質問主意書
二〇二四年九月十八日、中国深センにおいて、日本人学校に通学中の児童が中国人に刃物で襲われ、翌十九日に死亡するという悲惨な事件が発生した。近年、中国国内では日本人を対象とした攻撃や犯罪行為が急増しており、今回の事件はその一例にすぎない。同年六月には日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件があり、同年四月には日本人男性が路上で襲撃されるなど、同様の事件が続発している。さらに、日本人学校への投石や卵の投げ込みといった嫌がらせも報告されており、日本人に対する暴力や嫌がらせは深刻化している。
こうした事件の背景には、かつて日本が中国国内にスパイ学校を開設していたという誤った情報が中国のインターネット上で広まり、現在も日本人学校にその影響が残っていると信じられていることが、不当な攻撃を引き起こしているとの見方がある。
これらの事件は、日本人一人一人の安全を脅かすのみならず、日本と中国の国際関係にも悪影響を及ぼしている。特に、日本政府が中国側に対して再発防止策や日本人保護を強く求めてきたにもかかわらず、依然として日本人が狙われる事件が相次いでいる現状は、政府の対応が不十分であることを示しているといえる。加えて、米国やオーストラリア、韓国など、環太平洋の先進国が中国への渡航に係る危険レベルを引き上げる中、日本だけが依然としてレベルを「ゼロ」としている現状も問題視されるべきである。
また、日本人への暴力行為だけでなく、中国国内では反日デモや政府による日本人の不当拘束が問題視されており、日本人の安全は更なる危険に直面している。これらの状況を放置すれば、日本人への被害が更に拡大する懸念がある。
よって、政府にはこれまでの対応を徹底的に見直し、実効性のある具体的な措置を早急に講じることが強く求められる。さらに、被害の再発を防ぐため、日本人に対する注意喚起や渡航制限の強化、そして中国側との対話を通じた協力的な解決策の模索が必要不可欠である。政府は、日本人の安全を守るため、具体的な行動を即時に開始すべきではないか。
以上を踏まえて質問する。
神谷宗幣(参政党)
六月のスクールバス襲撃事件後、九月に再度事件が発生したが、政府はこの再発をどのように受け止め、再発防止のために中国政府にどのような具体的対応を求めたのか。また、再発を防ぐために有効な措置を講じる考えはあるか。
政府
一、二及び五の前段について
御指摘の広東省深せん市における事件の発生を受け、我が国政府としては、例えば、令和六年九月十九日の記者会見における上川外務大臣(当時)の「そもそも外務省といたしましては、本年六月の蘇州における事件の発生を受けまして、これまで日本人学校、補習授業校等に対しまして、安全対策の再点検を早急に行うよう伝達の上、各在外公館からも安全対策の指導を行ってきたところであります。・・・そうした中で本件事案が起きてしまったことを大変残念に思っております。」との発言のように受け止めており、中国政府に対し、例えば、令和六年九月二十三日(現地時間)の日中外相会談において、同大臣(当時)から王毅中国外交部長に対し、「(一)犯人の動機を含む、一刻も早い事実解明と日本側への明確な説明、さらには犯人の厳正な処罰と再発防止、(二)中国に在留する日本人、とりわけ子どもたちの安全確保のための具体的措置、(三)日本人学校に関するものを含む、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿等は、子どもたちの安全に直結し絶対に容認できないとして、早急な取り締まりの徹底を強く求め」る等、様々なレベルで、これらの対応を強く求めているところである。
中国における日本人学校の安全対策を強化するために、我が国政府としては、これまでも、中国における我が国の在外公館から中国各地の日本人学校に対し、警備に要する費用に対する支援のほか、早急な安全対策の再点検を含む安全対策指導を行ってきており、また、このような事件の再発を防ぐために、在留邦人等の要望を踏まえつつ、中国各地の日本人学校が警備員を増員するために要する費用を支援する等、必要な対応につき検討を進めているところである。
神谷宗幣(参政党)
日本人学校への襲撃事件が続く中、政府としてこれまでにどのような安全対策を講じてきたのか。例えば、六月にスクールバス襲撃事件が発生した後、外務省は二〇二五年度予算案の概算要求に中国でのスクールバスの警備費として三億五千万円を計上したとされるが、更に迅速かつ効果的な対応が必要ではないか。今後、どのように安全対策を強化する予定か、具体的な行動計画を示されたい。
政府
一、二及び五の前段について
御指摘の広東省深せん市における事件の発生を受け、我が国政府としては、例えば、令和六年九月十九日の記者会見における上川外務大臣(当時)の「そもそも外務省といたしましては、本年六月の蘇州における事件の発生を受けまして、これまで日本人学校、補習授業校等に対しまして、安全対策の再点検を早急に行うよう伝達の上、各在外公館からも安全対策の指導を行ってきたところであります。・・・そうした中で本件事案が起きてしまったことを大変残念に思っております。」との発言のように受け止めており、中国政府に対し、例えば、令和六年九月二十三日(現地時間)の日中外相会談において、同大臣(当時)から王毅中国外交部長に対し、「(一)犯人の動機を含む、一刻も早い事実解明と日本側への明確な説明、さらには犯人の厳正な処罰と再発防止、(二)中国に在留する日本人、とりわけ子どもたちの安全確保のための具体的措置、(三)日本人学校に関するものを含む、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿等は、子どもたちの安全に直結し絶対に容認できないとして、早急な取り締まりの徹底を強く求め」る等、様々なレベルで、これらの対応を強く求めているところである。
中国における日本人学校の安全対策を強化するために、我が国政府としては、これまでも、中国における我が国の在外公館から中国各地の日本人学校に対し、警備に要する費用に対する支援のほか、早急な安全対策の再点検を含む安全対策指導を行ってきており、また、このような事件の再発を防ぐために、在留邦人等の要望を踏まえつつ、中国各地の日本人学校が警備員を増員するために要する費用を支援する等、必要な対応につき検討を進めているところである。
神谷宗幣(参政党)
近年の日本人に対する犯罪行為や日本人学校への襲撃事件を踏まえ、中国全域に対する渡航に係る危険レベルの引上げを政府として検討しているのか。米国は危険レベルを「レベル三」とし、渡航を再考するよう警告を発し、不当な拘束のリスクを指摘しているほか、オーストラリアやカナダ、韓国なども危険レベルを引き上げている。我が国においても、日本人やその家族に対する強い注意喚起に加え、中長期的な安全対策の強化を早急に検討すべき時期ではないか。
政府
御指摘の「危険レベル」については、政府としては、渡航・滞在するに当たって特に注意が必要と考えられる国・地域に関して、日本国民の生命又は身体に対する脅威を考慮しつつ、中長期的な観点から、当該国・地域の治安情勢を始めとする政治情勢、社会情勢等を総合的に判断して決定してきており、お尋ねの「中国全域に対する渡航に係る危険レベル」についても、これらの観点を踏まえ、引き続き適切に判断してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
このような状況下で、一部の日本の学校が修学旅行の行き先として中国を推進することに対し、政府はどのように考えているか。安全上の懸念を踏まえた政府の見解を示されたい。
政府
学習指導要領における特別活動に位置付けられる修学旅行の行き先等の内容については、地域や学校の実態及び児童・生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して、各学校において定めるべきものであるが、海外への修学旅行における児童・生徒の安全確保等については、各学校における修学旅行先の決定に当たって外務省が発出する海外安全情報を参考に慎重な検討を行うべきこと等を各都道府県教育委員会等に対し、周知しているところであり、各学校においては、これを踏まえて適切に対応しているものと認識している。
神谷宗幣(参政党)
