質問主意書

ガバメントクラウドとデータ主権及び経済安全保障に関する質問主意書(2025年1月24日)

質問

回答

令和六年十二月二十四日、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律が成立した。衆参両院における審査において、ガバメントクラウドが海外のクラウドサービス提供事業者(以下「CSP」という。)に依存することに対し、データ主権と経済安全保障の観点から懸念が示され、国内のCSPの育成や地方自治体への情報提供など利用拡大に向けた措置を講ずるべき旨の附帯決議が付された。

衆議院では、「ガバメントクラウドが海外企業のクラウドサービスに依存している現状について、データ主権及び経済安全保障の観点から懸念が示されていることを踏まえ、ガバメントクラウドの要件を満たす日本企業のクラウドサービス提供事業者を育成するための方策を早急に講ずること。また、地方公共団体に対して、日本企業のクラウドサービスも含めて各社のクラウドサービスの特徴を情報提供するなど、利用機会の拡大に向けた措置を講ずること」との附帯決議が付された。

参議院でも同様に、「ガバメントクラウドが海外のクラウドサービス提供事業者に依存することによるデータ主権及び経済安全保障の観点からの懸念を踏まえ、国内のクラウドサービス提供事業者を育成するための方策を早急に講ずること。また、行政機関等に対して、国内のクラウドサービス提供事業者も含めた各社のクラウドサービスの特徴を情報提供するなど、利用機会の拡大に向けた措置を講ずること」との附帯決議が付された。

現在、CSPは外国企業四社であり、日本企業一社が提供準備中である。そのため、令和六年度末までにガバメントクラウドに移行することが求められる地方自治体にとって、事実上、日本企業のCSPを選択することができない状況にある。

以上を前提に、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
地方自治体に対して外国企業のCSP以外の選択肢を提供するため、日本企業のCSPに対する支援や補助金を含め、政府はどのような施策を講じているか具体的に示されたい。

政府 
デジタル庁が令和五年度に行った「デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供―令和五年度募集―」(以下「令和五年度事業」という。)に係る募集に当たっては、令和五年度事業への新規事業者の参入を促進するため、その調達仕様書において、クラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者(以下単に「提供事業者」という。)が他社の提供するソフトウェア、ハードウェア及びサービスを用いて当該提供事業者のクラウド・コンピューティング・サービスとして提供することも可能としたほか、その時点で必要な要件を満たすことができない場合であっても、当該要件を令和七年度末までに満たす計画を提出した一定の場合には、提供事業者としてガバメントクラウドの整備に係る検証作業等に参加することができることとしたことにより、日本企業であるさくらインターネット株式会社と令和五年度事業に係る契約を締結するに至っている。また、経済産業省においては、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)第八条第一項の規定に基づき経済産業大臣が定めた「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機を他人の情報処理の用に供するシステムに用いるプログラムに係る安定供給確保を図るための取組方針」(令和五年一月十九日経済産業省公表)において、「国内に事業基盤を有し、基盤的なクラウドサービスを提供する事業者等のうち、高い機密性や可用性等が求められるクラウドを自律的に確保するために不可欠な基盤的技術のうち、我が国が保持すべき重要な技術の開発に取り組む事業者等に対して、その開発に係る費用を補助する。」としていることを踏まえ、同社による「基盤的なクラウドサービス」に用いられるプログラムの技術開発の取組について、同法第九条第四項に基づく認定を行い、その開発に係る費用を補助することとしている。

 

神谷宗幣(参政党)
地方自治体がガバメントクラウドに移行する場合には「デジタル基盤改革支援補助金」が支給されるが、地方自治体が自前のデータセンターでデータ管理を継続するなど、オンプレミス継続の場合には補助金は支給されない。このため、多くの地方自治体が事実上、外国企業のCSPが提供するクラウドサービスへの移行を余儀なくされる状況にある。

住民情報を扱う地方自治体にとって、データ安全性や運用コストの面で、オンプレミス継続とガバメントクラウド移行のどちらが合理的かは、いまだ議論が分かれている。このような現状において、地方自治体に対して、オンプレミス継続の場合に補助金を支給しない理由を示されたい。また、データ主権や経済安全保障の観点から附帯決議が付されていることを踏まえ、日本企業のCSP育成が進むまで、オンプレミス継続を支援する施策を講ずる予定はあるか示されたい。

政府
前段のお尋ねについては、地方公共団体情報システム(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(令和三年法律第四十号)第二条第一項に規定する地方公共団体情報システムをいう。以下同じ。)を利用するに当たり、クラウド・コンピューティング・サービスに関連する技術を活用することが地方公共団体の行政運営の合理化及び効率化に寄与すると考えられることから、同法第十条において、地方公共団体に、当該技術を活用して地方公共団体情報システムを利用する努力義務が課されたことを踏まえ、地方公共団体情報システム機構法(平成二十五年法律第二十九号)附則第九条の二第一項第一号イにおいて「クラウド・コンピューティング・サービス関連技術・・・を活用した情報システムの共同化」が御指摘の「デジタル基盤改革支援補助金」の交付の対象とされたものである。なお、ガバメントクラウド以外のクラウド・コンピューティング・サービスを活用する場合にも、同補助金は交付され得るものである。

後段のお尋ねについては、当該技術を活用することが国及び地方公共団体の行政運営の合理化及び効率化に寄与すると考えられることから、御指摘の附帯決議を踏まえ、一についてで述べた日本企業に対する支援のほか、地方公共団体に対して、各提供事業者が提供するクラウド・コンピューティング・サービスに係る情報提供を行うなど、ガバメントクラウドの利用の拡大に向けた取組を実施しているところであり、お尋ねの「オンプレミス継続を支援する施策」を講ずる予定はない。

 

神谷宗幣(参政党)
地方自治体のクラウドロックインを回避するため、一度CSPを選択した後に、他のCSPへ見直す機会を設けることについて、政府は費用助成などの措置を検討しているか示されたい。

政府 
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、地方公共団体によるガバメントクラウドの活用に係る提供事業者の選定について、地方公共団体による見直しを容易にする観点から、令和五年度事業に係る募集に当たっては、その調達仕様書において、「利用者が所有するデータのインポート及びエクスポートを利用者自らが容易に行うためのツール及びサポートサービスが提供可能であること」、「オンプレミスや他プラットフォームからのデータベースの移行のためのマネージドサービスを備えていること」等を、提供事業者が満たすべき要件として設けた上で、当該要件を満たした提供事業者と契約を締結しているところである。

 

神谷宗幣(参政党)
一千七百を超える全国の地方自治体を、同時期にガバメントクラウドに移行させることにより、需要過多によるベンダーの対応困難、デジタル人材不足、価格の高騰などの問題が生じている。政府は、これらの問題に対し、何らかの対策を講ずる予定があるか示されたい。また、移行期間を調整するなどの措置を採らなかった理由を示されたい。

