質問主意書

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(2024年12月19日)

質問

回答

私が第二百十三回国会に提出した「我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書」(第二百十三回国会質問第一二二号、以下「本件質問主意書」という。)に対し、答弁書(内閣参質二一三第一二二号、以下「本件答弁書」という。)が送付された。しかし、本件答弁書では、多くの質問に対し「趣旨が明確でない」、「情報収集能力を明らかにするおそれがある」などとして回答を避けており、政府としての説明責任を果たしていない。

まず、質問一に対し、本件答弁書では、「「孔子学院」の「性格、役割、意義」に関する「評価」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。」としているが、質問の趣旨は十分に明確であり、政府として孔子学院の設置目的や活動実態に基づく評価を示すことは可能である。また、「「孔子学院」の「実際の我が国への影響(安全保障面等)」に関する「評価」についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。」としているが、情報収集能力を開示する必要がない範囲でも一般的な影響評価を示すことは可能であり、回答を避ける姿勢は国民の知る権利を損なうものである。

次に、質問三に対し、本件答弁書では、「具体的に意味するところが明らかではなく、また、御指摘の「本件二法律」は他国の法律であることから、お答えすることは困難である。」としている。しかし、質問では具体例を挙げており趣旨が明確であることは明らかである。また、「国防動員法」及び「国家情報法」などの中国法が中国籍職員に義務を課し、その影響が日本国内に及ぶ可能性がある以上、政府がその影響を評価し対応を検討するのは当然であり、無回答は不適切であると考える。

質問五から七に対し、本件答弁書では、「具体的に意味するところが明らかではない」とし、回答困難である旨答弁しているが、質問内容は具体例を示した上で政府の見解を求めるものである。具体的に意味するところが不明確であるとの回答は不適切であり、政府としての説明責任を欠くと考える。

各国で孔子学院が閉鎖される動きが進む中、中国政府が名称変更や姉妹校プログラムを活用して活動を継続しているとの指摘がある。特に米国では、孔子学院閉鎖後、同様の課程が旧孔子学院との密接な関係を維持したまま再開され、活動場所を他の組織に移すことで影響力を継続している事例が報告されている。これに加え、中国国内では、孔子学院総部の呼称を「中外言語交流センター」に変更するなど、孔子学院の影響を新たなかたちで継続させようとする動きが確認されている。

我が国においても、孔子学院と異なる名称や形式での活動が行われている可能性を注視し、必要に応じて適切な調査や対応を講じるべきである。

以上を踏まえて、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
本件質問主意書における質問一、三、五、六及び七について、本件答弁書では「趣旨が明確でない」等の理由により回答を回避している。しかし、これらの質問はいずれも具体的な例を示した上で、政府の評価や方針を問うものであり、趣旨が明確でないとの主張は不適切である。特に次の点について、政府として具体的な回答を求める。

1 質問一及び三について

 孔子学院の設置目的や活動実態を政府としてどのように評価しているのか。また、その評価の根拠としてどのような情報に基づいているのか明らかにされたい。

2 質問五から七について

 これらの質問に対し、政府としてどのような見解や方針を有しているのか具体的に回答されたい。

政府
一の1について

 お尋ねの「活動実態」の具体的に意味するところが明らかではないため、これに対する「評価」についてお答えすることは困難であり、また、個別の学校法人における「孔子学院の設置目的」について政府として「評価」を述べることは差し控えたいが、いずれにせよ、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

一の2について

 お尋ねについては、先の答弁書(令和六年五月十日内閣参質二一三第一二二号。以下「前回答弁書」という。)五について、六について及び七についてでお答えしたとおりである。

神谷宗幣(参政党)
質問三について

「他国の法律であること」を理由として、回答を避けることは、政府の説明責任を放棄するものであり受け入れ難い。中国法が中国籍職員に義務を課し、その影響が日本国内に及ぶ可能性がある場合、政府として評価を行うことは不可避である。この点について、政府がいかなる評価を行い、どのような情報に基づいて判断しているか回答されたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、先の質問主意書(令和六年四月二十五日提出質問第一二二号)三でお尋ねのあった「孔子学院等及びその中国籍職員が本件二法律に基づき中国政府の指示に従う可能性」についての質問であれば、前回答弁書三についてでお答えしたとおりである。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書では、「「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。」及び「「孔子課堂」を設置する学校法人の動向を注視しつつ、その運営に関する情報を公開するよう継続的な働きかけを行う」とされている。これに関して、現在の情報公開の進展状況について、政府が把握している具体的な内容を示されたい。また、政府として、これまでの働きかけに基づき情報公開が十分に進展していると評価しているのか、課題が残ると評価しているのか、具体的な評価を示されたい。さらに、高校における「孔子課堂」についても、大学と同等に透明性が確保されているか、政府の見解を明らかにされたい。

政府
御指摘の「十分に進展している」、「課題が残る」及び「大学と同等に透明性が確保」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、御指摘の「孔子学院」及び「孔子課堂」(以下これらを合わせて「孔子学院等」という。)を設置する各学校法人に対して、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡)により、その運営に関する情報を公開するよう働きかけ、その進捗状況について確認を行っているところであり、孔子学院等を設置する学校法人において、公開される情報の内容が充実しているものと承知している。

 

神谷宗幣(参政党)
政府は、「学校法人が「孔子学院等」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院等」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。」と答弁しているが、その後の情報公開や調査により、具体的な支障や法令違反の事例を把握しているか。事例が確認されていない場合、その確認のためにどのような調査や監視を実施しているのか、具体的に説明されたい。

政府
前段のお尋ねについては、文部科学省において、学校法人が孔子学院等を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている事実や、設置された孔子学院等の活動に法令違反があると認められる事実を承知していない。

後段のお尋ねについては、御指摘の「調査や監視」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同省としては、孔子学院等の設置により学校の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、孔子学院等を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけるとともに、その進捗状況を確認するなど、関係省庁と緊密に連携しながら孔子学院等を設置する各学校法人の動向を注視しているところである。

神谷宗幣(参政党)
我が国において、孔子学院の名称を変更する、中国との交流プログラムを利用するなどの手法を通じて、従来孔子学院を通じて行われてきた影響工作が実施されている事例が存在するか。政府はこれを具体的に把握しているか。仮に事例が確認されていない場合でも、その可能性についてどのように調査・監視を行っているのか、具体的な方法を示されたい。また、名称変更や新たな形態を用いた活動が安全保障や我が国の主権に与える影響について、政府としてどのように評価し、対応しているかを明らかにされたい。

政府
御指摘の「従来孔子学院を通じて行われてきた影響工作」及び「名称変更や新たな形態を用いた活動が安全保障や我が国の主権に与える影響」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

中国の海外警察拠点に関する質問主意書(2024年12月16日)

質問

回答

私が提出した「中国の海外警察拠点に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質二一〇第二一号)及び「中国の海外警察拠点に関する再質問主意書」に対する答弁書(内閣参質二一〇第五〇号。以下「答弁書」という。)の内容を受け、改めて質問する。

政府が答弁書で「引き続き、情報の収集及び分析に努めるとともに、適切な措置を講じてまいりたい。」と答弁してから既に約二年が経過している。二〇二四年三月二十二日、産経新聞は、警視庁公安部は中国籍の女が新型コロナウイルス対策持続化給付金を不正受給したとの詐欺容疑で、「中国の海外警察拠点」と指摘されている東京都千代田区のビルを捜索したと報じた。しかし、「中国の海外警察拠点」としての活動実態の有無、我が国に対する主権の侵害の程度など肝心な部分については、いまだ明らかにされておらず、我が国の主権に関わる重大な問題に対する具体的な進捗は不明のままである。言うまでもなく、中国の警察が我が国に設置した拠点等を利用して警察活動を行うことは、極めて深刻な主権の侵害であり、我が国の警察や司法組織を冒涜するものである。我が国の関係組織は誇りを持って徹底的に捜査し、その結果を公表し、広く国民に警鐘を鳴らすべきである。

他方、二〇二四年十月九日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「中国当局が日本在住の中国人やその親族に圧力をかけ、日本での中国政府批判的活動をやめさせようとする試みが続いている」、「新疆ウイグル自治区、チベット、内モンゴル出身者の親族が中国警察から嫌がらせを受けている旨の聞き取り調査結果を公表した。これに関連し、二〇二四年十一月五日、産経新聞は社説「在日中国人に弾圧 見て見ぬふりはできない」で、中国が公安の出先機関を外国に設け、在外中国人を拘束したり、帰国を強制したりするなどの海外闇警察活動を行っていたと報じた。さらに、中国公安の出先機関は、米国やドイツ、オランダなどで摘発され、閉鎖命令を受けているという。

二〇二四年六月二十六日の国連人権理事会において、理事国の日本を含む五十四か国は、「国境を越えた弾圧行為」に対して、①人権擁護者、ジャーナリスト、ディアスポラ(離散)コミュニティ及び標的とされる可能性のある人々を支援すること、②国境を越えた弾圧行為に対する情報共有と協調的行動を強化すること、③これらの行為に関与する者に対し、代償を強く求め、責任を追及することを決議し、情報共有の強化や人権擁護者への支援を呼びかけている。

以上を踏まえて、質問する。

神谷宗幣(参政党)
政府が答弁書で「引き続き、情報の収集及び分析に努めるとともに、適切な措置を講じてまいりたい。」と答弁してから二年が経過したが、世界的にも大きな関心が寄せられている「中国の海外警察拠点」について、その全容や活動実態をどの程度把握しているのか。また、それに基づいてどのような措置を講じたのか。あるいは、これに関連する主権侵害の事実は確認されなかったのか。我が国の主権に係る重大な問題であるので、政府は責任を持って真摯に答弁されたい。

政府
お尋ねについては、例えば、警察において、令和六年二月に書類送致した中国人女性二名に係る詐欺事件の捜査の過程で、その関係先の一般社団法人日本福州十邑社団聯合総会の事務所を捜索し、同法人が少なくとも数十名分の中国の運転免許証の更新手続を支援していたことを把握しているほか、中国側に対しては、外交ルートを通じて、仮に我が国の主権を侵害するような活動が行われているのであれば、断じて容認できない旨申入れを行ってきているが、これ以外についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることなどから、差し控えたい。

神谷宗幣(参政党)
「国境を越えた弾圧行為」を行う外国政府に対して、価値観を共有する各国と緊密に連携し対応することが政府には求められている。各国と「海外警察拠点」の問題について、情報共有や連携などの協力は十分になされているのか。具体的な内容を明らかにされたい。

政府
お尋ねについては、日本政府として、例えば、令和六年六月二十六日(現地時間)の国際連合人権理事会において米国が発表した国境を越えた抑圧に関する共同声明(以下「共同声明」という。)に賛同する等、国際社会と連携してきているところである。これ以上の外交上のやり取りについて明らかにすることは、相手方との関係もあり差し控えたい。

神谷宗幣(参政党)
国連人権理事会では、「国境を越えた弾圧行為」に対し、情報共有の強化、リスクにさらされる人々の支援、そして加害者への責任追及を決議しているが、政府の対応方針を示されたい。特に、リスクにさらされる人々の支援と加害者への責任追及に向けた措置及び国民がこれらの問題を正しく理解できるように情報提供するための政府広報の活用方法などについて、具体的な検討をしているのか示されたい。

政府
御指摘の「決議している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、共同声明で言及されている国境を越えた抑圧に関し、政府としては、お尋ねの「措置」については、今後とも、情報の収集及び分析に努めつつ、適切に行っていく考えであり、また、お尋ねの「政府広報の活用」については、その必要性を含めて検討してまいりたい。

中国との友好都市提携を通じた影響力工作への警戒と情報共有に関する質問主意書(2024年11月28日)

質問

回答

我が国の多数の自治体は、中国との友好都市提携を結んでおり、一般財団法人自治体国際化協会によれば、本年十月時点で友好都市提携千八百二十四件中三百八十二件(二十一%)が中国との提携で、米国(四百六十四件、二十五%)に次ぐ規模である。一方、欧米では中国が友好都市提携を相手国への政治的影響力拡大の手段として利用しているとの懸念が高まっている。

「地方公共団体における国際交流の在り方に関する指針(昭和六十二年三月自治省)」では、地域レベルでの国際交流の意義として、①住民の国際認識・理解を養成、②地域イメージを国際レベルで高揚、③地域アイデンティティを確立、④地域産業・経済の振興、⑤必要な情報を収集・提供、⑥行政主体としての国際協力を行うこと等が挙げられている。これらの取組は、国際社会での理解増進に貢献するものであり、その活性化は奨励されるべきである。
しかしながら、中国は、我が国とは異なる政治体制を持ち、また我が国とは領土問題を抱えており、その軍事力は安全保障上の深刻な脅威となっている。また、中国共産党政府指導の下、平時から情報戦や影響力工作が軍民の区別なく展開され、他国の政治に介入していることが国際的に広く認識されている。中国との提携には、より慎重な対応が必要であることは言うまでもない。