最近の日本人に対する犯罪行為の背景には、SNSやその他の情報プラットフォーム上での誤解や偏見が影響している可能性があるとも考えられる。政府として、このような情報が日本人の安全に与える影響をどのように認識しているか。また、SNSなどで拡散される反日的なコンテンツや誤情報に対して、正確な情報発信や国際的な協力を通じた対応をどのように進めていく考えか明らかにされたい。
政府
一、二及び五の前段について
御指摘の広東省深せん市における事件の発生を受け、我が国政府としては、例えば、令和六年九月十九日の記者会見における上川外務大臣(当時)の「そもそも外務省といたしましては、本年六月の蘇州における事件の発生を受けまして、これまで日本人学校、補習授業校等に対しまして、安全対策の再点検を早急に行うよう伝達の上、各在外公館からも安全対策の指導を行ってきたところであります。・・・そうした中で本件事案が起きてしまったことを大変残念に思っております。」との発言のように受け止めており、中国政府に対し、例えば、令和六年九月二十三日(現地時間)の日中外相会談において、同大臣(当時)から王毅中国外交部長に対し、「(一)犯人の動機を含む、一刻も早い事実解明と日本側への明確な説明、さらには犯人の厳正な処罰と再発防止、(二)中国に在留する日本人、とりわけ子どもたちの安全確保のための具体的措置、(三)日本人学校に関するものを含む、根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿等は、子どもたちの安全に直結し絶対に容認できないとして、早急な取り締まりの徹底を強く求め」る等、様々なレベルで、これらの対応を強く求めているところである。
中国における日本人学校の安全対策を強化するために、我が国政府としては、これまでも、中国における我が国の在外公館から中国各地の日本人学校に対し、警備に要する費用に対する支援のほか、早急な安全対策の再点検を含む安全対策指導を行ってきており、また、このような事件の再発を防ぐために、在留邦人等の要望を踏まえつつ、中国各地の日本人学校が警備員を増員するために要する費用を支援する等、必要な対応につき検討を進めているところである。
五の後段及び六について
お尋ねの「外国人全体の安全確保」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国政府としては、中国における日本人の安全対策を一層強化するため、外国政府との間で平素から情報共有を含めたやり取りを実施してきており、国際世論に対する正確かつ効果的な対外発信の在り方についても、御指摘の「反日的なコンテンツや誤情報」への対応を含め、中国における日本人の安全確保のために何が最も効果的かという観点から不断に検討しつつ、適切に対応していく考えである。
神谷宗幣(参政党)
中国における日本人保護を強化するため、他国と連携して外国人全体の安全確保に向けた取組を進める考えはあるか。また、国際的な情報共有を行い、国際世論に対して安全対策の必要性を訴える予定はあるか。
政府
五の後段及び六について
お尋ねの「外国人全体の安全確保」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国政府としては、中国における日本人の安全対策を一層強化するため、外国政府との間で平素から情報共有を含めたやり取りを実施してきており、国際世論に対する正確かつ効果的な対外発信の在り方についても、御指摘の「反日的なコンテンツや誤情報」への対応を含め、中国における日本人の安全確保のために何が最も効果的かという観点から不断に検討しつつ、適切に対応していく考えである。
中国が我が国の排他的経済水域(EEZ)に無断で設置した浮遊式障害物(以下「本件ブイ」という。)について、これまでに数次にわたり質問主意書を提出し、直近では、第二百十二回国会質問第一一八号(以下「本件質問主意書」という。)に対し、内閣参質二一二第一一八号(以下「本件答弁書」という。)が送付された。本件答弁書によれば、政府は、関係国が有する権利及び義務、我が国の国内法令等を踏まえ、本件ブイの撤去を含む可能かつ有効な対応を関係省庁間で連携して検討しているとのことであった。
国会質疑においては、上川外務大臣が「あらゆる機会を捉えて、中国に対してブイの即時撤去を強く求めている」、「ブイの撤去や移動、我が国によるブイの設置を含む様々な対応について、関係省庁間で連携、検討し、可能で有効な対応を適切に実施していく」旨答弁したが、実際の政府による対応は中国側に対する申し入れにとどまっており、政府の対応策について解決に向けての具体的な進展は見られない。
令和六年三月十八日、石垣市議会では、「尖閣諸島周辺の我が国排他的経済水域内に中国により設置されたブイの即時撤去を求める意見書」(議員提出議案第七号)が可決された。地元自治体は、政府が抗議するのみで具体的行動が取られていないことに危機感を募らせ、本件ブイの即時撤去を強く要求している。
一方、中国の研究者が、本件ブイからの観測データを基に、平成三十年から令和二年の間に少なくとも四本の学術論文(以下「本件論文」という。)を発表し、本件論文は、他の研究論文にも引用されているという(令和六年三月十一日産経新聞)。
また、本件ブイは、中国の観測ネットワークの一部として使用されており、ブイに搭載されたカメラやセンサーが、他国の侵入を察知した場合、中国当局に通報する目的や、中国潜水艦の航行支援に利用されているとの報道もある(同右)。
このような状況下で、我が国の対応は抗議のみにとどまっており、具体的かつ有効な措置をとらないまま推移し、一方、中国は「サラミスライス戦術」と言われる手法で着々と領土、領海、領空への「実効支配」強化に向けた動きを進めている。このようなことが今後も続けば、国際社会において「中国が実効支配している」との主張が実質的に認められることに繋がりかねない。
以上を踏まえ、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
本件ブイ問題に対して中国との外交交渉の進展状況について、具体的に説明されたい。特に本件質問主意書の質問二、三、四について、その後の検討状況、その結論を明らかにされたい。既に具体的な対応措置を講じたのであれば内容を明らかにされたい。今後措置をとるのであれば、その内容を示されたい。
政府
一から三までについて
御指摘の「本件ブイ問題の解決」及びお尋ねの「本件問題の解決に向けて、いかなるロードマップを想定しているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、個々の報道を前提としたお尋ねについて政府としてお答えすることは差し控えたいが、お尋ねの「中国との外交交渉の進展状況」については、例えば、令和五年七月に我が国の排他的経済水域内において存在が確認された中国が設置したと考えられるブイについて、同年十一月に行われた日中首脳会談や日中外相会談等のハイレベルでの働きかけを始めとして、これまで累次にわたり、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、即時撤去を求めているところであるが、いずれにせよ、当該ブイに対する対応については、御指摘の「その後」においても、先の答弁書(令和五年十二月二十六日内閣参質二一二第一一八号)二から四までについてで述べたように、政府として、当該ブイが設置された海域において関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえ、当該ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応について、関係省庁間で連携して引き続き検討を進めているところであり、当該対応を含め、「本件ブイ」に係るお尋ねについて予断をもってお答えすることは差し控えたい。
神谷宗幣(参政党)
中国の研究者が本件ブイにより収集したデータを基に本件論文を発表したことは、中国側のブイ設置からその利用についての「正当性」を国際的に誇示することにつながると考える。我が国が本件ブイの撤去を行わず、また本件論文が他の論文にも引用される状況に対して何ら反応を示さないことは、国際社会で我が国が自国の領土、領海、領空を守る意思を欠き、中国の不当な主張を受け入れている、といった印象を広げる可能性があると考えるが、政府はどのように受け止めているか。また、こうした中国側の動きに対して具体的にどのように対応するのか。
政府
一から三までについて
