質問主意書
私が第二百十七回国会に提出した「土地利用状況に関する報告を踏まえた安全保障と外国人土地取得規制に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第一号。以下「本件質問主意書」という。)に対する答弁(内閣参質二一七第一号。以下「本件答弁書」という。)では、「重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針」(令和四年九月十六日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、「「どのような行為が機能阻害行為となるのかという点について、一定の予見可能性を確保しておくことも重要」であることから、機能阻害行為を例示したもの」にすぎず、「機能阻害行為に該当するか否かについて、「個別具体的な事情に応じ、適切に判断する」」としている。この点について、政府が実際に厳格な判断を行うことが期待される。
一方、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「同法」という。)において注視区域を重要施設の周囲おおむね千メートルの区域内と定めている根拠については「予見可能性の確保や過度な負担防止の観点から、施設からの一定の距離で範囲を設定していくことが適当である」としている。しかし、科学技術の進展を受け、高台からの観測やドローン、高性能カメラの利用、レーザー照射、電波妨害等の多様な手法により、千メートルを超える距離からであっても機能阻害行為は実施可能であると考えられることから、千メートルとする合理的な根拠が示されるべきである。
また、同法附則第二条において「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と定められているが、外国人・外国系法人による土地取得が増加しているという緊急の課題を考慮すると、五年を待たずに早期に検討を開始し、法改正や新たな対策を講ずるべきである。さらに、「「外国資本による土地取得」の規制」に関して、本件答弁書は、令和二年十一月九日の第一回国土利用の実態把握等に関する有識者会議での議論を引用し、「外国資本等の定義は難しく、仮に、外国資本等だけを対象にすると、いわゆるダミー会社等を捕捉できないおそれもある」としている一方で、令和六年十二月に公表された「重要施設周辺等における土地等の取得の状況(令和五年度)について」では、外国系法人(外国法人、及び内国法人であって外国籍を有する者又は国外に居住する外国人と思われる者が代表者となっているもの)による土地取得が具体的に調査され、公表されている。
このように、重要施設周辺等における土地の取得主体に関する調査機能を強化することにより、ダミー会社を含む不透明な土地の取得を明らかにすることが可能となり、調査機能の更なる強化が期待される。また、土地等の取得後における機能阻害行為に対しても、外国人・外国系法人だけでなく、日本人・日本法人も対象に内外無差別で調査及び規制を行うことで、安全保障上の効果を確保できると考える。
本件答弁書によれば、国土利用の実態把握等に関する有識者会議は、「国土利用の実態把握等のための新たな法制度のあり方について 提言」において、「新しい立法措置を講ずる場合には、内外無差別の原則を前提とすべきである」と提言しているという。しかし、安全保障等の観点からは、土地取得に関しては内外を区別して対応すべきである。現在、主要国のうち、外国人が自由に土地を取得することができるのは日本とマレーシアだけとされる。このような外国人による土地取得を厳格に規制しない政策は、重要な土地や水源地に対する用途制限がないため、日本の国土が広範囲にわたって外国人の手に渡る深刻な状況を生んでいる。さらに、外国人が無制限に土地を取得できる現状は、外国人自治区の形成や日本人の居住環境の悪化、物価上昇など多くの社会問題を引き起こしている。このままでは、日本の領土の相当部分が外国人に所有される可能性も否定できない。
以上を前提に、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
政府は「機能阻害行為に該当するか否かについて、「個別具体的な事情に応じ、適切に判断する」」としているが、具体的にどのような判断基準を設けているのか示されたい。また、基本方針に例示されていない行為についても、厳格な判断を行う方針であるか明らかにされたい。
政府
一について
前段のお尋ねについては、御指摘の「基本方針」において、機能阻害行為に該当するか否かについて、「個別具体的な事情に応じ、適切に判断する」こととしており、一概にお答えすることは困難である。
後段のお尋ねについては、御指摘の「基本方針」において、機能阻害行為の「類型に該当しない行為であっても、機能阻害行為として、勧告及び命令の対象となることはある」としているところであり、個別具体的な事情に応じ、適切に判断してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
同法において、重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域内を注視区域として指定することができることとした具体的根拠を示されたい。特に、現代の科学技術を考慮した場合、千メートルを超える距離からも機能阻害行為が可能と考えられるが、この点についてどのように検討したのか示されたい。また、同法制定過程での議論内容を併せて明らかにされたい。
政府
二について
御指摘の「現代の科学技術を考慮した場合、千メートルを超える距離からも機能阻害行為が可能と考えられる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和二年十二月二十四日に国土利用の実態把握等に関する有識者会議で取りまとめられた「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について 提言」において、「防衛関係施設等の周辺の土地につき、どの程度の範囲まで制度的枠組みの対象とするのかという点に関しては、予見可能性の確保や過度な負担防止の観点から、原則として、施設からの一定の距離で範囲を設定しておくことが適当である」とされたことを踏まえ、政府としては、「予見可能性の確保や過度な負担防止の観点」から、先の答弁書(令和七年二月四日内閣参質二一七第一号)一についてでお答えしたように、機能阻害行為が「相当に懸念される範囲」として、重要施設の「敷地からおおむね一千メートルの区域を対象とすることとした」ところである。
神谷宗幣(参政党)
重要施設周辺等における外国人・外国系法人による土地・建物等の取得が顕著であることが判明した現状を踏まえ、同法の施行後五年を待たずに法律の見直しを検討する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、「必要な措置を講ずる」ための具体的な行程表を示されたい。
政府
三及び五について
御指摘の「外国人・外国系法人による土地・建物等の取得が顕著であることが判明した現状」及びお尋ねの「安全保障に係る他の戦略的地域にも規制対象を拡大すべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号。以下「法」という。)第五条第一項に規定する注視区域(以下「注視区域」という。)において、法第六条に規定する土地等利用状況調査を適切に実施しているところであり、土地及び建物(以下「土地等」という。)の所有及び利用状況の実態把握を着実に進めてまいりたい。その上で、法附則第二条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に検討してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
中国人・中国系法人による土地・建物等の取得件数が極めて多い現状を踏まえ、中国の「国防動員法」及び「国家情報法」も考慮すると、中国人・中国系法人が取得した土地に対して特別な監視、調査、規制を強化すべきと考えるが、そのような方針があるか明らかにされたい。
政府
四について
御指摘の「中国人・中国系法人による土地・建物等の取得件数が極めて多い現状」並びにお尋ねの「中国人・中国系法人が取得した土地に対して特別な監視、調査、規制を強化すべき」及び「そのような方針」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、注視区域内における土地等の所有及び利用状況の実態把握を着実に進め、重要施設及び国境離島等に対する機能阻害行為を防止するべく、適切に対応してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
外国人の土地・建物等の取得に関しては、内外無差別の原則だけに依存するのではなく、安全保障を考慮し、全国的な土地利用の用途や量的側面を考慮した規制を設けるべきと考える。特に、「重要施設周辺及び国境離島等」の区域に限定せず、自衛隊基地・原子力関連施設・空港・港湾・水源地・通信施設周辺など、安全保障に係る他の戦略的地域にも規制対象を拡大すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
政府
三及び五について