米国国家情報長官室の国家防諜安全保障センター(NCSC)が、二〇二二年七月に公表した「米国の州および地方レベルの政府およびビジネスリーダーを中国の影響力工作から保護する」と題した報告書によれば、中国政府は「米国の政策に影響を与え、自国の地政学的利益を促進するために、地方政府との関係を利用しようとする傾向が強まっている」「米国の国内政策を、中国にとって望ましい方向へ唱道する代弁者として、州や地方のリーダーを利用しようとする可能性がある」と警告しており、州や地域リーダーに対して、友好都市提携に際しては、「透明性、互恵性、説明責任といった原則に基づき米国の戦略的利益に反しないようにすべき」と注意喚起している。

一方、我が国の自治体は、中国との友好都市提携を一般財団法人自治体国際化協会が支援しているが、中国側では中国人民対外友好協会が推進役を担っている。

しかし、この中国人民対外友好協会について、ポンペオ米国国務長官(当時)は二〇二〇年九月二十三日の、ウィスコンシン州マディソンの州議会での演説で、「中国の外交官や中国共産党の要員が全米の州政府や議会の関係者に対し、スパイ活動や影響力拡大のための工作を展開している」と指摘し、「米国における中国との友好都市提携は、中国人民友好協会の管轄下にあり、この団体は中国統一戦線工作部の一部であり、共産党のプロパガンダ機関である」と述べ、警戒の必要性を訴えている。

さらに、二〇二三年八月九日付の産経新聞によれば、同年七月末に台湾で開催された、日米欧豪など四十カ国の議員連盟「対中政策に関する国会議員連盟(IPAC)」の年次総会に参加した議員に対し、訪台を取りやめるよう中国側から電話やメールでの圧力があったほか、日台交流サミットの際も、中国総領事館が宮城県や神戸市に対し「台湾は中国の一部」として開催中止を求めるなど我が国の自治体に対しても露骨に内政干渉をしている。

最近では、日本国内に中国の地方公安局の海外派出所が複数設置され、在日中国人に対する監視活動が行われていたことが報じられているが、これに関しても、国際人権NGO「ヒューマンライツウォッチ」は、本年十月九日付のウェブサイト記事「日本:中国当局が海外にいる政権批判者に対して嫌がらせ」で、中国当局が日本で人権侵害を批判する中国出身者の口封じを試みているとし、日本政府に対し、「国境を越えた人権弾圧を許容しないと明確にするべきだ」と訴えている。

しかし、自治体関係者への聞き取りでは、こうした中国の影響力工作に関する十分な知識が自治体に共有されていないことが判明している。我が国も米国のカウンターインテリジェンス機関のように、具体的な事例や分析を自治体と共有し、工作活動に対する注意喚起を行う必要があると考える。

以下質問する

神谷宗幣(参政党)
政府は、米国の国家防諜安全保障センター(NCSC)のように、我が国自治体に対して講習や研修などを通じて、中国が友好都市提携を利用して行う工作の実例を共有し、具体的な注意喚起を行っているか。

政府
一及び二について

 お尋ねの「工作」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣官房内閣情報調査室に設置されたカウンターインテリジェンス・センターによる連絡調整の下、政府の各行政機関が、中国を含む外国の情報機関の我が国に対する情報収集活動の状況及び態様に関する情報並びにこれらの機関の情報収集活動による被害を防止するための方策に関する情報の収集・分析を行うとともに、必要に応じて地方公共団体を含む各方面への広報啓発活動に取り組んでいるところである。

 

神谷宗幣(参政党)
政府は、中国による我が国自治体への工作と思われる事例について、自治体が認知した際に報告を義務付けるなど、体系的な情報収集を行っているか。また、その傾向や手法を分析し、自治体の首長や国際担当部門にフィードバックする体制を構築しているか。

政府
一及び二について

 お尋ねの「工作」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣官房内閣情報調査室に設置されたカウンターインテリジェンス・センターによる連絡調整の下、政府の各行政機関が、中国を含む外国の情報機関の我が国に対する情報収集活動の状況及び態様に関する情報並びにこれらの機関の情報収集活動による被害を防止するための方策に関する情報の収集・分析を行うとともに、必要に応じて地方公共団体を含む各方面への広報啓発活動に取り組んでいるところである。

 

神谷宗幣(参政党)
警察白書は「中国の動向」「我が国における諸工作等」で、中国による情報活動について「巧妙かつ多様な手段」や「積極的な働き掛け」を記載しているが、毎年ほぼ同様の内容であり、具体例に乏しい。このような重要テーマについて、政府は、国民に具体的事例を示し、注意喚起する責任があるのではないか。特に「警察白書」においては、可能な限り我が国の事例を積極的に公開し、海外事例との比較分析や最新の傾向と手法を明らかにすることで、防諜意識の向上に役立つ内容とするべきである。「警察活動に支障がある」として一切の回答を拒否する姿勢は、責任放棄と考えるが、この点について政府の見解を求めたい。

政府
お尋ねの「「警察活動に支障がある」として一切の回答を拒否する姿勢は、責任放棄と考えるが、この点」の意味するところが必ずしも明らかではないが、警察においては、国民への注意喚起等の観点から、中国をはじめとする外国による情報収集活動に関する取締りの結果や捜査の過程で解明された事項について、例えば令和六年版警察白書において不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)違反の検挙事例を紹介するなど、適切な公表に努めているところであり、引き続き、適切な情報発信に努めてまいりたい。

 我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書(2024年4月25日)

質問

回答

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(第二百十三回国会質問第五三号。以下「本件質問主意書」という。)を提出し、答弁書(内閣参質二一三第五三号。以下「本件答弁書」という。)が送付された。

これまで提出した質問主意書を通じて、孔子学院の設置及び運営における透明性の確保が必要であることを一貫して強調してきた。本件答弁書によると、文科省は、令和五年十二月四日、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡)(以下「本件事務連絡」という。)を発出し、「孔子学院」や高等学校等に設けられる「孔子課堂」「孔子学堂」等(以下「孔子学院等」という。)の運営情報を公開するよう働きかけているとのことである。

本件事務連絡が発出されて以降、約四ヶ月が経過した。本件事務連絡では、孔子学院等の情報公開について「基本組織に関すること(所在する住所・連絡先、役員等名簿(役職名、氏名、所属)、法人または大学における組織上の位置付け、意思決定等運営方法、海外の提携先大学等)」、「教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること」、「授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に関すること」、「収支計算書等、連携先大学等との費用分担の状況など収支の状況に関すること」の項目の公開を求めている。

しかし、各孔子学院等の紹介ホームページを確認したところ、設置経緯や活動内容については情報が概ね掲載されているものの、基本組織や教員組織、特に予算及び決算などの収支状況の掲載はごく限られたものだけであり、内容は極めて不透明なものであった。求められている透明性の確保には未だ至っていないといえる。

本件質問主意書の質問二で指摘した米国における懸念事項に対し、答弁書の通り、設置費用や運営費の公開が進めば、「1 設置費用や運営費が大学の負担であるか否か」は明らかとなることが期待されるが、現段階で文科省が情報公開を求めていない「2 中国政府から大学への資金提供の有無とその額、3 孔子学院の予算・教育内容・人事に対する中国政府の管理の程度、4 孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約しているか否か、5 孔子学院と大学との契約内容」は、我が国の安全保障や教育の自由に影響を及ぼす可能性があるため、公開が求められるべき内容である。

本件答弁書によると、孔子学院等の設置に関しては、学校教育法に手続規定がなく、他にも規律する法令は存在しないとのことであるが、これらの組織が実質的に中国共産党が全一的に統治・コントロールする中国政府の統制下にあることを考えれば、通常の学校関連機関よりもより厳格な監督が必要といえる。政府がこれらの情報を持たず、監督を避けている現状は適切ではない。

中国の「国防動員法」及び「国家情報法」(以下「本件二法律」という。)は、我が国にある中国の組織並びに在留中国国民に効力を及ぼす恐れがあり、看過できない。本件質問主意書の質問五に対し、本件答弁書は質問の具体的内容が明らかではないとして答弁を一切行っていない。

本件質問主意書にいう「孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動すること」とは、我が国に設置された孔子学院等及びその中国籍職員が、本件二法律に基づき、中国政府からの国防勤務や情報工作活動の指示に従うことを意味する。またこれによる「日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響」とは、孔子学院等及びその中国籍職員が、中国政府の指示を受けて行動することにより、日本の安全保障や教育の自由に悪影響を及ぼす可能性があることを意味する。「これらの潜在的な影響」とは、我が国に設置された孔子学院等及びその中国籍職員が、中国政府から本件二法律に基づき、国防勤務や情報工作活動の指示を受けて行動する場合に、日本の安全保障や教育の自由に潜在的な悪影響を及ぼすことをいう。

国外では、以前から「孔子課堂」を問題視する動きがみられる。例えば、二〇一九年には、豪州のニューサウスウェールズ州の教育局が、十三校の公立高校に設置された「孔子課堂」を閉鎖することを決めた。これは、「孔子課堂」の内容が中国共産党の宣伝機関と見なされ、内容が中国政府のプロパガンダを強く反映しているためとされている。二〇二〇年には、米国の国務長官と教育長官が全米各州の教育長官宛てに書簡を送り、「孔子課堂」の教育プログラムが中国政府によって管理され、児童・生徒を狙った影響工作の一環であると警告した。この書簡では、中国政府がカリキュラムを作成し、訓練された中国語教師を米国の幼稚園から高校まで数百校に配置していることが指摘され、「孔子課堂」が中国の世界的な影響力拡大の重要な要素であること、そしてこれらのクラスが毎日何万人もの米国の子供たちに接触していることが強調されている。二〇二二年、豪州のノーザンテリトリー準州政府は、孔子課堂が中国のためにプロパガンダを行っているかに関する調査を住民に約束した後、同州のウッドロフ小学校(Woodroffe Primary School)に設置されていた孔子課堂を閉鎖したという。これらの国際的な動向を踏まえ、日本としてもあるべき対策の検討と実施が求められていると考える。

以上を踏まえて質問を行う。

神谷宗幣(参政党)
諸外国、とりわけ我が国と民主主義的な政治や文化のあり方で価値観を共有する米国や豪州などでの諸動向、またこの間の我が国での調査を踏まえ、中国政府が支援して我が国を含む諸外国の学校・教育機関に設置を進めてきた孔子学院について、政府はその性格、役割、意義や実際の我が国への影響(安全保障面等)をどう評価しているか、明確に示されたい。

政府
お尋ねの「孔子学院」の「性格、役割、意義」に関する「評価」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。また、お尋ねの「孔子学院」の「実際の我が国への影響(安全保障面等)」に関する「評価」についてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

 

神谷宗幣(参政党)
孔子学院等の運営に関する情報公開の取組について、本件事務連絡後の進捗状況を示されたい(存在する孔子学院等ごとに、情報開示措置が具体的にどのように行われたか、それをどう評価しているか)。また、情報開示措置の不均一性が見られることに対して、今後いかなる対策が考えられているのか。

政府
前段のお尋ねのうち「存在する孔子学院等ごとに、情報開示措置が具体的にどのように行われたか」については、御指摘の「孔子学院等」を設置する各学校法人のウェブサイトで公表されていると承知している。

前段のお尋ねのうち「それをどう評価しているか」及び後段のお尋ねについては、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡)の発出後、御指摘の「孔子学院等」の設置経緯、運営体制、教員の氏名、教育内容、予算及び決算の状況等の情報公開が進んでおり、「孔子学院等」の活動等に関する事実の把握が進んでいると考えている。政府としては、引き続き、「孔子学院等」を設置する各学校法人の動向を注視しつつ、継続的な働きかけを行ってまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
孔子学院等及びその中国籍職員が本件二法律に基づき中国政府の指示に従う可能性について、政府はどのように評価しているのか。懸念される状況への対応は、どのように検討されているのか。

政府
前段のお尋ねについては、御指摘の「孔子学院等及びその中国籍職員が本件二法律に基づき中国政府の指示に従う可能性」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、御指摘の「本件二法律」は他国の法律であることから、お答えすることは困難である。

後段のお尋ねについては、御指摘の「懸念される状況」の具体的な内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。

 

神谷宗幣(参政党)
国外の事例を見れば、この度、本件答弁書でも示された高等学校に設置された「孔子課堂」について、大学における孔子学院と共通する懸念があると考える。前述の国外事例について政府は把握しているか。また、これらの事例を踏まえ、政府は、「孔子課堂」について、どのように評価し対応するつもりか。