御指摘の「本件ブイ問題の解決」及びお尋ねの「本件問題の解決に向けて、いかなるロードマップを想定しているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、個々の報道を前提としたお尋ねについて政府としてお答えすることは差し控えたいが、お尋ねの「中国との外交交渉の進展状況」については、例えば、令和五年七月に我が国の排他的経済水域内において存在が確認された中国が設置したと考えられるブイについて、同年十一月に行われた日中首脳会談や日中外相会談等のハイレベルでの働きかけを始めとして、これまで累次にわたり、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、即時撤去を求めているところであるが、いずれにせよ、当該ブイに対する対応については、御指摘の「その後」においても、先の答弁書(令和五年十二月二十六日内閣参質二一二第一一八号)二から四までについてで述べたように、政府として、当該ブイが設置された海域において関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえ、当該ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応について、関係省庁間で連携して引き続き検討を進めているところであり、当該対応を含め、「本件ブイ」に係るお尋ねについて予断をもってお答えすることは差し控えたい。
神谷宗幣(参政党)
政府はいかなる国際法が本件ブイ問題の解決には適用されると考えるか。そして、今後の本件問題の解決に向けて、いかなるロードマップを想定しているのか。そもそも、いつまでに解決するつもりなのか。具体的に明らかにされたい。
政府
一から三までについて
御指摘の「本件ブイ問題の解決」及びお尋ねの「本件問題の解決に向けて、いかなるロードマップを想定しているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、個々の報道を前提としたお尋ねについて政府としてお答えすることは差し控えたいが、お尋ねの「中国との外交交渉の進展状況」については、例えば、令和五年七月に我が国の排他的経済水域内において存在が確認された中国が設置したと考えられるブイについて、同年十一月に行われた日中首脳会談や日中外相会談等のハイレベルでの働きかけを始めとして、これまで累次にわたり、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、即時撤去を求めているところであるが、いずれにせよ、当該ブイに対する対応については、御指摘の「その後」においても、先の答弁書(令和五年十二月二十六日内閣参質二一二第一一八号)二から四までについてで述べたように、政府として、当該ブイが設置された海域において関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえ、当該ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応について、関係省庁間で連携して引き続き検討を進めているところであり、当該対応を含め、「本件ブイ」に係るお尋ねについて予断をもってお答えすることは差し控えたい。
我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する再質問主意書(第二百十二回国会質問第六五号、以下「本件再質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一二第六五号、以下「本件答弁書」という。)の送付があったことに対して、改めて質問を行う。
岸田総理大臣は、十一月二十二日の衆議院予算委員会において、日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が我が国に無断で設置した浮遊式障害物(以下「本件ブイ」という。)について「わが国としては、ブイの撤去も含め、当該海域の関係国が有する権利や義務、国内法令や船舶の交通、漁業活動への影響なども踏まえ、可能かつ有効な対応を検討していく」と答弁した。
我が国のEEZ内にブイが設置され、我が国の安全保障に関わる情報の入手と中国への発信を行っている等のおそれがあるとすれば、総理が言及した「撤去」を含め早急に有効な対策を検討し、一刻も早く本件ブイの撤去を進めるべきである。
また、本件答弁書によれば、本件再質問主意書の「内容が理解できない部分がある」としており、これほど自明なことでなぜ理解できないのか、不本意なところであるが、重要事項であるので改めて質問する。
神谷宗幣(参政党)
本件再質問主意書の一でいう「浮遊式障害物」とは、中国が二〇一三年、二〇一六年、二〇一八年、二〇二三年に我が国EEZ内に設置した海上に浮遊するブイ様の障害物を指す。本件答弁書によれば、「我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがある」ことから、かかる浮遊式障害物の機能をいかに判断しているかを明らかにしないとのことである。しかし、我が国のEEZ内に無断で設置し放置されている障害物である以上、沿岸国である我が国が安全保障等のため右障害物の調査を行うことは当然である。少なくとも、それぞれの浮遊式障害物について、いかなる調査をいつ行ったか明らかにされたい。
政府
御指摘の「浮遊式障害物」に係る「調査」に関するお尋ねについては、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
神谷宗幣(参政党)
本件答弁書の二についてによれば、一般に沿岸国によるブイの撤去は禁じられていないか否かについては、「これが設置された海域における関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえて個別具体的に判断されるものであると考えるため」、「一概に」答えることは困難とのことだが、それでは、二〇二三年、中国が我が国EEZ内に設置した本件ブイという個別具体的なケースにおいては、我が国による撤去が禁じられていないかどうかについて、あるいは禁じられているとするなら、それをいかなる者が判断するのか、また同様な事例が存在するのかどうかについて、明らかにされたい。
政府
二から四までについて
お尋ねの「二〇二三年、中国が我が国EEZ内に設置した本件ブイという個別具体的なケースにおいて・・・それをいかなる者が判断するのか」、「この検討は、いつまでに結論を出していくのか」及び「二〇二三年に中国が我が国EEZ内に設置したブイを我が国が撤去しない場合には・・・ずっと存続することになるのではないか」については、政府として、御指摘の「ブイ」が設置された海域において関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえ、当該ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応について、関係省庁間で連携して引き続き検討を進めているところであり、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたい。
お尋ねの「同様な事例が存在するのか」については、例えば、平成二十八年及び平成三十年に海上保安庁が我が国の排他的経済水域内において存在を確認した中国が設置したと考えられるブイについて、同庁がそれぞれ平成二十八年八月十九日及び平成三十年十月一日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、当該ブイの即時撤去を求めた例がある。
神谷宗幣(参政党)
本件答弁書の三についてでは、我が国自らが撤去することに関する考え方を明らかにすることは、「今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい」とのことであるが、先に挙げた予算委員会の答弁において岸田総理は「わが国としては、ブイの撤去も含め、当該海域の関係国が有する権利や義務、国内法令や船舶の交通、漁業活動への影響なども踏まえ、可能かつ有効な対応を検討していく」としている。この検討は、いつまでに結論を出していくのか。
政府
二から四までについて
