議会質問
インボイス制度による税収額(2024年4月23日)
神谷宗幣(参政党)
昨年度始まったインボイス制度によって、今年度の税収はどれぐらいになると見込んでおられるか、数字をお聞かせください。
青木孝徳(政府参考人)
お答え申し上げます。令和六年度税収見積りにおきます国、地方の消費税収のうち、インボイス制度の導入による増収額につきましては、国、地方合わせて一千七百三十億円と見込んでおります。
神谷宗幣(参政党)
一千七百三十億円ですね。私も小さな会社やっているんですけれども、やっぱりインボイス制度始まって、物すごく業務というか雑務が増えました。これ、政府ですね、働き方改革で労働生産性を上げようと言っているのと、私、矛盾しているようにやっぱり感じるんですね。千七百億円の税収を得るためにどれだけ国民に事務労力を掛けているのかということを考えると、やはり働き方改革の観点からしても、インボイス制度を見直すべきだというふうに思っています。
なぜ反対意見の多いインボイス制度を急ぐのか(2024年5月9日)
神谷宗幣(参政党)
こちらに、一般社団法人日本中小企業経営審議会という中小企業の経営者の皆さんでつくる団体が行った税に関する緊急のアンケートがあります。昨年の十二月二十一日から今年の二月二十八日までかけて行われたアンケートで、回答数は千百三十五件あるものです。このアンケートによると、インボイス制度についての意見は、全体の五六・九%が導入すべきではないとの意見で、制度がよく分からない、二六・七%、導入に賛成は一六・四%しかありません。これらの企業は一千万円以下の小規模事業者ではないですから、税金を払うのが嫌だということではなくて、会計や整理業務のコストが上がるのが困るというのが反対の理由だそうであります。そうですね、インボイスの質問に入りたかったんですが、ちょっと小池委員と大分質問かぶりましたので、少し余談になりますが、この団体、今景気が冷え込んでいると、V字回復を目指して幾つか提案をしてくれているので、それも少し中小企業者の声だと思って聞いていただきたいなと思うんですが。例えば、固定資産の購入について特別償却ができるような時限立法をしてもらいたいとか、飲食店を助けるために、企業の交際費についても、これも時限立法で上限なく損金計上できるようにしてほしいとか、あと、企業のデジタル投資を一年で一括償却できる制度をこれも時限立法でつくってもらいたい、それから、貸倒れの債権を速やかに特別損失で処理できるような法律整備をしてほしいというような要望も挙げていただいております。まあ確かに、現場の声としては、ああ、なるほどと思うものがありましたので、少し紹介をさせていただきました。本題に戻ります。今回の議案では、このインボイス制度の負担軽減措置が提案されていますけれども、こうした措置も、運用する方からすると、かえって制度をややこしくし、業務コストを上げてしまうのではないかというふうに思います。多数の品目に複雑な軽減税率を適用している欧米に比べ、日本の消費税の場合は食料品等に対する八%の軽減税率が一本存在するにすぎません。現状の帳簿方式でも納税は十分に機能しているのに、なぜ事業者に新たな事務負担を課すことになるインボイス方式への転換を急ぐのでしょうか。また、日本の消費税制では、一九九七年に消費税率が三%から五%に引き上げられたときに、それまでの帳簿又は請求書のいずれかを保存してよいという制度から両方を保存する制度へと既に変更されており、請求書も必ず保存しなければならなくなっていることから、日本型インボイス制度とも呼ばれています。現状でも適正な納税は機能しているにもかかわらず、あえてインボイス制度を導入することで事業者に生ずる事務的負担のコストを上回るどのようなメリットがあるのでしょうか。また、今回の制度導入で幾らの税収増を見込んでいるのか、併せてお聞かせください。
住澤整(政府参考人)
お答え申し上げます。今回のインボイス制度の導入は、複数税率制度の下で適正な課税を確保するために行われるものでございますが、複数税率制度の下で適正な課税を確保するためには、買手側において仕入れ税額控除を行う際にどういった適用税率を扱うかということが、売手側で売上げに対して適用された税率と一致していることが確認できるような仕組みを確保する必要がございます。現行の請求書等保存方式の下におきましては、例えばでございますが、売手側にこの請求書等の交付義務ですとか写しを保存する義務というのが課されてございませんので、売手が軽減税率で申告していたもの、八%で申告していたものについて買手側が仮にその標準税率一〇%で控除を行ったとしても、この適用税率が正しいかどうかということについて事後的に調査の際に確認することが困難だという状況が生じているわけでございます。インボイス制度はこうした問題を防ぐことにつながるものでございまして、ただ、その事務負担の面などもございますので、軽減税率制度導入後四年間の準備期間を設けた上で、本年の十月から導入するということとされたものでございます。そして、その事務負担の点については、元々この簡易課税制度を選択している方、課税事業者の四割は簡易課税を適用されていますが、こういった方々にとりましてはインボイスの保存は元々必要がないということでありますとか、先ほど様々な経過措置が導入されると複雑になるという御指摘がございましたが、今回、免税事業者の方が課税事業者に転換される際の経過措置については、納税額を売上税額の二割に軽減するものでございまして、一般のこの簡易課税制度で要求されている事務負担の水準よりも更に簡便化されたものでございます。こういったことで、事務負担の面については相当程度の配慮が行われているわけでございますし、また、大臣からも累次にわたって御答弁申し上げておりますように、予算面においても、IT導入補助金などの活用によって支援策を講じているところでございます。こういったことで、制度の導入に向けてきめ細かく対応してまいりたいと思います。また、インボイス制度導入に伴う増収額についてのお尋ねがございました。この点については、現在の免税事業者の方が実際に課税事業者になって納税をされるのかどうかといったことが、例えば、取引先が簡易課税制度を使われているのかどうか、あるいは非課税取引が主な事業者であるかどうかといった要因によっても左右されますし、これまで講じられてきた経過措置でありますとか今回新しく新設する経過措置の影響などもございますので、一概にこの増収額を計算することは難しいということを御理解いただければと思います。