政府
御指摘の「孔子課堂」については、諸外国においてその一部が閉鎖されていることは報道等を通じて承知しており、そのような報道等を踏まえ、文部科学省においては、「孔子課堂」を設置する学校法人の動向を注視しつつ、その運営に関する情報を公開するよう継続的な働きかけを行うとともに、学校法人が「孔子課堂」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子課堂」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
我が国の安全保障や教育の自由を守るために、本件質問主意書の質問二で挙げた2から5についても把握することは重要であると考えられるが、政府はどう考えるか。今後とも情報を集め、対応について検討を進めるべきと考えるが、政府の今後の対応方針について説明されたい。

政府
御指摘の「我が国の安全保障や教育の自由を守るため」の具体的に意味するところが明らかではないため、「本件質問主意書の質問二で挙げた2から5についても把握することは重要であると考えられるが、政府はどう考えるか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によると、孔子学院等の設置に関しては、学校教育法に手続規定がなく、他にも規律する法令は存在しないとのことである。これらの組織が外国政府の統制下にある可能性を考えれば、学校教育法以外の法令の適用を含め通常の学校機関よりもより厳格な監督が必要ではないか。

政府
御指摘の「外国政府の統制下」及び「通常の学校機関よりもより厳格な監督」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「孔子学院等の設置」については、「孔子学院等」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。いずれにせよ、学校法人が「孔子学院等」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院等」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
本件二法律に関し、本件質問主意書の質問五につき、前文で説明した「孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動すること」、「日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響」、「これらの潜在的な影響」の具体的内容を踏まえて、改めて政府の見解を示されたい。

政府
御指摘の「中国政府からの国防勤務や情報工作活動の指示に従う」、「日本の安全保障や教育の自由に悪影響を及ぼす」及び「日本の安全保障や教育の自由に潜在的な悪影響を及ぼす」の具体的な内容が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

我が国の薬物乱用実態とそれが国家安全保障に与える影響に対する認識に関する質問主意書(2024年4月9日)

質問

回答

厚労省薬物乱用対策資料(令和五年八月八日公表)によると、我が国の覚せい剤の押収量は、平成二十五年から令和四年の十年間で一万六百六十一キログラム、一年間あたり、平均して千六十六キログラムが押収されている。

覚せい剤の一回使用量は静脈注射で〇・〇三グラム程度とされていることから、日本全国で、毎日九万七千三百六十人が使用できる恐るべき量に達している。

これは我が国の中小規模都市の市民すべてが毎日、覚せい剤を使用できる量に相当している。

さらに、警察庁組織犯罪対策部が公表した「令和四年における組織犯罪の情勢」によると、薬物密輸入事犯の検挙人員に占める外国人の割合は五十四%、MDMA等合成麻薬では八十六・七%と非常に高くなっており、薬物押収量の多寡や検挙実態などから、海外の薬物犯罪組織が深く関与していることがうかがわれると指摘している。

言うまでもなく、この検挙人員や押収量は、発覚した氷山の一角であることに疑いはなく、我が国への非合法薬物の実際の密輸入総量は、その何倍にも達するとみられ、こうした非合法薬物が国内で大量消費されることで、非常に多くの国民に深刻な健康被害を引き起こしている現状がある。

さて、我が国は長年、こうした深刻な薬物汚染の状況におかれているが、最近では、新たな麻薬、オピオイド系のフェンタニルが米国などを中心に大量に流入しており、甚大で致命的な被害が発生している。その深刻な状況は、SNS等に投稿された動画などでも広く拡散され、米都市フィラデルフィア等の惨状が知られている。

米国ブルッキングス研究所が令和五年三月三十一日に公表した報告書「China’s role in the fentanyl crisis」によると、平成十一年以降、その毒性の強さからオピオイド系薬物の過剰摂取等で約百万人が死亡、直近の令和三年には十万六千六百九十九人が死亡し、令和四年には十万七千四百七十七人が死亡したと推定されると指摘している。これらの死亡原因のほとんどは、フェンタニルによるもので、フェンタニルは単独で、あるいは偽造された処方薬、ヘロイン、最近ではメタンフェタミン(覚せい剤)やコカインに混ぜて消費されているという。

米国麻薬取締局(DEA)で、麻薬捜査官を二十八年間務めたDerek Maltz氏は、ヘリテージ財団のインタビュー記事(令和五年五月十日)において、

・フェンタニルは、メキシコの汚く不衛生な研究所で製造され、毒物のようなものだ。これらの原料となる化学薬品は中国の化学ブローカーから仕入れて、フェンタニルは、ヘロイン、コカイン、メタンフェタミン(覚せい剤)に混ぜられている。

・彼らは偽造薬を製造している。非合法な粉状のフェンタニルを入手し、錠剤を作り、(鎮痛薬や抗不安薬等の)オキシコドン、パーコセット、ザナックス、場合によっては、アデロールと偽って販売している。

・不安やうつ病に苦しんでいる米国の若者は、より良い気分になりたいために、こうした非合法で製造された偽造薬を購入して、それで死んでいる。フェンタニルは、ヘロインの五十倍も強力で、たった二ミリグラム、塩四粒分が致死量となる。

・この狂気の背景には、中国が介在している。中国が化学薬品をメキシコの麻薬カルテルに供給し、また、メキシコの麻薬カルテルにマネーロンダリングの機会を提供している。

・これは超限戦である。中国は米国を不安定化させたい。毒物をアメリカで売りさばくことで、我々の未来世代を殺害し、未来の軍の指導者、看護師、医師、教師、バス運転手、配管工、電気技術者を奪っているのだ。

と述べている。

Derek氏が指摘する「超限戦」とは、本来なら非軍事的な社会活動等でさえ軍事行動の一環として利用しようとするもので、「戦争と非戦争」、「軍事と非軍事」という全く別の世界の間に横たわっていたすべての境界を打ち破る戦い方をいう。ロシアの新軍事ドクトリンでは「ハイブリッド戦」と呼ばれている。Derek氏の指摘は、こうした強力な非合法薬物が国家の弱体化や不安定化を助長するための破壊工作、サボタージュであることを示唆するものである。

我が国においては、非合法フェンタニルの乱用は、覚せい剤に比べて目立っていない。しかし、我が国の非合法薬物の取引にも海外薬物犯罪組織が深く関与していることから、今後、国際情勢の変化に応じて、我が国にも急速に流入し、超限戦として、我が国に対する破壊工作に使用される可能性も否定できず、その流通動向は、安全保障の観点からも厳しく監視しておかなければならない。

以上を踏まえて、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
米国ブルッキングス研究所が令和四年三月七日に公表した報告書「China and synthetic drugs: Geopolitics trumps counternarcotics cooperation」によると、当初、中国は米国にフェンタニルを直接供給していた。五千社以上の企業が中国の政治的に強力な製薬業界を構成しており、基礎化学製品や前駆体化学物質の輸出額では世界最大であるが、その多くは法的認可を受けずに操業し、ペーパーカンパニーの陰に隠れている。令和元年まで、無数の中国の化学会社やブローカーは、違法であるにも関わらず、米国にフェンタニルを輸出していた。しかし米国の激しい外交に直面し、中国は令和元年五月にフェンタニル系薬物を、平成三十年には主要なフェンタニル前駆体を規制下においた。この規制を受けて、中国の貿易業者はメキシコの麻薬カルテルへの前駆体化学物質の販売に切り替えたという。また、中国の対米薬物対策協力は、両国間の地政学的関係の悪化に影響を受けており、米中関係が改善することがなければ、中国は対米薬物対策協力を強化する可能性は低い、としている。また同報告書は、メタンフェタミン(覚せい剤)についても、その製造にかかる前駆体化学物質の主要な供給国が中国であると指摘している。こうした中国の薬物への姿勢を踏まえて、我が国は、薬物対策において、主要な原料供給国とされる中国に対して、どのような働きかけ、要請をしているのか、あるいは実際にどのような協力を得ているのか具体的に明らかにされたい。

政府
御指摘の「こうした中国の薬物への姿勢」の意味するところが必ずしも明らかではないが、警察庁においては、我が国への不正薬物の流入防止の観点から、例えば、国際会議等の場において、中国を含む関係国に対し必要な協力要請を行い、その協力を得るなどしているところ、その具体的内容については、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

神谷宗幣(参政党)
我が国では、非合法のフェンタニルが流通している状況は、まだ確認されていないと仄聞する。しかし、令和五年二月二十七日付け朝日新聞デジタル記事によると、無職の女性が交際相手の男性に、医薬用で鎮痛作用のあるフェンタニルを含有するシールを貼付し、筋肉を弛緩する作用のある錠剤を飲ませて薬物中毒で死なせる事件が発生している。本事件は、合法的に女性に処方されたフェンタニル含有シールが悪用されるケースとなった。さらに、フェンタニルは、ヘロインやコカイン、または抗不安薬などの偽造薬に混入されているとの報告もあり、これらヘロインやコカインはもとより、同じくフェンタニルが混入された抗不安薬等の偽造薬が海外通販サイトなどから我が国に持ち込まれることも懸念される。これらの状況を踏まえて、我が国における医薬用フェンタニルの規制、悪用状況、及び海外通販サイトから我が国に持ち込まれる薬物の流通実態、それら個人輸入として持ち込まれている薬物の真贋やその成分について、鑑定、検査する体制があるのか、また、我が国でこれまでフェンタニルが混入された非合法薬物の取締り、押収実績があるのか示されたい。

政府
お尋ねの「医薬用フェンタニル」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成二年政令第二百三十八号)第一条第八十七号に掲げるN―(一―フェネチル―四―ピペリジル)プロピオンアニリド(別名フェンタニル)及びその塩類(以下「フェンタニル」という。)を意味するものであるとすれば、フェンタニルの輸入、譲渡し、譲受、施用、所持等について、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)において規制されている。また、お尋ねの「悪用状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十一年から令和五年までの間における地方厚生局の麻薬取締部によるフェンタニルに係る同法違反の検挙件数は六件であり、お尋ねの「海外通販サイトから我が国に持ち込まれる薬物の流通実態」については、把握していない。

また、お尋ねの「それら個人輸入として持ち込まれている薬物の真贋やその成分について、鑑定、検査する体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、輸入貨物については、税関において、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)の規定に基づき、犯則事件を調査するため必要があるときは、関税中央分析所、地方厚生局の麻薬取締部等に鑑定を嘱託して、当該貨物に含まれる成分の分析を行っているところである。

さらに、お尋ねの「フェンタニルが混入された非合法薬物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが御指摘の「フェンタニルが混入された抗不安薬」を意味するものであるとすれば、「取締り、押収実績があるのか」とのお尋ねについては、調査に膨大な作業を要することから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成三十一年から令和五年までの間において、御指摘の「フェンタニルが混入された抗不安薬」について、「取締り、押収」を行った事例は把握していない。

 

神谷宗幣(参政党)
「令和四年における組織犯罪の情勢」は、薬物密輸入事犯に海外の薬物犯罪組織が深く関与していることがうかがわれると指摘しているが、具体的にどのような犯罪組織があるのか、その名称、規模、拠点国などを含めて概要を示されたい。

政府
お尋ねについては、これを明らかにすることにより、今後の警察活動に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

神谷宗幣(参政党)
非合法薬物は、国家間の戦争や国際政治の道具として利用されてきた歴史がある。日本戦略研究フォーラムHPに掲載された「中国が仕掛ける「超限戦」、宣戦布告なき米中アヘン戦争(政策提言委員 元公安調査庁幹部 藤谷昌敏氏)」によると、

・麻薬と中国の歴史は長く根深い。現在の中華人民共和国を創設した中国共産党指導者は、共産軍の増強に備えて武器や弾薬を手に入れるためにアヘンを育てて売っていた。

・当時の共産党軍は、陝甘寧辺区で大規模なケシの栽培を始めていて、一時はアヘンの売買による利益が党中央の財政収入の約半分を賄っていたともいわれる。

・その後も中国とミャンマー、ラオスなど周辺諸国を含めた麻薬サプライチェーンは深い繋がりを維持している。

・カンボジアでは近年、中国資本が多数進出しており、その流れの中で中国マフィアも入り込み、麻薬製造やカジノ経営、人身売買などの凶悪犯罪を主導している。カンボジア国内においても、メキシコのように政府内の腐敗が進み、中国マフィアに積極的に協力する有力者も存在している。