お尋ねの「二〇二三年、中国が我が国EEZ内に設置した本件ブイという個別具体的なケースにおいて・・・それをいかなる者が判断するのか」、「この検討は、いつまでに結論を出していくのか」及び「二〇二三年に中国が我が国EEZ内に設置したブイを我が国が撤去しない場合には・・・ずっと存続することになるのではないか」については、政府として、御指摘の「ブイ」が設置された海域において関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえ、当該ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応について、関係省庁間で連携して引き続き検討を進めているところであり、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたい。
お尋ねの「同様な事例が存在するのか」については、例えば、平成二十八年及び平成三十年に海上保安庁が我が国の排他的経済水域内において存在を確認した中国が設置したと考えられるブイについて、同庁がそれぞれ平成二十八年八月十九日及び平成三十年十月一日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、当該ブイの即時撤去を求めた例がある。
神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によれば、本件再質問主意書の「撤去しないまま経過するなら、当該浮遊式障害物は相手国が撤去しない限り、ずっと存続することになるのではないか」との問いにつき、「その趣旨が明らかではない」としているが、通常の文章として極めて明解である。言い換えるならすなわち、二〇二三年に中国が我が国EEZ内に設置したブイを我が国が撤去しない場合には、中国が撤去しない限りは当該ブイが我が国EEZ内にずっと存続することになるのではないか、ということである。このことについて、政府の認識を示されたい。
政府
二から四までについて
お尋ねの「二〇二三年、中国が我が国EEZ内に設置した本件ブイという個別具体的なケースにおいて・・・それをいかなる者が判断するのか」、「この検討は、いつまでに結論を出していくのか」及び「二〇二三年に中国が我が国EEZ内に設置したブイを我が国が撤去しない場合には・・・ずっと存続することになるのではないか」については、政府として、御指摘の「ブイ」が設置された海域において関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえ、当該ブイの撤去も含め、可能かつ有効な対応について、関係省庁間で連携して引き続き検討を進めているところであり、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたい。
お尋ねの「同様な事例が存在するのか」については、例えば、平成二十八年及び平成三十年に海上保安庁が我が国の排他的経済水域内において存在を確認した中国が設置したと考えられるブイについて、同庁がそれぞれ平成二十八年八月十九日及び平成三十年十月一日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、当該ブイの即時撤去を求めた例がある。
神谷宗幣(参政党)
当該ブイが撤去されるまでの間、我が国の安全保障及び航行や操業の安全のために本件ブイの監視を継続し、航行船舶に対して警報を発し注意喚起を行うのか。引き続きどのような対処を行うかを具体的に明らかにされたい。
政府
御指摘の「ブイ」に係る「監視」に関するお尋ねについては、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お答えすることは差し控えたいが、当該ブイについては、海上保安庁において、船舶の航行の安全を確保するため、令和五年七月十五日から現在に至るまで、船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行っており、今後も同様に取り組んでいく考えである。
我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関する質問主意書(第二百十二回国会質問第一号)に対して、答弁書(内閣参質二一二第一号)が送付された。本件に関連して再質問する。
我が国の排他的経済水域への中国による浮遊式障害物の設置に関し、十一月一日の参議院予算委員会において、上川陽子外務大臣は、中国が我が国の排他的経済水域に設置した浮遊式障害物(審議においては「当該ブイ」と言っている)に関する質問に対し、「中国による当該ブイの設置は、一方的な現状変更の試みであり、全く受入れられず、日本側から中国側へ抗議をするとともに、ブイの即時撤去を改めて強く求めた」旨答弁し、続いて「当該ブイの撤去等については、国連の海洋法条約には明文の規定がない。個別具体的な状況に応じて検討することが必要であるため、撤去の可否については一概に答えることは困難である」旨の答弁を行った。
現状としては、政府は、中国に対し即時撤去を求めているものの、国連海洋法条約に明文の規定がないという点から、より積極的な措置を取ることを避けているように見受けられる。その結果、現在まで、浮遊式障害物の撤去は行われていない。
さらに、同月十六日に日中首脳会談が実施されたが、ここでも、岸田文雄内閣総理大臣は、中国の習近平国家主席に即時撤去を要求するに留まったとのことである。
一方、報道によれば、政府関係者からの情報として、中国が我が国の排他的経済水域に設置した浮遊式障害物は海底に重りを下ろして固定しているとみられ、当該浮遊式障害物で収集したデータを人工衛星で送信しているという。これは、海の荒れ具合などを調べ、海警船を派遣するために役立てていると見られている。ネット上で見られる写真によれば、当該浮遊式障害物にはアンテナなどの送信機材等が複雑に装着されており、日本や外国の潜水艦の動きを探っている可能性が指摘されている。以前には、中国が設置した後に漂流した浮遊式障害物を海上保安庁が回収し、装置を詳しく調べた後、中国側に引き渡したとの報道もある。
このような中国による浮遊式障害物の設置は、単なる海洋調査を超えた行動と見ることができ、特にその技術的な側面は、我が国の防衛や安全に直接的な影響を及ぼす可能性がある。政府は、浮遊式障害物を設置国任せで放置するのではなく、より積極的かつ具体的な対策を講じるべきと言える。
他方、林芳正前外務大臣は、同月十九日のフジテレビ番組で、「日本側が撤去することも含めて検討したらよい」旨の発言をし、中国側に通知せず、日本側の判断で撤去する措置についても、国際法で明記されていないことから、そのような姿勢で臨むことが大切だとしており、上川外務大臣とは異なる認識を示した。
以上を踏まえて、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
これまで中国が我が国の排他的経済水域に設置した浮遊式障害物はいかなる機能を備えていると判断しているか。過去の事例を含めて明らかにされたい。
政府
御指摘の「浮遊式障害物」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。
神谷宗幣(参政党)
浮遊式障害物の「撤去等について、海洋法条約に明文の規定はない」のであれば、少なくとも沿岸国による撤去は禁じられていないと考えてよいか。また、同様の事例について、諸外国ではどのような処置が採られてきたのか、具体的に示されたい。
政府
御指摘の「浮遊式障害物」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、ブイに関して、お尋ねのように「少なくとも沿岸国による撤去は禁じられていない」か否かについては、これが設置された海域における関係国が有する権利及び義務並びに我が国の国内法令等を踏まえて個別具体的に判断されるものであると考えるため、一概にお答えすることは困難である。
御指摘の「同様の事例」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「諸外国ではどのような処置が採られてきたのか」については、第三国間の事案に関するものであり、お答えすることは差し控えたい。
神谷宗幣(参政党)
