討会議などが開催されたことを以て、「住民同意を得た」と結論づけることは不適切なのではないか。

政府
御指摘の「前項の山形県遊佐町沖の洋上風力発電事業の計画」及び「「住民同意を得た」と結論づけること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、再エネ海域利用法第八条第一項の規定に基づき、経済産業大臣及び国土交通大臣が行った山形県遊佐町沖の促進区域の指定については、再エネ海域利用法第九条第一項の規定に基づき経済産業大臣、国土交通大臣及び山形県知事により組織された協議会が令和五年三月二十九日に作成した「山形県遊佐町沖における協議会意見とりまとめ」において山形県遊佐町沖の区域を「着床式洋上風力発電に係る促進区域として指定することに異存はない」とされたことを踏まえたものである。その上で、再エネ海域利用法第八条第四項の規定に基づき利害関係者から経済産業大臣及び国土交通大臣に提出された山形県遊佐町沖の促進区域の指定の案に対する意見書への回答において示したように、「法律に特別の定めがない場合において、地域の中でどのように意見集約や意思決定を行うのかは、地方自治の観点から、その地方公共団体の運営に委ねられるものと考えられ」るため、「協議会や促進区域指定に係る一連の対応も同様に、国としては、協議会構成員である都道府県知事及び市町村長の意思決定に係る判断が尊重されるべきものと」考えているところ、同協議会については、その構成員に再エネ海域利用法第九条第二項第一号に規定する関係都道府県知事及び同項第二号に規定する関係市町村長が含まれること並びに当該回答で言及したとおり山形県が「地域住民の皆様からも御意見をいただくために、遊佐町と一緒になって平成三十年度以降、町内六地区で開催している住民説明会や区長会研修会等で二十九回にわたり説明や意見交換」を実施したと承知していることから、政府として、同協議会とのやりとり等を通じて、当該促進区域の指定に当たって、丁寧に住民の意見の聴取を進めたものと考えている。

神谷宗幣(参政党)
洋上風力発電の事業者決定を巡り、令和四年三月十八日、秋田県八峰町・能代市沖の入札第二ラウンドの延期及び落札審査基準の見直し等が行われたが、その変更点について、これを事実上誘導した国会質問を行った秋本真利衆院議員は、別途事業者から数千万円を受け取ったことについて収賄容疑で逮捕された。この経過を見るなら、入札第二ラウンドの延期及び落札審査基準の見直しは不適切であったのではないか。また、同年二月十七日の第二百八回国会衆議院予算委員会における秋本真利衆議院議員の国会質問を受けて、当時の萩生田経済産業大臣は、公示後に審査基準を見直すことについて消極的とも捉えられる答弁をしたにも関わらず、なぜ、第二ラウンドを延期してまで、審査基準等の見直しを図ることになったのかについて、理由を示されたい。

政府
再エネ海域利用法の制度の運用については、政府において、その達成状況等を踏まえて不断の見直しを行いながら進めているが、今般のロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、エネルギー安全保障の観点から、重要な脱炭素の国産エネルギー源である再生可能エネルギーの導入を更に加速することが急務となったことから、再エネ海域利用法第十四条第二項第九号に規定する供給価格だけでなく、同項第三号に規定する海洋再生可能エネルギー発電事業の実施時期に係る当該事業の開始の早さの点においても、選定事業者となろうとする者の間の競争を促す仕組みとすべく、再エネ海域利用法第十三条第二項第十五号に規定する評価の基準等についての詳細を定めた「一般海域における占用公募制度の運用指針」(令和元年六月経済産業省資源エネルギー庁及び国土交通省港湾局策定。以下「運用指針」という。)を改訂するための議論を開始することとしたものである。また、令和三年十二月十日に公募を開始した秋田県八峰町及び能代市沖においては、その運用指針の改訂を踏まえた公募とすべく、その締切りを延長し、令和四年夏以降に新たに指定する促進区域と併せて公募を実施することとしたものであるが、運用指針については、外部有識者を含む、経済産業省及び国土交通省の審議会で議論を行い、パブリックコメントを経た上で令和四年十月に改訂したものであり、「不適切であったのではないか」との御指摘は当たらない。