御指摘の「外国人・外国系法人による土地・建物等の取得が顕著であることが判明した現状」及びお尋ねの「安全保障に係る他の戦略的地域にも規制対象を拡大すべき」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号。以下「法」という。)第五条第一項に規定する注視区域(以下「注視区域」という。)において、法第六条に規定する土地等利用状況調査を適切に実施しているところであり、土地及び建物(以下「土地等」という。)の所有及び利用状況の実態把握を着実に進めてまいりたい。その上で、法附則第二条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に検討してまいりたい。
令和六年十二月二十三日に開催された第十回土地等利用状況審議会における報告事項「重要施設周辺等における土地等の取得の状況(令和五年度)について」(以下「本件報告」という。)によると、国境離島や重要施設周辺等での外国人・外国系法人による土地・建物等の取得が顕著である。令和五年度までに指定された注視区域(三百九十九区域)内において、同年度中、外国人・外国系法人が土地百七十四筆、建物百九十七個を取得しており、国別では、中国が二百三筆個と全体の五十四・七%を占めている。該当事例に係る注視区域の多くは自衛隊関連の施設(基地、駐屯地、弾薬庫など)であることから、安全保障に重大な影響を及ぼす潜在的なリスクを我が国は抱えている。
特に、令和六年版外交青書によると、中国は「力による一方的な現状変更やその既成事実化」を試みており、この行動は「法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦」であるとしている。この状況の中で、中国が重要施設周辺等において多くの土地・建物等を取得している現状は、我が国の安全保障において注視すべき課題である。一方で、令和五年度に、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「同法」という。)第九条に基づく、重要施設等の機能を阻害するような土地等の利用の中止等を求める勧告及び命令が一度も行われなかったことは、法的措置が実際の脅威に対して不十分であることを示している。我が国の安全保障のため、同法の遅滞ない厳格な適用が必要である。
さらに、本件報告で明らかとなった深刻な状況は、現行法だけでは安全保障上の必要な対応を効果的に行うことが難しいことを示唆していると考える。このため、GATSの条約改正を含む国際的な枠組みを通じて外国人による土地等の取得をより厳しく制限する措置を検討することや、土地等の取得に関する調査権限を強化することも重要だと考える。
以上を踏まえ質問する。
神谷宗幣(参政党)
同法第五条では、注視区域は重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域内と定められているが、機能阻害行為は千メートル以上離れた場所からでも可能であると考えられる。千メートルとした根拠を明らかにするとともに、この範囲を広げる必要性について政府の見解を示されたい。
政府
お尋ねの「千メートルとした根拠」については、令和三年六月八日の参議院内閣委員会において、政府参考人が「有識者会議の提言では、調査等の対象となる防衛関係施設等の周辺の範囲について、・・・予見可能性の確保や過度な負担防止の観点から、施設からの一定の距離で範囲を設定していくことが適当であるとされたところでございます。これを踏まえまして、重要施設の周辺区域については、その機能を阻害する行為が相当に懸念される範囲として、その敷地からおおむね一千メートルの区域を対象とすることとしたところでございます。」と答弁しているとおりである。まずは、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号。以下「法」という。)第五条第一項に規定する重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域内等の区域で、法第六条に規定する土地等利用状況調査(以下「調査」という。)及び法第一条に規定する利用の規制を徹底していくことが肝要であると考えている。
神谷宗幣(参政党)
「重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針」(令和四年九月十六日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、「機能阻害行為の類型並びに勧告及び命令の対象となり得る行為」について記されている。機能阻害行為の範囲が狭いのではないかと思われるが、この範囲についてはどのような基準で決定されたか示されたい。
また、基本方針では「施設の敷地内を見ることが可能な住宅への居住」は機能阻害行為に当たらないとしているが、このような住宅から施設の敷地内の動向が監視可能であることは、安全保障上の懸念を生じさせるものではないのか。この点について政府の見解を示されたい。
政府
前段のお尋ねについては、御指摘の「機能阻害行為の範囲が狭い」及びお尋ねの「どのような基準で決定されたか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「基本方針」において、「どのような行為が機能阻害行為となるのかという点について、一定の予見可能性を確保しておくことも重要」であることから、機能阻害行為を例示したものであり、また、「この類型に該当しない行為であっても、機能阻害行為として、勧告及び命令の対象となることはある。」としているところである。
後段のお尋ねについては、御指摘の「基本方針」において、「通常、機能阻害行為に該当するとは考えられない」行為を例示しているが、いずれにせよ、機能阻害行為に該当するか否かについて、「個別具体的な事情に応じ、適切に判断する」こととしており、一概にお答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
基本方針によれば、「注視区域内にある土地等の利用者が、現に、当該土地等を機能阻害行為の用に供していると認められる場合」のみならず、「注視区域内にある土地等の利用者が、当該土地等を機能阻害行為の用に供する蓋然性が社会通念上相当程度高いと認められる場合」にも、勧告の対象になるとされている。この「蓋然性」を適切に判断し、同法を厳格に適用するためには、調査機能を強化する必要があると考えるが政府の見解を示されたい。
また、同法に規定される利用者等関係情報の提供(第七条)及び報告の徴収等(第八条)に基づく現在の体制が、実際に現状の脅威を把握し、適切に対応するために十分であると考えるか政府の見解を示されたい。
さらに、これらの措置に加えて、我が国の安全保障を確実に保つための追加的な手段の導入が必要と考えるが政府の見解を示されたい。
政府
三及び八について
法第五条第一項に規定する注視区域においては、現在、調査を適切に実施しているところであり、まずは土地及び建物(以下「土地等」という。)の所有及び利用状況の実態把握を着実に進めてまいりたい。その上で、法附則第二条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に検討してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
同法は、「注視区域の指定(第五条)、土地等利用状況調査(第六条)、利用者等関係情報の提供(第七条)、報告の徴収等(第八条)、注視区域内にある土地等の利用者に対する勧告及び命令(第九条)、土地等に関する権利の買入れ(第十一条)」と段階を追った措置を規定している。土地等利用の状況調査を実施し、機能阻害行為が確認された(あるいはそのおそれがある)段階で、勧告及び命令等による利用規制などに進むことが見込まれていると思われる。調査から勧告、勧告から命令に至るまで、それぞれどれくらいの期間を要すると想定しているか示されたい。
政府
お尋ねについては、個別具体的な事案によって異なることが想定されることから、一概にお答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
機能阻害行為の用に供されることを防止するため、国が適切な管理を行う必要があると認められるものについては、同法に基づき当該土地等の買入れを行うとされている。外国人・外国系法人による土地等の取得そのものを規制する体制が整っていない現在の体制を補完する意味でも、機能阻害行為の蓋然性が高い場合には、国による買入れを積極的に進めるべきと考えるが政府の見解を示されたい。
政府
法第二十三条において、「国は、注視区域内にある土地等であって、重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため国が適切な管理を行う必要があると認められるものについては、当該土地等の所有権又は地上権その他の使用及び収益を目的とする権利の買取りその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に対応してまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
中国の「国防動員法」及び「国家情報法」を考慮すれば、土地等を取得した中国人・中国系法人が、これらの法律に従い中国政府の指示に基づく機能阻害行為を行う可能性を否定できない。このような状況は、我が国の安全保障にとって明白な脅威であると考える。この点を踏まえ、外国資本による土地取得に対し、追加的な対策を講ずる必要があると考えるが政府の見解を示されたい。