・米国軍事専門家は、「フェンタニルは致死性の高い軍事目的の化学兵器で、その蔓延には中国が水面下で深く関わっている。これは米国に向けられたアヘン戦争だ。中国は「超限戦」の一環として「薬物戦」を米国に仕掛けている」と見做している。また、「中国の超限戦は、これまでの戦争の概念を打ち破ったルールがない戦争だ。中国は、いかなる手段を用いてでも戦争に勝たなければならないという強い意志を持っている」と分析する。

と指摘している。

これを踏まえて、政府は、フェンタニルや覚せい剤の主要原料供給国であると指摘されている中国は、超限戦の一環としての「薬物戦」を展開しているとの認識はあるか、あるいは、その可能性について政府関係機関において何らかの議論、提言がされたことはあるか、あるとすれば具体的にどのような内容か示されたい。

政府
お尋ねの「超限戦の一環としての「薬物戦」を展開している」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(2024年2月28日)

質問

回答

私は、「我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書」(第二百十一回国会質問第八八号)を提出し、答弁書(内閣参質二一一第八八号。以下「本件答弁書」という。)の送付を受けた。

孔子学院を巡る問題については、国会質問や質問主意書で取り上げられた際、注目を集めるものの、政府は問題への抜本的な対策を講じずに現在に至っている。しかしながら、孔子学院の不透明性や、中国政府の宣伝工作拠点となっているとの懸念、「国家情報法」や「国防動員法」との関連性などの課題や懸念は依然として残っている。

国外では、孔子学院の閉鎖が続いている。米国では、米国内に約百あった孔子学院が五以下に減少した。我が国では、福山大学で孔子学院の撤退が決定されたとのことであるが、立命館大学、桜美林大学、北陸大学、愛知大学、立命館アジア太平洋大学、札幌大学、大阪産業大学、岡山商科大学、早稲田大学、関西外国語大学、武蔵野大学及び山梨学院大学には設置された状態である。

かかる状況を踏まえて、政府の対応策につき、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によれば、孔子学院の「運営の透明性を確保する必要があると考え、…その運営に関する情報を公開するよう働きかけ」「「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視」するということであった。これを踏まえて、孔子学院の運営透明性を高めるために、具体的にどのような情報公開の働きかけが行われたか。また、これまでに開示された主な情報の内容と、政府が新たに把握した情報は何か。

政府
お尋ねの「新たに把握した情報」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、御指摘の「孔子学院」を設置する各学校法人に対して、「「孔子学院」等に係る情報の公開について(依頼)」(令和五年十二月四日付け文部科学省高等教育局参事官(国際担当)及び初等中等教育局参事官(高等学校担当)事務連絡。以下「令和五年事務連絡」という。)を発出するなど、その運営に関する情報を公開するよう働きかけているところであり、その結果、「孔子学院」の設置経緯、運営体制、教員の氏名、教育内容、予算及び決算の状況等の情報公開が進んでおり、「孔子学院」の活動等に関する事実の把握が進んでいると考えている。

 

神谷宗幣(参政党)
米国上院国土安全保障・政府問題委員会の報告によれば、孔子学院の問題点として、「中国政府による多大な資金提供、中国政府が孔子学院の予算・教育内容・人事の全てを管理、孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約、孔子学院と大学との契約内容を非公開」が挙げられている。これらの問題点について、政府はどのように対応しているか。また、以下の点について情報の把握や開示が行われているか。

1 設置費用や運営費等が大学の負担であるか否か

2 中国政府から大学への資金提供の有無とその額

3 孔子学院の予算・教育内容・人事に対する中国政府の管理の程度

4 孔子学院の教職員が中国の国益擁護を誓約しているか否か

5 孔子学院と大学との契約内容

政府
前段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけているところである。

後段のお尋ねについて、お尋ねの1に示された情報については、同省において令和五年事務連絡を発出し、「収支計算書等、連携先大学等との費用分担の状況など収支の状況に関すること」についての情報の公開を求めているところ、「孔子学院」を設置する各学校法人の一部において当該情報の公開が行われているものと承知しており、また、お尋ねの2から5までに示された情報については、同省において当該情報の公開を求めておらず、「孔子学院」を設置する各学校法人においても当該情報の公開が行われていないものと承知している。

 

神谷宗幣(参政党)
答弁書(内閣参質二一一第六三号)によれば、「「孔子学院」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校のいずれにも該当しないと考えられることから、同法においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。」とのことである。これにより、孔子学院の設置や運営に対して政府の直接的な関与がないことがわかる。政府は、累次の答弁を通じて、孔子学院の設置や運営の適正性を確保するために適切な関与を行わないのかとの趣旨の質問に対して、毎回質問の内容が明らかでないとして誠実な答弁を避けている。

この点、前述した問題提起を踏まえれば、孔子学院が日本の大学内に設置されることは、大学の自治はもちろん、日本の安全保障に対する懸念も呼び起こす。政府は、孔子学院の設置や運営に関して、適切な監督や関与を検討しているか。また、政府は、孔子学院の活動が日本の教育の自由や安全保障に与える影響についてどのような評価をしているか。

政府
三の前段について

お尋ねの「適切な監督や関与」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「孔子学院」の「設置」については、「孔子学院」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していないが、いずれにせよ、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。また、お尋ねの「孔子学院」の「運営」については、文部科学省としては、「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

三の後段について

 御指摘の「孔子学院の活動が日本の教育の自由や安全保障に与える影響」の具体的な内容が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、文部科学省としては、「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視しつつ、その運営に関する情報を公開するよう継続的な働きかけを行うとともに、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によれば、「学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい」とのことである。政府はこれらの状況をどのように把握し、監視を行っているか。

政府
お尋ねの「監視」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一についてでお答えしたとおり、文部科学省においては、御指摘の「孔子学院」を設置する各学校法人に対して、令和五年事務連絡を発出するなど、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、このようにして「孔子学院」を設置する各学校法人から公開された情報等を基にその動向を注視しているところである。

神谷宗幣(参政党)
中国の「国防動員法」は、「満十八歳から満六十歳までの男性公民及び満十八歳から満五十五歳までの女性公民は、国防勤務を担わなければならない」と規定し、外国在住の中国人も「国防勤務」を免除されていない。また、「国家情報法」では、一般の組織や国民に国家が行う情報工作活動への協力義務が課されており、これは中国国内の中国人に限らず、海外在住の中国人にも適用される。これらの法律により、日本国内の中国の組織や中国籍の個人が情報活動を含む特定の行動を行うことが想定されており、特に我が国の大学内に設置された孔子学院において、これらの法律が組織や所属する中国籍保有者に中国の利益のための行動を義務付けている可能性について懸念がある。

この背景を踏まえ、政府は孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動することにより日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響についてどのように評価しているか。さらに、政府はこれらの潜在的な影響に対してどのような監視体制を構築し、どのような対応策を講じるか。

政府
お尋ねについては、御指摘の「孔子学院及びそのスタッフが中国の法律に従って行動すること」、「日本の安全保障や教育の自由に及ぼす可能性がある影響」及び「これらの潜在的な影響」の具体的な内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によれば、「「孔子学院と同様の機関」が小学校、中学校又は高等学校に設置されているかどうかについては、今後実態把握を行う考え」とのことであった。その後の実態把握の進捗状況、実態把握で判明した内容如何。

政府
お尋ねについて、政府として確認した限りでは、令和六年二月時点で、我が国においては、早稲田大学高等学院において御指摘の「孔子学院と同様の機関」が設置されていると承知している。

公的機関の職員の国籍に関する第三回質問主意書(2023年12月13日)

質問

回答

公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書(第二百十二回国会質問第六七号、以下「本件再質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一二第六七号、以下「本件答弁書」という。)の送付があった。

本件答弁書によれば、本件再質問主意書で取り上げた国立研究開発法人四機関(以下「四法人」という。)の外国籍職員は、「公募による採用を原則」とし、「業務の遂行に必要な人材を選考」したので「国籍別人数は不適切であるとは考えていない」とのことである。

しかし、日本の科学技術協力の相手国は多岐に及ぶ。例えば、二国間科学技術協力協定の締結相手は、計四十八ケ国・機関に及ぶ。これらの協定の下で、研究開発の情報交換、研究者交流、共同研究等の様々な協力活動が実施されている。それにもかかわらず、四法人の全てで、採用されている外国籍職員の中で中国籍の割合が三割から半数近くという高い割合で、数そのものも突出して最多となっていること自体は均衡がとれておらず、不適切ではないか。繰り返すが、中国は現在、国家戦略として、軍民融合発展戦略により科学技術を最大限軍事利用することを方針とし、また、日本の尖閣諸島周辺や南シナ海、中国南部国境地帯で力による現状変更の試みを継続・強化している。個々の募集のみに注意を払うのではなく、四法人それぞれで外国籍職員全体の採用方針を定め必要に応じた均衡策等をとるべきである。

また、本件答弁書によれば、「中国の「国家情報法や国防動員法」は他国の法律であることから」、政府として本件再質問主意書の三に答弁しないとのことである。右二つの法律は発動されれば我が国在住の中国人にも適用され、我が国の安全保障、技術漏洩の防止等に極めて大きな直接の影響を与えるおそれがある。にもかかわらず外国の法律であるとの理由で一切の答弁を拒否することはあってはならない。

本件答弁書は、国立研究開発法人の成果の国外流出の防止につき関連の法律や規定を列挙したが、実際には令和五年六月に産業技術総合研究所で行った研究成果を中国籍の主任研究員が中国企業に漏洩したとされ逮捕される事例があるなど、現在の流出防止の対策は不十分でないのか。

以上を踏まえ、以下の質問を行う。

神谷宗幣(参政党)
四法人において、外国籍職員の採用にあたり、個々の採用を越えて国別の採用数など組織横断的な指針はないのか。現在、組織横断的な外国籍職員の採用指針が無ければ、新たに右指針を定めるべきではないか。

政府
御指摘の「四法人」において、外国籍職員(採用時に日本国籍を有していない常勤職員をいう。以下同じ。)の採用に関するお尋ねの「組織横断的な指針」はなく、また、その業務の遂行に必要な人材を選考することが適切であると考えており、当該「指針」を定めることは、現時点で考えていないと承知している。

 

神谷宗幣(参政党)
日本の公的機関に採用されている中国籍職員は、同国の国家情報法や国防動員法に基づいて同国政府の命令に従う義務が生じると考えられる事態に対して、四法人を含む国立研究開発法人において如何なる対策が講じられているのかを改めて問う。

政府
御指摘の中国の「国家情報法や国防動員法」は他国の法律であり、また、御指摘の「事態に対して」「如何なる対策が講じられているのか」の趣旨が必ずしも明らかではないことから、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。)の研究開発の成果の国外流出の防止については、先の答弁書(令和五年十二月五日内閣参質二一二第六七号)四及び五について及び先の答弁書(令和五年十一月十日内閣参質二一二第三一号。以下「第三一号答弁書」という。)五についてで述べたとおりである。

 

神谷宗幣(参政党)
上記の令和五年六月の産総研での情報漏洩を理由とする逮捕事例などを踏まえて、四法人を含む国立研究開発法人における情報流出を防止強化するために、新たな対応策を検討しているか。

政府
お尋ねについては、第三一号答弁書五についてで述べたとおりである。

神谷宗幣(参政党)
令和五年十一月二十四日には、東京都のパスポートセンターで窓口業務を担当していた委託業者の中国籍の職員が申請者など千九百人以上の個人情報を不正に持ち出した事件が発覚した。我が国の情報保護を考える場合、自治体職員も含め、公的機関の職員の国籍制限について検討すべきではないか。政府は今後、何らかの対策を検討するか。

政府
御指摘の「公的機関」の具体的な範囲が明らかではなく、また、お尋ねの「何らかの対策」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、一般論としては、御指摘の「自治体職員」については、最高裁判所の判例において「国民主権の原理に基づき、・・・原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり、・・・外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない」(最高裁判所平成十七年一月二十六日大法廷判決)とされているところ、地方公共団体における外国籍職員の採用については、当該判例を踏まえ、地域の実情に応じ、自主的かつ適切に行われるべきものと考えている。

公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書(2023年11月24日)

質問

回答

公的機関の職員の国籍に関する質問主意書(第二百十二回国会質問第三一号、以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一二第三一号、以下「本件答弁書」という。)の送付があった。

本件答弁書の一についてによれば、国立研究開発法人産業技術総合研究所に採用されている外国籍職員百四十六人のうち中華人民共和国籍(以下「中国籍」という。)は四十一人、国立研究開発法人科学技術振興機構に採用されている外国籍職員十六人のうち中国籍は七人、国立研究開発法人物質・材料研究機構に採用されている外国籍職員百七十九人のうち中国籍は五十八人、国立研究開発法人理化学研究所に採用されている外国籍職員四百八十一人のうち中国籍は百三十八人となっている。すなわち、本件質問主意書で質問した国立開発研究法人四機関の全てで、採用されている外国籍職員の中で中国籍の割合が最も多く(外国籍職員の三割から半数近く)、数そのものも突出して多くなっている。