自然公園法と太陽光発電設備に関する質問主意書(2023年3月27日)

質問

回答

我が国の自然の風景地を保護し、その利用の増進を図ることにより国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与するため、自然公園法が昭和三十二年十月一日から施行されている。同法が規定する自然公園のうち、国立公園及び国定公園は環境大臣が指定する。

釧路湿原は、東西二十五キロメートル、南北三十六キロメートル、面積二万二千七十ヘクタールの日本最大の湿原である。昭和五十五年十月に我が国最初のラムサール条約湿地として登録(登録面積七千八百六十三ヘクタール)され、昭和六十二年に国立公園に指定されている。国指定特別天然記念物タンチョウや氷河期の遺存種であるキタサンショウウオなど、数多くの貴重な動植物の生息地であり、天然記念物、国設鳥獣保護区、国立公園特別保護地域として、厳重に保護されなければならない。

ところが、近年釧路市内の釧路湿原国立公園内や周辺の市街化調整区域周辺で太陽光発電施設の建設ラッシュが続いており、これらの建設が無秩序に進むことで自然環境や社会活動等、多方面に重大な影響が及ぶことが懸念される状況にある。

絶滅危惧種であるキタサンショウウオの生息地は、釧路市内の広範囲に及んでいるが、釧路市内における太陽光発電所の大半は、環境影響評価法及び北海道環境影響評価条例における対象事業となっておらず、工事や設置による影響が調査もされず懸念されるものとなっている。

市街化調整区域は、「市街地の拡大を抑制し自然環境に配慮した形で土地利用を図る」とされる場所であり、大半の地目が原野である。基本的には開発が規制されているはずだが、太陽光発電設備は「建築物」とはみなされないため、出力四万キロワット以上の巨大メガソーラー以外は、環境アセスメント(環境影響評価)の対象になっていない。このため、アセス図書の縦覧や住民説明会等により事前に国民が計画について知ることなく、大規模な土地の改変が計画実施されている。

釧路湿原国立公園内には、平成二十九年四月に運転を開始した釧路町トリトウシ原野太陽光発電所がある。同発電所の道の向かい側にあるすずらん釧路町太陽光発電所には、二百十万四千平方メートルの広大な敷地に三十万二千五百枚もの太陽光パネルが敷き詰められている。

さらに、釧路市内の釧路湿原国立公園周辺では、約四百万平方メートルの巨大なメガソーラーの建設計画が水面下で進められていることが報道されている。北海道新聞によれば、資源エネルギー庁が公表している昨年十二月末時点の釧路市内の出力千キロワット超の太陽光発電所二十七施設の所在地と、釧路市立博物館の調査で特定されたキタサンショウウオの生息適地を照合したところ、十二施設が生息適地内に建設されている。

太陽光発電所の建設ラッシュは、種の保存法による国内希少野生動植物種や希少鳥類及び希少生物の生息環境を悪化させ、その悪化・消失が懸念される。釧路湿原国立公園や釧路市周辺の市街化調整区域では、タンチョウやチュウヒ、オジロワシ、シマクイナ、オオジシギ、キタサンショウウオ等の絶滅危惧種に深刻な悪影響を与えている可能性が危惧される。

神谷宗幣(参政党)
自然保護法の背景には、我が国の自然の風景地を保護し、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することがあるが、この趣旨に反する具体的な事例として、政府はどのようなものがあることを想定しているか。

政府
御指摘の「自然保護法」とは、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)を指すものと考えられるが、例えば、同法第二十条第一項に規定する特別地域における太陽光発電施設の新築については、同条第四項の規定に基づいて定められた自然公園法施行規則(昭和三十二年厚生省令第四十一号)第十一条第十二項において、支障木の伐採が僅少であること等の基準を定めており、これに適合しない太陽光発電施設の新築は、同法の「趣旨に反する」ものであると考えている。