中国が我が国の排他的経済水域に浮遊式障害物を設置することは、上川外務大臣によると「中国による一方的な現状変更の試み」とされており、しかも現在までに繰返し設置され、重ねて抗議と撤去要請を行っているにもかかわらず、未だに撤去されていない。「個別具体的な状況に応じて検討をする」というが、どのような場合に我が国自らが撤去することになるのか。または、撤去しないまま経過するなら、当該浮遊式障害物は相手国が撤去しない限り、ずっと存続することになるのではないか。政府の認識を示されたい。
政府
お尋ねの「我が国自らが撤去すること」に関する考え方については、先の答弁書(令和五年十月三十一日内閣参質二一二第一号)四についてで述べたとおり、これを明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。また、お尋ねの「撤去しないまま経過するなら、当該浮遊式障害物は相手国が撤去しない限り、ずっと存続することになるのではないか」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。
令和五年十月二十二日現在、尖閣諸島の接続海域で中国公船が七十九日間、連続で確認されている。海上保安庁によると、尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の数は、我が国が尖閣諸島を国有化した平成二十四年の翌年に激増して以降、継続的に尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵入を繰り返している。また、領海侵入時間は長期化しているという。
最近、中国海警局は、尖閣海域に出漁した日本の漁船を追いかけるように領海侵入をし、同漁船を名指して「中国領海に侵入した」と発表し、尖閣の「実効支配」の実績を重ねるような姿勢を見せている。これに対し、海上保安庁は人員体制が全体でわずか一万五千名弱という最低限の規模しかないにも関わらず、二十四時間複数の船舶で接続水域に遊弋しながら、領海への侵入や我が国の漁船の操業への妨害を繰り返す中国海警船に対峙し、尖閣諸島の実効支配と周辺の安全をぎりぎりの努力で維持しているところである。
一方、中央における政府の対応は、「遺憾の意」を示したり、その先の措置も曖昧なままの「警告」を発したりする態度に終始している。これでは、一向に中国側の行為が収まらないのも無理がない。むしろ、我が国の対応を甘く推しはかることで、中国の強引な力による「現状変更」の試みが日増しにエスカレートすることにつながっている。
こうした一連の中国の行動は、かねてよりその個別の事態では、武力衝突や交戦状態に至ることにはなっていないものの、時間をかけさらに小さく行動を積み重ねることで、大きな戦略的状況の変化を図り、初期の目標を達成すると「サラミ・スライス戦術」と呼ばれている。
尖閣諸島が歴史的にも法的にも、我が国の固有の領土であることは明白である。このような中国側の動きに対抗して、我が国の主権と領土・領海・領空、そして経済水域や埋蔵資源の将来的確保を通じて国益を保障していくには、我が国の管轄権下にある領域に侵入し、勝手に「主権主張」を行い「実効支配」をデモンストレーションするような行為に対し、ひたすら対峙することにとどまらず、断固許さないような対処が必要である。ただただ、口頭での抗議に終始することは、結果として座して相手の善意で不法な行為を中止することを期待するにすぎず、現実には中国側の不法行為はエスカレートするばかりだというのが、少なくとも尖閣諸島の一部の国有化を我が国が図った平成二十四年以降、現在までの状況である。
尖閣諸島とその周辺の我が国の領土主権、経済活動上の権限を正当に維持するためには、不法な行動を公船で繰り返す相手側の行動を先取りして対処する、能動的(プロアクティブ)な対応こそ求められる。日本の守りを強化するためには、防衛力及び海上保安能力等の強化、日米を軸としたフィリピン、インドネシア、カナダ、インド、台湾その他、公的海域の安全を守るために協力する諸国との連携を強化することが重要である。世界の共有財産といえるシーレーンの安全確保のためにも、実力で自国権益の拡張を主張し「現状変更」を試みる国の横暴を抑える国際的な包囲と説得のリンケージの推進とともに、我が国における政治・経済・防衛などの総合的な国力を土台とした力強い外交を展開することが重要である。
以上を踏まえ質問する。
神谷宗幣(参政党)
松野官房長官は、令和五年十月二十日の記者会見で、米グーグル社が尖閣諸島の表記に中国名を併記したことに関し、「尖閣諸島がわが国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがない。情報が国内外に正しく発信されるよう適切に対応していく」と述べた。我が国の施政下にある領域での領土主権が脅かされているいま、適切な対応を行わなければ、国際世論でも日本の実効支配と主権が認識されなくなる懸念さえある。政府は、松野長官の「情報が国内外に正しく発信されるよう適切に対応していく」と述べたことについて、どのように具体化するのか、現在行っていることと併せて、今後強化していく措置について詳細に説明されたい。
政府
お尋ねについては、これまで政府としては、国際会議等の場や在外公館において我が国の領土・主権に関する事実や我が国の立場について発信するとともに、外国報道機関により事実誤認に基づく報道が行われた場合には在外公館や外務本省から速やかに申入れや反論の投稿を実施しているほか、外務本省や在外公館のウェブサイト等による情報発信に努めてきたところであり、引き続き、国際社会において我が国の立場等が正確に理解されるよう積極的かつ戦略的に対外発信に取り組んでまいりたい。また、政府としては、我が国の立場等に関する正確な理解を国内外に浸透させていくための発信拠点として、平成三十年一月に領土・主権展示館を開館し、展示面積の拡大や展示内容の充実等を図るため、令和二年一月に東京都千代田区霞が関の虎の門三井ビルディングに移転し、これまで累計で約五万人が来館したところである。同館を発信拠点として、引き続き周知・広報に努めてまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
政府は、尖閣諸島での我が国の主権と周辺海域及び排他的経済水域での操業の安全を守るため、どのような中長期的戦略を有しているか。年々、公船の大型化とともに、接続水域から領海にまで連日のように侵入するようになった中国の「実効支配」のアリバイ作りを狙った行動に対して、これを断念さ
せて主権喪失の脅威をなくさせるために、今後、いかなる対処を実施するのか。
政府
前段のお尋ねについては、御指摘の「中長期的戦略」の存否やその具体的な内容を明らかにすることにより、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。また、後段のお尋ねについては、御指摘の「中国の「実効支配」のアリバイ作りを狙った行動に対して、これを断念させて主権喪失の脅威をなくさせる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、今後とも、関係省庁が連携し、情勢に応じ、必要な警備等を引き続き厳正かつ適切に実施していく考えである。
神谷宗幣(参政党)
我が国による尖閣諸島の実効支配、施政権の保持を明確に示す上で、各島に測候所や漁業の安全操業のための施設、周辺海域と島嶼での安全を確保するための公務員常駐などの措置を検討すべきという意見がかねてより見られる。政府は今後、尖閣諸島の実効支配を担保するために我が国の主権維持の決意を示すとともに、外国漁船や通過船舶の操業や航行の安全も含めて島嶼と領海、周辺海域の安全確保のための措置を取るべきと思うが、今後、こうした点を踏まえていかなる措置を取っていく計画があるのか、示されたい。
政府
お尋ねの「外国漁船や通過船舶の操業や航行の安全も含めて島嶼と領海、周辺海域の安全確保のための措置を取るべきと思うが、今後、こうした点を踏まえていかなる措置を取っていく計画があるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、尖閣諸島及び周辺海域の平穏かつ安定的な維持及び管理のための措置に関する計画について、その存否や具体的な内容を明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
神谷宗幣(参政党)
