質問主意書
現在、我が国では少子高齢化が進む中、若者の声が政治の場に十分届いていないという課題が浮き彫りになっている。選挙のたびに「若者は投票に行かない」との指摘が聞かれるが、その声が必ずしも的を射ているとは言い難い。若者が政治に関心を持ち、投票の意思があっても、現行制度の下では、選挙権が十八歳以上に限られており、若年層の政治参加が制約されている現実がある。
若者は、三十年先、四十年先の社会を見据える立場にあり、その長期的な視点を政策に反映させることは、今後の日本社会の持続可能性を考える上で極めて重要である。急速に進む少子高齢化や技術革新に対応するためには、未来を担う若年層の声をより早い段階で政治に反映させることが不可欠であり、そのための政治参加の機会と環境整備が必要である。
我が国では、二〇一六年に選挙権年齢が二十歳から十八歳に引き下げられ、若年層の政治参加が一歩進んだ。しかし、国際的には更に進んだ動きも見られる。例えば、オーストリアでは、選挙権年齢を十六歳に引き下げることで、若者の政治参加を一層促進している。また、被選挙権年齢も、国会議員(Nationalrat)選挙への立候補が十八歳から可能となっており、若年層が立候補しやすいように整備されている。こうした国際的な事例に鑑みれば、日本においても選挙権年齢の更なる引下げを検討することが、若年層の声を政治に反映させるための重要な一歩となるのではないか。
以上を前提に、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
立法手続は、一般に法律案の発議・提出、その審議・修正、議決・成立といった段階を含むが、憲法第四十一条はこれらすべてを国会が排他的に行うことを規定しているのか、政府の見解を明らかにされたい。
政府
お尋ねの「国会が排他的に行う」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第四十一条において「国会は、・・・国の唯一の立法機関である」と定めているのは、直接若しくは間接に国民を拘束し、又は国民に負担を課する法規範を定立する権限は、原則的に国会にのみあるとの原則を表明したものであると考えている。
神谷宗幣(参政党)
内閣による法律案の提出は、憲法第四十一条に違反していないと政府は解釈していると考えるが、その場合、これを憲法第四十一条の例外とみなしているのか、あるいは憲法第四十一条の適用範囲外と解釈しているのか、政府の見解を示されたい。
政府
お尋ねの「憲法第四十一条の例外とみなしているのか、あるいは憲法第四十一条の適用範囲外と解釈しているのか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「内閣による法律案の提出」については、憲法第七十二条に基づきできることとされており、「憲法第四十一条に違反」しているとは考えていない。
神谷宗幣(参政党)
仮に国会で成立した法律について、国民投票で賛否を問う制度が法制化された場合、国民投票により否認された法律を国会に差し戻し、再審議を義務付けることは憲法上許されるのか、政府の見解を明らかにされたい。なお、この再審議は義務付けのみであり、審議・修正及び可決・否決の自由は国会に保障される前提での質問である。
政府
三から五までについて
御指摘の「国会で成立した法律について、国民投票で賛否を問う制度」及び「国民が法律の制定や改廃を直接提案する国民発案の制度」について政府として検討しておらず、また、お尋ねについては仮定の質問であり、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
国民が法律の制定や改廃を直接提案する国民発案の制度が導入された場合、その発案された法律案の審議を国会に義務付けることは憲法上許容されるのか、政府の見解を示されたい。この点も、審議・修正及び可決・否決の自由が国会に保障されていることを前提とする。
政府
三から五までについて
御指摘の「国会で成立した法律について、国民投票で賛否を問う制度」及び「国民が法律の制定や改廃を直接提案する国民発案の制度」について政府として検討しておらず、また、お尋ねについては仮定の質問であり、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
前記三及び四の制度が法制化された場合、国民投票による否認や国民発案による法律案は、それぞれどのような法的意味を持つと政府は考えるのか。また、それらが事実上の拘束力を有すると認識するか、政府の見解を明らかにされたい。
政府
三から五までについて
御指摘の「国会で成立した法律について、国民投票で賛否を問う制度」及び「国民が法律の制定や改廃を直接提案する国民発案の制度」について政府として検討しておらず、また、お尋ねについては仮定の質問であり、お答えすることは困難である。
パブリック・コメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としている。
平成十七年六月の行政手続法改正により法制化され、それまでの「規制の設定または改廃に係る意見提出手続(平成十一年閣議決定)」に基づく意見提出手続に代わって導入された。
各意見公募案件の担当部局が定める適宜の方法(電子メール、FAX等)で意見を提出することができ、意見の提出期間は、原則として案の公示日から起算して三十日以上とされている。
また、パブリック・コメント公募を実施して命令等を制定した国の行政機関は、当該命令等の公布と同時期に、(一)命令等の題名、(二)命令等の案の公示日、(三)提出意見及び(四)意見に対する行政機関の考え方について公示を行うこととなっている。
以上を踏まえ、質問する。
神谷宗幣(参政党)
パブリック・コメントは、広く一般から意見を募ることが目的の一つとされているが、e―Govに登録されている案件の中に、一件の意見も提出されなかった事例は存在するか。存在するならそれは何件で、全体の中でどれほどの割合を占めるか。同様に十件未満しか意見が提出されなかった案件は、何件あり、それは全体の何%となっているか、いずれについても明らかにされたい。
政府
お尋ねの「一件の意見も提出されなかった事例」は存在する。また、その他のお尋ねについては、関係する資料の保存期間が経過しているものもあること及び調査に膨大な作業を要することから、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、令和三年四月から令和六年三月までの間に、パブリック・コメントの結果が公示されたものについて調査を行ったところ、「一件の意見も提出されなかった」案件は八百三十九件(全体の案件数に占める割合は約十九パーセント)、「十件未満しか意見が提出されなかった」案件は三千三百三十四件(全体の案件数に占める割合は約七十四パーセント)であった。
神谷宗幣(参政党)
