質問主意書

投票所における本人確認に関する質問主意書(2024年12月5日)

質問

回答

昨今、銀行口座開設時等の本人確認手続においては、顔写真付き身分証明書、または顔写真のない保険証及び住民票等併せての提出が求められる場面が多く、個人を特定するための情報管理の徹底が求められている。

各投票所においても、投票所入場券と顔写真付き身分証明書や保険証及び住民票等(以下、本人確認書類という。)の提出を求め、確実な本人確認が実施されることが好ましいと思料されるが、現行の公職選挙法等において各投票所における本人確認書類の提示を義務化するに至っていない。

総務省から各都道府県選挙管理委員会委員長宛ての選挙時報(令和四年七月二十五日付け及び令和六年十一月二十五日付け発行)には、「期日前投票システム上等で投票済でないことの確認を行う」こと、投票用紙交付の際「当該選挙の選挙権を有する者であることを十分確認すること」、投票所に入場券を持参しない場合は本人確認書類の提示及び住所等により本人確認を徹底すること等の記載がある。しかし、各自治体の選挙管理委員会による投票所の運用にばらつきがあり、投票所入場券の氏名を読み上げ、「本人に間違いないですか。」という口頭による確認のみを行っている投票所も確認されている。本人確認が不十分であるために不正な投票が行われると、その基礎にある参政権ひいては国家主権をゆるがしかねない。我が国においても、国の行く末を決める重要な国政選挙において、投票所における本人確認を徹底することは重要であると考える。

以上を踏まえ、質問をする。

北野裕子(参政党)
過去に二重投票やなりすまし投票等防止のため、本人確認書類提示の義務化等を政府として検討したことがあるか。あれば、その具体的な検討内容、議論の経緯及び最終的に改正が実現しなかった理由を示されたい。

政府
公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第四十四条第二項において、選挙人は、選挙人名簿又はその抄本の対照を経なければ、投票をすることができないとされているところ、政府としては、投票所における本人確認の手段として、お尋ねの「本人確認書類提示の義務化」を検討したことはない。

北野裕子(参政党)
令和六年十月二十七日執行の第五十回衆議院議員総選挙及び第二十六回最高裁判所裁判官国民審査において、神奈川県綾瀬市の選挙管理委員会で、投票権のない外国籍市民に誤って投票用紙が交付され、投票は有効投票として処理された。また、その後に来訪した有権者も投票を行った事実がある。
 1 前記事案において、外国籍市民に対する投票用紙誤交付が発生した具体的な原因と再発防止策について、政府としてどのように把握し、対応したのか明らかにされたい。
 2 当該外国籍市民が投票に至った動機や経緯について、政府は調査を行ったか。その有無と調査結果について具体的に示されたい。
 3 誤交付された投票が有効票として処理されたことについて、政府としての評価と考えを明らかにされたい。

政府
二の1について

総務省においては、国政選挙及び統一地方選挙に際し、管理執行上問題となった事項について、各都道府県の選挙管理委員会に対し、報告を要請しているところ、御指摘の件については、神奈川県選挙管理委員会から、管理執行上問題となった事項として報告を受けており、今後、各都道府県の選挙管理委員会からの報告の内容を取りまとめた上で、各選挙管理委員会間で情報の共有を図る予定である。

二の2について

総務省としては、お尋ねの「当該外国籍市民が投票に至った動機や経緯」について調査は行っていない。

二の3について

選挙の当日選挙権を有しない者の投票は、本来無効であるべき投票であるが、いずれの投票が選挙の当日選挙権を有しない者の投票であるか投票自体から識別することができないこと等から、開票の際には、選挙の当日選挙権を有しない者の投票であるかを判断して効力を決定することとはされておらず、御指摘の件についても、開票管理者においてこれに基づいて対応したものと承知している。

北野裕子(参政党)
衆議院総選挙及び参議院議員通常選挙それぞれ過去十回分において、公職選挙法第二百三十七条違反(詐偽投票及び投票偽造、増減罪)で有罪となった判決の件数を可能な限り示されたい。また、当該判決が選挙制度や選挙管理業務に与えた影響について、政府としてどのように評価し、対策を講じてきたのか、その具体的な方針を示されたい。

政府
三の前段について

お尋ねの「公職選挙法第二百三十七条違反(詐偽投票及び投票偽造、増減罪)で有罪となった判決の件数」について、統計をとっていない。

三の後段について

お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省においては、投票所における本人確認を徹底することや違法行為の防止を図るため投票所入場券等において注意喚起を行うこと等について、市町村の選挙管理委員会に助言してきているところである。

北野裕子(参政党)
現行法に基づく投票時の本人確認が不十分であることへの指摘がある中、政府として、投票日当日における本人確認書類の提示を義務化する法改正等の必要性についてどう受け止めているか。これを検討する上での課題や障壁について具体的に示し、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの「投票日当日における本人確認書類の提示を義務化する法改正等」を行うことについては、本人確認書類を保有していない選挙人の投票を拒否できるか等の論点があるところ、選挙権の行使に関わる事柄であることから、各党各会派において御議論いただくべきものと考えている。

「政治的公平性」と選挙報道の課題に関する質問主意書(2024年11月11日)

質問

回答

選挙報道は、国民が投票先を判断するための重要な情報源であり、特に党首討論番組は高い関心を集めるとともに、政党助成金を受ける政党への監視手段としても重要である。放送事業者は公共の財産である有限な電波を利用しているため、その影響力を公正に行使する責務がある。ゆえに、選挙の公平性を確保し、国民の参政権を担保するため、放送法第四条が定める「政治的公平性」「事実を歪めないこと」「多角的視点の提供」の厳守が求められる。

しかし、第五十回衆議院議員総選挙では、日本記者クラブ主催の党首討論会や一部民放の討論番組において、一部政党が排除される事態が発生した。日本記者クラブによれば、今回は、「現職の国会議員五人以上、かつ得票率二%以上」を登壇要件とし、従来用いていた基準(「国会議員五名以上」または「得票率二%以上」)より厳しい条件にしたという。これにより、一部政党が発言の機会を失い、特定の政党が優位に扱われる報道が行われた。こうした恣意的な基準の変更が、選挙報道の公平性に影響を与えていることが強く懸念される。

さらに、民放各社がスポンサー収入に依存していることも、選挙報道の公正さに影響を与えかねない要因である。スポンサーの意向に沿わない政党が不利に扱われる懸念もあり、こうした状況が続くと、国民が重要な選挙情報を正確かつ多角的に得る機会が制限され、「知る権利」や参政権の行使に支障をきたすおそれがある。

以上を踏まえ、選挙報道においては、放送法第四条に定める「政治的公平性」「事実を歪めないこと」「多角的視点の提供」の厳守が不可欠であり、放送事業者にはこの責務を徹底することが求められる。

以上を前提に、質問する。

吉川里奈(参政党)
政府は、放送法第四条に基づく「政治的公平性」や「多角的視点の提供」が選挙報道において適切に守られているかをどのように確認しているか。また、これらが守られていないと判断した場合、具体的にどのような措置を講じる方針か。