この点、中国の国内法である「国家情報法」第七条には、「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない」旨が記載されている。この規定により、日本の公的機関に採用されている中国籍職員は、中国政府の情報活動に対して援助し協力する義務があることになる。さらに、中国の「国防動員法」に基づき動員令が発令された場合、在外中国人もその対象となることから、日本の公的機関に採用されている中国籍職員が中国政府の命令に服することに法理上はなる。我が国の国立研究開発法人四機関における中国籍職員が置かれている上記のような状況は、我が国の公的機関の運営、さらには日本の安全保障に有事はもとより平時においても、重大な支障をもたらす可能性があると考える。

以上を踏まえ質問する。

神谷宗幣(参政党)
本件質問主意書で質問した国立研究開発法人四機関の全てにおいて、採用されている外国籍職員の中で中国籍の割合が最も多く、数が他の国籍に比べて突出している経緯と理由を説明されたい。

政府
一及び二について

御指摘の「国立研究開発法人四機関」(以下「四法人」という。)の外国籍職員(令和五年四月一日時点で各独立行政法人に在籍する常勤職員であって、採用時に日本国籍を有していなかったものをいう。以下同じ。)は、国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。以下同じ。)の職員であり、公務員ではないが、先の答弁書(令和五年十一月十日内閣参質二一二第三一号。以下「前回答弁書」という。)二についてで述べたとおり、四法人のいずれにおいても公募による採用を原則としており、四法人それぞれにおいてその業務の遂行に必要な人材を選考したと承知しており、この結果としての外国籍職員の国籍別人数が不適切であるとは考えていない。

 

神谷宗幣(参政党)
もとより特定外国籍の職員が数的に突出して多く採用されることは不自然に思えるし、公務員が日本の国民に対する「全体の奉仕者」という性質を持つ以上、これは不適切と言えるのではないか。中国は現在、軍民融合発展戦略により科学技術を最大限軍事利用することを方針とし、また、日本の尖閣諸島周辺や南シナ海、中国南部国境地帯で力による現状変更の試みを継続・強化している。こうした現状で中国からその国民を我が国の公的機関に公務員として大量に採用することは適切だと考えるのか。政府の認識を示されたい。

政府
一及び二について

御指摘の「国立研究開発法人四機関」(以下「四法人」という。)の外国籍職員(令和五年四月一日時点で各独立行政法人に在籍する常勤職員であって、採用時に日本国籍を有していなかったものをいう。以下同じ。)は、国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。以下同じ。)の職員であり、公務員ではないが、先の答弁書(令和五年十一月十日内閣参質二一二第三一号。以下「前回答弁書」という。)二についてで述べたとおり、四法人のいずれにおいても公募による採用を原則としており、四法人それぞれにおいてその業務の遂行に必要な人材を選考したと承知しており、この結果としての外国籍職員の国籍別人数が不適切であるとは考えていない。

神谷宗幣(参政党)
日本の公的機関に採用されている中国籍職員は、それが日本国民に対する「全体の奉仕者」である公務員であったとしても中国の公民(国民)である以上、同国の国家情報法や国防動員法に基づいて同国政府の命令に従う義務が生じると考えられるのではないか。日本政府において職務への責任を果たさせる上で、どのような対策が講じられているのか。

政府
御指摘の「公的機関」の具体的な範囲が明らかではなく、また、四法人を含む国立研究開発法人の職員は、一及び二についてで述べたとおり、公務員ではないところ、御指摘の「中国籍職員は、それが日本国民に対する「全体の奉仕者」である公務員であったとしても」の意味するところが明らかではなく、さらに、御指摘の中国の「国家情報法や国防動員法」は他国の法律であることから、お尋ねについて政府としてお答えすることは困難である。

神谷宗幣(参政党)
日本の公的機関における中国籍を含む外国籍職員が多数存在することによる日本の安全保障に与える潜在的なリスクをどのように評価しているのか。また、これらのリスクを軽減するための具体的な方策は何か。

政府
四及び五について

御指摘の「公的機関」の具体的な範囲が明らかではなく、また、御指摘の「外国籍職員が多数存在することによる日本の安全保障に与える潜在的なリスク」及び「背景」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、 四法人を含む国立研究開発法人について申し上げれば、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第十二条第二項の規定により、外国人を含む研究者等の能力の活用を図るよう努めるものとされているところ、国立研究開発法人の研究開発の成果の国外流出の防止については、不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)及び外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づき適切な対応を行うことに加え、前回答弁書五についてで述べたとおり、研究の健全性及び公正性の確保のための取組等を行っているほか、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第四十一条第二項において、研究開発法人(同法第二条第九項に規定する研究開発法人をいう。)は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるものとされ、また、各国立研究開発法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律において、職員の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則が規定されている。

神谷宗幣(参政党)
日本の公的機関において、先端技術や基礎研究などに関わるものを含む機密情報にアクセスする可能性のある職員を選定する際、国籍や背景に基づく特別な考慮や基準が設けられているのか。

政府
四及び五について

御指摘の「公的機関」の具体的な範囲が明らかではなく、また、御指摘の「外国籍職員が多数存在することによる日本の安全保障に与える潜在的なリスク」及び「背景」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、 四法人を含む国立研究開発法人について申し上げれば、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第十二条第二項の規定により、外国人を含む研究者等の能力の活用を図るよう努めるものとされているところ、国立研究開発法人の研究開発の成果の国外流出の防止については、不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)及び外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づき適切な対応を行うことに加え、前回答弁書五についてで述べたとおり、研究の健全性及び公正性の確保のための取組等を行っているほか、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第四十一条第二項において、研究開発法人(同法第二条第九項に規定する研究開発法人をいう。)は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるものとされ、また、各国立研究開発法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律において、職員の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則が規定されている。

公的機関の職員の国籍に関する質問主意書(2023年10月31日)

質問

回答

私が令和五年六月十五日に提出した「公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書」(第二百十一回国会質問第一〇九号)に対する答弁書(内閣参質二一一第一〇九号。以下「本件再答弁書」という。)の送付が内閣からあった。

本件再答弁書の一についてでは、「一定の時点における全ての職員の国籍を把握することは独立行政法人において膨大な時間を要」するとしている。しかしながら、我が国の公的機関に外国籍の職員が採用され在籍している実態を正確に把握し、適切に管理されているかを確認することは、我が国の主権に関わる重要事項であり、時間がかかるから調査できないで済まされる問題ではない。

令和五年六月には、国立研究開発法人である産業技術総合研究所の研究データを中国企業に漏らしたとして、国防七校の教授を兼務していた中国籍研究員が逮捕されたという不祥事(以下「本件事件」という。)があったばかりであり、この事件の教訓からも、実態調査とそれに見合った情報保全措置を含む対策の確立が必須である。

同様に、私が令和五年五月十八日に提出した「公的機関の職員の国籍に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第七八号)に対する答弁書(内閣参質二一一第七八号。以下「本件答弁書」という。)の二についてにおいて、「外国籍職員の国籍及び国籍別の人数並びに所属及び役職を明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあり、プライバシー保護の観点から、答弁を差し控えたい」と答弁し、プライバシーを理由に、右のとおり二度にわたり質問主意書への答弁を行っていない。しかしながら、「外国籍職員の国籍及び国籍別の人数並びに所属及び役職を明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあり」との文言は意味不明と言わざるを得ないものであるとともに、問題のすり替えである。氏名等の個人情報が開示されていない状態で直ちに「個人が特定」されることとはならない。

実際、過去においては、独立行政法人のうち研究開発型法人について、在籍する常勤外国人研究者の国籍(地域別)の内訳を内閣府が調査して公表している(平成三十年度独立行政法人等の科学技術関係活動等に関する調査(平成二十九事業年度))。

また、私が令和五年五月二十三日に提出した「我が国の防衛技術開発を忌避する日本学術会議が中国の軍事技術開発を担う国防七校と我が国の大学機関との共同研究等の提携を不問にしている矛盾に関する質問主意書」(第二百十一回国会質問第八一号)に対する答弁書(内閣参質二一一第八一号)では、国防七校から、三十九人が日本の大学に留学していたことが明らかにされている。これらの際にプライバシーが問題とされたことはない。

外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保(宣誓や職制)をどのように実施しているのか示すことさえ、プライバシーを理由に拒否するとすれば、我が国の公務員のあり方の根幹を揺るがすとともに、国民のために奉仕する公的機関を外国の影響とコントロール下にさらすという由々しき事態を招くことになる。国民全体の福祉と安全に責任を負うべき政府が、公務員の採用に際してその者の国籍を把握し、データを公表することは国民に対する義務と言うべきである。

以上を踏まえ質問する。

神谷宗幣(参政党)
一 以下の独立行政法人について、在籍している外国籍職員の総数、国籍及び国籍別の人数を示されたい。

1 国立研究開発法人産業技術総合研究所

2 国立研究開発法人科学技術振興機構

3 国立研究開発法人物質・材料研究機構

4 国立研究開発法人理化学研究所

政府
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産業技術総合研究所」という。)については、外国籍職員(令和五年四月一日時点で各独立行政法人に在籍する常勤職員であって、採用時に日本国籍を有していなかったものをいう。以下同じ。)は百四十六人であり、その国籍・地域別の内訳は、アメリカ合衆国が五人、インドが四人、インドネシア共和国が七人、ウクライナが二人、英国が三人、オーストラリア連邦が二人、オランダ王国が二人、ケニア共和国が一人、スロバキア共和国が二人、タイ王国が三人、大韓民国が二十七人、台湾が六人、中華人民共和国が四十一人、チュニジア共和国が一人、チリ共和国が一人、デンマーク王国が一人、ドイツ連邦共和国が三人、トルコ共和国が三人、ニュージーランドが一人、ネパールが二人、パキスタン・イスラム共和国が一人、バングラデシュ人民共和国が一人、フィリピン共和国が二人、フィンランド共和国が一人、ブラジル連邦共和国が二人、フランス共和国が九人、ベトナム社会主義共和国が三人、ベルギー王国が一人、ポーランド共和国が一人、マレーシアが一人、メキシコ合衆国が三人、ヨルダンが一人、ラトビア共和国が一人、ロシア連邦が二人であり、国立研究開発法人科学技術振興機構については、外国籍職員は十六人であり、その国籍別の内訳は、インドが一人、オランダ王国が一人、スウェーデン王国が一人、大韓民国が四人、中華人民共和国が七人、ブラジル連邦共和国が一人、マレーシアが一人であり、国立研究開発法人物質・材料研究機構については、外国籍職員は百七十九人であり、その国籍・地域別の内訳は、アメリカ合衆国が二人、イラン・イスラム共和国が一人、インドが三十八人、インドネシア共和国が五人、ウクライナが一人、英国が四人、エジプト・アラブ共和国が六人、オーストラリア連邦が一人、オーストリア共和国が一人、カナダが三人、コロンビア共和国が一人、スペイン王国が三人、スリランカ民主社会主義共和国が一人、タイ王国が六人、大韓民国が十二人、台湾が二人、チェコ共和国が一人、中華人民共和国が五十八人、ドイツ連邦共和国が一人、トルコ共和国が一人、ネパールが四人、パレスチナが一人、バングラデシュ人民共和国が二人、フィリピン共和国が一人、フランス共和国が三人、ベトナム社会主義共和国が七人、ベルギー王国が二人、マレーシアが三人、ルーマニアが一人、ロシア連邦が七人であり、国立研究開発法人理化学研究所については、外国籍職員は四百八十一人であり、その国籍・地域別の内訳は、アイルランドが一人、アメリカ合衆国が二十九人、アルゼンチン共和国が二人、アルバニア共和国が一人、イタリア共和国が九人、イラン・イスラム共和国が八人、インドが三十七人、インドネシア共和国が十二人、ウクライナが六人、英国が二十一人、エクアドル共和国が一人、エジプト・アラブ共和国が三人、オーストラリア連邦が十二人、オーストリア共和国が一人、オランダ王国が一人、ガーナ共和国が一人、カザフスタン共和国が一人、カナダが十一人、クロアチア共和国が二人、コスタリカ共和国が一人、コロンビア共和国が二人、シンガポール共和国が二人、スウェーデン王国が二人、スペイン王国が五人、スリランカ民主社会主義共和国が二人、スロバキア共和国が二人、タイ王国が五人、大韓民国が二十四人、台湾が十六人、中華人民共和国が百三十八人、ドイツ連邦共和国が二十二人、トルコ共和国が四人、ニュージーランドが三人、ネパールが一人、パラグアイ共和国が一人、パレスチナが一人、ハンガリーが二人、バングラデシュ人民共和国が二人、フィジー共和国が一人、フィリピン共和国が八人、フィンランド共和国が二人、ブラジル連邦共和国が四人、フランス共和国が十八人、ベトナム社会主義共和国が十三人、ペルー共和国が一人、ベルギー王国が二人、ポーランド共和国が五人、ポルトガル共和国が一人、香港が六人、マレーシアが七人、南アフリカ共和国が一人、メキシコ合衆国が七人、ヨルダンが一人、リトアニア共和国が一人、ルーマニアが二人、ルワンダ共和国が一人、ロシア連邦が六人である。

