議会質問
生物兵器対処に関する本格的な研究開発や教育訓練と予算(2023年6月1日)
神谷宗幣(参政党)
参政党の神谷宗幣です。防衛財源確保法案に関連して質問します。今回の防衛予算の増大の背景の一つに、戦争の戦い方が変わってきているということがあると思います。資料でも新しい戦い方として、ミサイル防衛や宇宙、サイバー、電磁波の戦い、無人機攻撃、情報戦といったものが挙げられていますが、生物兵器による攻撃への想定が非常に弱いように思います。人類に大きな災害、災難をもたらす生物兵器は、大量破壊兵器の中で、他の核兵器、化学兵器に比較して、より安価で製造が容易であるため、国際社会で大きな関心が持たれています。我が国においても、生物災害が自然発生する若しくは人為的に作為された場合には、国民の生命、財産に甚大な被害をもたらすことが容易に予測されます。実際に、近年、新型コロナや鳥インフルエンザなども発生していますから、その被害は説明するまでもないと思います。このような脅威に対処し得る体制の整備は、厚生労働省が責任を負うものではなく、国家の安全保障上の重要な問題であるとして、政府全体が真剣に取り組むべきテーマであると考えていますが、自衛隊は、生物兵器対処に関する本格的な研究開発や教育訓練は実施していますか。また、今回増額される予算の中に生物兵器に備える予算は組み込まれていますか。併せてお答えください。
三島茂徳(政府参考人)
お答えいたします。防衛省におきましては、生物兵器を含むいわゆるNBC対処能力を確保するために、必要な研究開発や教育訓練などに取り組んできているところでございます。研究開発について申し上げれば、生物兵器の探知、識別能力を有するNBC偵察車の開発、生物剤の身体への浸透及び付着等を防止するために使用する個人用防護装備の開発、飛沫中のウイルスを検知するための技術の研究といった事業に取り組んでおり、またイギリス国防省との間では、防護マスクに関する技術の共同研究も行っております。教育訓練につきましては、自衛隊医官を国内外の関係機関へ留学させる等、生物剤に対する医療能力の向上を図っているほか、対特殊武器衛生隊等では、警察、消防との共同訓練を実施し、関係機関と更なる連携強化に努めており、陸上自衛隊化学学校においては、生物兵器等に対処するための教育訓練を実施しております。また、令和五年度予算におきましては、飛沫中のウイルスを検知するための技術と研究を令和四年度から引き続いて実施するための必要な経費として約四億円、施設整備については、既存施設の更新に合わせて、施設の機能、重要度に応じたNBC等に対する防護性能を付与することとしており、既存施設の更新に必要な経費として約八百六十八億円、装備品については、生物兵器等による汚染環境下において隊員が行動するために必要な一八式個人用防護装備、汚染地域を除染するための除染車等の最新の装備品の導入などに必要な経費として約七十九億円を確保しております。こうした取組を通じて、引き続きしっかりNBCに対する防護能力の強化を進めてまいります。
神谷宗幣(参政党)
お聞きいただいたように、研究で四億円ということですね。四億円ですよ、たった四億円しか充てられていないということですね。
ニュークリアシェアリングについての見解(2023年5月25日)
神谷宗幣(参政党)
私たちは、今回の財源の確保の目的、つまり抑止力を高めるという目的でサミットで提案するのであれば、アメリカの核兵器を自国領土内に配備して共同運用する核共有、ニュークリアシェアリングですね、これについて日本から参加国にお願いすることはできなかったのかなというふうに考えたりもします。もちろん、日本は核拡散防止条約、NPTの加盟国で、また非核三原則があるということも理解をしていますし、今回のサミットのメインのテーマが核なき世界を目指すということであったということも知っています。ここで先に誤解を生まないように言っておきますが、参政党は、別にこの核なき世界を目指すということが非現実的で反対しているという主張ではありません。一九一九年に国際会議で初めて人種差別はやめようというふうに提案したのは我が国日本です。当時、百年前ですから、誰もそんなことが実現するということは思っていなかったと思いますが、百年後の今は世界はそのように変わってきています。あるべき理想を訴えることはすばらしいことで、今回、核の廃絶と核なき世界ということを日本の総理が訴えられたということは大きな意義があるというふうに考えているという立場だということを前提に、ただ、総理も本会議でおっしゃっていましたけれども、現実と理想が程遠いんですね。なので、今回のG7サミットでも、各国首脳は核なき世界を目指すことには賛同されていますが、ではすぐに核を手放すということはどこも言わないわけです。特に、これ繰り返し、今回のテーマになっておりますが、我が国を取り巻く東アジアの現実というのは本当に厳しくて、北朝鮮の度重なるミサイル発射に対して、お隣の韓国の尹錫悦大統領も、国家防衛にはアメリカの核兵器の再配備か自前の核保有が必要だと表明し、韓国国民の約七〇%が自前の核保有を支持しているとの報道もあります。核なき世界という理想と核の抑止力が有効だという現実のはざまで防衛力の抜本的強化を目指す我が国としては、核の共有、ニュークリアシェアリングですね、を検討するということが、長期的に見ると最小限のコストで国防力を高めることになり、今後の防衛費の増大を抑える効果もあるというふうに考えるんですけれども、この点について財務大臣の見解をお聞かせください。
鈴木俊一(国務大臣)
閣内の一員という立場でお答えをさせていただきますが、核の抑止力、いろいろ段階があると思いますが、核兵器の保有ということにつきましては、総理からも答弁をしているとおり、非核三原則、それから原子力基本法を始めとする法体系との関係から認められず、政府として議論することは考えていないというのが政府の立場であるわけでありまして、私も閣内の一員としてその政府の方針に従うところであります。〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕
神谷宗幣(参政党)
従来どおりの考えになるとそういう答弁になるとは思うんですが、抜本的に軍事力を見直さなければいけないと、そして先ほど大塚先生も言ったように、財政的にももうあり得ないような状況になっていて、にっちもさっちもいかないという状況なので、これは財政の議論だけではなくて国防の議論も今までの常識を超えたレベルで話をしていかないと、従来どおりでは立ち行かないのではないかというふうなことを考えておりますので、もちろん、好戦的になろうとか専守防衛やめようとかいうことではなくて、抑止力を高めるという意味での議論というものはもっとしていった方がいいのではないかなというふうに思います。日本には原発もありますし、米軍基地もあるわけで、外国人と話をしていると、本当は日本は核持っているんでしょうと、置いているんでしょうというふうに言われたこともあります。ですので、持つ持たないということをはっきりしなくても、そういう議論をこういった国会の場でしていくということが抑止力を高めるということになるんではないかというふうに思いまして、このようなお話をさせていただきました。