政府
お尋ねの「追加的な対策を講ずる必要がある」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、「外国資本による土地取得」の規制については、例えば、令和二年十一月九日の第一回国土利用の実態把握等に関する有識者会議において、「外国資本等の定義は難しく、仮に、外国資本等だけを対象にすると、いわゆるダミー会社等を捕捉できないおそれもある」という意見が示されており、同年十二月二十四日に同会議で取りまとめられた「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について 提言」においても「新しい立法措置を講ずる場合には、内外無差別の原則を前提とすべきである」とされているところ、これらの意見等も踏まえ、慎重に検討する必要があると考えている。
神谷宗幣(参政党)
登記上は日本人・日本法人名義であっても、実際には外国人・外国系法人が出資して土地等を取得しているケースが存在する可能性がある。我が国の安全保障を確保するためには、このようなケースを効果的に把握し、適切に対応する体制を整備することが重要である。現在、このような状況を調査する体制は採られているか。また、本件報告には前記ケースは含まれているか示されたい。
政府
御指摘の「登記上は日本人・日本法人名義であっても、実際には外国人・外国系法人が出資して土地等を取得しているケース」及びお尋ねの「このような状況を調査する体制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「重要施設周辺等における土地等の取得の状況(令和五年度)について」(令和六年十二月内閣府政策統括官(重要土地担当)公表)において、「国外に居住する外国人と思われる者」、「内国法人であって外国籍を有する者又は国外に居住する外国人と思われる者が代表者となっているもの」等による土地等の取得についても、調査を実施した上で、公表している。
神谷宗幣(参政党)
本件報告では、我が国の安全保障に重大な影響を及ぼす潜在的なリスクが明らかになっている。特に、外国人・外国系法人による我が国の土地等の取得に対して、より厳格な規制を行う必要があると考える。土地等の取得そのものの規制、使用目的の規制、税制上の措置など、様々な方策が考えられる。本件報告を踏まえ、規制強化の方向で同法の改正を検討すべきと考えるが政府の見解を示されたい。
政府
三及び八について
法第五条第一項に規定する注視区域においては、現在、調査を適切に実施しているところであり、まずは土地及び建物(以下「土地等」という。)の所有及び利用状況の実態把握を着実に進めてまいりたい。その上で、法附則第二条において、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされていることを踏まえ、適切に検討してまいりたい。
我が国における外国人による土地取得に関する再質問主意書(第二百十一回国会質問第八〇号)(以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁(内閣参質二一一第八〇号)(以下「本件答弁書」という。)があった。
前記に先立ち提出した我が国における外国人による土地取得に関する質問主意書(第二百十一回国会質問第四二号)に対する答弁(内閣参質二一一第四二号)においては、十三の質問のうち十一の質問に関して、質問内容が理解できないとの理由で具体的な答弁が得られなかった。
このため、本件質問主意書では、各問に関して内容を一層丁寧に説明し、かつ、質問の趣旨と背景の説明を拡充して理解しやすくし、さらに、具体的な例を挙げて内容を把握しやすいように種々の工夫を行って質問を行った。それにもかかわらず、本件答弁書において再び、十一の質問のうち十の質問に関して内容が理解できないとの応答があった。
すなわち、前記二つの質問主意書に対して、約九割(八十七・五%)の質問が理解できないとされた。
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)が国民の負託を受けた国会議員に質問権を定めた趣旨に鑑みれば、政府は、転送された質問主意書に対しては誠実に答弁すべきと思われるところ、これまでの答弁を見ても、誠実な対応が採られているとは言い難い。
我が国における外国人による土地取得は、国家安全保障の観点から差し迫った重要課題であり、慎重かつ真剣に、そして、迅速に対応すべきであり、誠実に答弁されたい。
以上を踏まえ、以下のとおり質問する。
神谷宗幣(参政党)
本件質問主意書の質問一、二の1、二の2、二の3、二の4、三の2、三の3、四の1、四の2、四の3に対し、質問内容が理解できないとする各答弁について、本件質問主意書で用いられている単語の意味が理解できないのか、単語のつながりが理解できないのか、理解できないとされる具体的な単語を明示して理解できないとする点を明確に指摘した上で再度答弁されたい。
政府
先の質問主意書(令和五年五月十九日提出質問第八〇号。以下「前回質問主意書」という。)一については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(令和五年五月三十日内閣参質二一一第八〇号。以下「前回答弁書」という。)一についてにおいて、御質問における「サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)(以下「GATS」という。)及びその他の関連する多国間協定(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む。以下同じ。)を援用することで、GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、自国における外国人による土地取得(以下「本件土地取得」という。)を規制することは現状で可能である」の全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。その上で申し上げれば、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Bのサービスの貿易に関する一般協定その他の多数国間条約の締約国が自国における外国人による土地取得を規制することがこれらの条約に整合的であるか否かについては、前回答弁書一についてで述べたとおりである。
前回質問主意書二の1については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書二の1についてにおいて、御質問における「GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制することを可能とする」及び「GATS及びその他の関連する多国間協定が「留保」を付すことを許容しており、かかる「留保」により本件土地取得の規制を行う」のそれぞれ全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、国際約束の内容を変更するためには、当該国際約束が定める改正等の手続をとる必要がある。
前回質問主意書二の2については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書二の2についてにおいて、御質問における「現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を援用して本件土地取得に係る規制を行うことが可能である」及び「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を既に付していて本件土地取得の規制を現在行うことができる状態」のそれぞれ全体として意味するところ並びに御質問における「本件土地取得に係る規制」及び「本件土地取得の規制」の用語の具体的内容が明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
前回質問主意書二の3については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書二の3についてにおいて、御質問における「本件土地取得の規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を行う」、「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を付しておらず本件土地取得の規制ができない状態」及び「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に新たに「留保」を付して本件土地取得の規制を行う」のそれぞれ全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、国際約束の内容を変更するためには、当該国際約束が定める改正等の手続をとる必要がある。
前回質問主意書二の4については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書二の4についてにおいて、御質問における「GATS及びその他の関連する多国間協定に付した「留保」を援用することにより(もし現在は日本がかかる留保を付していないのであれば、今後かかる留保を付すことにより)、我が国における外国人による本件土地取得を規制すべき」の全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