神谷宗幣(参政党)
政府は、本件答弁書及び本件再答弁書において、「各独立行政法人においてその業務の遂行に必要な人材を適切に確保している」としているが、前記一で取り上げた諸機関の外国籍職員の採用方法は、推薦によるものか、公募によるものか、もしくは別の方法か、明らかにされたい。

政府
お尋ねについては、いずれの独立行政法人においても公募による採用を原則としていると承知している。

神谷宗幣(参政党)
政府は、本件再答弁書において、国籍把握をすることは、「海外に事務所を設置する独立行政法人においては、現地での採用活動や事務所の運営に影響を及ぼすおそれがあることから、現地で採用する職員について国籍を確認すること自体が困難な場合がある」としている。国籍把握をすることが「現地での採用活動や事務所の運営に影響を及ぼすおそれがある」とは、具体的にどのようなことなのか、示されたい。

政府
お尋ねについては、従業員の採用時に国籍を確認しないことが通例である地域においては、独立行政法人が現地で採用する職員について国籍を確認することによって、応募が行われなくなったり、独立行政法人の事業活動に対する信頼が損なわれたりする可能性があることである。

 

神谷宗幣(参政党)
外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保をいかなる措置で保障しているのか。本件再答弁書において、「服務規律の保持のための宣誓」について回答されたが、宣誓がやぶられた場合の機関としての処分や刑事責任の追及の具体的なあり方、さらにそれぞれの機関が担保として実施している措置について示されたい。

政府
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、独立行政法人の職員の服務規律に違反する行為への対応については、各独立行政法人において、職員の服務及び懲戒について定める就業規則等に基づき適切に対応することとなる。なお、各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律においては、職員の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則や、独立行政法人の職員への刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については法令により公務に従事する職員とみなすことが規定されている場合がある。

神谷宗幣(参政党)
本件事件のような、外国籍職員を採用した国の機関からの技術・情報の海外流出を防止するために、いかなる再発防止策を講じる計画か。具体的に示されたい。

政府
御指摘の「本件事件のような、外国籍職員を採用した国の機関からの技術・情報の海外流出」の具体的に意味する範囲が必ずしも明らかではないが、令和五年六月に産業技術総合研究所の職員が不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)違反の容疑で逮捕されたことを踏まえ、「研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクに対する研究インテグリティの確保に係る対応方針について」(令和三年四月二十七日統合イノベーション戦略推進会議決定。以下「対応方針」という。)に示す研究の健全性及び公正性の確保のための取組を進めるよう改めて周知を行っており、加えて、対応方針の取組状況についてフォローアップを行うこととしているほか、産業技術総合研究所における再発防止策等に関して、その他の国立研究開発法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第三項に規定する国立研究開発法人をいう。以下同じ。)への情報共有を図っている。

なお、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第四十一条第二項において、研究開発法人(同法第二条第九項に規定する研究開発法人をいう。)は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるものとされているほか、各国立研究開発法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律において、職員の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則が規定されているなど、技術の厳格な管理が求められている。

公的機関の職員の国籍に関する再質問主意書(2023年6月15日)

質問

回答

公的機関の職員の国籍に関する質問主意書(令和五年五月十八日付質問第七八号)(以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一一第七八号)(以下「本件答弁書」という。)が送付された。

本件答弁書「二について」によれば、「調査に膨大な時間を要すること等から、お答えすることは困難である」とのことである。しかし、我が国の公的機関(本件質問主意書において取り上げているのは、そのうちの独立行政法人。)に外国籍の職員が採用され在籍している実態を正確に把握し、適切に管理されているかを確認するのは、我が国の国家運営を適切に行う観点から最低限必要なことである。したがって、時間を要するとしても、必要な時間をかけて調査を行うべきである。

また、本件答弁書「二について」によれば、「外国籍職員の国籍及び国籍別の人数並びに所属及び役職を明らかにすることにより、個人が特定されるおそれがあり、プライバシー保護の観点から、答弁を差し控えたい」とのことである。独立行政法人は、政府の政策を実施する機関であり、いかなる国籍の職員が勤務し、いかなる役職に就いていかなる職務を遂行しているかを把握することは、適切な国家運営を確保する観点から必要不可欠であり、個人のプライバシーとは別次元である。

また、本件答弁書は、本件質問主意書二の4の「その職について、外国籍職員を採用しなくてはならないやむを得ない事情を具体的な職種ごとに示し、また当該外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保(宣誓や職制)をどのように実施しているのか」というプライバシーとは関連しない問いについて、答弁をしていない。

以上を前提に、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書「二について」では、「調査に膨大な時間を要すること等から、お答えすることは困難」との答弁であった。「調査に膨大な時間を要する」のは、対象となる公的機関の数が多いことが要因か。そうでない場合は、どのような要因によるものか。また、「等」の内容は、具体的に何を指すか。

政府
お尋ねについては、一定の時点における全ての職員の国籍を把握することは独立行政法人において膨大な時間を要し、また、海外に事務所を設置する独立行政法人においては、現地での採用活動や事務所の運営に影響を及ぼすおそれがあることから、現地で採用する職員について国籍を確認すること自体が困難な場合があると承知しており、これらを踏まえ、先の答弁書(令和五年五月三十日内閣参質二一一第七八号。以下「前回答弁書」という。)二についてにおいては、「調査に膨大な時間を要すること等から、お答えすることは困難である」と答弁したところである。

神谷宗幣(参政党)
本件質問主意書二の4「その職について、外国籍職員を採用しなくてはならないやむを得ない事情を具体的な職種ごとに示し、また当該外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保(宣誓や職制)をどのように実施しているのか示されたい。」につき、再度答弁されたい。

政府
お尋ねについては、「その職について、外国籍職員を採用しなくてはならないやむを得ない事情を具体的な職種ごとに示し、また当該外国籍職員が「日本国民全体に対する奉仕者」として職務に従事する上での担保(宣誓や職制)をどのように実施しているのか示」すことにより、前回答弁書二についてでお答えしたとおり、外国籍職員(令和五年四月一日時点で各独立行政法人に在籍する常勤職員であって、採用時に日本国籍を有していなかったものをいう。)の所属及び役職が明らかとなって、個人が特定されるおそれがあり、プライバシー保護の観点から、答弁を差し控えたい。

その上で、一般論として申し上げれば、独立行政法人の職員の採用に当たっては、各独立行政法人において、その業務の遂行に必要な人材を適切に確保するとともに、服務規律の保持のための宣誓等をその職員に行わせていると承知している。

我が国に設置された孔子学院に関する再質問主意書(2023年5月31日)

質問

回答

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(第二百十一回国会質問第六三号、以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一一第六三号、以下「本件答弁書」という。)の送付があった。

それを受け、再質問する。

神谷宗幣(参政党)
一 本件答弁書によれば、孔子学院は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校のいずれにも該当しないと考えられることから、同法においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していないとのことである。

1 孔子学院の設置は、学校教育法に基づき認可・設置された我が国の学校法人がその敷地・施設・人員を用いて行うものであり、それが学校法人の行為として相応しいかどうかを判断せずに看過するのは、政府の立場として問題があるのではないか、この点に関する政府の認識を示されたい。

2 平成三十一年二月二十七日、米国上院国土安全保障・政府問題委員会が公表した「米国の教育システムに対する中国のインパクト」報告書において、米国に設置された孔子学院では、「中国政府は、米国教育機関における孔子学院のほぼすべての側面をコントロール」しており、孔子学院の学院長と教員も「中国の国益擁護を誓約」させられ、「孔子学院による資金提供には学問の自由を棄損しかねない付帯条件が付けられ」ているとされた。日本においても同様のことが行われている懸念があるが、政府の見解を示されたい。

3 政府は、孔子学院の設置について、どのような根拠で合法性を担保しているのか。どのような事態であれば学校法人の行為として相応しくないとみなすのか。具体的に説明されたい。

4 本件質問主意書で述べた孔子学院に関する懸念や問題点(中国政府の影響が及び、中国の宣伝機関、スパイ機関の拠点として機能する懸念など)に鑑み、孔子学院の設置に係る何らかの条件や規律あるいは孔子学院の設置手続への政府の関与がないことは適切であるのか、改めて政府の見解を示されたい。

 

政府
一の1及び3について

 御指摘の「学校法人の行為として相応しいかどうかを判断せずに看過する」並びにお尋ねの「どのような根拠で合法性を担保している」及び「どのような事態であれば学校法人の行為として相応しくないとみなす」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、先の答弁書(令和五年五月十二日内閣参質二一一第六三号)一の2についてでお答えしたとおり、御指摘の「孔子学院」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。いずれにせよ、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

一の2及び二について

 御指摘の「安全保障の懸念材料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

一の4について

 お尋ねの「孔子学院の設置に係る何らかの条件や規律あるいは孔子学院の設置手続への政府の関与」の具体的内容が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけている。

 

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書において、具体的に意味するところが明らかでないとされた本件質問主意書の「実質的に外国政府の統制下にある機関」とは、中国政府の傘下にある組織により組織、予算、人事等の手段で統制されている孔子学院を指し、それが我が国の大学に設置されることにより、設置大学の学問の自由を阻害するだけでなく、広く日本として教育権の阻害となるとともに安全保障の懸念材料となることを趣旨としている。米国の事例に照らして政府はそのような認識を持たないのか。政府の認識を示されたい。

政府
一の2及び二について

御指摘の「安全保障の懸念材料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
参議院文教科学委員会(第二百四回国会令和三年五月十三日)において、萩生田光一文部科学大臣(当時)は、「孔子学院につきましては、同盟国である米国、また、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を持つヨーロッパの国々からも廃止や情報公開を求める懸念の声が高まっております。その運営の透明性が求められているものと承知しておりますので、文科省としては、関係省庁と緊密に連携して動向を注視するとともに、我が国の大学において孔子学院が設置されている以上、大学の主体的な研究活動が妨げることがないよう、孔子学院を設置している大学に対して、組織運営や教育研究内容等の透明性を高めるべく、情報公開を促してまいりたいと思います。」と答弁した。

一方、本件答弁書によれば、文部科学省の働きかけにより、孔子学院の設置経緯、運営体制、教員の氏名、教育内容、予算及び決算の状況等(以下「孔子学院に関する情報」という。)の情報公開が進んでおり、孔子学院の活動等に関する事実の把握が進んでいるとのことである。

1 この二年余りの間、孔子学院の動向を注視して、孔子学院に関して透明性を高め情報公開を促してきた孔子学院に関する情報は、いかなる形式で国民に対して情報公開しているのか。

2 孔子学院に関する情報を踏まえ、本件質問主意書で述べた孔子学院に関する懸念や問題点(中国政府の影響が及び、中国の宣伝機関、スパイ機関の拠点として機能する懸念など)に関して、現時点で政府として我が国にある孔子学院の状況をいかに分析、評価しているか。

3 今後、政府として孔子学院に関する情報を報告書等としてまとめ、併せて、我が国に設置されている孔子学院の活動等の分析と評価結果を公表する考えはあるか。

政府
三の1について

御指摘の「孔子学院」を設置する各学校法人のウェブサイトで公表されていると承知している。

三の2及び四の1について

お尋ねについてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

三の3について

現時点において、御指摘の「報告書等」を作成し、「孔子学院の活動等の分析と評価結果」を公表する予定はない。

 

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によれば、本件質問主意書のいう「我が国の安全保障、学問の自由等にとって重大な懸念と問題のある組織が大学内に設置された」の具体的に意味するところが明らかではないとのことであるが、その意味するところは次のとおりである。孔子学院が組織、予算、人事等により実質的に中国政府の統制の下にあり、中国の宣伝機関あるいはスパイ機関としての役割を果たしているのではないか等の重大な懸念と問題点が、主要国(米国、カナダ、欧州主要国ほか)で指摘され、実際に孔子学院の閉鎖に至っている例がある。かかる懸念と問題点の指摘される孔子学院が日本の大学内に設置されることで、我が国の安全保障、学問の自由などの阻害要因になるおそれがあるということを意味する。