神谷宗幣(参政党)
やはり、制度をつくる側のメリットは分かるんですけど、国民の側からのメリットというのはなかなか感じにくいんじゃないかなと、今の答弁を聞いても国民の側は、ああ、それならというふうな気持ちにはならないんじゃないかなというふうに思いました。
中小零細事業者への配慮としての免税制度とインボイス制度の矛盾(2023年3月17日)
神谷宗幣(参政党)
これまでは免税業者からの納入であっても仕入れ税額控除ができたわけですが、インボイスの制度導入でそれができなくなると免税事業者から取引が排除されるおそれがあるため、多くの免税事業者が課税事業者への転換を迫られているという状況です。特に零細の個人事業者の場合、そのことに伴う負担は大きくて、もう事業を続けられないという声が出ているのも、もういろんな委員の皆さんから上がっているとおりです。免税事業者も課税事業者に転換しないと商売を続けられなくなるような制度を設けるということは、そもそも中小零細企業事業者、中小零細の事業者への配慮として設けられてきたはずの免税制度の存在そのものと矛盾するものであって、何のために免税事業者という仕組みが存在してくるということになるのか分からなくなるのではないかというふうに思います。こういった矛盾点について財務省はどのように考えているのか、聞かせてください。結局、そうして考えると、零細事業者まで消費税の納税義務を広げることがこのインボイス制度の趣旨だということに感じてしまうんですが、その点も併せてお答えください。
住澤整(政府参考人)
お答え申し上げます。今回のインボイス制度の導入は、複数税率の下で適正な課税を確保する観点から行われるものでございまして、今委員から御指摘がありましたような、零細な事業者の方々にまで消費税の納税義務を広げるといった趣旨で行われるものではございません。諸外国のこの消費税に相当する付加価値税制度におきましてもインボイス制度は広範に採用されておりまして、それと並行、併存して事業者免税点制度が実施されているということでございますので、これらの制度が互いに矛盾するということは必ずしもないのではないかというふうに考えております。その上で、この零細な事業者の方々の事務負担の面につきましては、先ほどと重なりますが、免税事業者の方が課税事業者に転換された場合には、納税額を売上税額の二割に軽減し、簡便な方法で申告納税が可能となるような経過措置も設けるなどの配慮を行っているところでございます。
インボイス制度の導入は景気回復の足かせになるのではないか(2023年3月17日)
神谷宗幣(参政党)
財務省の数字によれば、日本全体で免税事業者数は、個人事業者が約四百七万者で全事業者に占める割合は約七八%、法人が約九十一万社で全体に占める割合が約三一%となっており、二〇二〇年度時点では個人事業者の八割が免税事業者になっているということですね。今、コロナ禍から脱して日本経済がようやく成長を取り戻せるかどうかという瀬戸際のときに、このインボイスの導入というのは大きなマイナスのインパクトを経済に与えることになるのではないかというふうに思います。導入のタイミングとしては今最悪じゃないかなというふうに思うんですけども、百歩譲って導入をするにしても、せめて日本経済が順調な回復を示すまでもう少し延期をすべきではないかというふうにも感じるんですが、その辺どうでしょうか。
鈴木俊一(財務大臣)
度々同じことを繰り返し申し述べさせていただいておるところでございますが、インボイス制度、これは複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものでありまして、政府として、予定どおり本年十月から円滑に実施できますように、関係省庁とも連携しながら対応を進めているところでございます。インボイス制度の移行による取引の影響につきましては、免税事業者の行う取引のうち約六割についてはBツーC取引であって、取引の相手方が課税事業者であっても約四割弱は簡易課税制度を適用しており、このような取引ではインボイスの交付を求められることがなく、全ての免税事業者について影響があるわけではございません。その上で、インボイス制度への移行による免税事業者を含めた中小・小規模事業者への影響を緩和するため、政府一体で連携して様々な措置を講じており、きめ細かく対応することといたしております。先ほど主税局長からも御紹介がございましたが、取引環境の整備でありますとか、予算措置による支援、税制措置による激変緩和、負担軽減などの対応をしながら、円滑に導入できますように丁寧に進めていきたいと思っております。
神谷宗幣(参政党)
御答弁ありがとうございます。消費税増税のときもそうでしたけども、何か景気が良くなろうとすると増税というような形でそれを潰すというようなことを繰り返してやってきたんじゃないかなというふうに思います。やっぱり経済って生き物なので、タイミングがすごく大事だと思うんですね。前回、民のかまどの話をさせていただきましたけれども、やっぱり経済の動向を見て、国民の生活を見て、税制度というのは時期をずらしたり早めたりということが必要だと思うので、ほかの委員と同じことになりますが、もう一度考えていただけないかというのが我々の要望です。