政府
御指摘の「選挙報道」を含む放送番組は、放送事業者の自主自律によって編集されるべきものであり、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号。以下「法」という。)第四条第一項第二号に掲げる「政治的に公平であること」及び同項第四号に掲げる「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」についても、法の規定に従って、放送事業者において自律的に遵守することが基本であるところ、放送事業者において自らの行為が同項の規定に抵触すると認められる旨を公表した場合等に政府においてこれを確認し、当該行為が同項の規定に抵触すると認められるときは、個別具体的な状況に即して必要に応じ、当該放送事業者に対し注意する等の行政指導を行う考えである。

吉川里奈(参政党)
政府見解によれば、放送法第四条第一項第二号は法規範性を有し、違反があれば業務停止命令が下される可能性がある。この点、強制措置の前段階として改善要請や是正勧告、警告などの行政指導を行う基準や方針はあるか。また、過去に放送法第四条違反に対して改善要請や是正勧告、警告といった行政指導が実際に行われた事例はあるか、件数と時期、その内容を併せて伺いたい。

政府
お尋ねの「強制措置の前段階として改善要請や是正勧告、警告などの行政指導を行う基準や方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、放送事業者の行為が法第四条第一項の規定に抵触すると認められる場合において当該放送事業者に対し行政指導を行うかどうかについては、個別具体的な状況に即して判断する必要があると考えている。
お尋ねの「事例」については、関係する資料の保存期間が経過しているものもあることから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成二十六年度以降に同条の規定に抵触すると認められることを理由として行った行政指導は、日本放送協会が平成二十六年五月十四日に放送した「クローズアップ現代」について平成二十七年四月二十八日に同協会に対し厳重に注意したものが一件である。

吉川里奈(参政党)
選挙報道全体で特定の政党が有利に扱われることなく公平性が確保されるためには、登壇基準や報道基準が恣意的に不公平な内容に変更されないよう公平な内容で統一されることが重要であると考えられるが、政府としてその必要性をどのように認識しているか。また、登壇基準の公平性や恣意的な変更がされないための基準統一に係るガイドラインの整備について今後検討する意向はあるか。

政府
御指摘の「登壇基準や報道基準が」「公平な内容で統一される」及び「登壇基準の公平性や恣意的な変更がされないための基準統一に係るガイドライン」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、放送番組は、放送事業者の自主自律によって編集されるべきものであり、放送番組の編集の基準については、法第五条第一項の規定に基づき、放送事業者において定めるべきものである。

吉川里奈(参政党)
政府見解では、放送法第四条に基づく「政治的公平性」の判断は、その時の総務大臣が個別に行うとされている(平成二十八年二月八日、衆議院予算委員会での高市早苗総務大臣(当時)の答弁)。しかし、大臣が個別に判断を行う場合、その基準が不透明で、政治的圧力や個人の裁量に左右される懸念がある。政府として「政治的公平性」の判断基準を明確化する考えはあるか。

政府
お尋ねの「政治的公平性」については、総務省が平成二十八年二月十二日に衆議院予算委員会に提出した「政治的公平の解釈について(政府統一見解)」において、その考え方を示したと考えている。

吉川里奈(参政党)
国民が公平で正確な選挙情報を得られるよう、政府として「知る権利」を保障する観点から、具体的にどのような対策が考えられるか。特に、少数政党の意見や多様な視点が公平に報道される仕組みを強化する必要があると考えるが、政府としてどのような取組を進める考えか。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、仮に御指摘の「放送法第四条が定める「政治的公平性」」及び「「多角的視点の提供」」についてのお尋ねであれば、一についてで述べたとおりである。

選挙における投票方式と無効票に関する質問主意書(2024年11月11日)

質問

回答

十月二十七日の第五十回衆議院議員総選挙では、全国の小選挙区で無効票が約百六十七万票、全体の二・九九%に達し、前回二〇二一年から増加している。無効票の多さは、有権者の意思が選挙結果に正しく反映されないおそれがあることから、選挙の公正性や信頼性に重大な課題をもたらしている。

公職選挙法では、公職の候補者でない者の氏名や事項を記載したもの、候補者が特定できないもの、候補者の氏名以外の事項を記載したもの等の投票を無効と定めている。

しかし、今回の選挙では、ひらがなで氏名が途中までしか記載されていない票が、同様のふりがなの候補者がいない場合は有効とされている。このような票を有効票に含める判断は、公職選挙法の趣旨を逸脱した解釈ではないかと考える。一方、候補者名が正しく記載されている票でも、エクスクラメーションマーク(!)などが付記されている場合は「余事記載」として厳格に無効とされている。このように、余事記載に対しては極めて厳格な基準が適用される一方で、ひらがなで不完全に記載された票には緩やかな基準が適用されている。基準の運用が一貫しておらず、公平性を欠くと感じる。

また、一九九四年の公職選挙法改正で記号式投票が一度導入されたが、翌一九九五年に自書式に戻され、以後、国政選挙で記号式は一度も実施されていない。当時、「候補者名を有権者に自書させることが、候補者や政党にとって重要な資産である」との考えが背景にあったとされるが、これを理由に自書式投票を続けることは、有権者の意思を正確に反映する観点からは妥当ではない。立候補者確定から印字までの期間が短いことや印刷コストが課題とされているが、開票時間や費用の削減、無効票の減少を考慮すると記号式投票の利点は明白である。

信頼性の高い選挙制度の確立のため、無効・有効票の判定基準を全国で統一し明確にする必要があるのではないかと考える。

以上をもとに、質問する。

吉川里奈(参政党)
平成以降の衆議院および参議院議員選挙における無効票数およびその割合の推移について政府の見解を示されたい。また、開票所における無効票の判断基準が明文化され、全国で一貫して運用されているかについて、政府の確認状況を具体的に示されたい。

政府
一及び十について

投票の効力については、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第六十七条により、開票立会人の意見を聴き、開票管理者が決定することとされ、その決定に当たっては、無効投票について定める法第六十八条の規定に反しない限りにおいて、その投票した選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならないとされている。各開票管理者においては、これらの規定に基づき、適切に判断されているものと認識しており、お尋ねの「平成以降の衆議院および参議院議員選挙における無効票数およびその割合の推移」もその結果であると考えている。

吉川里奈(参政党)
無効票の多発が選挙結果の正確な反映を妨げる可能性について、政府はどのように認識しているか。また、無効票削減に向けた具体的な取組があるか示されたい。

政府
二及び十四について

一及び十についてでお答えしたとおり、投票の効力については、関係法令の規定に基づき各開票管理者において適切に判断されているものと認識している。
また、衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙における啓発活動として、総務省ホームページ及び周知用リーフレットに投票用紙の記載方法を掲載するとともに、各選挙管理委員会に対し、投票方法の周知を依頼してきたところであり、今後も様々な媒体を活用し、周知啓発に努めてまいりたい。

吉川里奈(参政党)
国政選挙において記号式投票が一度検討されたにもかかわらず、最終的に採用されなかった経緯と理由について、政府が把握している内容を具体的に示されたい。