政府
お尋ねについては、「地方公共団体情報システム標準化基本方針」(令和六年十二月二十四日閣議決定)において、「基幹業務システムを利用する地方公共団体が、令和七年度(二千二十五年度)までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムに移行できる環境を整備することを目標」とした上で、「標準準拠システムへの移行作業については、円滑かつ安全に実施されるよう、できる限り前倒すことによる移行時期の分散が必要となることから、国は、引き続き、地方公共団体が早期に移行計画の策定や移行先システムに関わる事業者の決定を行えるよう支援する」とともに、「事業者のリソースひっ迫などの事情により、令和八年度(二千二十六年度)以降の移行とならざるを得ないことが具体化したシステム・・・については、・・・当該システムの状況及び移行スケジュールも踏まえて、標準化基準を定める主務省令において、所要の移行完了の期限を設定することとし、概ね五年以内に標準準拠システムへ移行できるよう積極的に支援する」こととしている。

神谷宗幣(参政党)
デジタル庁が一括してCSPに支払うガバメントクラウドの利用料について、今後五年間にわたる総額の見通し及びその算出方法について具体的に示されたい。

政府 
お尋ねの「デジタル庁が一括してCSPに支払うガバメントクラウドの利用料」は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律(令和七年法律第四号)による改正後の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第十九条第一項に規定する「共同利用クラウド・コンピューティング・サービスの共同利用の条件に関する内閣総理大臣と当該共同利用クラウド・コンピューティング・サービスを提供する事業者との契約」に基づいて、内閣総理大臣から提供事業者に引き渡されるものであり、現時点において当該契約が締結されていないこと及びデジタル庁において御指摘の「今後五年間にわたる」ガバメントクラウドを活用する機関や情報システムの数等を正確に把握することは困難であることから、お答えすることは困難である。

我が国のカウンターインテリジェンス強化に関する質問主意書(2024年12月19日)

質問

回答

私が提出した「我が国のカウンターインテリジェンス強化に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第八五号)に対する答弁書(内閣参質二一一第八五号)を受け、改めて以下のとおり質問する。

答弁書において、政府は、「諜報活動の取締りに関して各国が置かれている状況は様々であり、お尋ねの「諜報活動の検挙事例」の件数の多寡について評価を行うことは困難である。」としているが、本件で問うているのは、「なぜカウンターインテリジェンスの重要な成果である諜報活動の検挙事例がこのように少なく、処分も軽微なのか、その根本的な問題がどこにあるのか」であり、件数の多寡の話ではない。我が国がスパイ天国と呼ばれる原因はどこにあるのか、その根本的問題について問うたものである。

目下、我が国をめぐる安全保障環境はますます厳しくなっており、我が国に対する外国からの影響力工作の展開、プロパガンダの流布、サボタージュや諜報活動は一層活発化していることに疑いの余地はない。それにもかかわらず、これら有害活動に対して、関係当局による積極的な検挙や啓発活動を通じて、効果的に抑止できていると国民が信じるに足りる十分な情報が公開されていないため、我が国のカウンターインテリジェンスが、いわば「ブラックボックス化」しているのではないかとの懸念を国民は有していると考える。

「ブラックボックス化」とは「内部構造がどうなっているのか分からない状態」を言うが、インテリジェンスには特殊事情があるため、一定程度の「ブラックボックス化」は理解できる。しかし、少なくとも「インプット」と「アウトプット」は不断に検証されなければならず、万一、インテリジェンスの責任を負う組織が、その構造や能力に欠陥を有し、期待される効果を得られていないのであれば、「ブラックボックス」の内部構造についても精査、検証せざるを得ない。それは国民の代表として選ばれた国会議員の重要な責務である。

目下、ウクライナや台湾周辺海域は、かつてないほど緊迫した情勢を迎えており、対米共闘でロシアと連帯する中国は、我が国の防衛力を探るため、我が国の領空や領海に接近する威力偵察を頻繁に行っている。同様に、我が国の政治、経済及び社会に対する情報工作活動も一層活発に展開していることに疑いの余地はない。

このような状況の中、警察庁ホームページに掲載された警察白書の「中国の動向」のうち「我が国における諸工作等」の記載内容は、令和元年から令和六年までほぼ変わらず、具体的事例が乏しく一般論に留まっている。一方、昭和四十九年から昭和五十四年の警察白書では、多数の検挙例が具体的に示されており、内容も豊富で、その背景も明らかにされており、当時の捜査当局のプロフェッショナルとしてのプライドを十分に感じさせるものとなっている。

答弁書において、政府は、「外国による諜報活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、警察において、適切な公表に努めている」としているが、前記で指摘したように過去の警察白書と比較して、現在の内容は適切に公表がなされているとは言い難い。この違いが生じた原因を時代背景の違いなど抽象的な理由で説明すべきではない。

警察白書の記載内容について、過去と比べて近年は具体的事例が乏しく一般論に留まっている理由として、有識者は以下を挙げている。

①過酷な情報戦を闘った世代が第一線から引退するにつれ、その知識経験やノウハウが十分に後進世代に伝えられず対決姿勢が希薄になっていること

②警察などを暴力装置と断じる革命勢力による世論闘争、法廷闘争など、いわゆる警察対策の積み重ねにより組織が委縮してしまっていること

③スパイ防止法等有害な情報工作活動を取り締まるための法整備への熱意も、それを阻止せんとする外国情報機関やその影響下にある団体の反対運動に屈してきたこと

本質問主意書では、我が国の緊迫化する情勢の中でカウンターインテリジェンス能力の向上に障害となっている点を問い、政府に率直な見解を求めるとともに、この問題を広く知らしめて国民世論の喚起を目指している。

以上を踏まえて、質問する。

神谷宗幣(参政党)
現在の警察白書の内容、特に「中国の動向」などの内容について、昭和五十年代と比較して一般論が目立ち、具体的事例やその背景説明が乏しくなっている理由を示されたい。

政府
一及び二の前段について

お尋ねの「昭和五十年代と比較して一般論が目立ち、具体的事例やその背景説明が乏しくなっている」及び「過去の警察白書と同様に」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、警察白書の内容については、その時々の社会情勢等を踏まえて記載しているものであるため、お尋ねの「理由」について一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、警察においては、国民への注意喚起等の観点から、中国を始めとする外国による情報収集活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、例えば令和六年版警察白書において不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)違反の検挙事例を紹介するなど、適切な公表に努めているところであり、引き続き、外国による情報収集活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項の公表も含め、適切な情報発信に努めてまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
外国による諜報活動の取締り結果や捜査の過程で解明された事項について、過去の警察白書と同様に具体的な内容を積極的に公開する考えはあるか示されたい。また、外国情報機関の活動について、広く国民に警鐘を鳴らし、カウンターインテリジェンスへの理解を深めるための方策を検討しているか示されたい。