前回質問主意書三の2については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書三の2についてにおいて、御質問における「B国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」をA国に対して主張することで土地取得の規制をA国人に対して行う」及び「GATS及びその他の関連する多国間協定に関して、「相互主義」を主張することで本件土地取得の扱いを自国と相手国で均衡がとれた状態にする」のそれぞれ全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
前回質問主意書三の3については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書三の3についてにおいて、御質問における「GATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を主張することにより本件土地取得に係る規制を行う」及び「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を根拠として日本国内におけるC国人による本件土地取得を規制する」のそれぞれ全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
前回質問主意書四の1については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書四の1についてにおいて、御質問における「GATS及びその他の関連する多国間協定上、日本が「相互主義」を援用できないことで本件土地取得の規制が実施できず」の全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
前回質問主意書四の2については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書四の2についてにおいて、御質問における「GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することでかかる規制を実施する」及び「今は日本が相互主義を主張して本件土地取得を規制することができないとされた場合でも、今後日本が「相互主義」を主張することで、F国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はF国民が日本において本件土地取得を行うことを規制していないといった扱いが異なる状態を、日本とF国の両国ともに相手国民による本件土地取得を制限する状態(双方の本件土地取得に係る扱いが同じになる状態)」のそれぞれ全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
前回質問主意書四の3については、お尋ねの「単語のつながり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書四の3についてにおいて、御質問における「GATS及びその他の関連する多国間協定に関わる「相互主義」を主張して本件土地取得の規制を行い、本件土地取得の扱いに関して公平を図る」の全体として意味するところが明らかでない旨を述べたものであり、そのため、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
本件答弁書「三の1について」によれば、中国では外国人が中国の土地の所有権を取得することは想定されていないとのことである。したがって、日本国民が中国で土地を取得することは想定されていない。しかし、我が国においては中国国民による土地取得が行われている。
日中両国で相手国の国民による自国の土地取得の取扱いが異なることにつき政府の見解を示されたい。
政府
お尋ねについては、日中両国の置かれている経済的、社会的な事情等が異なるため、 一概に比較することは困難である。
我が国における外国人による土地取得に関する質問主意書(令和五年三月二十三日提出、質問第四二号)(以下「本件質問主意書」という。)に対する答弁書(令和五年四月四日付、内閣参質二一一第四二号)(以下「本件答弁書」という。)では、本件質問主意書で行った十三の質問のうち十一の質問に関して、質問内容が理解できないとの理由により具体的な答弁が得られなかった。
これまでの国会審議及び質問主意書の中では、質問主意書に対する答弁の在り方が取り上げられ、質問主意書に対して「お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではない」、「意味するところが必ずしも明らかでない」等の言い回しを行った後、答弁を留保する、拒否する、質問の趣旨と離れた一般的な答弁を行うケースが多く見られる等の指摘がなされている(例として、平成二十九年五月十日提出質問第二九四号、令和二年六月十七日質問第一九三号、令和三年一月十八日質問第三号、令和三年三月十七日衆議院法務委員会、平成三十年五月三十一日参議院総務委員会、平成二十七年七月二十九日参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会、平成三十一年三月七日衆議院総務委員会における審議など)。
また、答弁がおざなりで不誠実になっているとの報道が複数の新聞でなされている(例として、「質問主意書の提出最多 野党活用、おざなり答弁も増」朝日新聞平成二十一年七月十八日、「アクセス 逃げの答弁書3割 質問「意味するところ不明」現政権 ゼロ回答・一般論急増」毎日新聞平成二十九年五月九日、「チェック 質問主意書 野党の武器 威力低下「ゼロ回答」頻発/提出増加も影響」毎日新聞平成三十一年二月十三日夕刊、「政界Zoom 質問主意書その威力は 7日で政府統一見解」日本経済新聞平成三十一年一月十八日夕刊)。
政府は、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の規定に基づき、転送された質問主意書に対して答弁することが求められている。したがって、当方から提出する質問主意書のいずれに対しても、政府は誠実に答弁することが求められていると理解している。 本件質問主意書は、我が国における外国人による土地取得が規制なく行われ、安全保障上重要と考えられる土地が外国人所有となることに懸念があることから、我が国における外国人による土地取得を規制する方策を検討するに当たり、土地取得に関連する国際約束に関して法的な確認を行うことを目的とするものである。
以上を念頭に本件質問主意書の各質問事項について以下のとおり改めて質問する。
神谷宗幣(参政党)
本件土地取得の規制について
サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)(以下「GATS」という。)及びその他の関連する多国間協定(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む。以下同じ。)を援用することで、GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、自国における外国人による土地取得(以下「本件土地取得」という。)を規制することは現状で可能であるか。可又は否のいずれの場合も、その法令上の根拠を説明されたい。また、安全保障上や自国民の諸権利を守るための目的でなされる各国における外国人による土地取得規制の現状について、政府が知悉している内容を明らかにされたい。
政府
お尋ねの「サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)(以下「GATS」という。)及びその他の関連する多国間協定(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む。以下同じ。)を援用することで、GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、自国における外国人による土地取得(以下「本件土地取得」という。)を規制することは現状で可能である」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。その上で申し上げれば、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Bのサービスの貿易に関する一般協定その他の多数国間条約の締約国が自国における外国人による土地取得を規制することがこれらの条約に整合的であるか否かについては、当該締約国が負っている当該条約上の義務や具体的な規制の内容によることから、一概にお答えすることは困難である。
また、お尋ねの「各国における外国人による土地取得規制の現状」については、他国の制度に関するものであり、その詳細を承知していない。なお、米国、英国、オーストラリア、韓国及びフランスについては、先の答弁書(令和五年四月四日内閣参質二一一第四二号)三の1についてで述べたとおりである。
神谷宗幣(参政党)
国家が条約批准の際に特定の条項を自国には適用しない又は変更を加えて適用するという意思表示をすること(以下「留保」という。)について