政府
三、六及び十一の後段について

衆議院議員の選挙については、小選挙区比例代表並立制を採用する際、投票の効力の判断が容易となること、選挙に関する争訟が減少すること、投票の秘密が確保しやすくなること等の利点があると考えられたことから、公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)により、候補者の氏名又は衆議院名簿届出政党等の名称等(以下「候補者の氏名等」という。)に対し○の記号を記載することにより投票する記号式投票によるものとされたものの、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙の投票方法が異なることで混乱を招くおそれがあること、候補者又は衆議院名簿届出政党等の数が多くなると、有権者が投票用紙の中から投票しようとする候補者の氏名等を探し出すことが困難となり、混乱を招くおそれがあること、各選挙管理委員会において、立候補の届出後に候補者の氏名等の記載された投票用紙を調製しなければならないこと等の課題があると考えられたことから、公職選挙法の一部を改正する法律(平成七年法律第百三十五号)により自書式投票に改められたものと承知している。

吉川里奈(参政党)
日本の国政選挙で採用されている自書投票方式は、世界でも日本のみが導入しているとされる。政府として他国で国政選挙において自書投票方式を採用している例があるか把握しているか。ある場合、その国名を示されたい。

政府
お尋ねについては、把握していない。

吉川里奈(参政党)
今回の衆議院議員総選挙を踏まえ、二〇二五年七月の参議院議員選挙までに投票方式を見直す必要があると考える。次回衆議院議員総選挙において記号投票方式導入を検討する予定があるか、政府の見解を伺いたい。

政府
五、九、十二及び十三について

お尋ねについては、選挙手続の中核である投票方法の在り方の問題であり、また、衆議院議員の選挙において記号式投票から自書式投票に改める法の改正が議員立法により行われた経緯もあることから、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

吉川里奈(参政党)
自書投票方式と記号投票方式のそれぞれの利点や課題について、政府の見解を示されたい。また、現行方式が記号方式より優れている点について具体的に示されたい。

政府
三、六及び十一の後段について

衆議院議員の選挙については、小選挙区比例代表並立制を採用する際、投票の効力の判断が容易となること、選挙に関する争訟が減少すること、投票の秘密が確保しやすくなること等の利点があると考えられたことから、公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)により、候補者の氏名又は衆議院名簿届出政党等の名称等(以下「候補者の氏名等」という。)に対し○の記号を記載することにより投票する記号式投票によるものとされたものの、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙の投票方法が異なることで混乱を招くおそれがあること、候補者又は衆議院名簿届出政党等の数が多くなると、有権者が投票用紙の中から投票しようとする候補者の氏名等を探し出すことが困難となり、混乱を招くおそれがあること、各選挙管理委員会において、立候補の届出後に候補者の氏名等の記載された投票用紙を調製しなければならないこと等の課題があると考えられたことから、公職選挙法の一部を改正する法律(平成七年法律第百三十五号)により自書式投票に改められたものと承知している。

吉川里奈(参政党)
令和三年度において、青森県、島根県、大分県などの知事選や市区長選、町村長選で記号投票方式が導入されているが、現在の導入状況について、地方選挙の種類別に政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねについては、法第四十六条の二の規定に基づき、各地方公共団体の判断により条例を制定し、記号式投票を導入しているものと認識している。

吉川里奈(参政党)
記号投票方式を導入している地方自治体では、国政選挙での自書投票方式との混在が生じている。このような自治体から政府に対し、国政選挙への記号投票方式導入について意見や要望が寄せられているか、具体的に示されたい。

政府
お尋ねの「国政選挙への記号投票方式導入について意見や要望」が寄せられた事例は承知していない。

吉川里奈(参政党)
自書投票方式が高齢者や障がい者にとって投票のハードルとなっている現状についての政府の認識を示されたい。また、すべての有権者が平等に投票しやすい環境を整えるため、記号投票方式などを含む投票環境改善の方針があるか示されたい。

政府
五、九、十二及び十三について

お尋ねについては、選挙手続の中核である投票方法の在り方の問題であり、また、衆議院議員の選挙において記号式投票から自書式投票に改める法の改正が議員立法により行われた経緯もあることから、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

吉川里奈(参政党)
開票所ごとの無効票判断基準や運用に差が生じる可能性について、政府としてどのように把握し、統一した運用を確保しているか示されたい。

政府
一及び十について

投票の効力については、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第六十七条により、開票立会人の意見を聴き、開票管理者が決定することとされ、その決定に当たっては、無効投票について定める法第六十八条の規定に反しない限りにおいて、その投票した選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならないとされている。各開票管理者においては、これらの規定に基づき、適切に判断されているものと認識しており、お尋ねの「平成以降の衆議院および参議院議員選挙における無効票数およびその割合の推移」もその結果であると考えている。

吉川里奈(参政党)
無効票に加え、疑問票の割合、そのうち有効票とされた票の割合およびその推移について、政府が把握している数値を可能な限り示されたい。疑問票が多いことは自書方式の課題を示すものと考えるが、政府の見解を求める。

政府
十一の前段について

お尋ねについては、把握していない。

三、六及び十一の後段について

衆議院議員の選挙については、小選挙区比例代表並立制を採用する際、投票の効力の判断が容易となること、選挙に関する争訟が減少すること、投票の秘密が確保しやすくなること等の利点があると考えられたことから、公職選挙法の一部を改正する法律(平成六年法律第二号)により、候補者の氏名又は衆議院名簿届出政党等の名称等(以下「候補者の氏名等」という。)に対し○の記号を記載することにより投票する記号式投票によるものとされたものの、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙の投票方法が異なることで混乱を招くおそれがあること、候補者又は衆議院名簿届出政党等の数が多くなると、有権者が投票用紙の中から投票しようとする候補者の氏名等を探し出すことが困難となり、混乱を招くおそれがあること、各選挙管理委員会において、立候補の届出後に候補者の氏名等の記載された投票用紙を調製しなければならないこと等の課題があると考えられたことから、公職選挙法の一部を改正する法律(平成七年法律第百三十五号)により自書式投票に改められたものと承知している。

吉川里奈(参政党)
無効票削減と有権者意思の正確な反映を目的として、電子投票やオンラインでの記号式投票など、新たな技術を導入する可能性について政府が検討しているか示されたい。

政府
五、九、十二及び十三について

お尋ねについては、選挙手続の中核である投票方法の在り方の問題であり、また、衆議院議員の選挙において記号式投票から自書式投票に改める法の改正が議員立法により行われた経緯もあることから、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

吉川里奈(参政党)
自書投票方式は記号投票方式に比べて高いコストがかかるとされるが、このコスト負担を継続することについて政府の見解を示されたい。また、コスト削減および投票制度の公平性確保の観点から、記号投票方式の検討予定があるか。

政府
五、九、十二及び十三について

お尋ねについては、選挙手続の中核である投票方法の在り方の問題であり、また、衆議院議員の選挙において記号式投票から自書式投票に改める法の改正が議員立法により行われた経緯もあることから、各党各会派において十分に議論していただきたいと考えている。

吉川里奈(参政党)
無効票削減と有権者の投票意思の正確な反映を目的に、政府として有権者に対する投票方法の教育や周知活動を行う必要があると考える。政府において、これらの活動を強化する具体的な計画があるか示されたい。

政府
二及び十四について

一及び十についてでお答えしたとおり、投票の効力については、関係法令の規定に基づき各開票管理者において適切に判断されているものと認識している。
 また、衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙における啓発活動として、総務省ホームページ及び周知用リーフレットに投票用紙の記載方法を掲載するとともに、各選挙管理委員会に対し、投票方法の周知を依頼してきたところであり、今後も様々な媒体を活用し、周知啓発に努めてまいりたい。