政府
一及び二の前段について

お尋ねの「昭和五十年代と比較して一般論が目立ち、具体的事例やその背景説明が乏しくなっている」及び「過去の警察白書と同様に」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、警察白書の内容については、その時々の社会情勢等を踏まえて記載しているものであるため、お尋ねの「理由」について一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、警察においては、国民への注意喚起等の観点から、中国を始めとする外国による情報収集活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、例えば令和六年版警察白書において不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)違反の検挙事例を紹介するなど、適切な公表に努めているところであり、引き続き、外国による情報収集活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項の公表も含め、適切な情報発信に努めてまいりたい。

二の後段について

内閣官房内閣情報調査室に設置されたカウンターインテリジェンス・センターによる連絡調整の下、政府の各行政機関が、外国情報機関の我が国に対する情報収集活動の状況及び態様に関する情報並びに外国情報機関の情報収集活動による被害を防止するための方策に関する情報の収集・分析を行うとともに、必要に応じて各方面からの相談への対応や広報啓発活動に取り組んでいるところである。

 

神谷宗幣(参政党)
近年の経済安全保障等、技術情報流出防止に向けた政府の取組は評価できるが、外国からの対日有害活動は、影響力工作の展開、プロパガンダの流布、サボタージュや諜報活動等、態様が様々であり、これらの有害活動に対応できる法整備も不十分である。有害活動を取り締まるのに効果的とみられる、米国等で導入されている外国情報監視法(FISA)や外国代理人登録法(FARA)などを参考に、我が国の実情を踏まえながら、これに準じた有害活動を取り締まるための法の整備について、政府は研究又は検討を進めているか示されたい。

政府
お尋ねの「有害活動を取り締まるための法の整備」については、様々な議論があるものと承知しているが、政府としては、カウンターインテリジェンスに関する機能の強化の在り方について不断の検討を行っているものである。

ガバメントクラウドのセキュリティ基準見直しに関する質問主意書(2024年12月19日)

質問

回答

現在、デジタル庁が所管する政府共通のクラウドサービスの利用環境である「ガバメントクラウド」は、クラウドサービス事業者(以下「CSP」という。)を米国企業(主にアマゾンウェブサービス(AWS))に依存している。

しかし、平成三十年三月に成立した米国CLOUD法に基づき、米国政府は、米国の管轄下にある企業に対し、データの保存場所にかかわらず、企業が管理するデータの開示を要求することができる。また、令和元年十月に署名された日米デジタル貿易協定第十一条第一項は、「いずれの締約国も、情報(個人情報を含む。)の電子的手段による国境を越える移転が対象者の事業の実施のために行われる場合には、当該移転を禁止し、又は制限してはならない。」としており、米国企業が日本国内データセンターで管理する情報も、米国政府の要求により開示されるおそれがある。

ただし、前記協定第十一条第二項では、「締約国が公共政策の正当な目的を達成するために必要」な措置であれば、一定の条件下でデータ移転を規制できると明記されている。このことから、現状においても、米国企業によるデータの国外移転を規制する措置を講じることは可能と考えられる。

経済産業省も、基盤クラウドプログラムを外国企業に依存するリスクを指摘しており、「特定重要物資の指定等に関する政令」(令和四年十二月二十日閣議決定)に基づき、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(以下「経済安全保障推進法」という。)上の「特定重要物資」にクラウドプログラムを指定した。また、「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機(入出力装置を含む。)を他人の情報処理の用に供するシステムに用いるプログラムに係る安定供給確保を図るための取組方針」(令和五年一月十九日(令和六年二月五日改定))では、以下示されている。

・基盤クラウドプログラムは、その供給の多くを特定少数国・地域に依存している(中略)、供給途絶が発生した場合に国民生活・経済活動に甚大な影響が生じ得る状態にある。

・海外からネットワーク経由で提供される基盤クラウドの停止やそれに伴う利用者の事業そのものが停止する、我が国が直接管理できない状況下で情報に不当にアクセスされる等のリスクがある。

・我が国が自律的に管理すべき重要データを扱う情報システムも他国に依存するおそれがある。

このように、政府や自治体その他公的機関が扱う国民や企業の極めて重要なデータを管理するガバメントクラウドを外国CSPに依存している現状は、外国政府からのデータ開示要求、不当アクセス、供給停止などの重大なリスクを抱えている。

したがって、これらの重大なリスクを一刻も早く解消すべく、政府自らクラウドプログラムを構築するか、少なくともCSPを自国企業(外国資本でない企業)とするようガバメントクラウドの体制を根本的に見直すべきと考える。

以上を踏まえ、現状のCSPに対する規制の在り方について、以下のとおり質問する。

神谷宗幣(参政党)
一 ガバメントクラウドを担うCSPに対し、政府が以下の義務を課しているか示されたい。

1 データの保存場所を国内とする義務

2 データを国外移転しない義務

3 データを米国政府や外国機関に開示しない義務

 また、これらの義務に関係する規定及び内容、根拠となる法令、ガイドライン又は契約等を示されたい。さらに、我が国がCSPに対して講じ得る、データの国外移転を禁止する措置又はデータの外国機関に対する開示を禁止する措置に関する規定について示されたい。

政府
お尋ねの「データ」及び「我が国がCSPに対して講じ得る、データの国外移転を禁止する措置又はデータの外国機関に対する開示を禁止する措置」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、デジタル庁が令和五年度に行った「デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供―令和五年度募集―」に係る募集に当たっては、その調達仕様書において、「情報資産はユーザが指示しない限り日本国内に保管されること」、「障害発生時の情報資産の退避先は当庁が指定した場合を除き全て日本国内であること」、「運用系の情報資産は当庁が指定した場合を除き全て日本国内に保管されること」、「環境一式に保管される業務データはユーザが所有権を持ち、ユーザが指定した場所に保管され、ユーザの許可なしに他所に移転・複写したりしないこと」、「政府機関等からの開示請求に際しては、速やかに当庁に通知するとともに協議に応じること。また、当該請求に対して必要に応じて異議申し立て等の適切な対応を取るとともに、国内法以外に基づく開示請求であった場合は主権免除の適用について当該外国政府機関等に通知すること」等を、クラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者(以下単に「提供事業者」という。)が満たすべき要件として設けた上で、当該要件を満たした提供事業者と契約を締結しているところであり、仮に契約違反が認められる場合には、当該契約及び関係法令に基づき対処することとなる。なお、ここでいう「ユーザ」とは、情報システムの整備に当たって、ガバメントクラウドを利用する府省庁及び地方公共団体を指す。

神谷宗幣(参政党)
二 令和二年六月に運用を開始した「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(ISMAP)におけるCSPに対する要求事項には、以下の項目が含まれているのか。含まれている場合は、その内容を示されたい。

