議会質問
北朝鮮拉致被害者を含む、外国に誘拐された邦人の救出能力向上のための予算(2023年6月13日)
神谷宗幣(参政党)
国民の命を守るという点で忘れてはいけないのは、岸田総理も最優先課題とすると表明されている拉致被害者の問題です。我が国で北朝鮮による拉致が正面から取り上げられるようになったのは、事件から二十年以上たった小泉訪朝以降です。それまでは、警察がその可能性を指摘しても、様々な政治的な思惑や北朝鮮の工作活動により拉致の事実を否定したり無視したり、報道機関も積極的に取り上げようとしない状況が長く続いていて、拉致問題を取り上げると陰謀論者として扱われたというふうに聞いています。そういう私自身も、一九九〇年代は高校生でして、地元福井県の小浜市の海岸線沿いの道路に、拉致があったかもしれないので目撃者は情報をくださいという看板を立っていたのを何度も見たんですが、こんな平和な時代に拉致なんてあり得ないだろうというふうに完全に私自身も平和ぼけしていた一人でありました。ですから、二〇〇二年に小浜市に地村保志さんが帰国されたときには、自分の無知さと無責任さを反省したことを強く記憶しています。拉致の問題が放置されていたのは、日本の政治が北朝鮮の隠蔽工作やプロパガンダにまんまと引っかかっていたことの象徴だと思います。私は、そうした個人の反省もあるので、今回のコロナに関しても情報分析をしっかりやってほしいと繰り返し主張をしてきました。拉致問題の発覚から二十年、被害者、その家族も高齢化している今、拉致問題の解決は待ったなしです。今回の予算でも、北朝鮮による拉致問題を含んで、外国に拉致された、誘拐された邦人を救出するためのオペレーション能力の向上といったものに充てられている予算はあるのか、聞かせてください。また、総理が最優先課題と言及するからには何らかの外交的な取組は考えておられると思いますが、説明できるものがあればお願いしたいと思います。
増田和夫(政府参考人)
お答え申し上げます。個別の事案に対する対応というよりも、それ、まず予算の件で御質問がありましたのでお答え申し上げます。令和五年度予算におきましては、自衛隊の在外邦人等の保護措置等、これは、保護措置というのは、在外邦人の警護や救出などの任務が自衛隊法で定まっていることもありまして、そのことを指しておりますが、保護措置だけではなくて、輸送等に係る統合運用を維持向上させることを目的としまして、多国間共同訓練、コブラゴールドに参加するための予算を計上してございます。また、在外邦人等を保護する方策につきましては、個別具体的な状況によりますことから、その予算措置について網羅的にお示しすることは困難でございますけれども、令和五年度予算で申し上げますと、例えば、先般の在スーダン共和国邦人等の輸送に活用いたしましたC2輸送機二機の取得経費として、約五百九十七億円を計上しているところでございます。以上でございます。
實生泰介(政府参考人)
外務省の方からお答えいたします。拉致問題の解決、これに向けては、米国を始めとします関係国と緊密に連携しながら、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であると認識しておりまして、これまで岸田総理自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合うという決意を述べてきているところであります。そうした考えの下、これまで拉致問題については、北朝鮮への直接の働きかけに加えて、米国を含む関係各国に対し、ハイレベルでのあらゆる機会を捉えて累次にわたり拉致問題に関する日本の立場を説明してきており、これに対して多くの国から支持と理解を得てきているところであります。我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すが、とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、これはもうひとときもゆるがせにできない人権問題であるというふうに認識をしております。引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでいく所存でございます。
神谷宗幣(参政党)
ありがとうございました。今、安全保障のお話をここでしていますけれども、人権問題というだけでなくて、安全保障の問題に関わってくる大きな問題だと思います。これからの防衛も必要ですけれども、安全保障も大事ですけれども、過去に起こったことの清算をきちっとしていただくところもしっかりと引き続きやっていただきたいと思います。
日本版の「民間防衛」を国民に配布して意識啓発をする(2023年5月30日)
神谷宗幣(参政党)
戦後、日本は非軍事化されまして、ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムなどで刷り込みがありました。それで、日本人は、アンケートなんか取っても、世界で最もと言ってもいいぐらい国防意識が低い国民に残念ながらなってしまっています。これだと、自国が攻められても戦おうという人たちがほとんどいないということだけではなく、私も経験しましたが、軍事とか国防の話をするだけで、おまえは戦争がしたいのかというふうに罵声を浴びるようなこともありました。国民がこの意識では、戦う前に負けているようなものだというふうにも感じるんですね。外国の例で、スイスなんかがつい近年まで配布していた「民間防衛」という本があります。この本の中には、国民が防衛意識を高めるための最低限の情報がしっかりと詰まっています。日本人は、今このタイミングで、この「民間防衛」に書いてあるような心理戦ですとか世論戦ですとか、そういったことも学んでおかないと、戦争プロパガンダや世論操作といったものに引っかかってしまって、また戦うべきではない相手と戦わされたりしてしまうような、そういった歴史を繰り返さないかなという心配があります。今回は、何度も言いますが、防衛費を倍増するんですから、是非、そんなにこの国民意識の向上というのは、防衛意識の向上というのは予算掛からないと思うので、是非「民間防衛」、日本版の「民間防衛」ですね、こういったものをテキストなど作って国民に配布するなどして意識啓発をしていただきたいと思うんですけれども、この点、防衛大臣のお考えをお聞かせください。
浜田靖一(防衛大臣)
委員御指摘のように、国民の理解を得ていくことは大変重要だというふうに思っておりますし、また、AIを含む技術革新の急速な進展に伴い、これまでの戦い方が抜本的に変化しているのも事実であります。特に、国際社会においては、有事に至る前の段階から偽情報の流布により他国の意思決定に影響を及ぼすといった情報戦への対応が重要な課題となってきております。我が国の防衛上の課題や必要となる取組について国民に十分な情報が提供できるように、防衛白書、防衛省ホームページ、SNS等での情報発信などに引き続き取り組むとともに、情報戦への適切な対応も含め、しっかりと検討してまいりたいと思います。委員長の御指摘の点、私なりに理解をしているつもりであります。
神谷宗幣(参政党)
ありがとうございます。テキストについては言及ありませんでしたけども、ここに戦前の本があるんですね。内務省の「防謀講演資料」というもの、ありまして、戦前にはちゃんとあったんですね。例えば、戦争とはというところには、その国防要素を破壊して、相手国が我が意に、相手国をですね、我が意に従わせることであると言えると、戦争とはですね。したがって、かかる国防要素を破壊するには、必ずしも武力をもってする必要はないというようなことがるる書かれております。これ、今私たち読んでも、これ確かにそうだということたくさんありまして、新しく作るというよりも、戦前はちゃんと独立国家としてあったわけですよ、こういうものが。それが、戦争に負けてからこういうのが全部奪われちゃったので、これを今回、国防を見直すいい機会だと思いますので、是非、そんなに本当にお金掛からないと思うので、やっていただきたいと重ねてお願いしておきます。