令和六年十月二十七日執行の衆議院議員総選挙における政見放送の時間帯設定の在り方に関する質問主意書(2024年11月11日)

質問

回答

令和六年十月二十七日に投開票された第五十回衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)において、比例代表届出政党の政見放送が深夜・早朝という視聴困難な時間帯に設定された。具体的には、比例代表北関東選挙区はTBSにて十月二十一日午前三時二十分から四時二十分、東京都選挙区はフジテレビにて十月二十三日午前四時十五分から四時五十五分、日本テレビにて同日午前四時から四時三十分に放送された。このような時間帯では、多くの有権者にとって視聴が困難であり、政見放送の本来の趣旨である「政党の主張を広く有権者に伝える」という目的が十分に果たせないと考える。

私が提出した「本年四月二十八日実施の衆院補選(東京十五区)における政見放送の時間帯の在り方に関する質問主意書」(第二百十三回国会質問第一三三号)に対する答弁書(内閣参質二一三第一三三号)では、衆議院東京都第十五区選出議員補欠選挙に関する類似の問題を指摘したが、政府からは、放送事業者が定める放送日時について、総務省は協議や変更を行っておらず、選挙管理委員会へ電子メールにより通知が行われた旨の答弁があった。本件選挙においても、基幹放送事業者による政見放送が午前三時や四時の時間帯に設定されており、有権者が視聴しづらい状況が続いている。このことから、基幹放送事業者の主導で放送時間帯が決定されているかのような現状や、総務省及び選挙管理委員会による監督の在り方について、現行の仕組みが適切かを検証する必要があると考える。

以上を踏まえ、以下、質問を行う。

神谷宗幣(参政党)
過去十年間の国政選挙において実施された比例代表届出政党の政見放送のうち、基幹放送事業者が放送した日時を、選挙区及び放送事業者ごとに示されたい。また、政見放送の日時が基幹放送事業者の主導で決定され、総務省及び選挙管理委員会がその内容に変更を加えることなく追認するだけの対応が一貫して行われてきたか否か示されたい。

政府
一の前段について

平成二十六年以降の衆議院比例代表選出議員の選挙において行われた政見放送のうち、基幹放送事業者(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百五十条第一項に規定する基幹放送事業者をいう。以下同じ。)の放送設備により行われたものの日時は、次のとおりである。

 平成二十六年十二月十四日に執行された第四十七回衆議院議員総選挙の比例代表選出議員の選挙

 北関東選挙区 株式会社フジテレビジョン 同月八日四時四十五分から五時二十五分まで

                     同月九日四時四十五分から五時二十五分まで

                     同月十日四時五十五分から五時二十五分まで

                     同月十一日四時五十五分から五時二十五分まで

 東京都選挙区 株式会社テレビ東京    同月九日五時二十四分から五時四十五分まで

                     同月十日五時二十四分から五時四十五分まで

                     同月十一日五時三十分から五時四十五分まで

        株式会社テレビ朝日    同月十一日四時から四時五十分まで

                     同月十二日四時から四時五十分まで

 平成二十九年十月二十二日に執行された第四十八回衆議院議員総選挙の比例代表選出議員の選挙

 北関東選挙区 日本テレビ放送網株式会社 同月十六日四時から四時三十九分まで

                     同月十七日四時から四時三十九分まで

                     同月十八日四時から四時三十分まで

                     同月十九日四時から四時三十分まで

 東京都選挙区 株式会社TBSテレビ   同月十七日四時から四時五十分まで

                     同月十八日四時から四時五十分まで

        株式会社フジテレビジョン 同月十七日四時四十五分から五時十五分まで

                     同月十八日四時四十五分から五時十五分まで

                     同月十九日四時五十五分から五時十五分まで

 令和三年十月三十一日に執行された第四十九回衆議院議員総選挙の比例代表選出議員の選挙

 北関東選挙区 株式会社テレビ朝日    同月二十五日四時から四時四十分まで

                     同月二十六日四時二十五分から四時五十五分まで

                     同月二十七日四時から四時四十分まで

                     同月二十八日四時から四時三十分まで

 東京都選挙区 株式会社テレビ東京    同月二十五日四時二十九分から五時十分まで

                     同月二十六日四時二十九分から五時十分まで

                     同月二十七日四時二十九分から五時十分まで

        東京メトロポリタンテレビジョン株式会社

                     同月二十六日十八時三十分から十八時五十五分まで

                     同月二十七日十八時三十分から十八時五十五分まで

                     同月二十八日十八時三十分から十八時五十五分まで

 令和六年十月二十七日に執行された第五十回衆議院議員総選挙の比例代表選出議員の選挙

 北関東選挙区 株式会社TBSテレビ   同月二十一日三時二十分から四時二十分まで

                     同月二十二日三時二十分から四時二十分まで

                     同月二十三日三時三十分から四時二十分まで

 東京都選挙区 株式会社フジテレビジョン 同月二十一日四時二十五分から四時五十五分まで

                     同月二十二日四時十五分から四時五十五分まで

                     同月二十三日四時十五分から四時五十五分まで

        日本テレビ放送網株式会社 同月二十二日四時から四時三十分まで

                     同月二十三日四時から四時三十分まで

                     同月二十四日四時から四時二十分まで

なお、参議院比例代表選出議員の選挙において行う政見放送は、公職選挙法施行令(昭和二十五年政令第八十九号)第百十一条の四第四項の規定により、日本放送協会の放送設備により行うことができることとされている。

一の後段について

お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、中央選挙管理会は、政見放送及び経歴放送実施規程(平成六年自治省告示第百六十五号。以下「規程」という。)第十三条の規定に基づき、規程第十二条第一項の規定による通知に基づいて、選挙区ごとの政見放送の日時を定めている。

神谷宗幣(参政党)
基幹放送事業者による本件選挙の比例代表届出政党の政見放送が深夜・早朝に設定された理由について、政府はどのように認識しているか。また、このような時間帯での放送が続いている現状に対し、総務省として放送時間帯を改善するための具体的な対策や方針があるかどうか、政府の見解を示されたい。

政府
二の前段について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、基幹放送事業者は、規程第十二条第二項の規定に基づき、対応しているものと承知している。

二の後段及び三について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、総務省においては、日本放送協会及び基幹放送事業者が、規程第十二条第一項の規定に基づき、政見放送の予定の日時を定めるに当たって、有権者が最も視聴しやすい日時であるかどうか、同一の選挙区の全ての候補者等が平等に放送できるよう選挙管理委員会が放送の日時を定めることができるかどうか等について留意して検討するよう、各都道府県の選挙管理委員会を通じて示しており、引き続き適切に対応してまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
現行の政見放送の日時決定プロセスにおいて、基幹放送事業者が主導で放送時間帯を決定していることが、視聴者の利便性や政党の主張が広く伝わるために十分な配慮がなされているとは考え難い。政見放送の放送日時について、有権者が視聴しやすい時間帯を確保するため、総務省及び選挙管理委員会内で運用面での見直しや調整の余地があるか、政府の見解を示されたい。