1 データの保存場所に関する事項

2 データの国外移転禁止に関する事項

3 外国政府や外国機関に対するデータ開示の禁止に関する事項

4 供給途絶や事業停止に備えた事項

政府
「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(以下「ISMAP」という。)は、情報セキュリティ等に関する有識者と制度所管省庁の職員を構成員とするISMAP運営委員会が令和二年六月三日に決定した「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)基本規程」において定められているとおり、「政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、もってクラウドサービスの円滑な導入に資すること」を目的とした制度である。お尋ねの「データ」及び「供給途絶や事業停止」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、クラウド・コンピューティング・サービスの登録に関する事項を定める「ISMAPクラウドサービス登録規則」(令和二年六月三日ISMAP運営委員会決定)において、「申請者に対する要求事項」が定められている。例えば、提供事業者が提供するクラウド・コンピューティング・サービスの登録申請時に提出が必要となる当該提供事業者の情報セキュリティ対策について言明した言明書において「クラウドサービスを提供する情報処理設備を収容するデータセンターが設置されている独立した地域」を記載すること、「クラウドサービスで取り扱われる情報に対して国内法以外の法令が適用され、調達府省庁等が意図しないまま当該調達府省庁等の管理する情報にアクセスされ又は処理されるリスクについて、ISMAP運営委員会及び当該省庁等がリスク評価を行うために必要な情報」をISMAP運営委員会に提供しなければならないこと、「ISMAPクラウドサービスリストに登録されているクラウドサービスについて登録期間中に重大な統制の変更及び当該変更につながりうる事象が生じた場合又はISMAPクラウドサービスリストに掲載されている情報に変更が生じた場合には、本規則第十章の規定に従い、遅滞なくISMAP運営委員会に届け出ること」を宣誓しなければならないことなど、クラウド・コンピューティング・サービスで取り扱われる情報に係るお尋ねの「保存場所」、「国外移転」及び「外国政府や外国機関」に対する開示、提供事業者の事業継続等に係る事項が含まれている。

 

神谷宗幣(参政党)
ISMAPの運用開始以降、経済安全保障推進法の制定や特定重要物資の指定が行われた。その際に示されたリスクに対応するため、ISMAPの改定が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの「その際に示されたリスク」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。なお、ISMAPについては、適切な情報セキュリティ水準が確保された信頼できるクラウドの利用を促進する観点から、その運用状況等を踏まえて制度の継続的な見直しを行うこととしている。

 

神谷宗幣(参政党)
データの保存場所、データの国外移転及びデータの外国政府への開示等に関し、より強力に規制するため、EUにおける標準契約条項(SCC)や拘束的企業準則(BCR)を参考にした規制を導入すること、あるいは、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」や「個人情報の保護に関する法律」を改正することについて、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、まずは、一についてで述べた契約や二についてで述べた制度等を通じて、個人情報の保護等に適切に対応していくことが重要であると考えている。

ガバメントクラウドの共同利用をめぐる諸課題に関する質問主意書(2024年12月16日)

質問

回答

第二百十六回国会において、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部を改正する法律案」が提出された。本法案は、第十八条の「公共情報システムの整備等におけるクラウド・コンピューティング・サービスの共同利用」という条文案が示すように、国と国以外の者(府省庁、地方公共団体や独立行政法人等)が、政府のクラウドサービス(以下「ガバメントクラウド」という。)を共同利用する枠組みを作ることを目的としている。

内閣総理大臣がクラウドサービス事業者(以下「CSP」という。)と契約を締結し、地方公共団体等の利用料を保管して一括支払する理由は、CSPから大口割引(ボリュームディスカウント)を最大限に引き出すためとされている。

現在、我が国のガバメントクラウドを提供しているCSPは、アマゾンウェブサービス(Amazon Web Services、以下「AWS」という。)、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructureといずれも米国企業である(さくらのクラウドは利用提供準備中とされる)。中でもAWSのシステムが九割以上のシェアを占め、寡占状態にある。

地方公共団体おける共同利用の対象業務(標準化対象業務)は、児童手当、子ども・子育て支援、住民基本台帳、戸籍の附票、印鑑登録、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、戸籍、就学、健康管理、児童扶養手当、生活保護、障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金の二十業務であり、極めて重要な個人情報が含まれる。

本法案により共同利用が進めば、地方公共団体が保有する住民基本台帳や戸籍、個人・法人の機微情報も含む、多数の行政機関等が保有する国民・企業の重要情報が、外国企業が運営・管理するデータセンターに保存されることになる。AWSは、かつて米国議会襲撃事件の後、令和三年一月十日に米国のSNS企業「パーラー」に対するクラウドサービスを停止したこともある。

欧州や韓国では、外資に依存せず、政府が自らガバメントクラウドを構築するか、CSPを自国企業とする動きが広がっている。本法案は「デジタル主権」や経済安全保障の観点からも、国家の情報管理及び行政機能の存続において、重大なリスクを含んでいると考える。

以上を前提に、質問する。

神谷宗幣(参政党)
ガバメントクラウドにおいて、現在最も利用されているCSPの名称とその割合(シェア)を示されたい。また、ガバメントクラウドにおいて、現在採択されているシステム及びアカウントの数をCSPごとに示されたい。

政府
お尋ねの「現在最も利用されているCSPの名称とその割合(シェア)」及び「現在採択されているシステム及びアカウントの数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、デジタル庁において現在運用しているガバメントクラウド(以下「現行ガバメントクラウド」という。)においてクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者が提供しているクラウド・コンピューティング・サービス別に、令和六年十一月末時点における当該クラウド・コンピューティング・サービスを利用して整備又は運用が行われている情報システムの数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

Amazon Web Services 千八百七十七件

Google Cloud 十一件

Microsoft Azure 十三件

Oracle Cloud Infrastructure 二十六件

 

神谷宗幣(参政党)
本法案第十八条第一項にいう「公共情報システム整備運用者」とは、具体的にいかなる法人や団体等を指すのか示されたい。令和六年十二月十三日現在の対象となる法人又は団体等の数、また、既に国と共同利用を行っている法人又は団体等の数を示されたい。

政府
お尋ねの法律案による改正後の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第十八条第一項に規定する公共情報システム整備運用者には、地方公共団体のほか、国又は地方公共団体の事務の実施に関連する情報システムの整備又は運用を行う独立行政法人、地方独立行政法人等が該当するが、デジタル庁としてその数は把握していない。

また、お尋ねの「既に国と共同利用を行っている法人又は団体等の数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年十二月十三日現在、現行ガバメントクラウドにおいて情報システムの整備又は運用を行っている国以外の者の数は、五百九十七である。