神谷宗幣(参政党)
釧路市や釧路町の市街化調整区域は、平成三年に釧路市総合計画において「都市的土地利用の北限を水際線より六キロメートル程度」と規定し、都市計画法に基づく市街化調整区域として開発が抑制されてきた。令和四年に制定された「第二次釧路市都市計画マスタープラン」では、釧路湿原国立公園と同じ「自然環境の維持保全に努めるエリア」と規定されている。しかしながら、太陽光発電所の無秩序な建設により、森林や草原、湿原などへの大規模開発が行われると、希少な動植物だけではなく、釧路湿原及びその周辺の生態系全体に悪影響を及ぼす可能性がある。政府としては自然公園の生態系を護るために具体的にどのような対策を検討しているか。

政府
御指摘の「釧路湿原国立公園」を含め、我が国の自然公園内における太陽光発電施設の設置については、当該設置が行われる地域の周辺地域の景観や動植物に対する影響に係る配慮及び当該周辺地域における自然環境との調和が図られるよう、これまで、令和四年三月に「国立・国定公園内における太陽光発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」(令和四年三月環境省策定)を取りまとめて自然公園法第二十条第三項の規定による許可及び同法第二十一条第三項の規定による許可に係る基準の運用方針の明確化等を行うなどしてきたところであり、引き続きこれらの取組を進めるとともに、更なる対応については、今後、必要に応じて検討していく考えである。

神谷宗幣(参政党)
太陽光発電設備は「建築物」とはみなされないため、環境アセスメント(環境影響評価)の対象になっているのは、出力四万キロワット以上の巨大メガソーラーに限られている。このため、アセス図書の縦覧や住民説明会等により事前に国民が計画について知ることなく、大規模な土地の改変が計画実施されている。現行の環境アセスメント(環境影響評価)の基準を変え、その対象を少なくとも千キロワット以上の太陽光発電所にすることで、国民が計画について知り、周辺に住む住民の意見が反映されることとなることにより、我が国の宝である自然公園やそこに生息する希少種が保護されていくことにつながると考えるが、政府の認識を示されたい。

政府
太陽光発電施設の設置については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項第一号ホに規定する環境影響評価を実施すべき「事業用電気工作物であって発電用のものの設置又は変更の工事の事業」として、環境影響評価法施行令(平成九年政令第三百四十六号)別表第一の五の項のルの第二欄において「出力が四万キロワット以上である太陽電池発電所の設置の工事の事業」に該当することとの要件(以下「規模要件」という。)を定めているが、これについては、中央環境審議会が平成三十一年四月に答申した「太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について(答申)」において示された「法は第一条で、「規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業」について環境影響評価を行うものと定めている。規模要件の水準については、これを踏まえて設定する必要がある」、「太陽光発電事業において、特に環境影響が大きいのは土地の面的な改変による影響であるが、法における土地区画整理事業などの面整備事業の規模要件をみると、施行区域の面積が百ヘクタール以上を第一種事業、また、その七十五パーセントに相当する七十五ヘクタール以上を第二種事業とすることを基本としている」といった考え方等を踏まえて設定したものであり、また、制度が適切に運用されてきたと認識している。このため、現時点において、御指摘のように規模要件を「少なくとも千キロワット以上」に変更する必要はないと考えているが、今後、制度の運用状況等を注視してまいりたい。