政府
二の後段及び三について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、総務省においては、日本放送協会及び基幹放送事業者が、規程第十二条第一項の規定に基づき、政見放送の予定の日時を定めるに当たって、有権者が最も視聴しやすい日時であるかどうか、同一の選挙区の全ての候補者等が平等に放送できるよう選挙管理委員会が放送の日時を定めることができるかどうか等について留意して検討するよう、各都道府県の選挙管理委員会を通じて示しており、引き続き適切に対応してまいりたい。

投票時間繰上げの基準と公職選挙法第四十条の解釈に関する質問主意書(2024年11月11日)

質問

回答

総務省によると、令和六年十月二十七日投開票の第五十回衆議院議員総選挙では、全国の約四割の投票所が法定の午後八時よりも早く投票を締め切ったという。この内容が令和六年十月二十七日の読売新聞(オンライン版)で報じられると、ネット上では「「八時までならギリギリ間に合う」と予定していた人の投票権を奪うのはおかしい」、「これはアウトだ。経費節減のために投票所を閉鎖することが許されるなら、民主主義の根幹を揺るがす暴挙だ」といった批判が巻き起こった。

同記事によれば、栃木県では全ての投票所が午後七時までに閉鎖され、茨城県や福島県でも同様の措置が採られているという。また、各地の選挙管理委員会によるアンケートや説明によれば、投票立会人の確保が難しいことや、職員の時間外手当の削減が繰上げの背景にあるとされている。

この点、公職選挙法第四十条は、投票時間の繰上げを「選挙人の投票の便宜のため必要がある」又は「選挙人の投票に支障を来さない」と認められる特別の事情がある場合に限ると規定している。しかし、アンケート結果から見える繰上げ理由は、「投票立会人の確保」や「職員の時間外手当の削減」といった行政側の都合が中心であり、法の趣旨に沿った運用がなされていないという強い懸念がある。

投票時間の繰上げによって、本来投票できたはずの有権者が投票の機会を失う恐れがある。この状況を放置することは、有権者一人一人の選挙への参加権を軽視するものであり、民主主義の基盤である「平等な投票機会の確保」という原則を大きく損なうものである。選挙は、全ての有権者が公平に参加できることが大前提であり、行政側の都合を優先して繰上げを行うことは、選挙制度への信頼をも揺るがす懸念がある。

以上を踏まえ、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
報道によると、各地の選挙管理委員会のアンケート結果では、投票時間繰上げの理由として「投票立会人の確保」や「職員の時間外手当の削減」といった行政側の事情が挙げられている。このような運用がある可能性について、政府はどのようにして公職選挙法の趣旨に照らして適切であるか確認しているのか。また、適切な運用を確保するために、実態調査を行うべきではないか。政府の見解を示されたい。

政府
投票所閉鎖時刻の繰上げについては、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)第四十条第一項ただし書の規定により、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り、市町村の選挙管理委員会が行うことができることとされており、当該規定に基づき、市町村の選挙管理委員会が判断するものと考えている。

当該規定の適用については、市町村の選挙管理委員会において、その理由を選挙人に丁寧に説明するなど、適切に対応しているものと承知しており、また、総務省においては、都道府県の選挙管理委員会を通じて、当該規定の適用状況について把握していることから、実態調査を行うことは考えていない。

神谷宗幣(参政党)
公職選挙法第四十条では、投票時間の繰上げが認められるのは「選挙人の投票の便宜のため」または「投票に支障を来さないと認められる特別の事情」がある場合に限るとされている。この「特別の事情」とは具体的にどのような状況を指すものと解釈されるか。政府の見解を示されたい。

政府
法第四十条第一項ただし書の規定の適用に当たっては、選挙の行われる時季や地域の実情等を精査し十分な検討を行った上で、市町村の選挙管理委員会が判断するものと考えている。

神谷宗幣(参政党)
投票時間の繰上げによって、実際に投票できなかった有権者が存在する可能性があるが、こうした影響を最小限に抑えるために、政府として具体的にどのような対策を講じているか。また、今後、選挙管理委員会に対して投票機会を最大限に確保するよう指導する考えはあるか。

政府
御指摘の「実際に投票できなかった有権者が存在する可能性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、投票所閉鎖時刻については、市町村の選挙管理委員会において、投票所入場券等を活用し、適切に周知しているものと承知しており、引き続き、市町村の選挙管理委員会に対し必要な助言を行ってまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
政府は、「選挙投票所の閉鎖時刻に関する質問主意書」(第二百四回国会質問第七四号)に対する答弁書(内閣参質二〇四第七四号)で「総務省においては(中略)十分な検討を行い適切に対応するよう、都道府県の選挙管理委員会を通じて市町村の選挙管理委員会に助言してきている」と答弁しているが、その「助言」とは具体的に何を指すのか。選挙管理委員会が法の趣旨を理解し、「選挙人の便宜」を守るための具体的な指示や指導はあったのか。総務省の助言が、実際の現場における具体的な対応につながったのかも含めて示されたい。単なる指針の提示ではなく、各市町村の選挙管理委員会がどのように改善すべきかを示した具体的な内容と、その成果を明らかにされたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、総務省においては、国政選挙及び統一地方選挙に際して、法第四十条第一項ただし書の規定の適用に当たっては、その理由を選挙人に説明するべきであること、また、投票所閉鎖時刻について選挙人に混乱が生じないよう、投票所入場券等の活用により、あらかじめ周知を行うべきであることを、都道府県の選挙管理委員会を通じて市町村の選挙管理委員会に助言してきているところであり、当該助言も踏まえ、市町村の選挙管理委員会において、適切に対応しているものと承知している。

神谷宗幣(参政党)
期日前投票の利用が促されているが、こうした情報が全ての有権者に適切に周知されているか、政府はどのように確認しているのか。また、期日前投票の利便性を高めるために、更なる施策を講じる考えはあるか。具体的な対応策について示されたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、期日前投票所に関する情報については、市町村の選挙管理委員会において、投票所入場券や各種広報媒体を活用し、適切に周知しているものと承知している。

また、期日前投票の利便性の向上については、市町村の選挙管理委員会においてショッピングセンター等の利便性の高い場所における期日前投票所の設置に積極的に取り組めるよう、令和五年度から、会場の借上費用等について特別交付税措置を講じているところであり、今後とも、利便性の高い場所における期日前投票所の設置を促進してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
投票時間の繰上げの実施状況には地域によって大きな差が見られるが、このような地域間格差が選挙の公平性に影響を及ぼす可能性について、政府はどのように考えているのか。また、地域ごとの判断に任せるだけでなく、国として統一的な基準を設ける考えはあるか。政府の見解を示されたい。

政府
法第四十条第一項ただし書の規定の適用に当たっては、選挙の行われる時季や地域の実情等を精査し十分な検討を行った上で、市町村の選挙管理委員会が判断するものと考えている。

総務省においては、これまでも当該規定の趣旨を踏まえ、十分な検討を行い適切に対応するよう、都道府県の選挙管理委員会を通じて市町村の選挙管理委員会に助言してきているところであり、今後とも様々な機会を活用し、市町村の選挙管理委員会に対し必要な助言を行ってまいりたい。

若者の政治参加と選挙権年齢引下げに関する質問主意書(2024年10月1日)

質問

回答

現在、我が国では少子高齢化が進む中、若者の声が政治の場に十分届いていないという課題が浮き彫りになっている。選挙のたびに「若者は投票に行かない」との指摘が聞かれるが、その声が必ずしも的を射ているとは言い難い。若者が政治に関心を持ち、投票の意思があっても、現行制度の下では、選挙権が十八歳以上に限られており、若年層の政治参加が制約されている現実がある。