尖閣諸島が重要土地利用規制法の注視区域や特別注視区域に指定されなかったことについて、高市早苗経済安全保障担当大臣は、尖閣諸島が国有地であることから、第三者がいつのまにか国が知らないうちに所有したり、賃借したりして機能阻害行為を行うことができないのだから、そもそも利用規制を行う必要がない旨発言している。この発言は、尖閣諸島のすべてが国有化されているのではない事実からも誤った認識と言わざるを得ない(米軍が射爆撃演習場に使用している久場島は引き続き、民間の所有である)。そして、実際には接続海域及び領海への侵入が繰り返され、かねてより多くの中国側民間人が上陸してきた実績があることからすれば、重要土地利用規制法で定義された機能阻害行為が生じる懸念があるのではないか。政府の見解を示すとともに、実際、過去における外国人による尖閣諸島への不法な上陸行為に際して、いかなる対処を行ったのか、すべてのケースについて具体的に示されたい。
政府
お尋ねの「重要土地利用規制法で定義された機能阻害行為が生じる懸念があるのではないか」については、尖閣諸島はそのほとんどが国有地であって、民有地である久場島並びに久場島周辺の北西小島、北小島及び北東小島も国が借り上げて利用しており、政府としては、何者かによって土地が機能阻害行為の用に供されることがないように管理している。
また、お尋ねの「過去における外国人による尖閣諸島への不法な上陸行為」については、それぞれ平成八年十月七日、平成十六年三月二十四日及び平成二十四年八月十五日に、尖閣諸島周辺海域において、外国人が我が国の領海に侵入し、尖閣諸島に上陸したときは、政府としては、我が国の関係法令に従って当該外国人を本邦から退去させるとともに、外交ルートを通じて、外国政府等に対し抗議を行った。
神谷宗幣(参政党)
前記四で指摘したとおり、尖閣諸島のうちの久場島は民間所有のまま、日米安全保障条約及び日米地位協定に基づく提供施設として米軍の訓練のための射爆撃演習場とされている。日米安全保障条約及び日米地位協定に基づく提供施設とは、通常、米軍の求めに応じて日本側が主権の及ぶ領土内から使用に供するものである。したがって、尖閣諸島に米軍に対する提供施設が存在することは、提供を受ける米軍側も久場島に関して日本の領土主権を認めているということになる。米国はこの間、尖閣諸島に関する日中間の主張に関して「米国は領土帰属について判断しないが、施政権は日本側に存する」と述べ、これを根拠に安保条約第五条「共同防衛」の適用が尖閣諸島にもあるとしているが、現に日本から同地で射爆撃演習場の提供を受けていることや、そもそも尖閣諸島全体が昭和四十七年に沖縄県の施政権返還と同時に米国から日本へ返還された経緯から見てもおかしな見解である。この際、米国に対して尖閣諸島には歴史的に見ても、沖縄県と同時に返還された経緯や安保条約上の施設提供の事実から見ても日本に明確な領土主権があることを認めるよう確認するべきと思うが、政府の見解を示されたい。
政府
お尋ねについては、米国政府は、尖閣諸島に関する我が国の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って、緊密に連携していくとの立場であると理解している。
神谷宗幣(参政党)
令和五年一月、石垣市と東海大学の調査チームが尖閣諸島魚釣島周辺で環境調査を行い、ドローンを使った上空からの調査を実施したところ、環境が急速に変化し、尖閣諸島周辺固有の動植物などの生態系を維持できない恐れがあることが分かったという。尖閣諸島の貴重な生態系維持のために、政府は今後いかなる措置を講じることを計画しているか、示されたい。
政府
尖閣諸島における自然環境については、環境省において、人工衛星の画像を使用した調査等を実施し、必要な情報を収集している。政府としては、今後とも、必要に応じ、御指摘の「尖閣諸島の貴重な生態系維持」のために、尖閣諸島における自然環境に関する情報収集を行っていく考えである。
神谷宗幣(参政党)
政府は、尖閣諸島が国有化されて以降、行政権を管轄する自治体である石垣市による上陸調査等を認めていない。これは地方自治体の権限に対して政府が不当に制約している事案だと思われる。いかなる理由で政府は石垣市による上陸調査を認めないのか。その法的根拠は何か、明確に示されたい。
政府
政府としては、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のため、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針を採っている。その上で、御指摘の「石垣市による上陸調査」の内容が明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
中国が我が国の排他的経済水域(EEZ)に無断で設置した浮遊式障害物(以下「本件ブイ」という。)について、これまでに数次にわたり質問主意書を提出し、直近では、第二百十二回国会質問第一一八号(以下「本件質問主意書」という。)に対し、内閣参質二一二第一一八号(以下「本件答弁書」という。)が送付された。本件答弁書によれば、政府は、関係国が有する権利及び義務、我が国の国内法令等を踏まえ、本件ブイの撤去を含む可能かつ有効な対応を関係省庁間で連携して検討しているとのことであった。
国会質疑においては、上川外務大臣が「あらゆる機会を捉えて、中国に対してブイの即時撤去を強く求めている」、「ブイの撤去や移動、我が国によるブイの設置を含む様々な対応について、関係省庁間で連携、検討し、可能で有効な対応を適切に実施していく」旨答弁したが、実際の政府による対応は中国側に対する申し入れにとどまっており、政府の対応策について解決に向けての具体的な進展は見られない。
令和六年三月十八日、石垣市議会では、「尖閣諸島周辺の我が国排他的経済水域内に中国により設置されたブイの即時撤去を求める意見書」(議員提出議案第七号)が可決された。地元自治体は、政府が抗議するのみで具体的行動が取られていないことに危機感を募らせ、本件ブイの即時撤去を強く要求している。
一方、中国の研究者が、本件ブイからの観測データを基に、平成三十年から令和二年の間に少なくとも四本の学術論文(以下「本件論文」という。)を発表し、本件論文は、他の研究論文にも引用されているという(令和六年三月十一日産経新聞)。
また、本件ブイは、中国の観測ネットワークの一部として使用されており、ブイに搭載されたカメラやセンサーが、他国の侵入を察知した場合、中国当局に通報する目的や、中国潜水艦の航行支援に利用されているとの報道もある(同右)。
このような状況下で、我が国の対応は抗議のみにとどまっており、具体的かつ有効な措置をとらないまま推移し、一方、中国は「サラミスライス戦術」と言われる手法で着々と領土、領海、領空への「実効支配」強化に向けた動きを進めている。このようなことが今後も続けば、国際社会において「中国が実効支配している」との主張が実質的に認められることに繋がりかねない。
以上を踏まえ、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
二〇一三年、二〇一六年、二〇一八年に、我が国の排他的経済水域内に中国による浮遊式障害物の設置が確認された際、我が国はどのような対応をしたのか。また、これに対して中国側はどのように反応したのか、経過と具体的な事実を示されたい。
政府
御指摘の「二〇一六年、二〇一八年」に中華人民共和国(以下「中国」という。)が設置したと考えられる「浮遊式障害物」とは、海上保安庁が我が国の排他的経済水域内にその存在を確認したブイのことを指すと思われるが、当該ブイの存在を確認した後、同庁は、それぞれ平成二十八年八月十九日及び平成三十年十月一日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、当該ブイの即時撤去を求めた。これに対する中国政府の反応について明らかにすることは、相手国との今後の外交上のやり取りに支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。また、御指摘の「二〇一三年」に中国が設置したと考えられる「浮遊式障害物」とは、同庁が我が国の排他的経済水域外にその存在を確認したブイのことを指すと思われるが、当該ブイの存在を確認した後、同庁は、平成二十五年二月十九日に船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行った。
神谷宗幣(参政党)