1 GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制することを可能とするためには、条約上の手続を含みいかなる法的な手続を行うことが必要であるか説明されたい。この質問は、GATS及びその他の関連する多国間協定が「留保」を付すことを許容しており、かかる「留保」により本件土地取得の規制を行うことができる場合、締約国はいかなる手続によりかかる「留保」を行うことができるかを問う趣旨である。
2 現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を援用して本件土地取得に係る規制を行うことが可能であるか。可又は否のいずれの場合も、法令上の根拠を説明されたい。この質問は、日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を既に付していて本件土地取得の規制を現在行うことができる状態にあるかどうかを問う趣旨である。
3 前記二の2について、現状では日本が本件土地取得の規制ができない場合は、今後我が国が本件土地取得の規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を行うにはいかなる手続が必要かを示されたい。この質問は、もし現在は日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を付しておらず本件土地取得の規制ができない状態にある場合、今後日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に新たに「留保」を付して本件土地取得の規制を行うために必要な手続の内容を問う趣旨である。
4 日本において外国人が何らの規制なく土地を取得することは安全保障の観点から問題ではないかとの懸念があり、GATS及びその他の関連する多国間協定に付した「留保」を援用することにより(もし現在は日本がかかる留保を付していないのであれば、今後かかる留保を付すことにより)、我が国における外国人による本件土地取得を規制すべきであるとの考えがある。この考えについて、政府の見解を示されたい。
政府
二の1について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定の締約国は、条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制することを可能とする」及び御指摘の「GATS及びその他の関連する多国間協定が「留保」を付すことを許容しており、かかる「留保」により本件土地取得の規制を行う」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、国際約束の内容を変更するためには、当該国際約束が定める改正等の手続をとる必要がある。
二の2について
お尋ねの「現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を援用して本件土地取得に係る規制を行うことが可能である」及び御指摘の「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を既に付していて本件土地取得の規制を現在行うことができる状態」の意味するところ並びにお尋ねの「本件土地取得に係る規制」及び御指摘の「本件土地取得の規制」の具体的内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。
二の3について
お尋ねの「本件土地取得の規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上の「留保」を行う」並びに御指摘の「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に「留保」を付しておらず本件土地取得の規制ができない状態」及び「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定に新たに「留保」を付して本件土地取得の規制を行う」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、国際約束の内容を変更するためには、当該国際約束が定める改正等の手続をとる必要がある。
二の4について
御指摘の「GATS及びその他の関連する多国間協定に付した「留保」を援用することにより(もし現在は日本がかかる留保を付していないのであれば、今後かかる留保を付すことにより)、我が国における外国人による本件土地取得を規制すべき」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を相手国に対して付与しようとする考え方(以下「相互主義」という。)について
以下各質問においてA国、B国などの記号を用いて国を例示することとする。例示であって、特定国を表すものではない。
1 国内における外国人による土地取得を規制している国に関して、本件答弁書によれば、令和二年十一月九日の時点で米国、英国、オーストラリア、韓国及びフランスについては政府として規制内容等を把握していたとのことである。
その一方で、我が国における外国人による土地取得が規制なく行われ、安全保障上重要と考えられる土地が外国人所有となることに懸念が表明されているが、右は特に日本における中国人による土地取得の事例に関して問題視されている。ついては、政府が本件土地取得に関する対応を検討するに当たり、政府は中国において外国人による土地取得がいかなる規制を受けているかを把握しておくべきではないか。
現時点で政府が把握している中国における外国人による土地取得に対する規制内容を示されたい。把握していなければ、中国における外国人による土地取得に対する規制内容を調査する意思と予定があるかを示されたい。
2 A国内で外国人(B国人を含む)による土地取得の規制を行っている場合、B国内で外国人(A国人を含む)による土地取得を行うことを規制する際、B国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」をA国に対して主張することで土地取得の規制をA国人に対して行うことが可能かを示されたい。この質問は、GATS及びその他の関連する多国間協定に関して、「相互主義」を主張することで本件土地取得の扱いを自国と相手国で均衡がとれた状態にすること(相手国で本件土地取得が規制されている場合は、自国においても本件土地取得を相手国人に対して規制すること)が可能か否かを問う趣旨である。
3 現状で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を主張することにより本件土地取得に係る規制を行うことは可能か。可又は否のいずれの場合も、その法令上の根拠を説明されたい。この質問は、C国内で日本人を含む外国人による土地取得を規制している場合、日本がGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を根拠として日本国内におけるC国人による本件土地取得を規制することができる状態に現在あるか否かを問う趣旨である。
政府
三の1について
国土交通省が令和二年度に我が国の建設業及び不動産業の海外展開を促進する観点から委託調査した結果、中国における土地の所有については、全ての土地が国家所有又は農民の集団所有に属するとされており、外国人も含むその他の主体が中国の土地の所有権を取得することは想定されていないこと等を把握しており、その内容については、同省のウェブサイトに掲載している。
三の2について
お尋ねの「B国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」をA国に対して主張することで土地取得の規制をA国人に対して行う」及び御指摘の「GATS及びその他の関連する多国間協定に関して、「相互主義」を主張することで本件土地取得の扱いを自国と相手国で均衡がとれた状態にする」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
三の3について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を主張することにより本件土地取得に係る規制を行う」及び御指摘の「日本がGATS及びその他の関連する多国間協定の適用に関して「相互主義」を根拠として日本国内におけるC国人による本件土地取得を規制する」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
現状で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「相互主義」に基づいて本件土地取得に係る規制ができる状態にないとした場合は、自国で本件土地取得に係る規制を行っている国との関係では不均衡かつ不公平であり、好ましからぬ状態である。すなわち、D国民は日本で本件土地取得を規制なく行えるが、日本国民はD国で本件土地取得を規制され、扱いが均衡していない。この関連で、以下につき回答されたい。
1 GATS及びその他の関連する多国間協定上、日本が「相互主義」を援用できないことで本件土地取得の規制が実施できず、日本と相手国で本件土地取得の扱いが異なり不均衡な状態にある国はあるか。その国名を示されたい。ここでいう「不均衡な状態」とは、E国は自国内で本件土地取得を制限し、日本国民もE国では本件土地取得を制限されているが、日本はE国民が本件土地取得を行うことを規制していないような、日本とE国の両国で扱いが異なっている状態をいう。