また、本件答弁書によれば、本件質問主意書「四」の「政府としていかなる対応が可能であるか」については、個別具体の事案に即して判断すべきものであり、一概に答えることは困難であるとのことであるが、本件質問主意書「四」は、日本の制度としていかなる対応が可能かという検討を事前に十分に行っておくことが必要である考えからの問いである。

本件答弁書の述べるように、政府の働きかけ等を受けて孔子学院を設置する学校法人から公開される情報等を踏まえ、「管理強化、閉鎖、設置抑制等の更なる措置」が必要な場合や、ましてや法令違反があると認められる場合には、適切に対処することが求められるのは当然である。

1 我が国に設置された孔子学院について、「管理強化、閉鎖、設置抑制等の更なる措置」が必要である、ないしは、法令違反があると認められる場合が見られるケースがあるか、現時点の政府の分析と評価を示されたい。

2 前記の萩生田光一文部科学大臣(当時)の国会での発言から二年余りが経過し、各国にて本件質問主意書に述べたとおり具体的な措置を採っている状況に鑑み、我が国においても、孔子学院に関する情報を分析して具体的に必要な措置を採る時期に来ているのではないか。防衛省のシンクタンクである防衛研究所が令和三年三月に公表した「東アジア戦略概観二〇二一」では、同盟国アメリカが孔子学院を「安全保障上の脅威」としているとの分析を行っている。政府は、米政府とは異なり、孔子学院について現状では「安全保障上の脅威」とはみなしていないのか。また、政府の孔子学院に関する具体的な取組(孔子学院に関する情報の取りまとめ、分析、評価、政府の採る措置の決定、決定された措置の実施などを含む手順及びそれぞれの実施時期)はどのように進められる見通しか。

政府
三の2及び四の1について

お尋ねについてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

四の2について

前段のお尋ねについては、御指摘の「「安全保障上の脅威」」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

後段のお尋ねについては、文部科学省においては、御指摘の「孔子学院」の設置により、大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけているところであり、政府としては、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視しつつ、継続的な働きかけを行うとともに、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書では、孔子学院が設置されている日本の大学名については回答があった。しかし、本件質問主意書「六」において質問した孔子学院と同様の機関(中国側の何らかの組織と日本の教育機関が合意して設置し、中国語や中国文化を普及する等の活動を行っている機関)が、「孔子学院」、「孔子課堂」、「孔子学堂」等の名称を問わず、日本の小中高校に設置されているかについては具体的な回答がなく、政府として把握していないとも理解できる回答であった。

早稲田大学孔子学院のホームページによれば、「平成二十四年四月、早稲田大学高等学院は北京大学付属高校と連携し、孔子課堂を開設し、このプラットフォームを利用し、中国語教育のリソースをより一層充実させるとともに、中国の高等学校との間の交流事業を展開し、在学生にもっと多彩な交流プログラムを提供する」とされており、孔子学院と同様の機関に当たると考えられる。

本件質問主意書で述べた孔子学院に関する懸念や問題点に鑑みれば、政府は早稲田大学高等学院孔子課堂を含む孔子学院と同様の機関が我が国の小中高校に設置され存在するかを把握しておくべきものと考えるが、政府の見解を示されたい。改めて、孔子学院と同様の機関が、その名称を問わず、日本の小中高校に設置されているかについて、現在、設置の現状を把握していないのであれば、日本の小中高校に孔子学院と同様の機関が設置されているか調査し、回答されたい。

政府
御指摘の「孔子学院と同様の機関」が小学校、中学校又は高等学校に設置されているかどうかについては、今後実態把握を行う考えであるが、その具体的方法については検討中であることから、お尋ねの「日本の小中高校に孔子学院と同様の機関が設置されているか調査し、回答」をすることは、現時点では困難である。

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(2023年4月26日)

質問

回答

我が国に設置された孔子学院に関する質問主意書(第二百十一回国会質問第六三号、以下「本件質問主意書」という。)に対して、答弁書(内閣参質二一一第六三号、以下「本件答弁書」という。)の送付があった。

それを受け、再質問する。

神谷宗幣(参政党)
一 本件答弁書によれば、孔子学院は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校及び同法第百三十四条第一項に規定する各種学校のいずれにも該当しないと考えられることから、同法においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していないとのことである。

1 孔子学院の設置は、学校教育法に基づき認可・設置された我が国の学校法人がその敷地・施設・人員を用いて行うものであり、それが学校法人の行為として相応しいかどうかを判断せずに看過するのは、政府の立場として問題があるのではないか、この点に関する政府の認識を示されたい。

2 平成三十一年二月二十七日、米国上院国土安全保障・政府問題委員会が公表した「米国の教育システムに対する中国のインパクト」報告書において、米国に設置された孔子学院では、「中国政府は、米国教育機関における孔子学院のほぼすべての側面をコントロール」しており、孔子学院の学院長と教員も「中国の国益擁護を誓約」させられ、「孔子学院による資金提供には学問の自由を棄損しかねない付帯条件が付けられ」ているとされた。日本においても同様のことが行われている懸念があるが、政府の見解を示されたい。

3 政府は、孔子学院の設置について、どのような根拠で合法性を担保しているのか。どのような事態であれば学校法人の行為として相応しくないとみなすのか。具体的に説明されたい。

4 本件質問主意書で述べた孔子学院に関する懸念や問題点(中国政府の影響が及び、中国の宣伝機関、スパイ機関の拠点として機能する懸念など)に鑑み、孔子学院の設置に係る何らかの条件や規律あるいは孔子学院の設置手続への政府の関与がないことは適切であるのか、改めて政府の見解を示されたい。

 

政府
一の1及び3について

御指摘の「学校法人の行為として相応しいかどうかを判断せずに看過する」並びにお尋ねの「どのような根拠で合法性を担保している」及び「どのような事態であれば学校法人の行為として相応しくないとみなす」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、先の答弁書(令和五年五月十二日内閣参質二一一第六三号)一の2についてでお答えしたとおり、御指摘の「孔子学院」は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)においてその設置に係る手続は定められておらず、そのほかにも、その設置について規律する法令があるとは承知していない。いずれにせよ、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

一の2及び二について

御指摘の「安全保障の懸念材料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

一の4について

お尋ねの「孔子学院の設置に係る何らかの条件や規律あるいは孔子学院の設置手続への政府の関与」の具体的内容が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけている。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書において、具体的に意味するところが明らかでないとされた本件質問主意書の「実質的に外国政府の統制下にある機関」とは、中国政府の傘下にある組織により組織、予算、人事等の手段で統制されている孔子学院を指し、それが我が国の大学に設置されることにより、設置大学の学問の自由を阻害するだけでなく、広く日本として教育権の阻害となるとともに安全保障の懸念材料となることを趣旨としている。米国の事例に照らして政府はそのような認識を持たないのか。政府の認識を示されたい。

政府
一の2及び二について

御指摘の「安全保障の懸念材料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省としては、御指摘の「孔子学院」の設置により大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけており、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視してまいりたい。

 

神谷宗幣(参政党)
参議院文教科学委員会(第二百四回国会令和三年五月十三日)において、萩生田光一文部科学大臣(当時)は、「孔子学院につきましては、同盟国である米国、また、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を持つヨーロッパの国々からも廃止や情報公開を求める懸念の声が高まっております。その運営の透明性が求められているものと承知しておりますので、文科省としては、関係省庁と緊密に連携して動向を注視するとともに、我が国の大学において孔子学院が設置されている以上、大学の主体的な研究活動が妨げることがないよう、孔子学院を設置している大学に対して、組織運営や教育研究内容等の透明性を高めるべく、情報公開を促してまいりたいと思います。」と答弁した。

 一方、本件答弁書によれば、文部科学省の働きかけにより、孔子学院の設置経緯、運営体制、教員の氏名、教育内容、予算及び決算の状況等(以下「孔子学院に関する情報」という。)の情報公開が進んでおり、孔子学院の活動等に関する事実の把握が進んでいるとのことである。

1 この二年余りの間、孔子学院の動向を注視して、孔子学院に関して透明性を高め情報公開を促してきた孔子学院に関する情報は、いかなる形式で国民に対して情報公開しているのか。

2 孔子学院に関する情報を踏まえ、本件質問主意書で述べた孔子学院に関する懸念や問題点(中国政府の影響が及び、中国の宣伝機関、スパイ機関の拠点として機能する懸念など)に関して、現時点で政府として我が国にある孔子学院の状況をいかに分析、評価しているか。

3 今後、政府として孔子学院に関する情報を報告書等としてまとめ、併せて、我が国に設置されている孔子学院の活動等の分析と評価結果を公表する考えはあるか。

政府
三の1について

御指摘の「孔子学院」を設置する各学校法人のウェブサイトで公表されていると承知している。

三の2及び四の1について

お尋ねについてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

三の3について

現時点において、御指摘の「報告書等」を作成し、「孔子学院の活動等の分析と評価結果」を公表する予定はない。

 

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書によれば、本件質問主意書のいう「我が国の安全保障、学問の自由等にとって重大な懸念と問題のある組織が大学内に設置された」の具体的に意味するところが明らかではないとのことであるが、その意味するところは次のとおりである。孔子学院が組織、予算、人事等により実質的に中国政府の統制の下にあり、中国の宣伝機関あるいはスパイ機関としての役割を果たしているのではないか等の重大な懸念と問題点が、主要国(米国、カナダ、欧州主要国ほか)で指摘され、実際に孔子学院の閉鎖に至っている例がある。かかる懸念と問題点の指摘される孔子学院が日本の大学内に設置されることで、我が国の安全保障、学問の自由などの阻害要因になるおそれがあるということを意味する。

また、本件答弁書によれば、本件質問主意書「四」の「政府としていかなる対応が可能であるか」については、個別具体の事案に即して判断すべきものであり、一概に答えることは困難であるとのことであるが、本件質問主意書「四」は、日本の制度としていかなる対応が可能かという検討を事前に十分に行っておくことが必要である考えからの問いである。

本件答弁書の述べるように、政府の働きかけ等を受けて孔子学院を設置する学校法人から公開される情報等を踏まえ、「管理強化、閉鎖、設置抑制等の更なる措置」が必要な場合や、ましてや法令違反があると認められる場合には、適切に対処することが求められるのは当然である。

1 我が国に設置された孔子学院について、「管理強化、閉鎖、設置抑制等の更なる措置」が必要である、ないしは、法令違反があると認められる場合が見られるケースがあるか、現時点の政府の分析と評価を示されたい。

2 前記の萩生田光一文部科学大臣(当時)の国会での発言から二年余りが経過し、各国にて本件質問主意書に述べたとおり具体的な措置を採っている状況に鑑み、我が国においても、孔子学院に関する情報を分析して具体的に必要な措置を採る時期に来ているのではないか。防衛省のシンクタンクである防衛研究所が令和三年三月に公表した「東アジア戦略概観二〇二一」では、同盟国アメリカが孔子学院を「安全保障上の脅威」としているとの分析を行っている。政府は、米政府とは異なり、孔子学院について現状では「安全保障上の脅威」とはみなしていないのか。また、政府の孔子学院に関する具体的な取組(孔子学院に関する情報の取りまとめ、分析、評価、政府の採る措置の決定、決定された措置の実施などを含む手順及びそれぞれの実施時期)はどのように進められる見通しか。

政府
三の2及び四の1について

お尋ねについてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

四の2について

前段のお尋ねについては、御指摘の「「安全保障上の脅威」」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

後段のお尋ねについては、文部科学省においては、御指摘の「孔子学院」の設置により、大学の自主的・自律的な運営が妨げられることのないよう、「孔子学院」を設置する各学校法人が、その運営の透明性を確保する必要があると考え、当該学校法人に対して、その運営に関する情報を公開するよう働きかけているところであり、政府としては、引き続き、「孔子学院」を設置する各学校法人の動向を注視しつつ、継続的な働きかけを行うとともに、学校法人が「孔子学院」を設置することにより当該学校法人が設置する学校の教育研究活動に支障が生じている場合や、設置された「孔子学院」の活動に法令違反があると認められる場合には、適切に対処してまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
本件答弁書では、孔子学院が設置されている日本の大学名については回答があった。しかし、本件質問主意書「六」において質問した孔子学院と同様の機関(中国側の何らかの組織と日本の教育機関が合意して設置し、中国語や中国文化を普及する等の活動を行っている機関)が、「孔子学院」、「孔子課堂」、「孔子学堂」等の名称を問わず、日本の小中高校に設置されているかについては具体的な回答がなく、政府として把握していないとも理解できる回答であった。