    太陽光発電設備は「建築物」とはみなされないため、環境アセスメント(環境影響評価)の対象になっているのは、出力四万キロワット以上の巨大メガソーラーに限られている。このため、アセス図書の縦覧や住民説明会等により事前に国民が計画について知ることなく、大規模な土地の改変が計画実施されている。現行の環境アセスメント(環境影響評価)の基準を変え、その対象を少なくとも千キロワット以上の太陽光発電所にすることで、国民が計画について知り、周辺に住む住民の意見が反映されることとなることにより、我が国の宝である自然公園やそこに生息する希少種が保護されていくことにつながると考えるが、政府の認識を示されたい。
    太陽光発電施設の設置については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項第一号ホに規定する環境影響評価を実施すべき「事業用電気工作物であって発電用のものの設置又は変更の工事事業」として、環境影響評価法施行令(平成九年政令第三百四十六号)別表第一の五の項のルの第二欄おいて「出力が四万キロワット以上である太陽電池発電所の設置の工事の事業」に該当することとの要件(以下「規模要件」という。)を定めているが、これについては、中央環境審議会が平成三十一年四月に答申した「太陽光発電事業に係る環境影響評価の在り方について(答申)」において示された「法は第一条で、「規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業」について環境影響評価を行うものと定めている。規模要件の水準については、これを踏まえて設定する必要がある」、「太陽光発電事業において、特に環境影響が大きいのは土地の面的な改変による影響であるが、法における土地区画整理事業などの面整備事業の規模要件をみると、施行区域の面積が百へタール以上を第一種事業、また、その七十五パーセントに相当する七十五ヘクタール以上を第二種事業とすることを基本としている」といった考え方等を踏まえて設定したものであり、また、制度が適切に運用されてきたと認識している。このため、現時点において、御指摘のように規模要件を「少なくとも千キロワット以上」に変更する必要はないと考えているが、今後、制度の運用状況等を注視してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
再生可能エネルギーを進めることで自然環境を破壊してしまうことは本末転倒であり、太陽光発電施設の開発が無秩序に進められることを抑制するためにも、法的拘束力を伴う立法措置が必要である。それは、①違反者への公表措置等の罰則による計画外開発の抑制効果、②計画見直し時期を明文化することで常に状況に見合った区域設定が期待されること、③固定価格買取制度・フィードインプレミアム認定要件の一つに法律順守があること、の三点に鑑みても有効である。自然環境の保全と再生可能エネルギーの推進を両立させるために、ガイドラインから法的拘束力を持つ具体的方策への移行を検討すべきであると考えるが、政府の認識を示されたい。

政府
御指摘の「ガイドライン」とは、「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」(令和二年三月環境省策定)を指すものと考えられるが、これは、環境影響評価法や地方公共団体が定める環境影響評価条例による環境影響評価手続が義務付けられていない規模の太陽光発電施設の設置に際して、当該設置の実施主体等による自主的な環境配慮の取組を促すものであるところ、当該設置に係る「法的拘束力を持つ具体的方策」については、四についてで述べたとおり、同法における規模要件を現時点では変更する必要はないと考えているが、三についてで述べたとおり、令和五年二月に第二百十一回国会に提出した改正法案において、認定に当たって発電設備を設置する場所の周辺地域の住民に対して再生可能エネルギー発電事業の実施に関する内容の事前周知が実施されたこと等をその要件とすることを盛り込んだところである。

再生可能エネルギー事業に伴う森林開発に関する質問主意書(2023年10月20日)

質問

回答

現在、山間地などを含め我が国の至る所で太陽光発電パネルや発電用風車が見られる。平成二十五年度から令和四年度の間に再生可能エネルギー事業のために林地開発許可処分がされた面積は、一万七千百七十八ヘクタール(東京ドームおよそ三千七百三十四個分)に及ぶ。

水源涵養機能の維持や、土砂災害防止のために指定されている保安林についても、再生可能エネルギー事業のために指定解除ができるようになり、すでに九十八ヘクタールが指定解除された。このために森林部の開発が急加速し、貴重な森林面積が減少している。

日本は森林が国土の三分の二を覆い、世界でも土地に占める森林率が相当に高い国である。多雨で山が多く、急峻な地形を持つ日本において、豊かな生態系の中で数百年の期間をかけて作られた森林、とりわけ林齢の高い天然林となっている奥山の働きは、生態系・生物多様性保全の観点から極めて重要である。あわせて、森林は、樹木の根が抱え込む土壌や堆積した落ち葉等が表土の浸食を抑えることで土砂流出を防ぎ、雨水を蓄える保水機能を持つおかげで、河川流水が適度に調整され、水不足も洪水をも防いでいる。同時に蓄えられる水は、農業はもちろんあらゆる産業を支えており、私たちの暮らしに欠かせない極めて重要な資源である。逆に考えるなら、森林減少は保水機能の減退につながり、水不足や水害の被害を広げることになりかねない。