2 我が国で本件土地取得に係る規制を実施する場合、GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することでかかる規制を実施するためには、我が国は新たにいかなる手続を行う必要があるか示されたい。この質問は、今は日本が相互主義を主張して本件土地取得を規制することができないとされた場合でも、今後日本が「相互主義」を主張することで、F国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はF国民が日本において本件土地取得を行うことを規制していないといった扱いが異なる状態を、日本とF国の両国ともに相手国民による本件土地取得を制限する状態(双方の本件土地取得に係る扱いが同じになる状態)にするために必要な手続を問う趣旨である。
3 前記四の2の不公平な状態(G国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はG国民が日本において本件土地取得を行うことを規制しておらず、扱いが異なって不公平である状態)にある相手国との間で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定に関わる「相互主義」を主張して本件土地取得の規制を行い、本件土地取得の扱いに関して公平を図る(日本とG国の両国が、相手国民による本件土地取得を制限している状態、すなわち、双方の本件土地取得に係る扱いが同じで公平と考えられる状態にする)ことが考えられるが、右考えについて政府の見解を示されたい。
政府
四の1について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上、日本が「相互主義」を援用できないことで本件土地取得の規制が実施できず」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
四の2について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することでかかる規制を実施する」及び御指摘の「今は日本が相互主義を主張して本件土地取得を規制することができないとされた場合でも、今後日本が「相互主義」を主張することで、F国は自国内で日本国民による本件土地取得を制限しているが、日本はF国民が日本において本件土地取得を行うことを規制していないといった扱いが異なる状態を、日本とF国の両国ともに相手国民による本件土地取得を制限する状態(双方の本件土地取得に係る扱いが同じになる状態)」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
四の3について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定に関わる「相互主義」を主張して本件土地取得の規制を行い、本件土地取得の扱いに関して公平を図る」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
二国間協定について
我が国が本件土地取得に関してGATS上の「相互主義」を援用できない不均衡な状態(H国は自国内で日本国民による本件土地取得を規制しているが、日本はH国民が日本において本件土地取得を行うことを規制しておらず、扱いが異なって不均衡である状態)にあるH国に関して、H国と新たに二国間の協定を締結する、あるいは、既に二国間協定を締結している場合は同二国間協定を改正する等の措置によって、不均衡の是正を図る(日本とH国ともに相手国民による本件土地取得を規制する状態、すなわち、日本とH国双方の本件土地取得に関する扱いが同じになる状態とする)べきであるとの考えにつき、政府の見解を示されたい。
政府
御指摘の「我が国が本件土地取得に関してGATS上の「相互主義」を援用できない不均衡な状態」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
政府の働きかけ等を受けて御指摘の「孔子学院」を設置する学校法人から公開される情報等を踏まえ、御指摘の「管理強化、閉鎖、設置抑制等の更なる措置」が必要な場合や、法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。
外国人による我が国の島嶼買収の実態に関する質問主意書(令和五年二月九日提出、質問第九号)(以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(令和五年二月二十一日付、内閣参質二一一第九号)の送付があった。本件質問主意書を提出した背景には、我が国における外国人による土地取得(以下「本件土地取得」という。)に関する、特に安全保障の観点からの諸懸念がある。
今後、本件に関する議論や施策を進めるために、法的な整理を行うことが必要であると考える。具体的には、本件質問主意書及び同答弁書に関連して、本件土地取得を適正に管理する趣旨から、サービスの貿易に関する一般協定(General Agreement on Trade in Services)(以下「GATS」という。)及びその他の関連する国際条約に関し、法的な現状や課題を明確にすることが重要である。
以上を踏まえ、以下の諸点について確認を求める。
神谷宗幣(参政党)
本件土地取得の規制
GATS及びその他の関連する多国間協定(地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を含む。以下同じ。)に照らして、本件土地取得を規制することは現状で可能であるか。可又は否のいずれの場合も、その法令上の根拠を説明されたい。
政府
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定・・・に照らして、本件土地取得を規制することは現状で可能である」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
二 国家が、条約批准の際に、その条約の特定の条項を自国には適用しない、又は変更を加えて適用するという意思表示をすること(以下「留保」という。)について
1 GATS及びその他の関連する多国間協定の条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制する仕組みにつき説明されたい。
2 現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「留保」を援用して本件土地取得に係る規制が可能であるか。可又は否のいずれの場合も、法令上の根拠を説明されたい。
3 現状ではできない場合は、今後我が国が本件土地取得に係る規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定で留保を行うために必要な手続を示されたい。
4 特に安全保障の観点から、GATS及びその他の関連する多国間協定の「留保」を援用することにより、我が国における外国人による土地取得を規制すべきとの考えについて、政府の見解を示されたい。
政府
二の1について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定の条約上の「留保」を行うことにより本件土地取得を規制する仕組み」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
二の2について
お尋ねの「現時点で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上「留保」を援用して本件土地取得に係る規制が可能である」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
二の3について
お尋ねの「本件土地取得に係る規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定で留保を行う」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
二の4について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定の「留保」を援用することにより、我が国における外国人による土地取得を規制すべき」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
三 相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を相手国に対して付与しようとする考え方(以下「相互主義」という。)について
1 国内における外国人による土地取得を規制している国に関して、政府が把握している国名、規制内容、規制の法的根拠を示されたい。その中で、特に、中国、韓国、ロシア、G7メンバー国に関して、規制の有無、規制内容、規制の法的根拠を明らかにされたい。
2 自国内で外国人による土地取得の規制を行っている当該国の国民が他国で土地取得を行うことを規制するため、当該他国がGATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」を主張することを可能とする仕組みについて説明されたい。