令和六年四月二十四日より受付が開始された「「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集について」は、帰省等で多くの国民が移動するゴールデンウイークの時期に実施され、二百二十三ページに及ぶ資料を読み込む必要がある案件にもかかわらず、提出期間は原則の三十日の半分にも満たない十四日間とされていた。「広く一般から意見を募る」という趣旨から考えるならこのケースの在り方は望ましいものではなく、時期や資料の分量などを勘案して実施の在り方を国民からより意見を出しやすい形に工夫すべきであったと考えるが、今後の改善をどう図るのか。
政府
二及び三について
御指摘の「「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集」については、その意見募集の対象となる当該計画が、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第八号に規定する「命令等」に該当しないため、同法第三十九条の規定による「意見公募手続」を要するものではなく、また、「命令等を定めようとする場合において、三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、・・・その理由を明らかにしなければならない」と規定する同法第四十条第一項の適用対象となるものではないが、いずれにせよ、広く国民の御意見を求めるため、令和六年四月二十四日に開催した新型インフルエンザ等対策推進会議(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第七十条の二の二に規定する新型インフルエンザ等対策推進会議をいう。)において、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(平成二十五年六月七日閣議決定(最終改定 平成二十九年九月十二日))の改定案を議論した後、速やかに、政府が任意で実施した意見募集であり、「命令等」に関する手続に準じて、概要資料等をお示ししつつ、適切に行ったものと考えている。
神谷宗幣(参政党)
「「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集について」は、原則三十日の提出期間に対して十四日間しかない設定となっていた。その場合、理由が示されるべきであるが、本件について、その旨の記載欄に何の記載もされていない。その理由について説明されたい。
政府
二及び三について
御指摘の「「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集」については、その意見募集の対象となる当該計画が、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第八号に規定する「命令等」に該当しないため、同法第三十九条の規定による「意見公募手続」を要するものではなく、また、「命令等を定めようとする場合において、三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、・・・その理由を明らかにしなければならない」と規定する同法第四十条第一項の適用対象となるものではないが、いずれにせよ、広く国民の御意見を求めるため、令和六年四月二十四日に開催した新型インフルエンザ等対策推進会議(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第七十条の二の二に規定する新型インフルエンザ等対策推進会議をいう。)において、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(平成二十五年六月七日閣議決定(最終改定 平成二十九年九月十二日))の改定案を議論した後、速やかに、政府が任意で実施した意見募集であり、「命令等」に関する手続に準じて、概要資料等をお示ししつつ、適切に行ったものと考えている。
神谷宗幣(参政党)
約十九万件にも及ぶ意見が出された同案については、六月中に閣議決定を目指すとのことであるが、パブリック・コメントを受けて、具体的に当初の行動計画案に対して、意見が考慮され、反映された点などが、分かりやすく提示されるべきと考えるが、そのような対応は行われるか。
政府
お尋ねについては、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定の閣議決定と同時期に適切に対応してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
令和六年五月二十四日より意見受付が開始されている「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令案(仮称)に関する御意見の募集について」では、マイナンバーカードの健康保険証利用に関連した健康保険証の廃止、及び資格確認書に関する案件にもかかわらず、受け取り手にとって内容が想起し易い「マイナンバーカード」や、「健康保険証」などの単語が意見募集ページのどこにも記載されていない。広く意見を集めるためには、これらの単語を募集ページに掲載し、発見または検索しやすくすべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。
政府
御指摘の「案件」は、被保険者証の廃止や御指摘の「資格確認書」の手続等に係る規定を設ける省令案に関するものであるところ、当該省令案の内容を正確に示しつつ、御指摘のように「広く意見を集めるために」、「被保険者証」等の法令上の用語を用いた省令案の概要について御指摘の「募集ページ」に掲載することで、「発見または検索」することができ、「広く意見を集める」ことが可能であることから、必ずしも御指摘の「単語」を御指摘のように「募集ページに掲載し、発見または検索しやすくすべき」とは考えていない。
神谷宗幣(参政党)
パブリック・コメントにおいては、国民に我が国の方針を広く問う重要なものであると理解しているが、意見提出に際して日本国籍を有する者等の制限がなく、氏名等についても任意入力であることから、外国人による回答や、インターネット上において同一人物による複数回回答ができないような技術的な対策が必須であると考えるが、政府では、そのような措置について具体的検討は行われているか。
政府
行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的としており、同法第三十八条第一項の命令等を定める機関が同法第三十九条第一項の規定による手続を実施して命令等を定める場合には、提出された意見の内容を十分に考慮することが求められているところ、必ずしも意見を提出した者の属性や提出された意見の多寡に着目するものではないことから、御指摘のような措置は検討していない。