若者は、三十年先、四十年先の社会を見据える立場にあり、その長期的な視点を政策に反映させることは、今後の日本社会の持続可能性を考える上で極めて重要である。急速に進む少子高齢化や技術革新に対応するためには、未来を担う若年層の声をより早い段階で政治に反映させることが不可欠であり、そのための政治参加の機会と環境整備が必要である。

我が国では、二〇一六年に選挙権年齢が二十歳から十八歳に引き下げられ、若年層の政治参加が一歩進んだ。しかし、国際的には更に進んだ動きも見られる。例えば、オーストリアでは、選挙権年齢を十六歳に引き下げることで、若者の政治参加を一層促進している。また、被選挙権年齢も、国会議員(Nationalrat)選挙への立候補が十八歳から可能となっており、若年層が立候補しやすいように整備されている。こうした国際的な事例に鑑みれば、日本においても選挙権年齢の更なる引下げを検討することが、若年層の声を政治に反映させるための重要な一歩となるのではないか。

以上を前提に、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
我が国では、選挙権が付与される年齢が被選挙権より低く設定されている。この年齢差が設けられている理由について、同じ年齢にそろえない合理的な説明を求めたい。

政府
御指摘の「被選挙権年齢」については、我が国においては、各党各会派における御議論を経て、公職にある者として活動するために必要とされる社会的経験等を踏まえ、「選挙権年齢」よりも高く設定されているものと承知している。いずれにせよ、選挙制度の仕組みを具体的にどのように定めるかは原則として国会の広い裁量に委ねられていると考えている。

神谷宗幣(参政党)
被選挙権を国政・地方ともに十八歳に引き下げた場合の課題や問題点について、政府の見解を示されたい。

政府
二及び三について

御指摘の「被選挙権年齢」及び「選挙権年齢」の在り方については、民主主義の土台である選挙制度の根幹に関わる事柄であることから、お尋ねの「課題や問題点」も含め、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えている。

神谷宗幣(参政党)
選挙権のみを国政・地方ともに十六歳に引き下げた場合の課題や問題点について、政府の見解を示されたい。

政府
二及び三について

御指摘の「被選挙権年齢」及び「選挙権年齢」の在り方については、民主主義の土台である選挙制度の根幹に関わる事柄であることから、お尋ねの「課題や問題点」も含め、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えている。

神谷宗幣(参政党)
若者の政治参加を促進するため、国際的には選挙権年齢の引下げや様々な施策が導入されている。他国のこれらの事例について、政府はどのように情報収集・分析を行い、評価しているのか。また、日本でこれらの施策を取り入れない理由と、他に検討されている若者の政治参加促進策について、政府の見解を示されたい。

政府
御指摘の「選挙権年齢の引下げ」に関する情報収集は必要な範囲で行っているところであるが、「選挙権年齢」の在り方は、二及び三についてでお答えしたとおり、民主主義の土台である選挙制度の根幹に関わる事柄であることから、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えている。

また、お尋ねの「他に検討されている若者の政治参加促進策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「選挙権年齢の引下げ」以外の若年層の政治参加を促進する施策に関する情報収集は必要な範囲で行っており、例えば、ノルウェーでは、選挙の機会を活用して、実在する政党等に模擬的に投票する「スクール・エレクション」の取組がなされていると承知しており、我が国においても、若年層に選挙や政治をより身近なものに感じさせ、将来の主体的な投票行動につなげる観点から、選挙管理委員会と学校の連携の下、選挙の機会を活用して、実際の立候補者等に模擬的に投票する取組について全国に周知しているところである。政府としては、このような取組を始め、各地で行われている若年層の政治参加を促進する施策について事例集等を取りまとめており、これらを活用して優良事例の普及に取り組んでまいりたい。

本年四月二十八日実施の衆院補選(東京十五区)における政見放送の時間帯の在り方に関する質問主意書(2024年5月14日)

質問

回答

本年四月十六日に告示され同月二十八日に投開票された東京十五区における衆議院議員補欠選挙の政見放送について、テレビジョン放送は、以下の日時に実施された(以下「本件放送日時」という。東京都選挙管理委員会事務局ウェブサイト「政見放送及び経歴放送の予定」より)。

・NHKテレビ 四月二十五日(木)午前六時から同三十分

・フジテレビ 四月二十二日(月)午前四時二十五分から同五十五分

・ニッポン放送 四月二十二日(月)午前一時四十分から午前二時十分

 一方、同日に行われた島根一区の補欠選挙のテレビジョン放送の日時は、以下のとおりである。

・NHKテレビ 四月二十五日(木)午前七時三十分から同五十分

・さんいん中央テレビ 四月二十二日(月)午後三時十五分から同三十五分

・山陰放送 四月十九日(金)午前十時三十分から同五十五分

さらに長崎三区の補欠選挙のテレビジョン放送の日時は、以下のとおりである。

・NHKテレビ 四月二十五日(木)午前七時三十分から同五十分

・長崎放送 四月二十一日(日)午後三時から同二十五分

・長崎文化放送 四月二十三日(火)午前十時五十一分から午前十一時十六分

候補者届出政党の候補者は公益のため、その政見を無料で放送することができる(公職選挙法第百五十条第一項)とされ、その放送の日時は「総務大臣が日本放送協会及び基幹放送事業者と協議の上、定める」(公職選挙法第百五十条第九項)と規定されている。

また、総務省所管の「政見放送及び経歴放送実施規程」(平成六年十一月二十九日自治省告示第百六十五号。以下「本件規程」という。)によれば、日本放送協会と基幹放送事業者があらかじめ政見放送の日時を定め、選挙管理委員会に通知しなければならないとされている(本件規程第十二条第一項)。

さらに、本件規程第十二条第二項には、「日本放送協会及び基幹放送事業者は、政見放送の予定の日時を定めるに当たっては(略)政見放送がなるべく効果的に行われるように、放送時間帯の決定について配慮しなければならない。」と規定されている。

以上を踏まえ、質問する。

神谷宗幣(参政党)
本件放送日時を深夜の午前一時四十分、午前四時二十五分及び早朝の午前六時としたことは、本件規程にある「政見放送がなるべく効果的に行われるように、放送時間帯の決定について配慮しなければならない」との内容とどのような整合性があるのか、明らかにされたい。また、本件放送日時の決定について、総務大臣と日本放送協会及び基幹放送事業者が行った協議の回数、日時、場所、出席者及び協議の内容について開示されたい。

政府
お尋ねの「整合性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本放送協会及び基幹放送事業者(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百五十条第一項に規定する基幹放送事業者をいう。以下同じ。)は、政見放送及び経歴放送実施規程(平成六年自治省告示第百六十五号。以下「規程」という。)第十二条の規定に基づき、対応しているものと承知している。

また、総務省として、御指摘の衆議院東京都第十五区選出議員補欠選挙において行う政見放送(以下「本件政見放送」という。)の日時について、日本放送協会又は基幹放送事業者と協議は行っていない。