神谷宗幣(参政党)
三 CSPが運営するデータセンターに関し、以下について示されたい。

1 データの使用範囲やアクセス条件を制限する契約条項の具体的内容。

2 データの不正使用や漏洩を防ぐための技術的及び運用上の対策。

3 政府及び行政機関が契約条件の遵守をどのように監視・確保するか。

政府
三の1から3まで及び四について

お尋ねの「データの使用範囲やアクセス条件を制限する契約条項の具体的内容」、「データの不正使用や漏洩を防ぐための技術的及び運用上の対策」、「政府及び行政機関が契約条件の遵守をどのように監視・確保するか」及び「当該国の政府や監督官庁が、我が国や公共情報システム整備運用者の承認を得ずに、当該CSPが運営管理するデータを国外移転させたり、CSPに対し当該データの開示を命じたり、当該データにアクセスしたりすること」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度に行った現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の募集(以下「令和五年度提供事業者募集」という。)に関する調達仕様書(以下「令和五年度調達仕様書」という。)においては、「環境一式に保管される業務データはユーザが所有権を持ち、ユーザが指定した場所に保管され、ユーザの許可なしに他所に移転・複写したりしないこと。ユーザ所有の暗号鍵で暗号化して保護できること。業務データへのアクセスはログとして取得し中央の管理領域に集めて管理できること」及び「政府機関等からの開示請求に際しては、速やかに当庁に通知するとともに協議に応じること。また、当該請求に対して必要に応じて異議申し立て等の適切な対応を取るとともに、国内法以外に基づく開示請求であった場合は主権免除の適用について当該外国政府機関等に通知すること」を技術要件として設けており、現行ガバメントクラウドに保管されている情報について、当該情報を管理する者以外の者が閲覧することはできないようにするための措置及び情報漏えいを防ぐための措置が講じられることとしている。

また、令和五年度調達仕様書においては、「第三者監査人の監査を受け実施されている旨の証明の提出ができること」も技術要件として設けており、当該証明により契約条件の遵守を確認することを可能としているほか、現行ガバメントクラウドに関してデジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間で締結されているクラウドサービス基本契約書(以下「現行ガバメントクラウド基本契約書」という。)においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定も設けられている。

 

神谷宗幣(参政党)
ガバメントクラウドの情報に対し、CSPの本国法(例えば米国法)に基づき、当該国の政府や監督官庁が、我が国や公共情報システム整備運用者の承認を得ずに、当該CSPが運営管理するデータを国外移転させたり、CSPに対し当該データの開示を命じたり、当該データにアクセスしたりすることが可能か示されたい。

政府
三の1から3まで及び四について

お尋ねの「データの使用範囲やアクセス条件を制限する契約条項の具体的内容」、「データの不正使用や漏洩を防ぐための技術的及び運用上の対策」、「政府及び行政機関が契約条件の遵守をどのように監視・確保するか」及び「当該国の政府や監督官庁が、我が国や公共情報システム整備運用者の承認を得ずに、当該CSPが運営管理するデータを国外移転させたり、CSPに対し当該データの開示を命じたり、当該データにアクセスしたりすること」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度に行った現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の募集(以下「令和五年度提供事業者募集」という。)に関する調達仕様書(以下「令和五年度調達仕様書」という。)においては、「環境一式に保管される業務データはユーザが所有権を持ち、ユーザが指定した場所に保管され、ユーザの許可なしに他所に移転・複写したりしないこと。ユーザ所有の暗号鍵で暗号化して保護できること。業務データへのアクセスはログとして取得し中央の管理領域に集めて管理できること」及び「政府機関等からの開示請求に際しては、速やかに当庁に通知するとともに協議に応じること。また、当該請求に対して必要に応じて異議申し立て等の適切な対応を取るとともに、国内法以外に基づく開示請求であった場合は主権免除の適用について当該外国政府機関等に通知すること」を技術要件として設けており、現行ガバメントクラウドに保管されている情報について、当該情報を管理する者以外の者が閲覧することはできないようにするための措置及び情報漏えいを防ぐための措置が講じられることとしている。

また、令和五年度調達仕様書においては、「第三者監査人の監査を受け実施されている旨の証明の提出ができること」も技術要件として設けており、当該証明により契約条件の遵守を確認することを可能としているほか、現行ガバメントクラウドに関してデジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間で締結されているクラウドサービス基本契約書(以下「現行ガバメントクラウド基本契約書」という。)においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定も設けられている。

神谷宗幣(参政党)
本法案によって利用検討の努力義務を課された行政機関等の多数が利用に至ることで、大口割引を受けたCSPの寡占化が進むことが予想されるが、寡占による弊害を示されたい。また、参入障壁を解消するため、政府はどのような制度や措置を講じるのか示されたい。

政府
お尋ねの「寡占による弊害」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者の数が著しく減少した場合には、事業者の間の競争が減少し、それに伴い、提供されるクラウド・コンピューティング・サービスの品質が低下したり、利用料が上昇したりする可能性もあると考えている。

また、お尋ねの「参入障壁」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、令和五年度提供事業者募集に当たっては、複数の提供事業者のクラウド・コンピューティング・サービスなどを組み合わせて提供する共同提案を可能としたほか、その時点で必要な要件を満たすことができない場合であっても、当該要件を令和七年度末までに満たす計画を提出した一定の場合には、当該提供事業者がガバメントクラウドとしての運用に係る検証作業等に参加することができることとしたところである。

神谷宗幣(参政党)
六 ガバメントクラウドの利用料について、以下を明確に示されたい。

1 支払は米ドル建てか円建てか。

2 為替変動リスクは誰が負担するのか。

3 利用料の契約期間及びその後の利用料変動の可能性があるか。

4 共同利用する行政機関等は利用料の変動に関与できるのか。

政府
六の1について

現行ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者に対する支払条件については、Amazon Web Services, Inc.及びグーグル・クラウド・ジャパン合同会社に対するものが毎月の実勢レートを用いた米ドル建て円払いであり、Microsoft Corporation及び日本オラクル株式会社に対するものが円建て円払いとされているが、来年度以降のガバメントクラウド(以下「次期ガバメントクラウド」という。)における支払条件については、現時点でお答えすることは困難である。

六の2について

お尋ねの「為替変動リスク」を「負担する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、次期ガバメントクラウドにおいては、クラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者に対する支払条件が外貨建てでの支払である場合を含め、利用料はその利用者が負担することを予定している。

六の3及び4について

お尋ねの「利用料変動」及び「利用料の変動に関与できる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、次期ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの利用料については、デジタル庁とクラウド・コンピューティング・サービスの提供事業者との間の利用条件に関する契約(以下「利用条件契約」という。)で定められるものであることから、利用者がその設定に関わるものではないと考えており、また、当該利用条件契約の契約期間の満了後に締結される新たな利用条件契約において、利用料の変更が行われる可能性はある。