早稲田大学孔子学院のホームページによれば、「平成二十四年四月、早稲田大学高等学院は北京大学付属高校と連携し、孔子課堂を開設し、このプラットフォームを利用し、中国語教育のリソースをより一層充実させるとともに、中国の高等学校との間の交流事業を展開し、在学生にもっと多彩な交流プログラムを提供する」とされており、孔子学院と同様の機関に当たると考えられる。

本件質問主意書で述べた孔子学院に関する懸念や問題点に鑑みれば、政府は早稲田大学高等学院孔子課堂を含む孔子学院と同様の機関が我が国の小中高校に設置され存在するかを把握しておくべきものと考えるが、政府の見解を示されたい。改めて、孔子学院と同様の機関が、その名称を問わず、日本の小中高校に設置されているかについて、現在、設置の現状を把握していないのであれば、日本の小中高校に孔子学院と同様の機関が設置されているか調査し、回答されたい。

政府
御指摘の「孔子学院と同様の機関」が小学校、中学校又は高等学校に設置されているかどうかについては、今後実態把握を行う考えであるが、その具体的方法については検討中であることから、お尋ねの「日本の小中高校に孔子学院と同様の機関が設置されているか調査し、回答」をすることは、現時点では困難である。

中国製監視カメラの規制に関する質問主意書(2023年4月19日)

質問

回答

二〇二二年十一月二十七日付け産経新聞は、「中国監視カメラ、日本に攻勢 安保リスク懸念、米英は排除」と題する記事で「人権侵害への関与や安全保障上のリスクを理由に米英政府から取引禁止などの措置を受けている中国の監視カメラメーカー大手二社が、日本でのシェア拡大に動いている」と報じた。

中国製の監視カメラは、世界市場において大きなシェアを誇っており、安価で信頼性が高いとの評判で多くの国で採用されている。しかし、中国の国内法「国家情報法第七条」には、「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。 国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」と規定されており、中国企業は、こうした情報活動のサポート、援助、協力義務を拒否できない立場にあるとみられる。そのため、欧米諸国等を中心に、中国製監視カメラが中国政府の情報工作に利用されて、他人のプライバシーを侵害し、不正にアクセスし、遠隔地からカメラを制御して、機密情報の収集を行うなど、監視システムを悪用するのではないかとの懸念が生じている。

英国の市民権利団体「Big Brother Watch」が二〇二二年二月七日に公表した報告書によると、「情報公開請求で回答のあった公共施設の六十・八%が中国製の監視カメラを使用しており、そのうちの八十九%がハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)製であり十二%がダーファ(浙江大華技術)製であった」とし、同じく「英国警察施設の三十四・九%が中国製監視カメラを設置し、そのすべてがハイクビジョン製」だとしている。

こうした状況の下、二〇一九年十月、米国商務省は中国の監視カメラ最大手のハイクビジョン及びダーファを「国家安全保障に重大なリスクをもたらすエンティティ」として指定し、米国政府調達から除外したほか、二〇二二年十一月には、米国の通信産業を監督する米連邦通信委員会(FCC)は、安全保障上の脅威となり得る通信機器について、米国内の輸入や販売に関する認証を禁止するとの行政命令を発表し、その対象として、ファーウェイ(華為技術)、ZTE(中興通訊)、ハイテラ(海能達通信)のほか、監視カメラメーカーのハイクビジョン、ダーファの機器を指定した。FCCは、信頼できない通信機器を国内で使用するための認証を与えないことで国家の安全を守るとしている。

英国でも、二〇二二年十一月二十四日、スナク内閣の閣僚であるオリバー・ダウデン・ランカスター公領相は声明で「政府セキュリティグループは、政府施設の視覚監視システムの設置に関連する現在及び将来的な安全リスクについて検討し、英国に対する脅威やこうしたシステムの能力や接続性が増すことを考慮して、追加的な規制が必要」だとし、「各省庁には、センシティブな施設において、中国の国家情報法の支配下にある企業が生産した機器の設置を停止するよう指示をした。これらの施設では、常にセキュリティが最優先されるため、我々は安全上のリスクが発生しないように今すぐ行動する」と中国製監視カメラに対して厳しい姿勢を鮮明にしており、その他、欧州議会、オーストラリア、アイルランドなど多くの国でも、中国製監視カメラに対する実態調査、禁止措置などの対策が検討されている。

右状況を踏まえて質問する。

神谷宗幣(参政党)
ハイクビジョン及びダーファ社製監視カメラが我が国の官公庁施設、特に外務省や警察関連施設、防衛省施設など高度な秘密情報を扱う施設に納入、設置、運用されているかについて、実態調査はなされているか、なされているならその概要、結果を示されたい。また、いまだ調査されていない場合は、早急に実態調査をする必要があると考えるが、これに関して政府の見解を明らかにされたい。

政府
お尋ねの「高度な秘密情報を扱う施設」については、これを明らかにすることにより、今後の我が国の情報セキュリティの確保に支障を及ぼすおそれがあることから、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。

 

神谷宗幣(参政党)
昨年五月に成立した経済安全保障推進法を受け、安保上の脅威となる外国製品を基幹インフラから排除する事前審査の制度設計の検討が進められていると承知しているが、具体的にどのような事前審査制度となっているのか、その詳細を明らかにされたい。

政府
二及び三について

お尋ねの「安保上の脅威となる外国製品を基幹インフラから排除する事前審査の制度設計の検討」及び「経済安全保障推進法の事前審査の対象業者」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)第五十二条第六項において、同条第四項の規定による審査をした結果、同条第一項の規定により届け出られた導入等計画書に係る特定重要設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいと認めるときは、当該届出をした特定社会基盤事業者に対し、当該導入等計画書の内容の変更その他の特定妨害行為を防止するため必要な措置を講じた上で当該導入等計画書に係る特定重要設備の導入を行い、若しくは重要維持管理等を行わせるべきこと又はこれらを中止すべきことを勧告することができることとしており、現在、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に係る制度の施行に向けた準備を進めているところである。

神谷宗幣(参政党)
ハイクビジョン及びダーファは、経済安全保障推進法の事前審査の対象業者として検討が進められているのか、また、今後検討が進められていく可能性があるのか明らかにされたい。

政府
二及び三について

お尋ねの「安保上の脅威となる外国製品を基幹インフラから排除する事前審査の制度設計の検討」及び「経済安全保障推進法の事前審査の対象業者」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和四年法律第四十三号)第五十二条第六項において、同条第四項の規定による審査をした結果、同条第一項の規定により届け出られた導入等計画書に係る特定重要設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいと認めるときは、当該届出をした特定社会基盤事業者に対し、当該導入等計画書の内容の変更その他の特定妨害行為を防止するため必要な措置を講じた上で当該導入等計画書に係る特定重要設備の導入を行い、若しくは重要維持管理等を行わせるべきこと又はこれらを中止すべきことを勧告することができることとしており、現在、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に係る制度の施行に向けた準備を進めているところである。

神谷宗幣(参政党)
我が国の官公庁施設、特に外務省や警察関連施設、防衛省施設などに、こうしたセキュリティ上の懸念のある機器が既に設置されている場合、政府として、今後、こうした既設機器のセキュリティ・リスクの調査や当該機器の撤去、信頼できる製品への交換などを含め、どのように対処していくのか、その方針を明らかにされたい。

政府
お尋ねの「こうしたセキュリティ上の懸念のある機器」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、その施設に設置されている電子機器についてセキュリティの確保の観点から必要な対策を講じているところであり、引き続き、適切に対処してまいりたい。

外国の利益になる不当な情報操作を防ぐための法整備に関する質問主意書(2022年10月24日)

質問

回答

二〇一九年八月三十一日付け産経新聞は、中国共産党傘下の英字新聞「チャイナ・デーリー」系の政治宣伝紙「チャイナ・ウォッチ」が米アイオワ州の地元紙の折り込みとして「トランプ大統領の対中政策のせいで同州の農家が苦境に追いやられている」といったプロパガンダ記事を掲載、配布したことが米議会で問題になったと報じている。

これに関して、米国では、外国の利益になる不当な情報操作を防ぐために「自国政府を代弁する広報活動を行う代理人」については外国代理人登録法(Foreign Agents Registration Act)に基づいて登録を義務付けており、「チャイナ・デーリー」についても、一九八三年、米司法省によって外国代理人登録法に基づいて「外国代理人」であると認定し、登録を義務付けている。

また、この外国代理人登録法と同等の法的効果を持つものとして、豪州では二〇一八年、外国からの政治献金禁止や、外国政府のために活動する人物や団体に対し、豪州政府への登録を義務付けることなどを定めた「外国影響力透明化法(Foreign Influence Transparency Scheme Bill)」が成立している。

我が国においても、こうした外国による不当な情報操作を防ぐために、「外国代理人登録法」のような法整備が必要と考えられる。

そこで、以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
我が国ではこれまで、政府内で外国代理人登録法あるいは外国影響力透明化法と同等の効果を持つ法整備について検討がなされたことはあるか。検討がなされたことがあるのであれば、その状況について明らかにされたい。

政府
一及び二について

お尋ねの「外国代理人登録法あるいは外国影響力透明化法と同等の効果を持つ法整備」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、外国の利益を図る目的で行われる虚偽の情報の流布等を防ぐことは重要であると認識しており、関係省庁が連携し、必要な取組を進めてまいりたい。

神谷宗幣(参政党)
我が国における外国代理人登録法あるいは外国影響力透明化法と同等の効果を持つ法整備の必要性に関する政府の認識及び今後の方針について明らかにされたい。

政府
一及び二について

お尋ねの「外国代理人登録法あるいは外国影響力透明化法と同等の効果を持つ法整備」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、外国の利益を図る目的で行われる虚偽の情報の流布等を防ぐことは重要であると認識しており、関係省庁が連携し、必要な取組を進めてまいりたい。

中国の海外警察拠点に関する質問主意書(2022年10月24日)

質問

回答

令和四年九月二十九日付け米FOX NEWSウェブ版は、スペインに本部を置く人権監視団体NGO「Safeguard Defenders」が九月に発行した「海外一一〇番:中国の国境を越えた警察の暴走(110 Overseas : Chinese Transnational Policing Gone Wild)」と題するレポートを引用し、中国警察は米国やカナダに中国系市民を監視するための海外拠点を開設していると報じている。

同NGOのレポートによると、中国政府は、海外在住中国人による詐欺事件が問題となっているため、二〇二一年四月から二〇二二年七月までに二十三万人の詐欺容疑者に対して、中国への「帰国説得」に成功したと公表している。

「帰国説得」とは、中国の警察当局が海外に設置した拠点等を活用して、海外在住容疑者を帰国させるもので、同レポートによると、その方法として、次の(一)から(三)があるとしている。

(一) 海外在住容疑者の中国にいる家族を探し出し、脅迫、嫌がらせ、拘留、監禁などの手段で圧力をかけ、逃亡犯を自主的に帰国させるよう家族を説得する。

(二) 海外在住容疑者に直接アプローチする。オンラインで容疑者に接近又は海外潜入捜査官や代理人を派遣して、逃亡犯に脅迫や嫌がらせをして帰国を促す。

(三) 海外在住容疑者を誘拐して強制的に帰国させる。

また、同レポートはこのような中国警察の海外拠点は世界中に存在しているとして、その一部について、中国メディアの記事を引用し、その具体的な所在地リストを公表している。

それによると、東京都内にも中国警察の海外拠点として、「福州公安」の「海外一一〇番警察報告服務台」が存在するとしており、その所在地と名称を明らかにしている。

そこで以下質問する。

神谷宗幣(参政党)
中国の捜査当局が我が国国内で、右のような捜査・取締り活動を展開しているのであれば、我が国の司法権や日本国憲法が保障する人権諸規定を侵害するものではないか、政府の見解如何。

政府
お尋ねについては、「我が国の司法権や日本国憲法が保障する人権諸規定を侵害する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、個別具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、外国又はその機関が我が国の領域内で公権力の行使と呼ばれるような行為を我が国の同意を得ずに行うことは、我が国に対する主権の侵害となると認識している。

神谷宗幣(参政党)
前記NGOのレポートは、こうした中国警察の海外拠点と中国共産党の統一戦線工作組織との結び付きを示唆している。我が国における中国共産党統一戦線工作組織について二〇一八年二月十二日付け新華網日本語版は「二月十一日、東京都文京区の日中友好会館で、全日本華人中国和平統一促進協議会を設立した」旨を報じている。こうした組織が我が国で何を目的にどのような活動をしているのか政府として把握しているか。

政府
一及び三について

お尋ねについてお答えすることは、我が国の情報収集能力等を明らかにするおそれがあることから、差し控えたい。

解説動画

公的機関の職員の国籍について(2024年1月31日)

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公的機関の職員の国籍について(2023年7月26日)