神谷宗幣(参政党)
本件放送日時の通知は、誰が、いつ、誰に対し、いかなる形式で行ったか、それぞれの放送ごとに回答されたい。また、総務大臣が本件放送日時を知ったのはいつか、それぞれの放送ごとに回答されたい。そもそも総務大臣は、本件規程に沿って、政見放送及び経歴放送の実施について、その放映日時や回数等について放送事業者に対して具体的な指導を行ったことがあるのか。その指導について、事業者からの通知後に放送予定日の変更を求めたことがあるのか。以上について、具体的に指導を行った年月日と対象事業者、指導内容について明らかにされたい。

政府
二の第一文について

御指摘の「本件放送日時の通知」の意味するところが必ずしも明らかではないが、東京都選挙管理委員会によれば、本件政見放送に関する規程第十二条第一項の規定による通知については、日本放送協会は令和六年四月十二日及び同月十五日に、株式会社フジテレビジョンは同月十二日に、株式会社ニッポン放送は同年三月二十五日及び同年四月十六日に、同選挙管理委員会に対して電子メールにより行われたものと承知している。

二の第二文について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(衆議院比例代表選出議員の選挙及び参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会。以下同じ。)が規程第十三条の規定により定めた政見放送の日時を総務大臣が把握する制度はないところ、本件政見放送の日時は、東京都選挙管理委員会において、令和六年四月十七日に公表されたものと承知している。

二の第三文から第五文までについて

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、規程第十三条の規定により、政見放送の日時は当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定めることとされており、総務大臣がお尋ねのように「指導」を行うこととはされていない。

神谷宗幣(参政党)
本件放送日時について、他の選挙区の放送日時と比較しても、一般的な視聴時間とは異なる深夜及び早朝の時間帯が選ばれたことは、東京十五区の多数の有権者が視聴するのに合理的な時間帯とは考え難く、候補者が有する政見放送の権利及び有権者がその政見などを知る権利を実質的に侵害する恐れがあるのではないか。この点について、日本放送協会及び基幹放送事業者が本件規程第十二条第二項に基づいて十分な配慮をしたといえるのか。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一についてでお答えしたとおり、日本放送協会及び基幹放送事業者は、規程第十二条の規定に基づき、対応しているものと承知している。

 

神谷宗幣(参政党)
本件規程では、政見放送日時を決定する際の手続きには、日本放送協会及び基幹放送事業者が一方的に日時を決定できるとされており、これは、公職選挙法に規定された「総務大臣が日本放送協会及び基幹放送事業者と協議の上、定める」との要件と齟齬があると考えるが、政府の見解を示されたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、公職選挙法第百五十条第九項の規定に基づき、政見放送に関し必要な事項を規程に定めているところ、御指摘のように「齟齬がある」とは考えていない。

なお、政見放送の日時については、規程第十三条の規定により、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が、規程第十二条第一項の規定による通知に基づいて定めるものであり、御指摘のように「日本放送協会及び基幹放送事業者が一方的に日時を決定できる」ものではない。

神谷宗幣(参政党)
本件放送が深夜一時台・四時台・早朝六時に実施され、大多数の有権者の視聴が著しく困難な時間帯であるのに、仮に総務大臣が本件放送日時に関し、日本放送協会及び基幹放送事業者に何ら指導や是正を行っていないとすれば、それは、総務大臣の職責が果たせていないと考えるが、政府の見解を示されたい。また、その原因は本件規程の不十分な取り決めにあると考えるが、本件規程の改正について政府は検討しているか示されたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、二の第三文から第五文までについてで述べたとおり、規程第十三条の規定により、政見放送の日時は当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定めることとされているため、お尋ねのように「総務大臣の職責が果たせていない」とは考えておらず、また、現時点において、政見放送の日時の決定について規程の改正は検討していない。

政治参加の門戸を広げるための選挙供託金制度に関する質問主意書(2024年2月29日)

質問

回答

現在、選挙に出馬するためには、衆議院小選挙区で三百万円、比例代表で六百万円の供託金が必要である。候補者が一定の得票数に達しない場合、供託金は没収される。

このような我が国の高額な供託金制度は、諸外国と比較しても異例であり、自由な立候補の機会を妨げる一因となっている。このことは、第百七十一回国会の衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会などでも指摘されている。

諸外国の例を見れば、イギリスでは、一九八五年に供託金を五百ポンド(現在の日本円で約九万五千円)に設定し、没収基準を有効投票総数の五%に引き下げている。アメリカやフランス、ドイツ、イタリアなどの先進国では、供託金制度を設けず、例えば、ドイツでは立候補に必要な署名数を定める制度を採用している。

二〇二二年のデータによると、我が国の二十五歳から二十九歳の正規雇用者の平均年収は、約三百七万円である。この金額は、現行制度下の立候補に必要な供託金とほぼ同額である。

この点、政府は、供託金制度について、「当選を度外視して多数の候補者が出ることを防止するため」(自治相答弁、一九九四年二月二十一日、衆議院予算委員会)旨答弁している。しかし、高額な供託金は、資金調達が困難な個人や新規参入者にとって大きな障壁となり、憲法により保障される平等な選挙参加機会の原則に反する。また、供託金や選挙資金を準備する過程で、候補者が特定の個人や団体からの支援に依存することにもつながるという、制度が意図していない副作用を生んでいる。

政府は、若年世代の意見を政治に反映させるために公職選挙法を改正し選挙年齢を引き下げたが、供託金制度についても、同様の視点からの改正が必要な時期に来ているのではないだろうか。

以上を踏まえ、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
現行の供託金制度について、政府はどのようにその必要性を評価しているか。特に、他国と比較して高額であることに関する政府の見解を示されたい。

政府
一から三までについて

御指摘の「特に若年層や経済的に余裕のない候補者に対して不公平な障壁となっている可能性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の定める供託の制度は、真に当選を得る意思がなく、選挙を妨害することや選挙に便乗して自らの名前を広めることを目的とする候補者がみだりに多数立候補することを抑止し、自由かつ公正な選挙の実現を目的として設けられているものであり、金額を含めた当該制度の在り方の具体的な決定は、国会の広い裁量に委ねられていると考えている。当該制度が、憲法第十四条第一項、第四十四条等に違反しないことは、平成十一年十一月十日最高裁判所大法廷判決をはじめとする累次の裁判例において示されていると承知しており、政府としては、「現行の選挙供託金制度における供託金の金額」の引下げを検討したことはない。

神谷宗幣(参政党)
供託金制度が、特に若年層や経済的に余裕のない候補者に対して不公平な障壁となっている可能性について、政府はどのように考えているか。

政府
一から三までについて

御指摘の「特に若年層や経済的に余裕のない候補者に対して不公平な障壁となっている可能性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の定める供託の制度は、真に当選を得る意思がなく、選挙を妨害することや選挙に便乗して自らの名前を広めることを目的とする候補者がみだりに多数立候補することを抑止し、自由かつ公正な選挙の実現を目的として設けられているものであり、金額を含めた当該制度の在り方の具体的な決定は、国会の広い裁量に委ねられていると考えている。当該制度が、憲法第十四条第一項、第四十四条等に違反しないことは、平成十一年十一月十日最高裁判所大法廷判決をはじめとする累次の裁判例において示されていると承知しており、政府としては、「現行の選挙供託金制度における供託金の金額」の引下げを検討したことはない。

 