令和二年十月、当時の菅首相は、所信表明演説で、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言した。これにより政府は、地球温暖化対策の一層の推進を掲げ、太陽光発電施設及び大規模風力発電施設の建設を飛躍的に推進するため、内閣府に、「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」を設置し、再エネ推進に障害となるあらゆる規制の緩和の検討と早期の規制緩和に向けて動き出した。しかし、結果として前述のような森林減少による弊害を引き起こしつつあり、また酸素供給元をも減らすことから、一面的な数値目標の追求で新たな矛盾に陥っているものと言わざるを得ない。

現在、政府の旗振りで進められるようになった奥地脊梁山地の開発は、水源、生態系への影響が大きい。奥地林は保安林や緑の回廊に指定されているにも関わらず、再生可能エネルギー事業が展開される計画が策定されている。

このような状況について、地元住民や地方自治体から、疑問の声が上がっている。岩手県知事が、「「(仮称)薮川地区風力発電事業」計画段階環境配慮書に対する岩手県知事意見」(令和四年十一月二日)の中で、「保安林は、指定の趣旨から森林以外への転用は抑制すべきものであることから、検討に当たっては保安林を除外すること」を求めているのは、その代表的な例である。

神谷宗幣(参政党)
再生可能エネルギー事業のために二酸化炭素の吸収源である森林を伐採することは、まったくの矛盾となる。森林保全と再生可能エネルギー開発の関係について、数値的な「貢献度」の目標を含め、どのような戦略課題を展望しているのか。太陽光パネル設置や風力発電によって減らされる森林について、どのような形で補うのか。

政府
お尋ねの「数値的な「貢献度」の目標」及び「どのような戦略課題を展望しているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「二○五○年カーボンニュートラル」の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大を促進するとともに、これと二酸化炭素の吸収等の地球環境保全機能を始めとする森林の有する公益的機能の維持との調和を図ることについては、「森林・林業基本計画」(令和三年六月十五日閣議決定)に基づき、同機能の発揮と地域の合意形成に十分留意しつつ、林地の適正な利用を促進しているところであり、また、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第九条第四項に規定する再生可能エネルギー発電事業計画の認定に当たっては、当該認定の申請に係る発電事業者が森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)等の関係法令を遵守することを確認しており、当該関係法令を遵守していない等の場合には、認定を取り消す等の対応を講ずることとしているところである。

神谷宗幣(参政党)
再生可能エネルギー事業において、保安林の指定解除が可能とされているが、保安林指定がめざす事業目的をどう担保するのか。その災害対策上の役割を何によって代替しようと考えているのか。保安林転用についての許容範囲について、どのように考えているのか。

政府
お尋ねの「太陽光パネル設置や風力発電によって減らされる森林について、どのような形で補うのか」及び「保安林転用」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、保安林の指定を解除する場合においては、「森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係事務に係る処理基準について」(平成十二年四月二十七日付け一二林野治第七九○号農林水産事務次官通知)により、その対象範囲を必要最小限度の面積とすること、森林の公益的機能を確保し、当該保安林の指定の目的の達成に支障を生じさせないために、指定を解除する面積以上の代替保安林が原則として確保されること、えん提や排水施設等の代替施設が設置されること等を要件としているところであり、このことは、御指摘の「再生可能エネルギー事業において、保安林の指定解除」を行う場合も同様である。

神谷宗幣(参政党)
岩手県知事の「保安林は、指定の趣旨から森林以外への転用は抑制すべきものであることから、検討に当たっては保安林を除外すること」との意見について、政府はどう受け止めているのか。どう回答したのか、具体的に示されたい。