神谷宗幣(参政党)
行政機関等はCSPと直接契約を結ばず、デジタル庁との契約に基づいて利用する仕組みか示されたい。デジタル庁との契約に基づいて利用する仕組みである場合、行政機関等がCSPの情報管理や運用について、調査・監査・監督する措置を講じることは可能か示されたい。

政府
前段のお尋ねについては、次期ガバメントクラウドにおけるクラウド・コンピューティング・サービスの利用者は、利用条件契約で定められた利用条件により、クラウド・コンピューティング・サービスを利用することが予定されている。後段のお尋ねについては、「CSPの情報管理や運用について、調査・監査・監督する措置」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、三の1から3まで及び四についてで述べたとおり、現行ガバメントクラウド基本契約書においては、デジタル庁が定めた監督職員が提供事業者に対し契約に係る業務が適正に提供されているか等について説明を求めることができる旨の規定が設けられている。

神谷宗幣(神谷宗幣(参政党))
CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生した場合、行政機関等は、国又はCSPに対し、どのような請求が可能か示されたい。

政府
八及び九について

お尋ねの「CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合」の「責任主体」については「CSP」となるものと考えられるが、お尋ねの「請求」については、個別具体の事実関係に即して判断されるものと考えている。

神谷宗幣(参政党)
CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合、本法案によれば、国ないしデジタル庁、共同利用する行政機関等、CSPのうちいずれが責任主体になるのか示されたい。

政府
八及び九について

お尋ねの「CSPの責に帰すべき事由により、情報漏洩や不正利用が発生し、国民や法人に被害が生じた場合」の「責任主体」については「CSP」となるものと考えられるが、お尋ねの「請求」については、個別具体の事実関係に即して判断されるものと考えている。

神谷宗幣(参政党)
CSPが、自己の判断に基づき、クラウドサービスを停止した場合、我が国の行政機能に重大な影響が生じる。この場合、政府はCSPに対し、どのような措置を採ることができるのか示されたい。また、共同利用する行政機関等はCSPに対し、いかなる措置を採ることができるのか示されたい。

政府
お尋ねの「CSPが、自己の判断に基づき、クラウドサービスを停止した場合」については、その具体的な態様や停止に至るまでの期間等が様々に想定されるものであるため、お尋ねの「措置」について、一概にお答えすることは困難である。

SNSの安全性に関する質問主意書(2024年1月26日)

質問

回答

ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)の利便性は高く、日本社会でも情報収集や発信、コミュニケーションの道具として幅広く利用されている。その際、情報の安全性を確保することの重要性は言うまでもない。日本では、SNSプラットフォームとしては、Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、YouTube、LINE、TikTokなどが頻繁に利用されている。

一方で韓国のインターネットサービス企業、ネイバー社が親会社として大きな影響力を持つLINEに関しては、以前から安全性の懸念が指摘されており、実際に問題が発生している。例えば、令和三年には、業務委託先の中国企業を通じて日本国内にあるサーバーに保存されていたLINE利用者の個人情報が閲覧可能な状態であったことが判明したと報道された。漏洩した情報には、氏名、電話番号、保存されたメッセージ、画像などが含まれていたという。さらに、利用者間でやりとりされる画像、動画、ファイルなどのデータが韓国で管理されていることも明らかになった。この点に関し、LINE社は、中央省庁を含む利用者に対し、主要なサーバーは日本国内にあると不正確な説明をしていたという。

個人情報保護委員会は、この問題に対応し、LINE社に対して報告徴収や立入検査を実施し、必要な指導を行った。令和五年八月には、ヤフー社が検索サービスの利用者の位置情報をネイバー社に提供していたことが発覚し、総務省から行政指導を受けた。その結果、LINE社及びヤフー社は、情報管理の適正化のため必要な是正措置を講じたはずとされたが、両社合併後の同年十一月には、LINEヤフー社で再び情報流出の事案が発生し、再び約四十四万件の個人情報が不正アクセスにより流出した可能性があるとされている。これらの事例は、利用者の個人情報ややりとりされる情報の内容が国外に流出する危険性を示唆している。

このようにLINEを巡っては情報流出事案が繰り返されており、安全性の観点から大きな懸念を引き起こしている。さらに、多くの国民や政府機関、地方公共団体が、外国企業の影響下で運営されているSNSプラットフォームを業務や公共サービスに使用していることも大きな懸念の対象となっている。

令和三年の政府調査によれば、政府機関の約七十八・二%、地方公共団体の約六十四・八%がLINEを利用していたという。これらの機関では機密情報の取り扱いや住民の個人情報を扱う業務も含まれていた。

右調査と同時に、政府は「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」を提示した。このガイドラインでは、一定の基準を示したものの、利便性を重視しつつ、LINEの利用を完全に排除することはしないとされている。

一方、中国のバイトダンス社が運営する動画投稿アプリTikTokについても、世界中で情報安全に関する懸念が広がっている。例えば、TikTokがアプリ内ブラウザ使用時に、パスワードやクレジットカードのデータも含めて全てのキー入力を記録することなどが問題視されている。加えて、中国の国家情報法により、中国企業は中国政府の要請に応じて情報を提供する義務があり、これはTikTokにも当てはまるため、利用者の情報が中国政府に提供される可能性があることも懸念されている。

これらのことから、米国では、連邦政府や州政府機関でのTikTokの使用禁止が広がっており、令和五年三月には、米国連邦政府が全ての公的な端末からTikTokの削除を命じた。州議会でも、TikTokの使用を全面的に禁止する法案が可決される動きがある。カナダ、英国、ニュージーランドなど他の西側諸国・地域でも、行政機関や議会の端末でTikTokの使用を禁止する措置が取られている。

日本においてもTikTokの利用者は増加しており、国民や企業だけでなく、政府機関や地方公共団体でも広く使用されている。中国の国家情報法を考慮すると、TikTokに関する海外諸国での懸念は理解できるものであり、日本でもその使用については慎重な対応が求められると考える。特に、公的セクターでの使用は、停止を含め慎重な検討が必要ではないか。

令和五年七月、政府は「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準」を決定し、定型約款や規約等への同意のみで利用可能となるSNSを含むクラウドサービスでは、原則として要機密情報を取り扱うことはできないとされた。しかし他方で、「要機密情報を取り扱わない場合であっても、各政府機関等においては、様々なリスクを十分に踏まえ、必要に応じ講ずべき措置についての助言を内閣官房に求め、情報システムセキュリティ責任者の承認を得た上で必要なもののみを利用する」とする答弁(内閣衆質二一一第四五号)を閣議決定し、一定の条件下でのSNS使用の余地を残している。

SNSの利便性は高く、社会的に不可欠なインフラとして今後もさらに普及していくと考えられる。そのため、より安全なSNSプラットフォームであることが重要である。また、使用する際には、情報の安全性を確保し、より一層の注意を払って慎重に対策を講じるべきである。