3 現状で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上で「相互主義」により本件土地取得に係る規制を行うことは可能か。可又は否のいずれの場合も、その法令上の根拠を説明されたい。
政府
三の1について
お尋ねについては、他国の制度に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。なお、米国、英国、オーストラリア、韓国及びフランスについては、令和二年十一月九日に内閣官房において開催した第一回国土利用の実態把握等に関する有識者会議の資料三の十八ページから二十ページまでにその時点で政府として把握していた規制内容等を記載している。
三の2について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上「相互主義」を主張することを可能とする仕組み」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
三の3について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上で「相互主義」により本件土地取得に係る規制を行う」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
四 現状で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定上の「相互主義」に基づいて本件土地取得に係る規制ができないとした場合は、自国で本件土地取得に係る規制を行っている国との関係では不均衡かつ不公平であり、好ましからぬ状態である。この関連で、以下につき回答されたい。
1 GATS及びその他の関連する多国間協定上、我が国が本件土地取得に関して「相互主義」を援用できない不均衡な状態にある国はあるか。その国名を示されたい。
2 我が国で本件土地取得に係る規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することが可能となるためには、我が国は新たにいかなる手続が必要か示されたい。
3 前記2の不公平な状態にある相手国との間で、我が国はGATS及びその他の関連する多国間協定に関わる相互主義を導入して本件土地取得における公平を図ることが考えられるが、政府の見解を示されたい。
政府
四の1について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定上、我が国が本件土地取得に関して「相互主義」を援用できない不均衡な状態にある国」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
四の2について
お尋ねの「本件土地取得に係る規制を実施するため、GATS及びその他の関連する多国間協定上での相互主義を主張することが可能となる」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
四の3について
お尋ねの「GATS及びその他の関連する多国間協定に関わる相互主義を導入して本件土地取得における公平を図る」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
五 二国間協定について
1 現在我が国が締結している二国間の協定に基づき、本件土地取得を規制することは可能であるか。可能な場合、その相手国と規制内容を示されたい。
その中で、我が国が締結している二国間の投資協定又は経済連携協定に、当該二国間の経済関係に関する相互主義の規定があるか、土地取得は相互主義の対象となっているかを明らかにされたい。
2 我が国が本件土地取得に関してGATS上の「相互主義」を援用できない不均衡な状態にある国に関して、当該国との二国間の協定により不均衡の是正を図るべきとの考えにつき、政府の見解を示されたい。
政府
五の1について
お尋ねの「現在我が国が締結している二国間の協定に基づき、本件土地取得を規制する」及び「二国間の経済関係に関する相互主義の規定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とウズベキスタン共和国との間の協定(平成二十一年条約第七号)等、我が国が近年締結した多くの投資協定又は経済連携協定においては、相手国において、日本国の国民又は法人が土地の取得又は賃貸借を禁止又は制限されている場合には、日本国における相手国の国民又は法人による土地の取得又は賃貸借について、同一又は類似の禁止又は制限を課することができるなどとされている。
五の2について
お尋ねの「GATS上の「相互主義」を援用できない不均衡な状態にある国に関して、当該国との二国間の協定により不均衡の是正を図る」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
記事によると、買収された島は、沖縄県島尻郡伊是名村の無人島「屋那覇島」とみられる。このように、外国人が我が国やとりわけ沖縄県など南西諸島に所在する離島、無人島の島全体あるいはその一部について、所有または借地、占有しているケースは他にあるのか、示されたい。
政府
お尋ねについては、政府として、我が国の全ての離島を対象として、現時点における外国人による土地の取得等の実態を網羅的に把握しているわけではないため、お答えすることは困難である。
神谷宗幣(参政党)
政府はこれまでの「働き方改革」の成果をどのような基準で評価しているか。また、当初の目的を達成するため、優先的に改善が必要と考える点は何か示されたい。
政府
御指摘の「どのような基準で」及び「当初の目的」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府においては、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成三十年法律第七十一号。以下「働き方改革関連法」という。)附則第十二条において、「政府は、・・・この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律・・・の規定について、・・・改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」等とされていることを踏まえ、現在、改正後の各法律の施行の状況について、それぞれ把握及び分析を行っている又は今後行うこととしているところであり、お尋ねの「これまでの「働き方改革」の成果」の「評価」については、お尋ねの「優先的に改善が必要と考える点」に係るものも含め、現時点でお答えする段階にない。
神谷宗幣(参政党)
沖縄周辺の無人島が前記「国防動員法」上の義務を負わされた中国国民に買収されることで、台湾有事の際など、安全保障上想定される問題について、明らかにされたい。また、今回の事案を含め同様の事案について、政府はいかなる対応をしていくのか、具体的に示されたい。
政府
前段のお尋ねについては、御指摘の「沖縄周辺の無人島」の具体的な範囲が明らかではなく、また、御指摘の「安全保障上想定される問題」の具体的に意味するところが明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。
また、後段のお尋ねについては、御指摘の「今回の事案を含め同様の事案」の具体的な内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。
国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有・利用をめぐっては、かねてから、実態が不透明な土地取引が行われていること等の指摘から、安全保障上の懸念が示されてきた。
こうした状況を踏まえて有識者会議が設置され、新規立法措置が必要との提言に基づいて、令和四年九月、自衛隊基地や原子力発電所の周辺及び国境離島等、安全保障上重要な土地や離島の機能を阻害する土地等の利用を防止する「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「重要土地等調査法」という。)が全面施行されるに至った。
しかし当初は、安全保障上重要な土地等の外資による売買など取引自体の規制が検討されていたものの、与党内協議を経た結果、「土地等の利用規制」に限られるなど大きく後退したものとなった。
円安を背景に中国など外資による土地買収が加速するとともに、日々厳しくなる我が国の安全保障環境を直視すると、重要土地等調査法は、迅速性、実効性からみても極めて心許ない内容と言わざるを得ない。
米国においては、二〇一八年米国国防権限法の成立により、新たに「外資による土地取引規制」が導入されて、安全保障に影響を及ぼす可能性があるものを外国人に売却・貸与・譲渡する際にはCFIUS(対米外国投資委員会)が審査するとしている。このCFIUSは土地や建物について、外国法人による購入だけではなく、リースや土地使用権の取得も審査対象としている。我が国もCFIUSのような包括的な外資規制が必要と考える。
そこで以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
我が国をめぐる現在の厳しい安全保障環境を踏まえると、我が国も米国の「CFIUS」のような包括的な外資規制制度が必要であり、土地取得そのものを規制すべきではなかったのか。政府にはそのような考えはないのか。ないのであれば、その理由を説明されたい。
政府
一及び二について