政府
御指摘の「岩手県知事」の「意見」については、発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並びに当該計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価の手法に関する指針、環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針並びに環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令(平成十年通商産業省令第五十四号)第十四条第三項の規定に基づき、岩手県知事から株式会社グリーンパワーインベストメントに対して述べられたものであると承知しており、政府として、これに対する評価や御指摘の「回答」は行っていないが、いずれにせよ、一の前段についてで述べたとおり、引き続き、再生可能エネルギーの導入の拡大と森林の有する公益的機能の維持との調和が図られるように必要な取組を進めてまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
風力発電事業においては、森林の尾根である奥山が開発対象となる事例がある。奥山の持つ環境保全上の重要性に鑑み、緑の回廊の区域内など特に保全が必要とされる区域においては、積極的に開発対象から除外すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねについては、例えば、再生可能エネルギー事業の事業者が再生可能エネルギー発電設備の設置箇所として国有林野のうちお尋ねの「緑の回廊」内のものを選定する場合において、当該事業者へ国有林野の貸付けを通常の貸付けよりも慎重に行う必要があると考えており、「緑の回廊の区域内への再生可能エネルギー施設の設置等に係る手続について」(令和三年三月三十一日付け二林国経第一八三号林野庁経営企画課長通知)により、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に基づく環境影響評価手続の結果等に基づき、林野庁において、当該「緑の回廊」の機能の維持保全等に支障がないよう適切な環境配慮のための措置が講じられることを確認した場合に限り、当該貸付けを行うこととしているところである。

神谷宗幣(参政党)
保安林指定解除を行わず、保安林作業許可で再生可能エネルギー事業のための大規模な道路開設や風況調査のための設備設置等が実施される事例があることについて、政府は、把握しているのか。把握している場合には、場所、面積について具体的に回答されたい。また、保安林指定解除を行わず、保安林作業許可で再生可能エネルギー事業が実施されることは、保安林指定の趣旨から妥当と考えているのか。

政府
御指摘の「大規模な道路開設や風況調査のための設備設置等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、御指摘のような「事例」については把握していない。また、森林法第三十四条第二項の規定及び「森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係事務に係る処理基準について」等により、当該保安林の指定の目的の達成に支障のない、小規模又は一時的なもの等である場合において、保安林の指定の解除を行わず、保安林において土地の形質の変更を行うことを都道府県知事が許可をすることができるとされているところであり、お尋ねの「保安林作業許可で再生可能エネルギー事業が実施される」ことについては、当該保安林の指定の目的の達成に支障のない、小規模又は一時的なもの等である場合に限られるものであることから、お尋ねの「保安林指定の趣旨」に反するものではないと考えている。

神谷宗幣(参政党)
政府は、再生可能エネルギー事業のために国有林野の貸付けを行っているが、今後も同様の貸付けを行う数値的な計画を有しているのか。また、貸付けを実施する国有林野の選定は、いかなる基準、目安で行っているのか、具体的に説明されたい。

政府
お尋ねの「数値的な計画」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、再生可能エネルギー発電事業に係る国有林野の貸付けの面積、件数等に関する具体的な計画は有していない。また、当該貸付けについては、国有林野の管理経営に関する法律(昭和二十六年法律第二百四十六号)第三条及び第七条第一項の規定に基づき、公用、公共用又は公益事業の用に供するとき等であって、対象地が所在する市町村長の同意が得られていること等により国有林野の用途又は目的を妨げない限度であることを確認した上で、行っているところである。

メガソーラー事業によって引き起こされる森林の乱開発・土石流を防ぐための方策に関する質問主意書(2022年12月7日)

質問

回答

令和三年七月三日に発生した熱海土石流災害は、死者二十七人、行方不明者一人の犠牲者を出した。その要因は、現土地所有者と旧土地所有者が造成した巨大な盛り土が長雨により崩落したことにあると言われている。

国土交通省は、都道府県に対し、土石流発生のおそれがある「土石流危険渓流」では、規制範囲をダム付近に限定しないよう通達で繰り返し求めていた。それにもかかわらず、平成十一年に国と静岡県は、盛り土の崩落現場付近である逢初川上流域において、砂防ダムが設置されたことに伴う砂防指定地を、ダム付近に限定していた。このことにより、周辺域で盛り土が拡大し続け、それが土石流を発生させる大きな要因となった。