その上で情報の安全性を真に高めるためには、国産SNSプラットフォームの開発と積極的な活用の推進が考えられる。

以上を踏まえ、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
令和三年に提示された「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」に基づいて、政府機関及び地方公共団体におけるLINEの使用状況に関する最新のデータを示されたい。

政府
お尋ねの「「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」に基づいて」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府機関については、令和五年五月一日時点で把握している限りでは、各府省庁が管理する御指摘の「LINE」のアカウントの数は二十八であり、地方公共団体については、御指摘の「ガイドライン」で示したとおり、令和三年三月十八日時点で「LINE」を業務上利用している地方公共団体の割合は六十四・八パーセントである。

 

神谷宗幣(参政党)
LINEについて情報流出の事例が再び発生したことを踏まえ、鈴木総務大臣は令和五年十一月二十八日の記者会見で、「通信サービスにおける利用者情報保護の不備による再発事案は非常に遺憾」である旨述べ、LINEヤフー社に対し利用者への適切な周知と原因究明を求めていることを明らかにした。この事案の発生を受けて、政府はLINEヤフー社に対してどのような報告徴収、立入検査、指導を行ったか、また今後の対応計画はどのようなものか。

政府
個人情報保護委員会においては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第百四十六条第一項の規定に基づき、令和五年十二月十二日付けで、総務省においては、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第百六十六条第一項の規定に基づき、令和六年一月九日及び同月十七日付けで、詳細な事実関係等について報告を求めており、今後、当該報告等を踏まえて、政府として、関連法令に基づき、必要な対応を検討してまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
今般、SNSプラットフォームで発生した情報流出の事例に鑑みて、政府は今後、これらのプラットフォームの安全性をどのように確保し、改善する計画を有しているか。また、これらの問題を防ぐためにどのような再発防止策を講じているか。

政府
御指摘の「プラットフォームの安全性」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、SNS等を提供する事業者であって、個人情報や通信の秘密を取り扱う者に対しては、個人情報の保護に関する法律や電気通信事業法等における情報の取扱いに関する規定の遵守の徹底を求めているところであり、関連法令に基づき、個人情報の適正な取扱いや通信の秘密を確保してまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
TikTokに関して、米国をはじめとする諸外国で情報の安全性に関する懸念が表明され、使用禁止などの措置が講じられている。これに関する政府の評価を示されたい。また、すべての政府機関及び地方公共団体でのTikTokの最新使用状況を把握しているか。

政府
他国の政府機関の動向について、政府として評価を述べることは差し控えたい。なお、政府としては、情報セキュリティの確保に係る国際的な動向について、引き続き注視してまいりたい。

また、政府機関については、令和五年五月一日時点で把握している限りでは、各府省庁が管理する御指摘の「TikTok」のアカウントはなく、地方公共団体については、把握していない。

 

神谷宗幣(参政党)
情報の安全性等を考慮し、将来を見据えて国産のSNSプラットフォーム(政府や国内企業が主体となるもの)を開発すること、また、国産SNSプラットフォームの利用を促進することの重要性について、政府はどのように考えているか。

政府
御指摘の「国産のSNSプラットフォーム」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、SNSを含むソフトウェアは国民生活や産業活動に不可欠であることから、国内に事業基盤を持つ事業者によるソフトウェアの開発と利活用は、重要であると考えている。

我が国のカウンターインテリジェンス強化に関する質問主意書(2023年5月30日)

質問

回答

米国における中国の諜報活動事案については、米国シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が過去事案を集約した報告書をホームページで公開している。その報告書(Survey of Reported Chinese Espionage,2000 to the Present March 2023)によると、二〇〇〇年以降の中国による諜報活動事案は、二百二十四件報告されており、そのうち、中国軍又は中国政府が直接関与した事例が四十九%、非中国系(中国当局にリクルートされた米国市民)による事案は十%、中国政府の関係機関が関与したサイバー諜報事案が四十六%、軍事技術獲得を狙ったものは二十九%、商業技術獲得は五十四%、非軍事系官庁や政治家に関する情報獲得は十七%と分析している。

同報告書には、確定判決の記載はないが、米国では一般的に違法な諜報活動は死刑を含む重罪となっている。例えば二〇一八年九月、米航空業界の企業秘密を盗み出そうとした中国人エンジニアは、禁錮八年の有罪判決を受けた。また、二〇一九年十一月、米国中央情報局(CIA)を退職した職員が中国の情報機関員と接触し、米国の機密情報を渡す見返りに数十万ドルを受け取ったとして、禁錮十九年の有罪判決を受けている。報道によると、この事件については、連邦捜査局防諜局長補佐ジョン・ブラウン氏が「国家の安全とCIAの職員らが深刻な危険にさらされた」と述べている。

米国では、諜報活動の事例について、政府司法機関やシンクタンクが積極的に公表しており、米市民に諜報活動の実態を理解させるとともに、国家の安全を確保するための断固とした決意を強く内外に示している。

我が国における中国の諜報活動事例について、CSIS報告書に相当する資料は見当たらなかったため、私が過去事例について国立国会図書館に依頼して調査した結果、二〇〇〇年以降、我が国で諜報活動事例に該当する可能性のあるものとして以下八例が抽出された。

(1) 二〇〇三年、在日中国大使館駐在武官の工作を受けた元自衛官で国防協会役員を務める人物がその求めに応じて防衛関連資料を交付していた(戦後の外事事件―スパイ・拉致・不正輸出― 外事事件研究会編著)。

(2) 二〇〇六年、コンサルタント会社「中国事業顧問」を経営する在日中国人が別の中国人から依頼を受けて不正に在留資格を取得させ、その報酬が台湾統一工作に流用されていた(戦後の外事事件―スパイ・拉致・不正輸出― 外事事件研究会編著)。

(3) 二〇〇七年、自動車部品メーカーの中国人技術者が、社内のデータベースから製品データを持ち出したとして横領の疑いで逮捕され、技術者はその後、不起訴処分となった(毎日新聞二〇〇七年三月十七日付け)。

(4) 二〇一二年、機械メーカーの中国人社員が、設計図の機密データを不正に複製したとして不正競争防止法違反の容疑で逮捕され有罪判決を受けた(読売新聞二〇一二年三月二十八日付け、毎日新聞同年四月十八日付け、読売新聞二〇一五年七月三十日付け)。

(5) 二〇一二年、在日中国大使館の一等書記官(当時)が外国人登録証明書を不正に使って商業活動をしていた疑いで、警視庁公安部から出頭要請を受けた(読売新聞二〇一二年五月二十九日付け、同年六月一日付け、同年十月六日付け)。

(6) 二〇一五年、長男の外国人登録を虚偽申請した疑いで逮捕された中国籍の男性が、中国人民解放軍総参謀部と定期的に連絡を取っていたと報じられた(産経新聞二〇一五年三月二十一日付け、同年四月十四日付け)。