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案においては、土地取引の中止を命ずる等の土地取引規制については、内閣官房において開催した国土利用の実態把握等に関する有識者会議の提言(令和二年十二月二十四日「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について 提言」)において、あらかじめその基準や要件を明確に定めておくことは困難であり、その在り方については慎重に検討していくべきであるとされていること等を踏まえ規定しなかったが、土地等の利用者に対し、その国籍にかかわらず、重要施設及び国境離島等に対する機能阻害行為を防止するため勧告及び命令ができるものとした。
神谷宗幣(参政党)
当初検討されていた取引規制が利用規制にとどめられた経緯と理由について説明されたい。
政府
一及び二について
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案においては、土地取引の中止を命ずる等の土地取引規制については、内閣官房において開催した国土利用の実態把握等に関する有識者会議の提言(令和二年十二月二十四日「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について 提言」)において、あらかじめその基準や要件を明確に定めておくことは困難であり、その在り方については慎重に検討していくべきであるとされていること等を踏まえ規定しなかったが、土地等の利用者に対し、その国籍にかかわらず、重要施設及び国境離島等に対する機能阻害行為を防止するため勧告及び命令ができるものとした。
神谷宗幣(参政党)
重要土地等調査法第九条では、「注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるとき」について、内閣総理大臣は、同利用者に対して勧告及び命令を行うことができる旨規定されており、第二十五条において同命令に違反した場合の罰則規定が設けられているところ、これら罰則を伴う「機能を阻害する行為」とは、具体的にどのような行為が該当するのか、例示されたい。
政府
お尋ねについては、「重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針」(令和四年九月十六日閣議決定)において、勧告及び命令の対象となり得る機能阻害行為の類型を例示しているとおりである。
神谷宗幣(参政党)
外国軍情報機関による自衛隊基地に対する情報収集活動を防止するため、「注視区域」又は「特別注視区域」の土地や物件を、可能な限り国が収用して公的な用途に供することは可能か。
政府
「外国軍情報機関による自衛隊基地に対する情報収集活動を防止する」目的で、国が「土地や物件」を収用することはできない。
神谷宗幣(参政党)
外国資本が「注視区域」又は「特別注視区域」内の土地を取得するため、日本人協力者等を利用し、何らかの方法で土地所有者を偽装する場合が想定されるが、こうした違法行為を未然に防止し、又は調査するための具体的方策は検討されているか。
政府
「「注視区域」又は「特別注視区域」内の土地を取得するため、日本人協力者等を利用し、何らかの方法で土地所有者を偽装する」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
近年、外国資本、とりわけ相互主義の適用のない国の企業や個人による国土買収が進み、安全保障及び地域の安寧な生活の維持が脅かされるのではないかとの観点から国民の間に危機感が高まっている。また、外国資本の意図を呈して日本企業が土地を事実上、代行して買収する動きが見られるなど、外国資本による国土買収の取得方法が多様化していることから、実態が把握しにくい現状となっている。
これらに鑑み、外国資本による国土買収についての調査を進め、実態を把握し、その情報が適切な形で国会にも説明されるべきと考える。
そこで、以下質問する。
神谷宗幣(参政党)
森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十条の七の二第一項では、「地域森林計画の対象となつている民有林について、新たに当該森林の土地の所有者となつた者は、農林水産省令で定める手続に従い、市町村の長にその旨を届け出なければならない」旨規定されている。しかし、平成二十九年七月に総務省行政評価局が刊行した報告書によると、森林法に基づく森林の土地所有者届出制度について、調査対象とした三十九市町村において、平成二十四年度から同二十七年度までの四年間で受理した森林の土地所有者届出の件数を調査したところ、最も多い市町村は、同四年間で六百九十八件の届出を受理していたのに対し、最も少ない市町村では、同四年間で一件しか受理していないなど、市町村によって届出件数に大きなばらつきがあることが判明している。
これについて、同報告書では、未届者を把握していない市町村や、死亡届出時等を活用した有効な制度案内を実施していない市町村があることが指摘され、また、市町村は、森林の土地所有者届出制度の周知を徹底する必要があることについても指摘されている。
一方、農林水産省においては、平成十八年から、外国資本による森林買収の事例について、都道府県を通じて調査を行い、毎年結果を公表している。この中で「居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例」が公表されているが、例えば、令和二年度は、北海道、神奈川県、京都府のわずか三道府県のみの事例となっている。前記報告書の内容を踏まえると、農林水産省が公表している外国資本による森林買収事例も実態を反映しているとは言い難い面があることは明らかである。
政府
お尋ねの「新たに当該森林の土地の所有者となった者及び自治体に対し、法令遵守を徹底させ、外国資本等による森林買収、所有の実態を把握する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十条の七の二の規定に基づく届出の制度(以下「所有者届出制度」という。)により、外国資本等によるものを含めて都道府県及び市町村において森林取得の状況を把握しているところ、所有者届出制度のより一層の周知徹底を図るため、「森林の土地所有者届出制度の周知徹底について」(平成二十九年十二月二十七日付け二九林整計第二九八号林野庁森林整備部計画課長通知)を発出し、都道府県を通じて市町村に対し、「森林の土地所有者に対する届出制度の周知にあたっては、・・・当該市町村の戸籍担当に対し、林地を相続した場合の届出手続を死亡関連届出一覧に含める等の措置を講ずるなど、より一層の徹底を図ること」、「関係部局や関係行政機関に対し、定期的に森林所有者等に関する情報提供を求め、森林の土地所有者届出の未届者を把握し、未届者に対して届出を提出するよう働きかけを行う」こと等を要請したところである。引き続き、都道府県及び市町村と連携し、所有者届出制度の適切な運用により、森林取得の状況の把握に取り組んでまいりたい。
神谷宗幣(参政党)
国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第一条は、「国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、国土形成計画法(昭和二十五年法律第二百五号)による措置と相まつて、総合的かつ計画的な国土の利用を図ること」を目的としている。外国資本の国土買収が進行し、国民の危機意識が高まっている現状に鑑み、総合的かつ計画的な国土の利用を図るためには、取得者の属性をも把握することが重要なことは明らかである。
国土利用計画法に基づく届出情報などの行政が保有する情報を参考に、都道府県を通じて外国資本による土地売買の実態調査をすることが可能であるかどうか、政府の認識を示されたい。
政府
お尋ねの「外国資本による土地売買の実態調査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十三条第一項等の規定に基づき、一定の土地売買等の契約については、その当事者の氏名又は名称、住所等の事項を都道府県知事に届け出なければならないこととされており、当該事項についての調査は行われ得ると考えている。
神谷宗幣(参政党)
国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第一条は、「国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、国土形成計画法(昭和二十五年法律第二百五号)による措置と相まつて、総合的かつ計画的な国土の利用を図ること」を目的としている。外国資本の国土買収が進行し、国民の危機意識が高まっている現状に鑑み、総合的かつ計画的な国土の利用を図るためには、取得者の属性をも把握することが重要なことは明らかである。
国土利用計画法に基づく届出情報などの行政が保有する情報を参考に、都道府県を通じて外国資本による土地売買の実態調査をすることが可能であるかどうか、政府の認識を示されたい。
政府
お尋ねの「外国資本による土地売買の実態調査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十三条第一項等の規定に基づき、一定の土地売買等の契約については、その当事者の氏名又は名称、住所等の事項を都道府県知事に届け出なければならないこととされており、当該事項についての調査は行われ得ると考えている。