一旦土石流が発生すればその被害は甚大かつ不可逆的となることから、我が国の国土、国民の生活と命を守るために、砂防指定に係る権限が国に帰属している。この度の災害では、県の申請を容認した国の対応の矛盾が浮き彫りとなっており、二度と同様のことを繰り返さないよう対策を徹底すべきである。

一方、現土地所有者は、当該盛り土周辺の広大な土地を太陽光発電のための用地として買収したといわれる。その一部の土地に太陽光発電設備が設置され、その周辺の森林は違法伐採されていたことが分かっている。

我が国は、国土の約七割を森林が占め、残りの三割の平野も余剰となる平地はほとんど存在しない。大規模太陽光発電事業に適した平地の土地が不十分であることは、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)導入以前から分かりきっていたことであり、メガソーラー事業を推進すれば、森林に手を付けるほかなく、その乱開発が誘発される危険が生じることは明らかであった。

神谷宗幣(参政党)
政府は、メガソーラー事業を推奨するに当たり、森林の乱開発を防ぐため、また、土石流が発生する危険を防止するために、具体的にどのような施策をしてきたか、明らかにされたい。また、熱海土石流災害を踏まえ、今後、どのような対策が必要と考えているか、明らかにされたい。

政府
お尋ねの「メガソーラー事業を推奨するに当たり、森林の乱開発を防ぐため、また、土石流が発生する危険を防止するために、具体的にどのような施策をしてきたか」については、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第九条第四項の再生可能エネルギー発電事業計画の認定に当たって、当該認定の申請に係る発電事業者において森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)、宅地造成等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)、砂防法(明治三十年法律第二十九号)等の関係法令を遵守することを確認しているところであり、また、発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(令和三年経済産業省令第二十九号)第五条において、発電用太陽電池設備の設置者は、「支持物を土地に自立して施設する場合には、施設による土砂流出又は地盤の崩壊を防止する措置を講じなければならない」こととしているところである。お尋ねの「今後、どのような対策が必要と考えているか」については、令和四年十月に公表された、経済産業省、農林水産省、国土交通省及び環境省が同年四月から十月までに開催した「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」の提言を踏まえ、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う地域における安全確保への懸念を解消するため、必要な措置を検討してまいりたいと考えている。

神谷宗幣(参政党)
都道府県の申請の有無にかかわらず、全国には砂防指定地とすべき土石流発生の危険地域が存在する。特に、大規模太陽光発電事業が予定されている場所において顕著である。このような砂防指定地とすべきと考えられる地域の情報について、明らかにされたい。

政府
お尋ねの「このような砂防指定地とすべきと考えられる地域」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、国土交通大臣による砂防指定地(砂防法第二条の規定により指定された土地をいう。以下同じ。)の指定に当たっては、都道府県知事が、砂防指定地として指定すべきと考えられる土地の区域に係る情報を把握した上で、「砂防指定地指定要綱について」(平成元年九月十二日付け建設省河砂発第五十八号建設省河川局長通達)に基づき当該区域の指定について同大臣に進達し、同大臣は、これを踏まえ、砂防設備の設置又は一定の行為の禁止若しくは制限を行うことが必要な土地の区域を同条の規定に基づき指定しているところである。

神谷宗幣(参政党)
砂防指定の重要性を考えれば、都道府県の申請にかかわらず、国として、砂防指定地とすべき地域の有無を調査し、その旨都道府県と協議した上で速やかに砂防指定地を指定できるようにすべきと考えるが、政府の見解如何。

政府
砂防指定地の指定の手続については二についてで述べたとおりであるところ、御指摘の点については、現状、都道府県知事が、砂防指定地の指定に際し勘案すべき土地の地形、地質等や他法令等に基づく土地利用に係る規制の状況といった地域の実情に精通していることから、都道府県知事に対し国土交通大臣に進達することを求めているものであり、引き続き、当該進達を踏まえ、同大臣において砂防設備の設置又は一定の行為の禁止若しくは制限を行うことが必要な土地の区域を指定してまいりたいと考えている。