神谷宗幣(参政党)
現行の選挙供託金制度における供託金の金額に関して、我が国の物価高騰や経済状況の変化を踏まえ、これまでに下方見直しを検討したことがあるか。

政府
一から三までについて

御指摘の「特に若年層や経済的に余裕のない候補者に対して不公平な障壁となっている可能性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の定める供託の制度は、真に当選を得る意思がなく、選挙を妨害することや選挙に便乗して自らの名前を広めることを目的とする候補者がみだりに多数立候補することを抑止し、自由かつ公正な選挙の実現を目的として設けられているものであり、金額を含めた当該制度の在り方の具体的な決定は、国会の広い裁量に委ねられていると考えている。当該制度が、憲法第十四条第一項、第四十四条等に違反しないことは、平成十一年十一月十日最高裁判所大法廷判決をはじめとする累次の裁判例において示されていると承知しており、政府としては、「現行の選挙供託金制度における供託金の金額」の引下げを検討したことはない。

神谷宗幣(参政党)
政府は、若年世代の政治参加を促進するために選挙年齢を引き下げたが、供託金制度に関しても同様の視点からの改革を検討するか。

政府
お尋ねは、選挙制度の根幹に関わる事柄であることから、各党各会派において御議論いただくべきものと考えている。

NPOやNGO等の非営利組織や政治団体に寄附規制が適用されることへの懸念に関する質問主意書(2022年12月7日)

質問

回答

令和四年十二月一日、政府は、「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」(以下「本法律案」という。)を閣議決定し、同日国会に提出した。本法律案は、旧統一教会に関する「霊感商法」の問題をきっかけとして起草されたものであるが、霊感商法にとどまらず、法人に対する寄附一般を幅広く規制する内容となっている。霊感商法等の被害者救済に取り組むことに反対するものではないが、我が国には、宗教法人以外にもNPOやNGO等の非営利組織や、政治団体など様々な団体があり、これらは活動資金の調達の多くの部分を寄附に依存しており、こうした団体を含む法人等にまで寄附規制の枠が適用されることについて、関係者から懸念の声が上がっている。

例えば、特定非営利活動法人国際協力NGOセンターは本年十一月十四日付け「「寄付規制法案」に対する緊急声明」で、「日本における寄付行為は、宗教団体のみならず、私たち国際協力NGOをはじめとする非営利組織(NPO)や市民社会組織、市民社会活動団体の活動を支える大切な社会貢献活動です。その状況は団体によってさまざまであり、一律に規制することは実態になじみません」、「「寄付規制法案(仮称)」等の拙速な制定に強く反対すると共に、寄付者・NPO・NGO等の当事者を交えた丁寧な議論を行い、法制定の必要性や立法事実、法制定にかかる影響や効果等を検討することを求めます」と表明している。

そもそも今回、この問題をきっかけとして開催された検討会は、「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」(消費者庁)のみであり、規制を受けることで多大な影響を受ける可能性がある様々な法人に対し、ヒアリングや実態調査等は行われていない。

NPOやNGO等の非営利組織や政治団体は、世の中の課題を解決するために日々活動を行っている。政府は、これまで、「新しい公共」という考え方で、広く社会に貢献しようとする一般市民の活動が寄附によって賄われる世の中をつくるため、寄附税制の拡充等を進めてきた。しかしながら、罰則を伴うにもかかわらず関係団体等の詳細な調査や意見聴取を行わないまま今国会で成立が図られようとしている本法律案は、それぞれの団体がその活動目的を遂げるために寄附活動を展開するとともに、これに国民が応えていくというマインドと言論を委縮させることになりかねない。

旧統一教会に限らず詐欺的な霊感商法やマインドコントロール下に被害者を置いての高額寄附取り立てなどによる被害の救済は、これが長く放置されてきた経緯を鑑みても早急に取り組まなければならないが、本法律案は救済という範疇にとどめることができない多くの団体に影響を与える寄附の規制の論点について、極めて不十分な検討、調査で進められてきたものと言わざるを得ない。

こうした立場から、質問する。

神谷宗幣(参政党)
本法律案の対象となるのは、宗教法人のみならず、幅広い団体に及ぶものであり、NGOやNPO団体からは、実態把握や聞き取り調査が行われていないことは遺憾で、寄附についての一律規制には慎重な議論が必要であるとの意見もある。これらの意見について、いかなる対応を行うのか。法運用の面で団体の活動や寄附を集めること、寄附を行うことに不必要なブレーキをかけることのないような配慮及び問題が生じた際の法改正を含む適切な対応を実施していくつもりはあるのか。

政府
法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(令和四年法律第百五号。以下「本法」という。)に対し、御指摘の「NGOやNPO団体からは、実態把握や聞き取り調査が行われていないことは遺憾で、寄附についての一律規制には慎重な議論が必要であるとの意見」も含めて懸念が示されたことは承知しており、それを踏まえて、本法第十二条においては、特定非営利活動法人を含む法人等の活動において寄附が果たす役割の重要性に留意しつつ、個人及び法人等の学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由に十分に配慮しなければならないこととされている。

また、お尋ねの「法運用の面で団体の活動や寄附を集めること、寄附を行うことに不必要なブレーキをかけることのないような配慮及び問題が生じた際の法改正を含む適切な対応」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本法附則第五条においては、政府は、本法の施行後二年を目途として、本法の規定の施行の状況及び経済社会情勢の変化を勘案し、本法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとされている。

神谷宗幣(参政党)
本法律案が成立することによって、政府が従来とってきた「新しい公共」推進方針は影響を受けるか、あるいは転換されるのか。そうでないならば、本法律案又は施行に際しての方針若しくは政令に「新しい公共」推進方針がどのように担保されていくのか、具体的に示すべきと考えるが、政府の見解如何。

政府
お尋ねの「政府が従来とってきた「新しい公共」推進方針は影響を受けるか、あるいは転換されるのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、政府としては、共助社会づくりの観点から、社会的課題を解決するために、特定非営利活動法人等の活動の促進に向けた環境整備を進めるとともに、官民連携による協働の促進に取り組んでいるところである。なお、一についてで述べたとおり、本法においても、その運用に当たっては、特定非営利活動法人を含む法人等の活動において寄附が果たす役割の重要性に留意すべきものとされている。

神谷宗幣(参政党)
松野博一官房長官は、本年十二月一日午後の会見で、本法律案について「成立した際も条文の解釈の明確化を図るなどにより、実効性のある制度とする」と述べた。この発言は、本法律案の条文が解釈上明確でない点が残されているということではないのか。本法律案が幅広く法人を対象としており、運用に当たり解釈に疑義が生じないような法律上の条文構成とすべきではないのか、政府の見解を示されたい。

政府
御指摘の松野内閣官房長官の発言は、本法について実効性のある制度とする努力を続ける必要性を述べたものである。お尋ねの「本法律案の条文が解釈上明確でない点が残されている」及び本法の「運用に当たり解釈に疑義が生じないような法律上の条文構成とすべきではないのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、今後とも、本法が適切に運用されるよう、必要に応じ、本法の規定について所要の解釈を示していきたいと考えている。

解説動画

若者の政治参加と選挙権年齢引き下げについて(2025年2月19日)

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NPOやNGO等の非営利組織や政治団体に寄附規制が適用されることへの懸念について(2023年1月21日)