政府は、本件障害物を確認後、中国側に抗議と撤去を求めたというが、政府としてこの事実を九月十九日以前に公表していたのか。また、本件障害物の位置情報などについて、尖閣諸島周辺海域を航行する船舶等に対して安全確保上の周知、注意喚起を具体的にいつからどのように行ったのか、示されたい。
政府
前段のお尋ねについては、令和五年七月に海上保安庁が我が国の排他的経済水域内において存在を確認した中国が設置したと考えられるブイについて、外務省において、外交ルートを通じて中国政府に対し抗議し、即時撤去を求めたことは、同年九月十九日の松野内閣官房長官の記者会見において初めて対外的に公表したものである。また、後段のお尋ねについては、同年七月十五日から現在に至るまで、同庁が船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行っている。
神谷宗幣(参政党)
現在、尖閣諸島周辺の我が国の排他的経済水域内には、我が国に無断で中国が設置したとみられる浮遊式障害物は、他にも存在しているのか。存在するなら、その数と位置、判明している設置時期などについて示されたい。
政府
御指摘の「浮遊式障害物」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、お尋ねについてお答えすることは差し控えたいが、仮に海上保安庁が御指摘の「尖閣諸島周辺の我が国の排他的経済水域内」において船舶の航行に影響がある物体の存在を確認した場合には、船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うこととしている。
神谷宗幣(参政党)
今回明らかになったものを含め、我が国の排他的経済水域あるいは領海内に不法に設置された海洋浮遊式障害物等、漁業の安全操業や船舶の安全航行の妨げとなるとともに、我が国の有する権限、権益、主権と領土を損なう構築・設置物について、政府が対処する上での基本的かつ具体的な対応を示されたい。国際法に照らすなら、我が国の排他的経済水域や領海での障害物等、不法な構築・設置物は、安全管理上の責任から原因者の自発性に期待するよりも我が国自体が断固、撤去することが基本であると考えるが、政府による撤去を行うことは基本方針としないのか。
政府
御指摘の「我が国の排他的経済水域あるいは領海内に不法に設置された海洋浮遊式障害物等、漁業の安全操業や船舶の安全航行の妨げとなるとともに、我が国の有する権限、権益、主権と領土を損なう構築・設置物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、海上保安庁が我が国の排他的経済水域内又は領海内において船舶の航行に影響がある物体の存在を確認したときは、船舶に対して航行警報を発し、注意喚起を行うとともに、外務省において、当該物体を設置した国に対し、外交ルートを通じて即時撤去を求めてきている。また、御指摘の「政府による撤去」に関する考え方を明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
台湾有事を想定した場合、沖縄県、特に先島諸島が軍事的攻撃が展開される対象となる可能性が高い。沖縄県は島嶼のみで成り立っている県であるため、災害その他に際する住民避難でも他の都道府県と比べて高度で複雑な訓練と準備が必要とされると言われる。とりわけ先島諸島からの住民避難については十分な態勢を準備し、訓練を重ねておくべきものである。
しかも、昨今の台湾をめぐる軍事的な緊張の中で、本年八月四日に中国人民解放軍が発射した九発の弾道ミサイルのうち五発が八重山列島南方海上の我が国の排他的経済水域(EEZ)内に着弾する事態が発生している。「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以下「国民保護法」という。)は、武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための措置を国・自治体等で講ずるための規定を定めている。今回のような不測の状況下では、短時間のうちに、弾道ミサイル攻撃によって住民が生活する我が国の管轄領域が危険に晒される実態が明らかとなり、国民保護法に基づく措置について、「事が起こるのを待つ」のではなく、直ちに準備作業に着手されるべきことが示された。
現在の我が国の法体系に基づけば、国民保護の責任は第一義的に自治体に所在し、自衛隊は外国からの武力による主権侵害、領土への攻撃の排除のための任務に支障の無い範囲で自治体を支援するものとされている。ところが、すでに国とともに都道府県、市区町村は、国民保護法に基づいて、国民保護計画や訓練計画を策定しているとされるものの、有事を想定した国民保護訓練はいずれの自治体においても一度も実施されていない。
沖縄県の島々から、全住民が安全に避難するためには、(一)迅速な避難実施要領の策定、(二)十分な輸送機材(船舶及び航空機)の手配、(三)避難に必要な時間を考慮した避難命令の発令が必要である。(一)は市町村、(二)は沖縄県、(三)は政府と所管がそれぞれ異なるが、住民避難のために、三位一体となって取り組むことが必須である。
特に、沖縄県による輸送機材の準備が遅れたり、政府が避難に必要な時間の見積りを誤って避難警報を発令したりすると、多くの住民が逃げ遅れ軍事衝突の渦中に置かれてしまうおそれがある。
そして、八重山列島が置かれた状況について本年八月の排他的経済水域(EEZ)内への中国ミサイル着弾の事態から鑑みれば、島の外に避難というより住民が居住地区において迅速に危険回避をするためのシェルター整備が焦眉の課題となったこともまた、明白である。
以上を鑑みるならば、沖縄県及び市町村職員は政府や自衛隊を始めとする関係機関と連絡を密にし、平素から国民保護に関する理解を深め、訓練を繰り返しておくことが必要である。また、日本全国はもとより、特に発生が懸念される「台湾有事」において軍事的衝突の渦中に置かれかねない沖縄県などで住民が緊急避難するためのシェルター整備を早急に進め、必要なら法改正措置によりこれを推進しなくてはならない。しかしながら現状で見る限り、沖縄県においてすら避難計画の十分な検討や訓練、シェルター整備の計画が行われていないという状況は極めて深刻な事態だと考える。
そこで、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
国民保護法制に基づく避難計画を確立し、実地の訓練実施に向けて政府として都道府県や市町村に対して過去、いかなる連絡や調整を行ってきたのか。都道府県別の取組について、いつどのような施策が採られているのか具体的に示されたい。
政府
政府としては、国及び地方公共団体が共同で実施する国民の保護のための措置についての訓練(以下「国民保護共同訓練」という。)の実施について、各地方公共団体に継続的な働きかけを行うとともに、これまで実施してきた国民保護共同訓練の成果について、都道府県に対し、情報提供を行っているところである。
これらを受け、地方公共団体においても、例えば、令和三年度には、大分県において、空港施設の爆破・火災事案等を想定した国民保護共同訓練を行うなど、都道府県警察、海上保安庁、自衛隊等の関係機関と連携しながら、様々な事態を想定した訓練を実施しているところである。
神谷宗幣(参政党)
国民保護に関わる訓練は、政府、都道府県、市区町村が三位一体となり各段階での実施段階での問題を明らかにしながら必要な態勢整備を図り得る定期的な訓練が必要と考える。各都道府県、市町村段階で全体として訓練計画の策定状況及び市町村から都道府県、国レベルまでが結合した総合的訓練の実施はどこまで具体化されているのか。まだ訓練計画が具体化されていない場合、訓練エリアの決定、訓練目標の設定、実施計画等の策定等については、国から都道府県、市町村に対してどのような働きかけをしながら推進されることになるのか、示されたい。
政府
お尋ねの「各都道府県、市町村段階で全体として訓練計画の策定状況」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年度において、国民保護共同訓練は三十四道府県で実施することとされているところである。