咲洲メガソーラーなどエネルギー供給基盤事業への中国企業参入に関する質問主意書(2022年8月5日)

質問

回答

中国の国営企業である上海電力日本株式会社(以下「上海電力」という。)が、日本国内において次々と太陽光発電によるエネルギー供給事業の展開を進めている。この契機となった「咲洲メガソーラー」に関しては、大阪市が実施した入札に上海電力は応札していないにもかかわらず、いつの間にか事業全体を掌握しているという不可思議な事実が判明している。いわゆる「入札くぐり」が起こった可能性があるとされているが、中国企業については中国政府が有事発生の際に人や資源や施設などを政府の管理下に置くとともに在外の中国国民及び企業についても国の命令に従わなければならないとする「国防動員法」があり、こうした括りの中にある中国企業が日本のエネルギー供給に関わる基盤事業を行うことに懸念を持たざるを得ない。

神谷宗幣(参政党)
「国防動員法」によって中国の国益を図るための行動を海外でも義務付けられる中国企業はもちろんのこと、外国企業が日本国民の生活や経済活動の基幹となるエネルギー供給をはじめとする基幹的事業に参入することは望ましいことなのか、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの「外国企業が日本国民の生活や経済活動の基幹となるエネルギー供給をはじめとする基幹的事業に参入すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、国民生活及び経済活動の基盤となる役務であって、その安定的な提供に支障が生じた場合に国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものについては、その安定的な提供が確保されることが重要であると考えている。

神谷宗幣(参政党)
咲洲メガソーラーに関しては、大阪市が五万平方メートルの広大な市有地を月わずか五十五万円余の賃料で長期貸付を行い太陽光発電事業を展開するという内容について入札が行われ、日光エナジー開発株式会社など二社が合同会社を作り、応札の上落札して事業に参入したにもかかわらず、入札時点では影すら見えなかった上海電力が入札後一年もしないうちに日光エナジー開発株式会社と入れ替わりに参入し、その後、上海電力が全体を運営する事業に様変わりしてしまっている。これら一連の流れに法律上の瑕疵はないとされるが、それこそが奇妙なことであり、どうしてこのようなことが可能となったのか、またこれが望ましいことなのか、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの点については、地方自治体における入札手続に関するものであり、その内容の詳細については把握しておらず、お答えすることは困難である。

神谷宗幣(参政党)
本年五月に成立した「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(令和四年法律第四十三号)(経済安全保障推進法)は、(1)重要物資の安定的供給、(2)基幹インフラの安定的な提供、(3)先端的な重要技術の開発支援、(4)特許出願の非公開制度など、四本柱で構成されたもので、本年八月一日から一部が施行され、内閣府に「経済安全保障推進室」が設置された。本格的な施行はさらに先になるというが、この法律が施行された場合、前記二で示したような外国企業による「入札くぐり」までしてのエネルギー供給基盤事業への参入を規制することが可能となるのか、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの「外国企業による「入札くぐり」までしてのエネルギー供給基盤事業への参入を規制すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)においては、特定社会基盤事業者が他の事業者から特定重要設備の導入を行う場合又は他の事業者に委託して特定重要設備の維持管理若しくは操作を行わせる場合には、あらかじめ、当該特定重要設備の導入等に関する計画書を作成し主務大臣に届け出なければならないこととし、主務大臣は、当該計画書に係る特定重要設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいかどうかを審査した結果、そのおそれが大きいと認めるときは、当該計画書の内容の変更等又は当該特定重要設備の導入等の中止を勧告することができることとしている。

解説動画

九州における太陽光発電などの再生可能エネルギー出力抑制状況について(2025年1月15日)

日本は外国資本の草刈り場!?参政党、エネルギー問題を考える(2024年4月14日)

自動車EV化を巡る我が国の政策について(2024年8月4日)

日本における脱炭素エネルギー戦略について(2024年2月25日)

再生可能エネルギー事業に伴う森林開発について(2024年2月18日)

太陽光発電の推進と進む環境破壊について(2023年7月31日)