(7) 二〇一九年、工具メーカー「富士精工」の中国籍社員が製品の設計データを不正に持ち出したとして不正競争防止法違反の疑いで逮捕された(朝日新聞二〇一九年二月二十八日付け、日経新聞同年二月二十八日付け、読売新聞同年六月七日付け)。

(8) 二〇二一年、JAXAなどへのサイバー攻撃に使用された日本国内のレンタルサーバーを中国人民解放軍の指示を受けて偽名契約したとして中国共産党員の男性が書類送検された(産経新聞二〇二一年十二月二十九日付け)。

これに含まれていない過去事例も相当数あるとみられるが、それを考慮したとしても、米国の二百二十四件に比して我が国の八件は少なすぎるのではないか。

また、これらの事例の判決を見ると、事例(4)は、懲役二年、執行猶予四年、罰金五十万円、事例(2)は、懲役一年、執行猶予三年、罰金五十万円、事例(7)は、懲役一年二月、罰金三十万円、事例(1)、(3)、(5)、(6)、(8)はいずれも不起訴処分となっており、米国の判決とは比較にならないほど軽微なものとなっている。

これは、我が国の防諜能力、外国諜報活動に対する抑止力は、米国を始めとする他の先進諸国と比較してほぼ皆無であると言わざるを得ず、不名誉にも「スパイ天国」と呼ばれ続け、国家安全が深刻な危険にさらされている現状を裏付けているのではないか。

我が国を取り巻く安全保障環境は、年々厳しさを増しており、外国勢力による諜報活動、破壊や暗殺工作、影響力工作は、水面下において一層、活発化していくとみられ、その取締りや抑止を担うカウンターインテリジェンス能力の抜本的な強化は、我が国の存亡を左右する喫緊の課題である。

この深刻な現状に鑑み、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
外国による諜報活動の摘発、取締りを担当する我が国の主たる機関は、警察の外事部門であると承知している。また、二〇〇八年四月には、内閣情報調査室に内閣情報官をセンター長とするカウンターインテリジェンス・センターが設置されて、カウンターインテリジェンス機能の強化が図られている。しかし、なぜカウンターインテリジェンスの重要な成果である諜報活動の検挙事例がこのように少なく、処分も軽微なのか、その根本的な問題がどこにあるのか、この状況を改善するために具体的で真に有効性のある方策は検討されているのか、政府の見解を示されたい。

政府
一から三までについて

諜報活動の取締りに関して各国が置かれている状況は様々であり、お尋ねの「諜報活動の検挙事例」の件数の多寡について評価を行うことは困難である。また、「処分」に関するお尋ねについては、一般論として、検察当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているものと承知しており、また、裁判所の判断に関わる事柄については、お答えすることを差し控えたい。その上で、政府としては、カウンターインテリジェンスに関する機能の強化は重要と認識しており、情報収集・分析体制の充実強化、違法行為の取締りの徹底等に取り組んでいるところである。

御指摘の「一般の犯罪捜査とは次元の異なる捜査を可能とする法的整備」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないところ、諜報活動を取り締まるための法整備については、様々な議論があるものと承知しているが、政府としては、今後ともカウンターインテリジェンスに関する機能の更なる強化について検討を行ってまいりたい。

「公表」に関するお尋ねについては、外国による諜報活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、警察において、適切な公表に努めているところであり、引き続き、こうした取組に努めてまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
カウンターインテリジェンス能力を強化するには、関係機関による情報収集、分析能力の向上に加えて、諜報活動を取り締まるための法的整備とそれを運用する法執行機関の体制強化が急務である。特に近年、外国の諜報活動はハイテク機器を駆使し、サイバー空間を活用するなど、諜報活動の秘匿、防衛について一層の高度化が図られており、その取締り、検挙が困難になっている。これらの事態に対処するためには、一般の犯罪捜査とは次元の異なる捜査を可能とする法的整備や体制強化が必要であり、米国では、外国情報監視法(FISA)や外国代理人登録法(FARA)などの法律により効果的な取締りを行っている。我が国もこうした法整備を検討すべき時期と考えるが、政府の見解を示されたい。

政府
一から三までについて

諜報活動の取締りに関して各国が置かれている状況は様々であり、お尋ねの「諜報活動の検挙事例」の件数の多寡について評価を行うことは困難である。また、「処分」に関するお尋ねについては、一般論として、検察当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているものと承知しており、また、裁判所の判断に関わる事柄については、お答えすることを差し控えたい。その上で、政府としては、カウンターインテリジェンスに関する機能の強化は重要と認識しており、情報収集・分析体制の充実強化、違法行為の取締りの徹底等に取り組んでいるところである。

御指摘の「一般の犯罪捜査とは次元の異なる捜査を可能とする法的整備」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないところ、諜報活動を取り締まるための法整備については、様々な議論があるものと承知しているが、政府としては、今後ともカウンターインテリジェンスに関する機能の更なる強化について検討を行ってまいりたい。

「公表」に関するお尋ねについては、外国による諜報活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、警察において、適切な公表に努めているところであり、引き続き、こうした取組に努めてまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
米国では、諜報事件事例の詳細な内容を司法省がホームページ等で公表しており、内外のインテリジェンス専門家などが、対象となる外国情報機関の実態解明や分析に活用している。他方、我が国では残念ながら、検挙例が少ないだけでなく、それらの貴重な事例に関する積極的で体系的な情報発信はなされておらず、一部報道により知らされるのがほとんどである。そのため、我が国の専門家だけでなく海外専門家からも日本における当該情報の少なさが指摘されており、我が国における外国情報機関の活動実態の分析が進まない原因の一つとなっている。政府は、米司法省のように、諜報事件事例の詳細な内容をホームページなどでしっかり公表していくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

政府
一から三までについて

諜報活動の取締りに関して各国が置かれている状況は様々であり、お尋ねの「諜報活動の検挙事例」の件数の多寡について評価を行うことは困難である。また、「処分」に関するお尋ねについては、一般論として、検察当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているものと承知しており、また、裁判所の判断に関わる事柄については、お答えすることを差し控えたい。その上で、政府としては、カウンターインテリジェンスに関する機能の強化は重要と認識しており、情報収集・分析体制の充実強化、違法行為の取締りの徹底等に取り組んでいるところである。

御指摘の「一般の犯罪捜査とは次元の異なる捜査を可能とする法的整備」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないところ、諜報活動を取り締まるための法整備については、様々な議論があるものと承知しているが、政府としては、今後ともカウンターインテリジェンスに関する機能の更なる強化について検討を行ってまいりたい。

「公表」に関するお尋ねについては、外国による諜報活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、警察において、適切な公表に努めているところであり、引き続き、こうした取組に努めてまいりたい。

解説動画

情報戦に負けないために(2024年1月9日)

カウンターインテリジェンスの実際(2023年8月12日)