お尋ねの「市町村から都道府県、国レベルまでが結合した総合的訓練の実施」については、武力攻撃事態等(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。)第一条に規定する武力攻撃事態等をいう。以下同じ。)及び緊急対処事態(事態対処法第二十二条第一項に規定する緊急対処事態をいう。)を想定し、国が重点的に企画及び立案を行い、特定の地方公共団体と行う国民保護共同訓練を実施している。当該国民保護共同訓練については、令和三年度以降、全国を六ブロックに区分した上で、輪番で実施することとしており、実施する都道府県について現時点で令和八年度分まで決定しているところである。
神谷宗幣(参政党)
台湾・沖縄有事の際、県民及び旅行者や駐在員など一時的滞在者の沖縄県外への避難も想定される。特に沖縄県について、他の都道府県までまたぐ避難訓練を実施する計画はあるか。その場合、都道府県をまたぐ調整や全体統括はどの機関が担うのか。訓練及び実際の事態における計画実施の両面において、明らかにされたい。
政府
三及び四について
武力攻撃事態等に至ったときは、閣議決定された対処基本方針(事態対処法第九条第一項に規定する対処基本方針をいう。)に基づき、対策本部長(事態対処法第十一条第一項に規定する対策本部長をいう。)が都道府県知事に対し避難措置の指示を行うものとされており、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)第三十二条第一項の規定に基づき定められた「国民の保護に関する基本指針」(平成十七年三月二十五日閣議決定。以下「基本指針」という。)においては、「対策本部長は、着上陸侵攻の場合など都道府県の区域を越える避難措置の指示を行う場合には、要避難地域を管轄する都道府県知事から避難すべき住民の数や想定される避難の方法等について、避難先地域を管轄する都道府県知事から避難住民の受入能力等についてそれぞれ意見を聴き、それを踏まえて、国の方針として具体的な要避難地域や避難先地域等について避難措置の指示を行い、都道府県知事による避難の指示が円滑にできるようにするものとする」とした上で、「都道府県の区域を越える避難の場合には、要避難地域の都道府県と避難先の都道府県及び避難の経路となる地域の都道府県との間で避難住民の受入れ、移動時の支援等に関する協議を実施するものとし、必要に応じ市町村その他の関係機関は協議に参加するものとする」としているところである。
沖縄県においては、令和四年度末に県による訓練の実施を予定していることに加え、令和八年度に国民保護共同訓練を実施することを予定しており、都道府県の区域を越える避難訓練とするか否かや参加する市町村の範囲を含めた実施内容について、今後検討することとしている。なお、これらの訓練は特定の事態を想定したものではない。
神谷宗幣(参政党)
現在、台湾有事に備えた先島諸島十万人の避難訓練が課題となっている。沖縄県及び石垣市を始めとする関係自治体を含めた計画の具体化、訓練実施に向けての取組は現在、どういう状況にあるのか示されたい。
政府
三及び四について
武力攻撃事態等に至ったときは、閣議決定された対処基本方針(事態対処法第九条第一項に規定する対処基本方針をいう。)に基づき、対策本部長(事態対処法第十一条第一項に規定する対策本部長をいう。)が都道府県知事に対し避難措置の指示を行うものとされており、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)第三十二条第一項の規定に基づき定められた「国民の保護に関する基本指針」(平成十七年三月二十五日閣議決定。以下「基本指針」という。)においては、「対策本部長は、着上陸侵攻の場合など都道府県の区域を越える避難措置の指示を行う場合には、要避難地域を管轄する都道府県知事から避難すべき住民の数や想定される避難の方法等について、避難先地域を管轄する都道府県知事から避難住民の受入能力等についてそれぞれ意見を聴き、それを踏まえて、国の方針として具体的な要避難地域や避難先地域等について避難措置の指示を行い、都道府県知事による避難の指示が円滑にできるようにするものとする」とした上で、「都道府県の区域を越える避難の場合には、要避難地域の都道府県と避難先の都道府県及び避難の経路となる地域の都道府県との間で避難住民の受入れ、移動時の支援等に関する協議を実施するものとし、必要に応じ市町村その他の関係機関は協議に参加するものとする」としているところである。
沖縄県においては、令和四年度末に県による訓練の実施を予定していることに加え、令和八年度に国民保護共同訓練を実施することを予定しており、都道府県の区域を越える避難訓練とするか否かや参加する市町村の範囲を含めた実施内容について、今後検討することとしている。なお、これらの訓練は特定の事態を想定したものではない。
神谷宗幣(参政党)
国として、武力攻撃事態等において国民が緊急避難するためのシェルター整備について、現状の認識や今後の取組に対する考え方を明らかにするため、以下の点についてそれぞれ示されたい。
1 我が国における避難シェルター整備について、主要国における対象人口に対応した避難用必要数の充足率との比較において整備状況を示されたい。主要国とは、米国や主なEU諸国、周辺国のうちの中国、韓国、台湾、ロシアなどでデータのあるものを我が国との比較において示されたい。
2 我が国においてシェルターを整備する場合、(一)堅固な建築物(住宅)のシェルター化、(二)地下商店街・地下道・地下鉄・地下駐車場など既存の地表下施設の改修、(三)国や自治体等が新規に造成、の方向が考えられる。これらを推進するには整備計画と造成・改修費用の補助制度が必要と考えられるが、国としての具体的な計画や適用できる補助制度はあるか。国として今後どう進めていくのか。
3 沖縄県においては、前述した状況からシェルター整備が焦眉の課題となっていることが明らかで、国として県や関係自治体とともに直ちに着手すべきと考えるが、現状の取組と今後の見通しについて明らかにされたい。また、沖縄県がたびたび台風などに直撃されることや、今後予想できない大震災の発生による津波その他の被害に備えて、大規模災害時に住民が避難し緊急事態下で命を長らえるための施設としての整備も、沖縄県における災害救援体制の強化として重要と考えるが、政府の考え方を示されたい。
政府
御指摘の「シェルター」及び「避難シェルター」について確立した定義はないと承知しており、御指摘の「主要国における対象人口に対応した避難用必要数の充足率」は把握していないが、国民保護法第百四十八条第一項及び第百八十四条第一項の規定により、都道府県知事等は、武力攻撃事態等において住民を避難させ、又は避難住民等の救援を行うため、あらかじめ、一定の基準を満たす施設を避難施設として指定しなければならないとされているところであり、全国における当該指定を受けた避難施設の数は、令和三年四月一日時点で九万四千百二十五か所である。
また、政府としては、武力攻撃事態等における住民の避難に関し、弾道ミサイルの着弾の衝撃や爆風により発生する被害をできる限り軽減する観点から、コンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設への避難が有効であると認識している。御指摘の「補助制度」は存在しないが、基本指針において、都道府県知事等による避難施設の指定に当たっての留意事項として「爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難に活用する観点から、コンクリート造り等の堅ろうな建築物や地下街、地下駅舎等の地下施設を指定するよう配慮する」ことを明記しており、全国における当該記載に該当する避難施設の数は、前記の指定を受けた避難施設のうち五万千九百九十四か所である。沖縄県におけるものを含め、これらの避難施設の多くが災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四十九条の四第一項に規定する指定緊急避難場所又は同法第四十九条の七第一項に規定する指定避難所としても指定されているところである。
内閣官房を中心とした関係省庁においては、沖縄県を含む全国において、国民保護法第百四十八条第一項及び第百八十四条第一項の規定に基づく都道府県知事等による避難施設の指定を推進するとともに、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、一定期間滞在可能な施設とする場合における必要な機能や課題等について、諸外国の調査も行うなどして、検討を進めているところである。